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ガラス瓶

(びん)は、ガラス陶器を材料とした容器英語で、ボトル: bottle)というと口の細い瓶を指し、ジャー: jar)というと広口瓶を指す。瓶に取っ手がある水差しに近い瓶はジャグ: jug )である。

概要[編集]

いわゆるワインボトル
液体を入れる標準的な形に、澱をビン内に留める工夫が見られる
メイソンジャーの中のプリザーブ フード
ピクルス ジャー
リユーズアブル ジャム ジャー
抱き合わせたときに倒れにくくなるように作られた調味料用ビン

瓶は液体固体粉末など)の輸送と保存に適した容器の形態で、容器入り口には密閉用の機構を備えるものが多い。簡単なものでは入り口にはめ込む紙蓋(例として牛乳瓶)やコルク栓(例としてワインボトル)、ゴム栓など柔らかい素材でできた栓がされるが、王冠など金属製のキャップを利用するもの(例としてビール瓶)も少なくない。密閉性が高く、外気との遮断ができる点でも優れている。

円柱型のものが多いが、稀に角柱状の角瓶もある。角瓶は船積みして遠方に輸送する際に荷積みの便利さから工夫されたもの。またガラスが発明される以前に、ヒツジなどの胃袋を利用して飲み水を入れるための容器に仕立てられたものの形をガラスで再現したものもある(ボックボイテル-ドイツのフランケン地方のワインに特有の下膨れの瓶)。この「任意の形に加工しやすい」という性質は、意匠を凝らした様々な瓶も生んでいる。

こういった容器は人間とガラスなど加工しやすく硬い素材との付き合いが始まって以降に利用が進んだが、その形状や機能は研究され、保存食の容器として(瓶詰)や飲料の容器として広く利用されている。内容物に応じて口の広い瓶から狭くなった「」を持つものまで様々だが、総じて食品の瓶は口が広く、飲料や調味料など液体の瓶は口が狭い。開口部が狭いほど液面の面積が狭くなるため、たとえ蓋をしていなくても保存性が高まるという面もあるため、液体の瓶は先細りとなっているものも少なくない。

瓶の種類[編集]

瓶にはその用途に応じて様々なものが存在する。古く瓶の製造が大量生産では無かった時代には、瓶は貴重な容器で、洗って何度でも再使用することを前提とした容器だった。この方向性は現在でも一升瓶ビール瓶牛乳瓶などに残っており、これら洗浄して再使用することを前提とした瓶は、リターナブル瓶とも呼ばれ循環型社会では飲料や食品・調味料の容器として注目を集める。

その一方で、産業革命以降には瓶の大量生産方法が確立され、使用した瓶を破砕してガラス原料としてリサイクルする場合がある。これはリターナブル瓶の対義語であるワンウェイ瓶とも呼ばれる。

こと洗浄して再使用するリターナブル瓶の場合では、内容物毎に意匠を凝らして製品種類をアピールすることは配慮されないため、規格化された大きさ(容積)・形・色をしている。例えば一升瓶でも日本酒などを入れるものは茶色の色つき瓶で、食用油などは内容物を見分けやすい淡い青色の透明瓶が使われるが、形状はどちらも尺貫法における一升(約1.8リットル)の細長い首を持った同じ形をしている。

古く吹きガラスで作った瓶が用いられたが、こういった瓶は大きさや容積がまちまちであることから、工業単位で製造された物品を収めることに向かず、次第に大きさが規格化されていったことがうかがわれる。

特徴[編集]

  • 化学的に安定した物質(不活性)で内容物を汚染することもなく耐熱性がある[1][2]
  • ガスバリアー性が高く気体あるいは水蒸気の透過性が全く無いため味の変質を抑制できる[1][2]
    ガラスにせよ上薬を掛けた陶器にせよ、その表面のガラス質は簡単には溶けず気密性もあるため、長期間液体を保存していても内容物が漏れたり蒸発することを防ぐことができる。また殺菌法の発達は雑菌の侵入を阻むガラス瓶の性質から保存食を従来の乾燥塩漬けに加え密閉という形で完成させ、後の缶詰の原型ともなった。内容物に溶け出さず・腐食せずという性質から高い保存性を発揮する。ただ、密閉性を高めるために固く締められたガラス瓶の蓋は開けにくいという難点がある(そのため、てこの原理を応用して、ガラス瓶の蓋を容易に開ける道具も市販されている)。
  • 透明で内容物がよく見え、また、表面には光沢があり質感も良い[1][2]。ただし、光線の影響を受けやすい[1]
    ガラス瓶の場合では内容物が透けて見えるという点からも利便性が高い。ラベルが剥がれていても、イチゴジャムマーマレードを取り違えなくて済む。しかし、この透明という性質は太陽光線で内容物が劣化し易い場合には欠点となる。このため光線を遮るために濃い色で着色している瓶も少なくない。
  • リサイクルが可能である[1]
    今日、資源のリサイクルが重視されるようになったこともあり、リターナブル瓶の再使用やワンウェイ瓶カレットの利用など、比較的に再利用の際のエネルギーコストが低廉であるというガラス瓶の利点が見直されつつある。
  • 世界的に見て原料となる珪砂、ソーダ灰、石灰は豊富であり資源的に安定している[1]
  • 紙容器などに比べて重たい[1]
  • 衝撃や急激な温度変化に弱く割れやすい[1][2]
    強度を高めるためには必然的に厚くしなければならず、さらに重量が増加する点で不利である。ただし、現在の瓶の一部では合成樹脂フィルムを表面に接着するなどして強度を上げているものがあり、また形状を工夫することで必要な強度を最小限の厚さで実現できるようにもなっている。
  • 密封・殺菌が容易でない[1]。ただし、缶詰は一度開けると容器としては元に戻らなくなるが、ねじ蓋のガラス瓶は閉め直すことができ容器を反復して利用することができるという利点がある。

その他の瓶[編集]

瓶はガラスや陶器、あるいはプラスチックなど加工時には可塑性を持ち加工後は硬質化する、安定した物性を持つ素材で作られるのが常である。ただし映画の撮影やコントなどでは、ガラス瓶の「強い衝撃を与えると割れ砕ける」という性質を安全に再現するために飴ガラスと呼ばれる、特別製の瓶が利用される。これは既存のビール瓶などに似せて作られるが、弱い力で割れ、また破片で怪我をし難い。この他ロジン(樹脂の一種)などでも同様の物品が作られる。ただしこれらは容器としての役には立たず、瓶の形をした壊れ易い物品に過ぎない。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i 日本食品保蔵科学会『食品保蔵・流通技術ハンドブック』建帛社 p.37 2006年
  2. ^ a b c d 日本包装学会『包装の事典』朝倉書店 p.125 2001年

関連項目[編集]