フジマドンナ

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フジマドンナ
品種 サラブレッド[1]
性別 牝[1]
毛色 黒鹿毛[1]
生誕 1976年5月31日[1]
死没 1998年5月7日（23歳没・旧表記）
父 シンザン[1]
母 オートトップ[1]
母の父 ガルカドール[1]
生国 日本の旗 日本（北海道浦河町）[1]
生産者 惣田英夫[1]
馬主 藤野隆四郎[1]
調教師 松山康久[1]（美浦）
競走成績
生涯成績 40戦10勝[1]
獲得賞金 2億2184万4200円[2]
勝ち鞍 カブトヤマ記念（1980年）
福島記念（1981年）
中日新聞杯（1983年）
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フジマドンナ（欧字名:Fuji Madonna、1976年5月31日 - 1998年5月7日）は、日本の競走馬、繁殖牝馬[1]。主な勝ち鞍に1980年のカブトヤマ記念、1981年の福島記念、1983年の中日新聞杯。

中日新聞杯では、中央競馬史上初となる8歳牝馬による重賞勝利を達成した。40戦を走り獲得した賞金2億2184万4200円は、当時の牝馬最高額を更新した。

生涯[編集]

デビューまで[編集]

オートトップは1964年に青森県七戸町の浜中牧場で生産された牝馬であった[3]。競走馬として12戦に出走し、1勝を挙げて繁殖牝馬となった[4]。1976年5月31日、7番仔[5]として黒鹿毛の牝馬（後のフジマドンナ）が誕生した。牧場時代は、骨太で病気と無縁の健康な馬であった[3]。藤野隆四郎が所有し「聖母マリア」にちなんで「フジマドンナ」と命名された[3]。

競走馬時代[編集]

1978年7月23日、新潟競馬場の新馬戦に吉永正人が騎乗し、デビュー。1番人気に支持されて出走したが、最終コーナーで大きく回ってしまい、9着に敗れた[3]。しかし、3か月後の中山競馬場の未勝利戦では、ブリンカーを用いて出走し、逃げきり勝利を果たした[6]。続く400万円以下は、4戦連続3着など2勝目を挙げるまでに6戦かかった。

4月29日、優駿牝馬（オークス）のトライアル競走である4歳牝馬特別に、重賞初出走となったが、7着に敗れた[6]。優先出走権なしに優駿牝馬に出走したが、中団から抜け出すことはできず、12着に敗れた[6]。9月29日の秋風賞（芝1600m（良）メートル）で復帰し、不良馬場の中、追い込みを見せて勝利した。その後、カブトヤマ記念、愛知杯と重賞上位となった[6]。

古馬となり、体重が増加した。オープン、1200万円以下、800万円以下と降級しながら7戦に出走するも2着、3着に惜敗していた[6]。しかし、10月4日の六社特別（800万円以下）で勝利[6]。前年に引き続きカブトヤマ記念に3番人気で出走し、直線中間で抜け出して重賞勝利を果たした[6]。

その後はローカル開催や牝馬限定戦を中心に出走を続け、翌1981年の福島記念では1番人気に推され、後方待機から馬群の間から抜け出して後方に1馬身4分の1差をつけて勝利[6]、その他1981年および1982年の中山牝馬ステークス（オープン）などを制した[2]。

8歳を迎えた1983年、3戦を消化しての引退及び繁殖牝馬となることが決定し、緒戦に中日新聞杯に出走[2]。中団待機から直線で抜け出して優勝し、史上初の8歳牝馬による重賞勝利を達成、10勝目を挙げた[2]。中京記念8着挟み、引退レースと定められた中山牝馬ステークス[注釈 1]で3連覇を目指した。前年のエリザベス女王杯優勝馬ビクトリアクラウンが圧倒的な人気を集め、3番人気に支持で出走。後方待機から、最後の直線で馬場内側から追い込んだが、レースを先導したダンシングファイタをクビ差捉えることができず、2着に敗れた[7]。2着の賞金1000万円を加算し、これまでに獲得した賞金は2億2184万4200円に達し、1977年の牝馬二冠馬、インターグロリアが保持していた牝馬の最高獲得賞金額を300万円ほど更新し、競走馬を引退した[7]。

全40戦のうち34戦で5着以内を確保した、非常に堅実な馬であった。また、稍重以下の馬場状態で行われた16戦のうち、馬券配当圏外となったのは2戦、不良馬場では6戦3勝、2着2回と、一般に非力とされる牝馬ながら、重馬場得意の馬としても知られた。

繁殖牝馬時代[編集]

以降は故郷の惣田牧場で繁殖牝馬となったが、産駒に目立った活躍馬は生まれず、1998年に23歳で死亡した。

競走成績[編集]

以下の内容は、netkeiba.com[8]およびJBISサーチ[9]の情報に基づく。

競走日 競馬場 競走名 格 距離（馬場） 頭

数

枠

番

馬

番

オッズ

（人気）

着順 タイム 騎手 斤量

[kg]

1着馬（2着馬）
1978.07.23 新潟 3歳新馬 芝1000m（良） 11 7 9 002.00（1人） 07着 1:01.8 0吉永正人 52 ヨシノオウジン
0000.10.28 中山 3歳未勝利 芝1200m（良） 12 8 11 006.70（2人） 01着 1:11.0 0吉永正人 52 （インターラガー）
0000.11.25 東京 さざんか賞 4下 芝1600m（良） 8 8 8 011.10（3人） 05着 1:38.3 0吉永正人 52 ホクセーミドリ
0000.12.16 中山 黒松賞 4下 芝1600m（良） 8 6 6 006.70（2人） 03着 1:37.1 0吉永正人 52 イブセイコー
1979.01.15 東京 福寿草特別 4下 ダ1600m（重） 8 7 7 004.60（3人） 03着 1:39.3 0吉永正人 52 サークルカマダ
0000.02.04 中山 シクラメン賞 4下 ダ1700m（良） 12 1 1 007.20（3人） 03着 1:47.9 0吉永正人 52 ヤシャオー
0000.03.04 中山 桃花賞 4下 芝1600m（重） 16 7 14 008.70（2人） 03着 1:39.2 0吉永正人 52 スパートリドン
0000.03.25 中山 山桜賞 4下 芝1600m（稍） 15 3 4 011.90（3人） 01着 1:37.1 0吉永正人 52.5 （クインパシフィック）
0000.04.29 東京 東京4歳牝馬特別 芝1800m（稍） 20 6 14 011.50（5人） 07着 1:51.4 0横山富雄 54 シルクスキー
0000.05.20 東京 優駿牝馬 芝2400m（良） 24 4 11 025.20（8人） 12着 2:32.0 0吉永正人 55 アグネスレディー
0000.09.29 東京 秋風賞 8下 芝1600m（不） 12 8 12 010.90（4人） 01着 1:38.9 0吉永正人 52 （プリティーアカツキ）
0000.11.11 東京 カブトヤマ記念 芝1600m（重） 14 5 8 007.40（3人） 03着 1:38.9 0竹原啓二 49 メジロマーティン
0000.12.16 中京 愛知杯 芝2000m（良） 10 8 9 014.20（5人） 05着 2:02.3 0竹原啓二 50 グレートタイタン
1980.03.01 中山 アクアマリンS 12下 芝1600m（不） 14 7 12 009.60（4人） 02着 1:41.2 0吉永正人 53 スピードヤマトシ
0000.03.15 中山 中山牝馬S 芝1800m（稍） 14 3 4 008.70（4人） 03着 1:51.6 0竹原啓二 51 マイエルフ
0000.03.29 中山 爽春賞 12下 芝1600m（良） 15 4 7 002.50（1人） 02着 1:38.1 0吉永正人 53 マークリシルバー
0000.05.04 東京 高尾特別 12下 芝1400m（良） 12 4 4 003.80（1人） 02着 1:23.8 0吉永正人 53 ダービーヒーロー
0000.06.01 東京 ジューンS 12下 芝1600m（良） 13 5 7 003.20（1人） 03着 1:36.1 0吉永正人 53 ホクトダンデイ
0000.08.02 函館 HTB賞 8下 芝1800m（良） 8 7 7 006.30（3人） 02着 1:48.2 0竹原啓二 54 ハーディエース
0000.09.13 函館 STV杯 8下 芝1800m（重） 11 3 3 003.80（1人） 03着 1:53.7 0竹原啓二 55 アラナスゼット
0000.10.04 東京 六社特別 8下 芝1600m（良） 11 2 2 002.90（1人） 01着 1:35.8 0竹原啓二 55 （ミナガワオー）
0000.10.26 福島 カブトヤマ記念 芝1800m（重） 14 5 7 009.00（3人） 01着 1:51.2 0竹原啓二 53 （アロージョイフル）
1981.02.15 東京 目黒記念 芝2500m（良） 14 7 12 040.3（11人） 11着 2:36.0 0竹原啓二 54 キタノリキオー
0000.03.15 中山 中山牝馬S 芝1800m（不） 13 2 2 007.80（3人） 01着 1:53.7 0竹原啓二 55 （メジロクラウン）
0000.04.26 新潟 谷川岳S 芝1600m（良） 10 2 2 002.70（1人） 02着 1:36.3 0竹原啓二 55 ブラビオー
0000.05.10 新潟 新潟大賞典 芝2000m（不） 13 6 9 004.40（1人） 02着 2:04.6 0竹原啓二 55 ジュウジアロー
0000.06.14 福島 地方競馬招待 芝1800m（重） 12 5 5 005.10（2人） 03着 1:50.3 0竹原啓二 55 ハワイアンイメージ
0000.07.05 福島 七夕賞 芝2000m（重） 11 1 1 004.60（2人） 03着 2:06.0 0竹原啓二 55 ビゼンセイリュウ
0000.10.10 東京 オクトーバーHC 12下 芝1800m（重） 14 8 13 005.20（1人） 02着 1:47.6 0竹原啓二 57 ネオキーストン
0000.10.25 福島 カブトヤマ記念 芝1800m（良） 8 8 8 002.90（1人） 03着 1:49.7 0竹原啓二 56 キンセイパワー
0000.11.22 福島 福島記念 芝2000m（良） 11 7 8 003.50（1人） 01着 2:01.9 0竹原啓二 56 （スズフタバ）
1982.02.21 東京 目黒記念 芝2500m（不） 13 7 11 019.8（10人） 12着 2:41.1 0竹原啓二 56 カミノスミレ
0000.03.21 中山 中山牝馬S 芝1800m（不） 10 1 1 010.90（3人） 01着 1:55.3 0吉永正人 57 （タケノダイヤ）
0000.10.17 東京 牝馬東京タイムズ杯 芝1600m（良） 14 3 4 024.90（6人） 04着 1:35.9 0竹原啓二 56 スイートネイティブ
0000.11.07 福島 福島民友C 芝1800m（良） 13 6 9 003.80（1人） 01着 1:47.4 0竹原啓二 54 （タケノハッピー）
0000.11.21 福島 福島記念 芝2000m（良） 14 6 9 003.10（1人） 04着 2:02.8 0竹原啓二 58 ネオキーストン
0000.12.11 中山 ターコイズS 芝1800m（良） 8 8 8 002.80（1人） 03着 1:52.2 0竹原啓二 55 ピアレスレデイ
1983.01.23 中京 中日新聞杯 芝1800m（良） 15 3 5 004.80（1人） 01着 1:49.4 0竹原啓二 56 （アローボヘミアン）
0000.02.06 中京 中京記念 芝2000m（良） 16 8 15 018.30（6人） 08着 2:01.7 0竹原啓二 57 アローボヘミアン
0000.03.20 中山 中山牝馬S 芝1800m（良） 13 4 5 011.00（3人） 02着 1:51.3 0竹原啓二 57 ダンシングファイタ

繁殖成績[編集]

生年 馬名 性 毛色 父 馬主 管理調教師 戦績 勝ち鞍 出典
初仔 1984年 フジアローオー 牡 鹿毛 アローエクスプレス 藤野隆四郎[10]
→藤野鈴子 		松山康久[10]（美浦）
→長島康男（宇都宮） 		18戦2勝（抹消） [11]
1985年 不受胎 ノノアルコ [12]
2番仔 1986年 ハイセイコー 不出走 [13]
3番仔 1987年 フジマイティ 牡 鹿毛 ミスターシービー 藤野鈴子 吉永正人[14]（美浦）
→中村護（大井） 		不出走 [15]
4番仔 1988年 キューソーフラワー 牝 鹿毛 ロイヤルニジンスキー 藤野眞登 松山康久（美浦） 1戦0勝（抹消） [16]
5番仔 1989年 クロスマドンナ 牝 鹿毛 シービークロス 藤野眞登 松山康久（美浦） 1戦0勝（繁殖牝馬） [17]
6番仔 1990年 ベルウイッチ 牝 鹿毛 コリムスキー 藤野鈴子 竹原眞一（大井） 10戦0勝（繁殖牝馬）　 [18]
7番仔 1991年 オンユアマーク 牡 芦毛 シービークロス 藤野鈴子 二ノ宮敬宇（美浦） 3戦0勝（抹消） [19]
8番仔 1992年 フジエタニティ 牡 鹿毛 ナイスダンサー 藤野鈴子 松山康久（美浦） 2戦1勝（抹消） [20]
1993年 種付けせず [12]
9番仔 1994年 キタサンダイジン 牡 鹿毛 ダンシングブレーヴ (有)大野商事 鹿戸幸治（栗東） 10戦0勝（抹消） [21]
10番仔 1995年 ユウキダンサー 牝 鹿毛 ファストトパーズ 雪本秀樹 西橋豊治（栗東） 1戦0勝（抹消） [22]
1996年 不受胎 ミスターシービー [12]
1997年 不受胎 ミラーズメイト [12]
1998年 死産 ミラーズメイト [12]

血統表[編集]

フジマドンナの血統 （血統表の出典）[§ 1]
父系 ボワルセル系
 [§ 2]
父

シンザン 1961
鹿毛 日本
父の父
*ヒンドスタン
Hindostan 1946
黒鹿毛 日本 		Bois Roussel Vatout
Plucky Liege
Sonibai Solario
Udaipur
父の母
ハヤノボリ 1949
栗毛 日本 		ハヤタケ *セフト
飛竜
第五バツカナムビユーチー *トウルヌソル
バツカナムビユーチー
母

オートトップ 1964
芦毛 日本 		*ガルカドール
Galcador 1958
栗毛 イギリス 		Djebel Tourbillon
Loika
Pharyva Pharos
Souryva
母の母
フジリュウ 1959
芦毛 日本 		*パールダイヴァー
Pearl Diver 		Vatellor
Pearl Cap
シルバーイメージ *ステーツマン
イヅタダ
母系(F-No.) タイランツクヰーン系(FN:14-f) [§ 3]
5代内の近親交配 Vatout 4×5、Blandford 5×5、Gainsborough 5･5（父内） [§ 4]
出典
  1. ^ [23]
  2. ^ [24]
  3. ^ [23]
  4. ^ [23]

母は競走馬時代に1勝。母系はトキノミノルの母・第弐タイランツクヰーンからタイランツクヰーンに遡る。叔父に追い込み馬として知られたゼンマツ、半姉フジタカジョウの孫（又姪）に1987年の二冠牝馬マックスビューティがいる。

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 重賞に昇格

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m “フジマドンナ”. JBISサーチ. 2021年5月13日閲覧。
  2. ^ a b c d 『優駿』1992年2月号 47頁
  3. ^ a b c d 『優駿』1992年2月号 45頁
  4. ^ “オートトツプ”. JBISサーチ. 2021年5月13日閲覧。
  5. ^ “繁殖牝馬情報：牝系情報｜オートトツプ”. JBISサーチ. 2021年5月13日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h 『優駿』1992年2月号 46頁
  7. ^ a b 『優駿』1992年2月号 48頁
  8. ^ “フジマドンナの競走成績”. netkeiba.com. 2021年5月19日閲覧。
  9. ^ “競走成績：年度別累計成績／主な成績｜フジマドンナ”. JBISサーチ. 2021年5月19日閲覧。
  10. ^ a b “4歳未勝利｜1987年04月29日”. netkeiba.com. 2021年5月19日閲覧。
  11. ^ “フジアローオー”. JBISサーチ. 2021年5月19日閲覧。
  12. ^ a b c d e “繁殖牝馬情報：牝系情報｜フジマドンナ”. JBISサーチ. 2021年5月19日閲覧。
  13. ^ “＿＿＿＿＿＿＿＿＿”. JBISサーチ. 2021年5月19日閲覧。
  14. ^ “フジマイティ”. netkeiba.com. 2021年5月19日閲覧。
  15. ^ “フジマイティ”. JBISサーチ. 2021年5月19日閲覧。
  16. ^ “キューソーフラワー”. JBISサーチ. 2021年5月19日閲覧。
  17. ^ “クロスマドンナ”. JBISサーチ. 2021年5月19日閲覧。
  18. ^ “ベルウイッチ”. JBISサーチ. 2021年5月19日閲覧。
  19. ^ “オンユアマーク”. JBISサーチ. 2021年5月19日閲覧。
  20. ^ “フジエタニティ”. JBISサーチ. 2021年5月19日閲覧。
  21. ^ “キタサンダイジン”. JBISサーチ. 2021年5月19日閲覧。
  22. ^ “ユウキダンサー”. JBISサーチ. 2021年5月19日閲覧。
  23. ^ a b c “血統情報：5代血統表｜フジマドンナ”. JBISサーチ. 2021年5月19日閲覧。
  24. ^ “フジマドンナの血統表”. netkeiba.com. 2021年11月23日閲覧。

参考文献[編集]

  • 『優駿』1992年2月号、日本中央競馬会、1992年2月1日。
    • 横尾一彦「【サラブレッド・ヒーロー列伝 69】シンザンの女丈夫 フジマドンナ」

外部リンク[編集]

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