ピアノソナタ第2番 (ベートーヴェン)

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ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンピアノソナタ第2番イ長調Op2-21795年にOp.2としてまとめられたうちの1曲。フランツ・ヨーゼフ・ハイドンに献呈された作曲者最初期の作品である。曲集の中では最も明快で若々しさに溢れている。ベートーヴェンがピアノソナタに初めてスケルツォの楽章を設けた。

曲の構成[編集]

第1楽章 Allegro vivace
イ長調ソナタ形式。第1主題はオクターヴで溌剌と開始され、線の動きによる応答が続く。第2主題はホ短調を採り、情熱的である。結尾は第1主題の線的な動きによる。展開部も専ら第1主題より、前半部はオクターヴの動機。後半は線的な動きが複雑に絡み合って展開し、ベートーヴェンの指使いによる、速いテンポの中での上昇、下降する分散オクターブが初心者泣かせであり困難を極める。10度の跳躍が初心者に厳しい。再現部は定石通り。
第2楽章 Largo appassionato
ニ長調三部形式室内楽的な四声帯で書かれ、主部の、低弦のピチカートを思わせる伴奏が印象的である。冒頭の発想用語は作曲者の作品にしか見られない。やや荒削りであるが青年作曲者の創作気風が漲っている。
第3楽章 Scherzo,Allegretto
ベートーヴェンがピアノソナタで初めてスケルツォの名称を使用した。主部は軽快なもので、トリオはイ短調に転じる。
第4楽章 Rondo,Grazioso
アルペッジョの上昇で始まる明るい主題に始まり、イ短調の半音階的なエピソードを持つ。曲は全体に幸福な気分に満ち、静かに閉じられる。ピアニストとして活躍する上で作曲者が聴衆に人気がある作品を描く必要があることを窺わせる。非常に優美な曲想で随所にモーツァルトに勝るピアニスティックな技巧が認められる。

作品2の3曲は作曲者の創作指針を象徴しており他のヘ短調が熱情的なもの、ハ長調が儀礼的な彫琢を見せているのと好一対を成している。

指の番号について[編集]

ベートーヴェンは右手と左手の指示を省略して指の番号のみを書く癖があり、ヘンレ版は「第一楽章の84小節目から始まる指定の箇所を全て右で弾くのは困難」として指番号校訂者Conrad Hansenは(m.s.)の指示を第一楽章へ書き加えているが、これがわかっていない奏者[1]も存在する。

符尾の向きについて[編集]

正書体では、「右手と左手には独立した符尾の向きを与えなければならない」。したがって、第一楽章の134小節目の本来はメロディーと伴奏音形の符尾は逆を向いていないといけない。が、ここでもベートーヴェンは慣例を排して符尾は逆さを向いたままで書かれ、休符を省略してレイアウトを優先した。このような慣例の記譜からの逸脱は、初期から顕著であった。