バクロフェン

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バクロフェン
Baclofen.svg
Baclofen ball-and-stick model.png
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
販売名 リオレサール、ギャバロン
Drugs.com monograph
ライセンス US FDA:リンク
胎児危険度分類
  • US: C
法的規制
投与方法 経口、髄注
薬物動態データ
生物学的利用能 良好
血漿タンパク結合 30%
代謝 85% が未変化体で排泄。15% が脱アミノ化される。
半減期 1.5 ~ 4 時間
排泄 腎排泄 (70-80%)
識別
CAS番号
(MeSH)
1134-47-0 チェック
ATCコード M03BX01 (WHO)
PubChem CID: 2284
IUPHAR/BPS 1084
DrugBank DB00181 チェック
ChemSpider 2197 チェック
UNII H789N3FKE8 チェック
KEGG D00241  チェック
ChEBI CHEBI:2972 チェック
ChEMBL CHEMBL701 チェック
化学的データ
化学式 C10H12ClNO2
分子量 213.661 g/mol

バクロフェンGABA作動薬のひとつ。商品名はリオレサール錠(ノバルティス製造販売),ギャバロン錠・髄注(第一三共製造販売)。種々の疾患による痙縮に対して用いられる。 近年ではアルコール依存症について研究がなされている。

バクロフェンはGABA受容体のアゴニストであり、特にGABAB受容体に結合する[1][2]。 バクロフェンは脊髄性のみならず、脳性の症状にも有用である。またバクロフェンは「しゃっくり」に治療に用いられることもある[3]

適応症[編集]

バクロフェン髄腔内持続投与療法[編集]

  • 適応症: 脳脊髄疾患に由来する重度の痙性麻痺(既存治療で効果不十分な場合に限る)
  • 経口投与では中枢神経系への移行性が不十分であるため、埋込み式ポンプを用いたITB(Intrathecal Baclofen;髄腔内バクロフェン投与)療法が2006年承認された[4]。2007年1月からは小児への適応も認められた。
  • 患者に対してまずはスクリーニングトライアルを行い、少量のバクロフェンを腰椎穿刺により髄腔内に投与する。これにより痙縮の改善が得られるようであれば、その後にポンプとカテーテルの埋込術を施行する。
  • ポンプ埋込後も、ポンプの流量やポンプに注入する薬液の濃度を変更することで、症状に応じた適切な投与量を調節することが可能である。

適応外使用[編集]

アルコール依存症[編集]

バクロフェンは、アルコール依存症に対する有用性が示唆されている[5][6]。アルコールが側坐核の細胞外ドパミン濃度を上昇させるの対し、腹側被蓋領域に発現しているGABA(B)受容体のアゴニストであるバクロフェンは中脳辺縁ドパミン経路を抑制的に調節し、アルコール依存症を改善すると考えられている[7]。アルコール依存症患者100名に対する1年間のオープンラベル前向き研究(治療完遂は83人)の結果、1日のアルコール消費量(中央値)は106gから18gに有意に減少(p<0.0001)し、その内44名(53%)が禁酒出来た[6]

脚注[編集]

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  1. ^ Mezler M., Müller T., Raming K. (February 2001). “Cloning and functional expression of GABA(B) receptors from Drosophila”. Eur. J. Neurosci. 13 (3): 477–486. doi:10.1046/j.1460-9568.2001.01410.x. PMID 11168554. 
  2. ^ Dzitoyeva S., Dimitrijevic N., Manev H. (April 2003). “Gamma-aminobutyric acid B receptor 1 mediates behavior-impairing actions of alcohol in Drosophila: adult RNA interference and pharmacological evidence”. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 100 (9): 5485–5490. Bibcode 2003PNAS..100.5485D. doi:10.1073/pnas.0830111100. PMC 154371. PMID 12692303. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=154371. 
  3. ^ Bexis S., Phillis B. D., Ong J., White J. M., Irvine R. J. (2004-04-09). “Baclofen prevents MDMA-induced rise in core body temperature in rats”. Drug and Alcohol Dependence 74 (1): 89–96. doi:10.1016/j.drugalcdep.2003.12.004. PMID 15072812. 
  4. ^ http://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/005212.html
  5. ^ Leggio, L.; Garbutt, J. C.; Addolorato, G. (Mar 2010). “Effectiveness and safety of baclofen in the treatment of alcohol dependent patients”. CNS & neurological disorders drug targets 9 (1): 33–44. doi:10.2174/187152710790966614. PMID 20201813. 
  6. ^ a b アルコール依存症、バクロフェンで飲酒量が激減”. 日経メディカル (2015年4月27日). 2015年5月1日閲覧。
  7. ^ Giancarlo Colombo , Salvatore Serra , Giuliana Brunetti et al. (2002-09-01). “THE GABAB RECEPTOR AGONISTS BACLOFEN AND CGP 44532 PREVENT ACQUISITION OF ALCOHOL DRINKING BEHAVIOUR IN ALCOHOL-PREFERRING RATS”. Alcohol and Alcoholism 37 (5): 499-503. doi:10.1093/alcalc/37.5.499. PMID 12217946. http://alcalc.oxfordjournals.org/content/37/5/499.short 2015年5月1日閲覧。.