ニューナンブM60

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ニューナンブM60
JCG officer with Minebea M60.jpg
ニューナンブM60を構える海上保安官
概要
種類 回転式拳銃
製造国 日本の旗 日本
設計・製造 新中央工業→ミネベア→ミネベアミツミ
性能
口径 9 mm
銃身長 77 mm
ライフリング 5条右回り(1-15")
使用弾薬 .38スペシャル弾
装弾数 5発
作動方式 シングル/ダブルアクション
全長 198 mm
重量 670 g
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ニューナンブM60は、新中央工業(後にミネベア(現・ミネベアミツミ)に吸収合併)社製の回転式拳銃1960年より日本の警察官拳銃として調達が開始され、その主力拳銃として大量に配備されたほか、麻薬取締官海上保安官にも配備された。生産は1990年代に終了したが、2015年現在でも、依然として多数が運用されている[1]

来歴[編集]

日本の警察官は、内務省警視庁および府県警察部時代には、基本的にサーベルを佩用するのみで、銃火器の装備は刑事特別警備隊要人警護要員外地の警察部など一部に限定されていた[2][3]日本の降伏直後には日米双方が混乱しており、アメリカ側が警官の非武装化を志向したと解釈された時期もあったが、1946年1月16日、連合国軍最高司令官総司令部よりSCAPIN-605として「日本警察官の武装に関する覚書」が発出され、拳銃により武装できることが明文化された[4]。その後しばらくは、戦前の警察組織から引き継がれたFN ブローニングM1910コルトM1903のほか、GHQの指令を受けた旧日本軍武装解除や民間からの回収によって入手された十四年式拳銃九四式拳銃などが用いられていたが、老朽品が多く、また種類も雑多であった[5]。1949年夏よりこれらの拳銃はGHQに回収され、かわってアメリカ軍の装備から、S&W ミリタリー&ポリス(戦時型のビクトリー含む)やコルト・オフィシャルポリス(戦時型のコマンド含む)、コルト・ガバメントM1917リボルバーなどが貸与されるようになった(のちに供与に切り替え)[6]。これによって充足率は急激に向上し、1951年には全ての警察官への支給が完了した[4]。しかし、アメリカ軍の供与拳銃、特に多数を占める45口径拳銃は、第一次世界大戦以来の老朽品であり、耐用年数を過ぎて動作不良や精度低下を来していたほか、警察用としては威力過大であり、大きく重いために常時携帯の負担が大きいという不具合も指摘されていた。60年安保対策として警察官が増員され、再び銃器の充足率が低下していたこともあり、まず1959年よりチーフスペシャルなどの輸入による新規調達が開始された[5]

一方、新中央工業では、通商産業省からの指示を受けて、1957年より国産拳銃の開発に着手していた。これによって開発されたのが本銃であり、1959年11月に行われた外国製拳銃との性能審査では優良な成績を納めた。1960年より日本の警察への納入が開始され[3]昭和43年度以降、日本の警察が調達する拳銃は本銃に一本化されることとなった[5]

設計[編集]

 
本銃をモデルとしたガスガン

基本設計は、スミス&ウェッソン社のJフレームリボルバー(チーフスペシャルなど)およびKフレームリボルバー(ミリタリー&ポリスなど)をもとにしている。表面処理は、当初はブルーフィニッシュであったが、1982年頃より、製造工程簡略化のため、パーカライジング・フィニッシュに変更された(その後まもなくブルーフィニッシュに戻されたという説もある)。照門は固定式である[1]

シリンダーは5連発だが、フレームがわずかに大きいため、Jフレームリボルバー用のスピードローダーは使用できない。生産開始直後にシリンダーの破裂事故が発生しているが、対策を施して1961年より量産が再開された。またシリンダーをスイングアウトするための指掛け(シリンダーラッチ)は、当初は薄い洗濯板状のものであったが、1980年代より、彗星の尾のように後方を長くしたものに変更されたほか、その後、更に厚みも増すような改良も追加された。ライフリングは5条右回りで、ピッチは1-15"である。なお、オープンキャリーを想定した銃身長7.7cmのモデルと、コンシールドキャリーを想定した銃身長5.1cmのモデルの二種類が生産・配備された[1]

トリガーメカニズムはダブルアクションシングルアクションの両用である。ダブルアクションでは、モデルとされたスミス&ウェッソン社の製品のようなトリガープルの精密さには欠ける一方、シングルアクションでは、射撃精度は極めて高く、7.7cm銃身モデルであれば、25メートル固定射撃で2インチ(約5cm)ほどの幅にまとまる集弾性能を発揮できる。日本の警察では本銃の採用期間が長く、この射撃精度に慣れ親しんでいたため、1990年代の本銃の生産終了後にS&W M37を調達したさいには、射撃精度が本銃のレベルに達しないことが問題視され、メーカーの担当者を日本に呼びつける騒ぎとなった[1]

サイドプレートは、当初はスミス&ウェッソン社の5スクリュータイプをもとに、用心金付け根のシリンダーロックスプリング用スクリューを省いた4スクリュータイプであったが、1964年より、スミス&ウェッソン社の仕様変更に倣って、3本スクリュータイプに変更された。またグリップには膨らみが持たされており、握り心地は悪くないが、前期生産型では縦方向の長さが足りずに小指が遊んでしまうことが多く、チェッカリングも甘かったため、1980年代にグリップパネルが改良され、グリップ前部を延長してフィンガースパーが付されるとともに、チェッカリングも深くなった。なおグリップパネルはいずれもプラスチック製で、当初はライトブラウン、上記改良が施されたものはやや濃いブラウンとされている[1]

配備[編集]

警視庁および各道府県警察本部警察官のほか、皇宮護衛官海上保安官麻薬取締官麻薬取締員など、特別司法警察職員の一部にも配備された。1975年には、製造元である新中央工業がミネベア社に吸収合併されたが、1990年代中盤の生産終了に至るまで、一貫して同社で生産され続けた[3]。生産終了後は、1997年からはS&W M37 エアーウェイト、また2006年に同銃の販売が終了した後は、やはりS&W社の拳銃に所定の改正を加えたM360Jサクラと、やはり.38スペシャル弾5連発の回転式拳銃の調達が継続されている[7]

また1960年代には、射撃競技用のバリエーションとしてM60サクラが開発された。これは153mmの長銃身を備えるとともにフルラグタイプのアンダーバレルシュラウドを付し、照門はフルアジャスタブルリアサイトとして、グリップもアナトミータイプのフルアジャスタブルに変更したものである。3挺が試作されてヨーロッパに輸出されたものの、量産されることはなかった[1]

なお警察博物館(東京都中央区)にて77mm銃身モデルの本銃が展示されており、一般入場者も見学ができる。展示品は旧型サムピース、旧型グリップを装備している。

登場作品[編集]

日本の警察が登場する刑事ドラマや小説、漫画、映画などに登場している。もっとも、1980年代までのドラマで小道具に使われていたのは、ほとんどが実際にはあり得ないコルト・ローマンハイウェイパトロールマン41マグナムだった。

参考文献[編集]

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  1. ^ a b c d e f Satoshi Matsuo「New Nambu M60」、『Gun Professionals』、ホビージャパン、2015年9月、 80-85頁。
  2. ^ 大塚正諭「日本警察の拳銃」、『SATマガジン』、KAMADO、2009年1月、 50-57頁。
  3. ^ a b c 杉浦久也「戦後警察拳銃」、『Gun Professionals』、ホビージャパン、2015年9月、 72-79頁。
  4. ^ a b 竹前栄治 『GHQ日本占領史 (15)』 日本図書センター、2000年、58頁。ISBN 978-4820565376
  5. ^ a b c 『日本戦後警察史』 警察庁警察史編さん委員会、警察協会1977年NCID BA59637079
  6. ^ 国立国会図書館 (1949年7月27日). “第008回国会 大蔵委員会 第7号”. 2016年2月25日閲覧。
  7. ^ Terry Yano「Smith & Wesson Model 360J」、『Gun Professionals』、ホビージャパン、2015年9月、 34-41頁。

関連項目[編集]