タウシュベツ川橋梁

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座標: 北緯43度24分56.0秒 東経143度11分21.0秒

タウシュベツ川橋梁
2007年3月撮影。雪と氷に覆われた湖面から橋脚が出ている晩冬期
2007年3月撮影。雪と氷に覆われた湖面から橋脚が出ている晩冬期
基本情報
日本の旗 日本
所在地 北海道上士幌町
交差物件 糠平湖
座標 北緯43度24分56秒 東経143度11分21秒 / 北緯43.41556度 東経143.18917度 / 43.41556; 143.18917
構造諸元
形式 アーチ橋
材料 コンクリート
関連項目
橋の一覧 - 各国の橋 - 橋の形式
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タウシュベツ川橋梁の位置
タウシュベツ川橋梁の位置
タウシュベツ川橋梁
タウシュベツ川橋梁の位置

タウシュベツ川橋梁(タウシュベツがわきょうりょう)[1]は、北海道上士幌町の糠平湖にあるコンクリート製アーチ橋。名称に関しては「川」を省略したタウシュベツ橋梁という通称が近年見られるようになったが、鉄道橋としての本来の正式名称ではなく、また上士幌町や保存会も正式名を継承している。

よく晴れた風のない日に、湖面に橋が映ると眼鏡のように見える。またアーチ橋ということもあり、「めがね橋」の別名を持つ。古代ローマの遺跡を思わせるその姿は、周辺の景色とも調和しているとされる。第1回北海道遺産に選定された「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」の1つである。

概要[編集]

もともとは、日本国有鉄道士幌線1987年(昭和62年)廃線)が1939年(昭和14年)に十勝三股駅まで開通した際に、音更川の支流であるタウシュベツ川に架けられたものである。1955年(昭和30年)に、発電用人造ダム湖である糠平ダムが建設され、橋梁周辺が湖底に沈むことになったため、士幌線は湖を避けるように新線が建設され、切り替えられた。その際に、橋梁上の線路は撤去されたものの、橋梁自体は湖の中に残されることとなり、現在までその姿をとどめている。

糠平湖は人造湖であり、季節や発電によって水位が劇的に変化するため、橋梁全体が水没してしまう時期もあれば、水位が低くなって橋梁全体が見渡せる時期もある。その様子から、「幻の橋」とも呼ばれる[2]

糠平市街に鉄道記念館があり、士幌線の説明資料や他の橋梁についての情報がある。

沿革[編集]

崩落部分(2005年9月撮影)

基礎情報[編集]

林道からの入り口(2005年6月)
林道からの入り口(2005年6月)
森の中に続く廃線跡。タウシュベツ川橋梁にいたる小道(2007年7月)
森の中に続く廃線跡。
タウシュベツ川橋梁にいたる小道(2007年7月)
種別
コンクリート製アーチ橋[1]
全長
11連・130m[1]
アクセス
タウシュベツ川橋梁の見学のため、国道273号沿いに駐車場が設置され、湖畔に展望台が設けられている。国道273号から糠平三股林道を経由してタウシュベツ川橋梁に行くことができるが、交通事故が多発したため、2009年(平成21年)から糠平三股林道の当該部分は許可を得た車以外は車での通行が禁止されている[3]。なお、徒歩での通行は可能だが、橋までは約4キロあり、付近はヒグマが棲息しているため、熊よけの鈴を装備するなどヒグマ対策が必要である[3]

水位[編集]

タウシュベツ川橋梁は、それを取り巻く糠平湖の水位によってその姿を大きく変える。降水量等に多少左右されるものの、概ね次のような推移をとるようである。

  • 3月 - 5月頃:ほとんど水位ゼロとなり、橋梁全体が見渡せる。湖底には、ダム湖建設の際に切り倒された木の切り株が見える。
  • 5月 - 6月頃:雪融け水が流入するため、徐々に水位を上げ、橋梁の下半分が水に覆われる。「めがね橋」に見える可能性あり。
  • 6月 - 9月頃:さらに水位を上げ、7 - 9割が水に覆われて線路敷設部周辺のみが覗く。若干の勾配があることが、観察できる。
  • 9月 - 12月頃:大雨が降るなどすると、完全に水没することもある。
  • 12月 - 3月頃:氷が張る。発電用に水を抜くため、日に日に水位(氷面)が下がり、氷面を突き破って橋梁が現れる。冬期は一貫して水位が下がっていく。

ただ年によって差があるのも事実で、右上画像は9月の撮影だが、まだ半分強しか水没していない。NPOひがし大雪アーチ橋友の会のホームページで、「タウシュベツ川橋梁の近況」をチェックできる。

保存状態[編集]

劣化状況(2005年6月撮影)

糠平湖付近に残されている30余りのアーチ橋梁群には廃線から10年後の1997年(平成9年)、解散を控えた国鉄清算事業団により解体計画が立案された。これに対する地元有志の保存活動が実り、上士幌町が買い取る。

しかし、水没中の水圧結氷期前後の氷による外力及び、凍結融解を繰り返す凍害から、躯体の損傷は拡大する(上記の崩落部分の画像参照)。工法として、現場打ち鉄筋コンクリート枠の内部に割石を詰める、現代でも法枠工で用いられる手法が採用されている。これは、安く、早く、優美な形状のアーチを築造せしめた当時の鉄道省技術陣の良案であった。ただし、もし外側の枠が崩れたなら、内部の詰め石が容易に崩壊する欠点を抱えてもいた。現在、この弱点が露わとなり、橋の崩壊は時間の問題となっている。

アーチ橋梁群は北海道遺産に登録されているが、タウシュベツ川橋梁はその立地の悪さから、保存措置の対象外とされている。これに対し、貴重な歴史遺産として補修を熱望する声もあるものの、費用・財政面で極めて厳しい状況にある。また逆に、あえて保存措置を取らず在るがままに任せ、朽ち行く姿を遺跡として観察しようとする考え方もまた多い。

結局、主に財政面の理由により、タウシュベツ川橋梁は手付かずのまま見守られている状態にある。ただし、崩落を招く危険があることから、橋の上には立ち入れない。

画像[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d 『日本の名橋 完全名鑑』廣済堂出版、2013年3月、p.20、ISBN 978-4-331-80222-9
  2. ^ “北海道 氷結の湖から「幻の橋」”. NHKニュース (日本放送協会). (2013年2月27日). オリジナル2013年2月27日時点によるアーカイブ。. http://megalodon.jp/2013-0227-2335-09/www3.nhk.or.jp/news/html/20130227/t10015818301000.html 2013年2月27日閲覧。 
  3. ^ a b 林道入り口の看板より 画像参照

外部リンク[編集]

  • 1977年9月25日撮影の空中写真 - 地図・空中写真閲覧サービス(国土地理院)。タウシュベツ川橋梁付近の画像。画像の中ほど左寄りに、湖の右側に水面に浸かったような形で上下に見える部分が当橋梁である。