かぶせ放送

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かぶせ放送(蓋かぶせともいう)は、テレビジョン放送において、特定放送局の番組を他社あるいは他国で放送する場合、権利上の関係、政治文化的な問題から、一部を静止画に切り替えて放送を行うこと。動画のように覆い隠すように静止画を画面に映すことから「かぶせ」という語が使われる。

なおラジオの場合は、音楽をフィラーCMフィラー)として用いる。

概要[編集]

日本[編集]

キー局系衛星放送局[編集]

地上波キー局系の衛星放送局(BS放送CS放送)で、親会社のキー局の番組をそのまま放送する場合、一部映像において、放送権肖像権の問題が発生する。主にスポーツの試合やタレントの映像などに多い。

これらの映像は、地上波局で「のみ」放送することが許されている場合が多く、(たとえ資本関係があるにせよ)衛星局は放送する事業者が異なる(地上波と同一法人の事業者も存在する)ため、そのまま放送すると権利を侵害することになる。

これを回避するために、当該の映像の冒頭で画像をストップさせて静止画スチル)状態にし、「この映像は放送できません」などという断りのテロップを表示したり、代替として新聞社通信社が配信した写真を表示する[1]ことがある。地上波側でその映像が終了すると、かぶせ放送を終え、通常の番組に戻る。

スチル状態にもできない場合は、テロップのみや、関係ない静止画(風景写真など)を放送する場合もある。 またCNNの日本向けチャンネル「CNNj」では、ブラックアウト・無音となる。

日テレG+プロ野球中継(巨人ホームゲーム)では地上波・BS放送向けとCS放送向けに分かれて送出しているため、地上波が他球場の途中経過映像や企画ものが流れていても、CS放送では蓋かぶせをせず、球場内映像を流したままで「権利の関係上、映像はお届けできません」とテロップ表示される。

衛星放送局が地上波と同一法人で運営している場合はある程度は問題なく放送できるが、ごくまれに蓋かぶせとなる場合もある。

なお、NHKのBS放送では地上波の同時・時差放送でも地上波と同一法人の運営で放送権・肖像権を管理しているため、蓋かぶせすることは試験放送時代から一切行っていない(2010年3月に開始した放送衛星による地デジ難視対策衛星放送でも民放を含めて同様である)。ただし、2008年12月に開始したNHKオンデマンドでは放送権・肖像権などの都合で放送できない部分は当該箇所のみ蓋かぶせ(NHKワールドで使用しているのとは別の静止画像)もしくは配信そのものを中止することがある。また、放送大学学園のCS放送でも放送開始・終了時のコールサインアナウンス部分で放送休止扱いの差し替えがある以外、蓋かぶせを一切行なっていない(こちらもNHKのBS放送と同様、地上波と同一法人の運営で放送権・肖像権を管理しているためである)。

ネット配信[編集]

放送されたニュース映像をインターネット動画(Yahoo!ニュースなど)で配信する際も蓋かぶせを行う場合がある。権利上インターネットでの映像配信が出来ない海外の映像のほか、他社(ケーブルテレビ事業者からの映像提供など)の映像が流れる場合に行われる。民放(日テレNEWS24TBS NEWSFNNANN)で見られ、NHKオンラインでは一部映像の蓋かぶせは行っていないが、民放、NHKともに動画配信が出来ないニュースの場合は文字のみの掲載となる。

NHKワールド[編集]

上記と同じく、スポーツの映像は権利関係上、国外で放送することができない場合がある(海外からのスポーツ中継(一部は条件付で放送が認められているものがある)、オリンピック[2]FIFAワールドカップワールド・ベースボール・クラシック、日本国内の民放各局から映像素材を受けたものなど)。また、映画の映像や資料映像など、著作権がNHK以外にある映像も関係者の承諾を得ない限り、通常は放送できない(国内向け地上波・BS同時および時差放送の番組がこれに該当する)。ごくまれにNHKが取材した映像や芸術的価値が高い肖像画の作品などでもかぶせ放送が行われることがある。

さらに文化・宗教・政治的な理由などで、日本以外の国で放送することがはばかられる映像も発生する[3]。この場合も、かぶせ放送が行われる。放送できない部分が非常に多い場合は当該番組の放送を休止し、別の番組に差し替えとなる場合もある。

このケースはNHKワールド・プレミアムでよく見られる。NHKワールドTVも以前は「かぶせ放送」がよく見られていたが現在は完全独自編成の放送を行っているため「かぶせ放送」があっても日本国内向け番組の時差放送でごくまれにしか出ない。

なお、中華人民共和国では中国共産党当局にとって不都合とされる映像が放送される際に、NHKの映像に対して中国当局によるかぶせ放送が行われる。例えば、2010年に中国国内での劉暁波へのノーベル平和賞授与決定のニュースを放映中に中国当局によるかぶせ放送が[4][5]、2013年1月には南方週末社説差し替え事件のニュースを放映中[6]に同じく中国当局によるかぶせ放送が、2014年2月21日には、ダライ・ラマ14世の訪米を伝えていたNHKワールドのニュースを放映中に、同じく中国当局によるかぶせ放送が行われ、同年の六四天安門事件25周年を放送した番組は当局から映像と音声を切る形でかぶせ放送が行われた[7]

脚注[編集]

  1. ^ CS「日テレNEWS24」で、日本テレビ放送網の「Oha!4 NEWS LIVE」を地上波とサイマル放送する際によく見られる。
  2. ^ 2012年のロンドンオリンピック終了以降は1番組1回の放送につき映像使用時間の条件がついたためか、過去の大会も含めてかぶせ放送せずにそのまま放送されるケースも出てくるようになった。
  3. ^ 2012年7月17日放送のNHKニュースおはよう日本でも「ナンキンムシ大発生、被害は突然に」の項目では被害を受けた住宅の映像もかぶせ放送(NHKワールドオリジナルデザイン)の措置がとられた。
  4. ^ 2010年の中国での事例:劉暁波の項目も参照。
    [リンク切れ] 中国当局、海外ニュースを遮断=新華社、外務省談話のみ報道(2010.10、時事通信社
  5. ^ 画面が真っ暗な状態が数秒間続いた。
  6. ^ 中国でNHKニュースまた中断 南方週末改ざん報道で画面真っ黒 Archived 2013年1月15日, at the Wayback Machine.
  7. ^ これらは、受信機の電源を切ったか入力の接続を一旦はずしたものと見られており、NHK側で行うかぶせ放送とは異なる。

関連項目[編集]