造山運動

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造山運動の痕跡とされた地層帯

造山運動(ぞうざんうんどう、: orogeny)とは、大山脈弧状列島を形成するような地殻変動のこと。

かつては、山脈を構成する地質の特徴から地向斜が何らかのにより隆起に転じて山脈を形成したと考えられてきた。隆起させる力としては、欧米では地球自転や地球の冷却・収縮による水平圧力であるなどとされ、日本では珪長質火成活動によって形成された花崗岩マグマによる浮力であると説明された。前者の考えでは必ずしも全ての地向斜が造山運動を起こすわけではないが、後者では地向斜は必然的に造山運動を伴うことになり、これを特に地向斜造山論と呼んでいた。

プレートテクトニクス理論が登場してからはプレート運動による山脈・列島の成因が論じられるようになり、大陸プレート同士の衝突・隆起による山脈の形成、海洋プレート沈み込みに伴う火成活動による島弧の形成、ホットスポットの活動による海山列の形成などが考えられている。

ただし、プレートテクトニクス理論登場以降は造山運動という言葉自体が学界では使われなくなっており(一般にはしばしば見かけられる)、本用語は、ほぼ地向斜の隆起による山脈形成の意に限定される。従って、以下では地向斜造山論による造山運動について記述する。

過程

地向斜造山論では、造山運動の過程には次のようなサイクルが存在するとされていた。このサイクルは造山輪廻と呼ばれた。

第一段階(堆積期)
地表表面の大規模に沈降が起こっている地帯(=地向斜)は、ほとんどが海底に存在しているが、陸地から浸食されて運ばれてきた砂や泥等の堆積物が厚く堆積する。向斜は堆積物の重みで沈降し、最終的には10,000mを超える程の地層が出来る。
第二段階(造山期)
こうして深い海の堆積物と浅い海の堆積物が複雑に重なり、地向斜の一部に褶曲山脈が形成され始めると、圧縮力により周辺の地向斜に複雑な断層や堆積運動が起こる(フリッシュ)。さらにこの圧縮力により地下深くの溶けた岩石マグマとなって貫入し、花崗岩類が生じる。その後運動の進展とともに、隆起による高い褶曲山脈が出現する。
第三段階(侵食期)
隆起運動が収まってくると、以後は風雨による浸食作用によって次第に低くなり、ついには準平原となる。

造山運動の識別

古生代以後約6億年前以降、全世界的に以下の造山運動期があったとされた。

この3つの造山運動に識別されていた。現在見られる大山脈の全ては、アルプス造山運動によって出来たものであるとされた。

関連項目

参考文献

  • 泊次郎『プレートテクトニクスの拒絶と受容 : 戦後日本の地球科学史』東京大学出版会、2008年。ISBN 978-4-13-060307-2 

外部リンク