裏投

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Megugonn (会話 | 投稿記録) による 2012年2月3日 (金) 14:17個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎プロレス)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

裏投(うらなげ)は、柔道プロレスなどの格闘技におけるである。

概要

元来は柔道の技であり、投げ技真捨身技5本の一つである。投げの形は、投の形の真捨身技の2本目にある。

相手の右後方に回り込み、左手で相手の腰を抱え、右手を相手の右脇下から通して左襟深くを持つ。この体勢から腰と膝のバネを生かして相手を持ち上げ、自らも後方に倒れこみつつ体を捻って相手を自分の左後方に投げる。

試合においては、相手が安易に奥襟をとりに来た場合の組際や、背負投跳腰内股払腰など相手が前回りさばきで背を見せる技を仕掛けてきた際、よく使用される。相手の体重をそのまま持ち上げる強い膂力と足腰が必要となるため大柄な選手が得意とする場合が多い。ただし、持ち上げによる相手の無力化が不十分であると、小内刈等を合わせられて逆にポイントを奪われる危険性もある。

肩車の動作で担ぎ上げず後ろに投げる方法もある。

掛け方にもよるが、受けの側は十分な受身の取れないまま落ちる場合があり、頸椎などを痛めやすい。このため日本国内では安全性に配慮して小学生の使用が禁止されている[1]

真捨身技分類されるように真後ろに倒れ込むのが基本であるが、試合や乱取り練習では横捨身技のように体を捻りながら横向きに倒れ込む場合もある。

この技の名手としては、斉藤仁や旧ソ連のグリゴリー・ベリチェフが挙げられる。

歴史

佐村嘉一郎十段は裏投について著書で「明治時代に於いては竹内三統流の裏投げと言えば、各流派も一目をいたと言うことであった。なぜ一目置いたかというと、一度相手の体に抱きついたが最後、決して離れないで投げられた」と語っている。

他の競技への派生

サンボ

ロシアの格闘技であるサンボにおいても使用される。膠着した際の崩し技としての利用や、タックルからの連携など裏投げが有効な局面も多い。これについてはサンボの公式ルールは柔道と比較して、胴衣をつかむ行為に関する制限が少ないことが要因として挙げられる。

レスリング

レスリングには「反り投げ」と呼ぶ技がある。

プロレス

プロレスへはロシア遠征でサンボ修行を行った馳浩が裏投げを体得し、持ち込まれた。他には、ショータ・チョチョシビリ異種格闘技戦で、この技にてアントニオ猪木ノックアウトしたことで脚光を浴びた。
プロレスは基本的に上半身は無着衣であるため、側面から相手の脇下へ頭を潜り込ませるようにして組み付き、片腕で首の付け根あたりを、もう片方の腕で腰を抱える。同じくサンボ修行を行った飯塚高史も得意技として使用している他、現在ではいろいろな選手が使用している。
馳浩は走ってくる相手に対するカウンターとしてもこの技を使用していた他、様々な派生技が生まれている。
主な使用者
派生技
  • ブリザード・スープレックス/エクスプロイダー
裏投げのように片腕では相手の首根っこ辺りを抱えるが、もう片方の腕は相手の腿を抱え、スープレックスの要領で真後ろへ投げる技。いわば縦回転式の裏投げ。飯塚高史は「ブリザード・スープレックス(通称・ブリザード)」、秋山準は「エクスプロイダー」として使用し、他のレスラーが使用する際の名称は任意となっている[2]。ブリザードは元々はクラッチを解かずにブリッジしてホールドする技(ブリザード・ホールド)であるが、投げっぱなしのブリザードも用いられるようになり、エクスプロイダーと同型になった。
裏投げが相手の側面から抱え込むのに対し、正面から相手の首根っこと腰辺りを抱え込んでから上方に抱え上げて、前方に倒れ込みながら相手を背面からマットへ叩き落とす技。ザ・ロックが考案者で、この他にも平井伸和ブッカー・Tが使用。
  • デス・クローク
齋藤彰俊が得意とする技。別名は裏落とし。裏投げの体勢で抱え上げた後、そのまま下方へ投げ捨てて背面からマットへ叩き付ける。

脚注

  1. ^ 講道館柔道試合審判規定・少年規定第35条(禁止事項)内。「小学生の場合は、裏投を禁止する。(注意以上)」
  2. ^ ブリザード=中山香里、エクスプロイダー=永田裕志横須賀享など

関連項目