美女と野獣
美女と野獣 (びじょとやじゅう, 仏: La Belle et la Bête) は、フランスの異類婚姻譚の民話。1740年にG・ド・ヴィルヌーヴ夫人によって最初に書かれた。現在広く知られているのはそれを短縮して1756年に出版されたJ・L・ド・ボーモン夫人版である。
あらすじ
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
三人の娘を持つ商人が、末娘のためにバラを摘もうとある庭に忍び込む。彼の前に庭の主である野獣が現れ豪邸で商人を歓待するが、商人は欲を出したため監禁され身代わりに娘を要求される。末娘は身代わりとして野獣のもとに赴き、野獣は娘に慇懃に求婚するが拒否される。
末娘の一時帰郷の申し出に、野獣は嘆きながらも許可を与え日限を告げるが、それを過ぎると野獣は死ぬという。二人の姉は里帰りした末娘から豪邸での生活を聞き、嫉妬して妹を引き止め、日限に間に合わないよう仕向ける。
末娘は何とか瀕死の野獣に再会し、その求婚に答えると野獣は本来の姿に戻る。
派生作品
音楽
- 『マ・メール・ロワ』(Ma Mère l'Oye): 1910年頃。モーリス・ラヴェルによるピアノ連弾組曲。この中の第4曲が『美女と野獣の対話』と題されている。バレエ用に編曲されたものがバレエ作品として1912年にパリで上演され (J・ユガール振付)、1915年にはパリ・オペラ座バレエでL・スターツ振付による『マ・メール・ロワの物語』 (Contes de Ma Mère l'Oye)が上演された。
映画
- 『美女と野獣』(La Belle et la Bête)(1946年、監督:ジャン・コクトー)
- 『美女と野獣』(Beauty and the Beast)(1991年、監督:ゲーリー・トゥルースデイル、カーク・ワイズ)
バレエ
前述の『マ・メール・ロワ』の他に次の3作がある。いずれも題名は『美女と野獣』 (Beauty and the Beast)。後の2作はバレエ用に新規作曲された音楽を使用している。
- 1949年 - 全1幕。J・クランコ振付。英国サドラーズ・ウェルズ劇場バレエ団 (現バーミンガム・ロイヤル・バレエ団)。前述M・ラヴェルによる組曲を用いたもの。パ・ド・ドゥを拡大したような構成で、クランコの最初期の作品の一つ。
- 1969年 - 全2幕。P・ダレル振付、T・ムスグレイブ作曲。英国スコッティッシュ・バレエ団。その後ドイツ版も作られた。
- 2003年 - 序章つき全2幕。デヴィッド・ビントレー振付、グレン・ビュアー作曲。バーミンガム・ロイヤル・バレエ団。レパートリーとして定着しており頻繁に再演されている。2008年1月に同バレエ団の来日公演が行われ、佐久間奈緒がベル役を踊った。
ミュージカル
- 1994年4月 - ディズニー初の劇場ミュージカルとして製作され、初演された。13年を超える歴代第5位のロングラン公演となり、2007年7月29日に千秋楽。
- 1995年 - 日本では劇団四季によって日本語版が初演される。
- 主要キャスト
: (女優)玉石まどか、牧野友紀、川良美由紀、岸本美香、伊藤綾那
- 2010年11月 - 劇団四季による上演が15周年を達成。9都市での公演で、総公演回数は3800回、累計観客動員数は370万人以上を記録している。[1]
- 2011年3月 - 『バラの国の王子 ~ボーモン夫人作「美女と野獣」より~』というタイトルで宝塚歌劇団の作品として、木村信司の脚本・演出で月組にて上演。主演は霧矢大夢。
その他
沖縄の組踊の立方・嘉数道彦氏が2004年、沖縄県立芸術大学の大学院の修士演奏として、同作品原作のディズニー映画に構想を借りて製作した新作組踊。
ディズニー映画に構想を借りた作品だが、その内容は現存する組踊の大部分の例に漏れず、仇討物である。
この作品は、組踊の役で最も身分の低い役・間の者(マヌムン)に、新たな人物像を創り出す試みがなされた組踊である。現存する組踊の中の間の者は、ほとんど端役か上演時間の長い作品で、前半のあらすじを登場人物のものまねを交えながら語る道化役程度の扱いでしかないが、この作品ではディズニー映画でおなじみの、おしゃべりで陽気なサブキャラをほうふつとさせる人物として描かれている。とくに、陽気な人物像は地謡の楽曲でも表現されている。
また、原作映画の名場面でもある「美女と野獣のワルツ」のシーンも琉球舞踊の打組踊り風にアレンジされて取り入れられており、さらにその場面のための地謡の新曲が書き下ろされている。
なお、この組踊の作者の嘉数道彦氏は、初演からその間の者役である板良敷(いたらしち)のバーチー(おばさん)を演じている。