深海探査艇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。2001:2f8:20:700:4d1e:534f:3afe:8804 (会話) による 2015年9月3日 (木) 01:53個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (デフォルトソート)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

しんかい6500
くろしお2号青函トンネル建設時の海洋底の地質調査に活躍した
全周がアクリル樹脂製のJohnson Sealink
フランス海軍のFNRS-3

深海探査艇(しんかいたんさてい)とは深海を探査する目的に供される潜水艇である。バチスカーフの一種である。

構造

球形の耐圧殻があり、蓄電池から電力が供給されるようになっている。乗組員の吐き出す二酸化炭素はアルカリ性の吸収剤で炭酸塩として吸収する。 ビデオレコーダーカメラを備えている。

耐圧殻は以前は高張力鋼が用いられていたが、1980年代頃からはチタン製が主流となっている。また水深の浅い水域用には全周がアクリル樹脂でできているものもある。

超音波で母船に画像や音声を送ることが出来るが、帯域が限られているので伝送容量に限界がある。近年はデジタル圧縮技術の進展で以前に比べ、ある程度は改善されてはいるが、依然、この問題は解決されていない。

電動機は近年では誘導電動機が主流である。バッテリーは以前は銀亜鉛電池を用いていた為に、(充電時に亜鉛の樹状結晶が成長し、セパレータに悪影響を与え、最悪の場合短絡する為)サイクル寿命が短かったが、近年ではリチウムイオン電池が使用されつつある。低温でも放電特性が優れており、サイクル寿命が長い為、経費削減に寄与する。

浮力材には以前はガソリンが用いられたが、現在ではシリカのマイクロバルーンをエポキシ樹脂で固めたものが用いられる。 船体の傾斜を調整する為に従来は水銀が使用されていたが、近年ではシークリフやタートルのように水銀の代わりに数珠のようにつなげたタングステンのボールを移動させる事により重心を移動する機種もある。タングステンのボールと半分は浮力材で出来たボールが連なっており片側にタングステンのボールが入り、同じ数だけ反対側のタンクに浮力材が入る事で移動した体積を補う。

運用中の潜水探査艇

1970年代までは各国で有人潜水調査艇が建造されたが、1980年代以降は遠隔操作無人探査機の性能が向上し、有人潜水調査艇の建造数は減った。遠隔操作無人探査機の支援母船等も含めた運用経費は同深度の潜水能力を持つ有人潜水艇と比較して1/10以下であるとされる。また、技術の進歩により、従来有人でなければ不可能だった分野でも無人機で可能になりつつある。また、タイタニック号の調査のように有人潜水艇から無人潜水艇を制御する運用も実施される。近年ではケーブルでの操作を必要としない自律型無人潜水機が開発され、長距離の連続航行が可能となった。

過去の潜水探査艇

脚注

外部リンク