天守物語
『天守物語』(てんしゅものがたり)は、1917年に泉鏡花によって書かれた戯曲。文芸誌『新小説』に発表された。鏡花は「この戯曲を上演してもらえたら、こちらが費用を負担してもよい」という主旨の発言をしているが、生前には舞台化されなかった。第二次大戦後(1951年)、新派の花柳章太郎(富姫)、水谷八重子(亀姫)らによって初演された(演出は千田是也)。
岩波文庫版は澁澤龍彦が解説を執筆しており、同書所収の『夜叉ヶ池』よりこちらを高く評価している。
坂東玉三郎監督・主演、宮沢りえ共演で1995年に映画化されている。2006年にフジテレビ系列のTVアニメ『怪 〜ayakashi〜』において『四谷怪談』『化猫』と並ぶ3つの怪談の一つとしてアニメーション化された。製作は東映アニメーション。
2011年に文化庁芸術祭主催公演として、白井晃演出で舞台化された。また2012年にスタジオライフが上演している。
あらすじ
ある城の天守から、妖しい夫人が地上を高みの見物のように見下ろしている。地方(猪苗代)から亀姫が遊びに来訪したりする。夫人が、地上での鷹狩の最中に不思議な力で鷹を武士らから奪い取ると、若い美男の鷹匠、図書之助が鷹を追って天守に上ってくる。恋に落ちる夫人と図書之助。そして事態は思わぬ方向へ……。
映画版
舞台(1977年)
坂東玉三郎の主演で日生劇場で公演。音楽:冨田勲(シンセサイザー演奏の録音)
舞台(2011年)
キャスト
- 富姫:篠井英介
- 姫川図書之助:平岡祐太
- 亀姫:奥村佳恵
- 薄:江波杏子
- 舌長姥:田根楽子
- 近江之丞桃六:小林勝也
- 小田原修理:関戸将志
- 山隅九平:関秀人
- 朱の盤坊:坂元健児
- 桔梗:村岡希美
- 葛:粟田麗
- 撫子:鳴海由子
- 萩:小見美幸
- 女郎花:岡野真那美
- 女の童:冠野智美、浅場万矢、飛鳥井みや
- 討手:津村雅之、今國雅彦、稲葉俊一、早川友博、関佑太、遠藤広太、平良あきら
スタッフ
- 演出:白井晃
- 音楽:三宅純
- 演奏:山田貴之
- 美術:小竹信節
- 照明:斎藤茂男
- 音響:井上正弘
- 衣装:太田雅公
- 振付:康本雅子
- 殺陣:渥美博
- ヘアメイク:川端富生
- 演出助手:河合範子
- 舞台監督:藤崎遊
- 芸術監督:宮田慶子
- 主催:文化庁芸術祭執行委員会、新国立劇場
- 共催:TBS
- 後援:TBSラジオ
舞台(2014年)
能楽師の梅若六郎玄祥が総合監修を担当。題名は、『新版 天守物語』。
フェスティバルホールとBunkamura オーチャードホールにて2014年4月に上演。[1]
キャスト
スタッフ
- 演出:高橋正徳
オペラ
1979年初演。(1977年にテレビオペラとしてNHKの委嘱により作曲・放送され、そののち舞台作品として改訂・上演された。[2])
関連項目
- 怪 〜ayakashi〜
- 夜想曲 (ドビュッシー)- 初演時に「雲」が伴奏に使われた[3]。