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咸興市

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咸興市
位置
各種表記
ハングル 함흥시
漢字 咸興市
発音 ハムフンシ
日本語読み: かんこうし
ローマ字転写 Hamhŭng-si
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咸興市(ハムフンし)は、朝鮮民主主義人民共和国咸鏡南道の道都。李氏朝鮮発祥の地である。平壌とともに冷麺の本場として有名で、盛岡冷麺の創始者である在日1世の青木輝人(朝鮮名ヤン・ヨンチョル:양용철)も咸興出身である。

咸興市に属する沿海部の興南区域は、化学工業を中心とする工業都市・港湾都市である。

人口は70万9730人(1993年)、87万4000人(2005年)。

地理

咸興市の衛星写真

日本海に面する咸興平野に位置する。城川江が市内を貫通する。

北の蓋馬高原への交通の要地であり、農産物の集散地となっている。咸興湾に面した興南には巨大ながある。

歴史

古代は高句麗の領域であり、ついで渤海国の領域となった。渤海の五京の一つ、南京南海府の比定地の一つである。

渤海国滅亡後は、長らく女真族の領域となり、高麗モンゴル帝国との争奪の場となった。最終的には高麗の支配下に入り、1356年に咸州が置かれた。朝鮮王朝の建国者である李成桂は晩年にこの地に隠居したため、彼にまつわる遺跡も多い。朝鮮王朝時代、咸興は東北辺境部の中心地であった(咸鏡道の「咸」は咸興からとられている)。

咸興の周囲はもともと農村だったが、植民地時代の1920年代は蓋馬高原で電源開発が行われるとともに、咸興中心部の南約10kmの海岸にある興南に工業地帯が建設された。

朝鮮戦争中、咸興・興南は国連軍艦砲射撃空爆により破壊されたが、後にソ連東ドイツなどの東側諸国の援助もあり復興し、発展した。

咸興市は、1960年から1967年の間直轄市に昇格した事もある。

年表

  • 1258年モンゴル双城総管府に属し、哈蘭府が置かれる。
  • 1356年高麗によって咸州が置かれる。
  • 1369年 - 咸州牧に昇格。
  • 1416年 - 咸興府となり、咸吉道観察使営が置かれる。
  • 1470年李施愛の乱により咸興郡に降格、観察使営も永興に移される(永安道)。
  • 1509年 - 咸興府に復し、再び観察使営が置かれる。咸鏡道となる。
  • 1895年5月 - 咸興府咸興郡となる(二十三府制)。
  • 1896年8月 - 咸鏡南道に所属する咸興府となり、観察使庁が置かれる。
  • 1910年 - 咸興郡に改編される。
  • 1914年 - 咸興郡の一部が新設の新興郡に分割。洪原郡西退潮面を咸興郡に編入。
  • 1930年10月 - 咸興邑が咸興府に昇格。残りの咸興郡は咸州郡に改称。
  • 1950年4月 - 咸鏡南道咸興市となる。
  • 1960年10月 - 興南市退潮郡咸州郡の一部、五老郡の一部をあわせ咸興直轄市となる(9区域)。
  • 1967年 - 咸鏡南道咸興市に戻る。
  • 1974年 - 咸州郡の一部と徳山郡を編入。
  • 1990年1月 - 竜城区域を海岸区域に、城川区域を城川江区域に改称。
  • 2001年7月 - 興南市が分離。
  • 2005年10月頃 - 興南市がふたたび咸興市に編入され、興南区域となる。

行政

下位行政区分として興南区域がある。

港湾部の化学工業地帯。もともと興南市と呼ばれる一つの市であったが1960年合併。咸興の中心。

かつては下位行政区分として複数の区域が存在していた。2006年9月現在、大韓民国統一部は以下の区域がなくなったものと把握している[1]

  • 城川江区域(ソンチョンガン=クヨク/성천강구역
紡績が中心
  • 東興山区域(トンフンサン=クヨク/동흥산구역
  • 会上区域(フェサン=クヨク/회상구역
  • 沙浦区域(サポ=クヨク/사포구역
化学繊維の生産が多い
  • 海岸区域(ヘアン=クヨク/해안구역
旧名・竜城区域。機械工業の中心地

交通

清津方面に通じる咸鏡線や、蓋馬高原の人造湖である長津湖や赴戦湖に通じる鉄道がある。

平壌、清津への定期便(週1便)が発着する宣徳空港がある。

産業

電力・港湾・工場などの基盤が植民地時代に形成された。

合成繊維ビナロン)や化学繊維などの化学工業や機械工業などの重工業が中心に行われている。苛性ソーダ肥料も多く生産している。

教育

  • 咸興大学
  • 医科大学
  • 工業大学
  • 咸興水理動力大学

観光

  • 東興山
  • 咸興本宮
  • 麻田遊園地

文化施設

  • 咸興大劇場

出身者

外部リンク

  1. ^ 大韓民国統一部「북한에서 쓰고 있는 도・시・군・구역〔北韓で使われている道・市・郡・区域〕」(2006年9月現在)