共通語

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共通語(きょうつうご)とは、ある地域や集団間で共通に用いられる言語をいう。

国際的な共通語

経済大国など周囲への影響力の強い国や地域で話される言語は、言葉の違う他の民族を超えた共通の言語として使用されることがある。そのような言語のことを、国際共通語、もしくはリンガフランカと呼ぶ。その例として、古くは東アジア漢文インドサンスクリットヘレニズム時代地中海世界におけるギリシャ語ローマ時代の地中海世界と中世ヨーロッパにおけるラテン語17世紀から19世紀までの西洋におけるフランス語、さらには、東南アジアマレー語アラブ世界アラビア語東アフリカスワヒリ語などがある。21世紀の現代においては、国際的な集まりにおいては英語がその役割を果たす場合が多い。

日本の共通語

大日本帝国が統治した地域で使われていた言語には、日本語アイヌ語中国語モンゴル語朝鮮語ロシア語など多数あった。2014年現在の日本政府が統治する地域では日本語とアイヌ語があるが、いずれの場合も共通語は日本語である。

ただし、2014年現在の日本では、方言の違いを超えて誰でも共通に理解しあえる言語づかいのことを共通語という場合がある。例えば、青森の人と鹿児島の人がそれぞれの方言で会話しようとすると相互理解が困難であるが、どちらにもよく知られている標準語を基本とした言葉を話せば、互いの意思疎通を容易にすることができる。 ただ、共通語は規範とされる標準語とは違い、マスコミや広範な人の移動などを通じ自然に形成された言語である。

1949年国立国語研究所福島県白河市で学術調査を行った際、東北方言標準語の中間のような日本語を話す話者がいることが確認された。これについて国立国語研究所は、全国共通に理解しあえる「全国共通語」であると評価し、「共通語」と呼ぶことにした[1][2]。すぐに「共通語」と言う呼称が浸透することはなかったが、最近はこの「共通語」が一般にも使われつつある。その理由について、国立国語研究所の言語調査を主導した柴田武は、「標準語という用語に伴う『統制』という付随的意味がきらわれたためだと思われる」と述べている[1]。柴田は、1980年に出版された『国語学大辞典』において、共通語と標準語の定義の違いについて、次のように述べている[1]

共通語は現実であり、標準語は理想である。共通語は自然の状態であり、標準語は人為的につくられるものである。したがって、共通語はゆるい規範であり、標準語はきびしい規範である。言いかえれば、共通語は現実のコミュニケーションの手段であるが、標準語はその言語の価値を高めるためのものである。 — 国語学会編『国語学大辞典』東京堂出版、1980年9月

脚注

関連項目