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ローズクォーツ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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ブラジル産のローズクォーツ
ローズクォーツを用いたゾウ彫刻。体長およそ10 cm

ローズクォーツrose quartz)は、水晶の一種で、ピンク - 薄紅色を呈する。紅水晶(べにずいしょう)、ばら石英[1]バラ石英[2]とも呼ばれる。

産出地

ローズクォーツの主な産出地はマダガスカルブラジルで、通常はそのほとんどが塊状(紅石英)で産出されるが、稀に六角柱状の結晶(紅水晶)で産出することがある。そのローズクォーツの結晶は最初、アメリカ合衆国メイン州ラムフォード近郊の鉱山にて、ペグマタイト鉱床中から発見された。その後ブラジルミナスジェライス州アフガニスタンクナル州でも発見された。現在、市場に出回っているものの多くは、ブラジルミナスジェライス州産のものである。

他の水晶と比べて非常に希産で、特に結晶は高額で取引される。

性質・特徴

ローズクォーツのピンク色は、に敏感で、退色しやすい。この色は、不純物として混入している微量のチタンマンガンに由来するとされる。近年のX線元素分析では、この色は光学顕微鏡で観察可能なレベルのデュモルチェライト繊維によるという結果も出ている。しかしながら、デュモルチエライトは単独の結晶としては滅多に産出しないもので、従って、呈色はリン酸塩アルミニウムによると考える意見もある。

また、ローズクォーツは内部に微細なルチル(金紅石)の針状結晶をインクルージョンとして持つ場合があり、スター効果を示すものもある。

産出のそのほとんどが塊状の紅石英で、六角柱状の自形結晶の紅水晶で産出するものは稀にしか見られず、天然のローズクォーツの結晶自体は、最大でも1 cmほどと小さい。完全結晶化したものが少ないのは、四価のチタンイオンケイ素と部分的に置換したことで、イオン半径の大きなチタンイオンが妨害して完全な結晶を形成することができないものと考えられている。また四価のチタンイオンは、青~緑色の光を吸収するため補色は薄い紅色になり、チタンの量が増えるほど赤みを増していくが結晶は更に不完全となる。

用途・加工法

ローズクォーツは大抵不透明であるため、ファセット・カットされることは稀である。また、ピンク色が薄く、大きなヒビ割れが入っている石も多い。従って、ローズクォーツはカボション・カットされたり、球形のビーズに加工され、装飾品などに利用される。

現在では、ロシアを中心として合成も行われているが、結晶の成長速度が遅いのが特徴。

その他

2013年6月21日 西山美術館(東京都町田市)に展示中のローズクォーツの球(直径96.6 cm)が世界最大として、ギネス世界記録に認定された[3]

脚注

  1. ^ 松原聰『日本の鉱物』学習研究社〈フィールドベスト図鑑〉、2003年、227頁。ISBN 4-05-402013-5 
  2. ^ 青木正博『鉱物分類図鑑 : 見分けるポイントがわかる』誠文堂新光社、2011年、184頁。ISBN 978-4-416-21104-5 
  3. ^ 今、世界で注目の記録? 6月21日 - - - NEWS | Guinness World Records

関連項目

外部リンク