リアルサウンド 〜風のリグレット〜
ジャンル |
アドベンチャーゲーム インタラクティブサウンドドラマ |
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対応機種 |
セガサターン (SS) 対応機種一覧
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開発元 | ワープ |
発売元 | ワープ |
プロデューサー | 飯野賢治 |
ディレクター | 飯野賢治 |
デザイナー |
飯野賢治 渡辺修 |
シナリオ | 坂元裕二 |
プログラマー | 佐藤直哉 |
音楽 |
鈴木慶一 飯野賢治 |
人数 | 1人 |
メディア | CD-ROM4枚組 |
発売日 |
1997年7月18日 |
売上本数 | 約5万本[1] |
その他 | 型式:T-30002G |
『リアルサウンド 〜風のリグレット〜』(リアルサウンド かぜのリグレット)は、ワープより発売されたセガサターン用ゲームソフト。ジャンルはインタラクティブサウンドドラマ。
概要
本作は映像が一切存在せず、音だけでプレイするという極めて異色のゲームである。基本的にはラジオドラマと同じであり、プレーヤーは音を聞いてストーリーを楽しむものであるが、サウンドノベル形式のように選択肢によってストーリーが変わるマルチエンディングとなっている。ストーリーの分岐点でチャイムがなり、ストーリー進行が停止し、ここでコントローラを使って選択肢を選ぶこととなる。
シリーズとして、1997年7月18日に恋愛をテーマにした第1作『風のリグレット』がセガサターンソフトとして発売され、1999年3月11日にドリームキャストに移植される。視覚障害者でもプレイできるようにと、希望者には点字印刷された取扱説明書を郵送で配付していた。ドリームキャスト版には風景イメージなどが挿入されている。
ゲーム内容
プレイヤーは各シーンの音声を聴取し、チャイム音が鳴った際に次の行動を選択する事でストーリーが展開していく[2]。チャイム音の後に方向ボタンを押すことで次の行動となるセリフを聞くことができる[2]。次の行動を決定する選択肢には、ストーリー展開に直接影響する選択肢の「シーン分岐選択肢」と、直接次のシーンに影響しない「パラメータ選択肢」の2種類が存在する[2]。「パラメータ選択肢」では主人公の心情が数値化され、エンディング内容などに変化が出る仕組みとなっている[2]。
また、オートセーブ方式のため、電源を切った際は前回のシーンから始める事ができる[2]。
設定
ストーリー
野々村博司は、小学生の頃、夏休みが終わったら転校するという隣の席の女の子と駆け落ちの約束をするのだが、待ち合わせの時計台に、その女の子は現れなかった。そして女の子はそのまま転校してしまっていた。
月日は経ち、あの時の初恋の女の子、桜井泉水と偶然再会し、付き合う事になる。大学生になった博司は彼女に起こされ、彼女の会社の人事部長を紹介してもらうはずだったのだが2人で面接に向かう途中、彼女は突然地下鉄を降りてどこかへ失踪してしまう…。
舞台
- 阿久美町
- 主人公の野々村が生まれ育った町。
- 時計台
- 海水浴場
- おこづち山
- 未分里坂
- あかね橋
- ゲームCM撮影場所
- 広島県尾道市浦崎町。浦崎の辻堂近辺。
登場人物
友情出演
移植版
No. | タイトル | 発売日 | 対応機種 | 開発元 | 発売元 | メディア | 型式 | 売上本数 | 備考 |
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1 | リアルサウンド 〜風のリグレット〜 | 1999年3月11日 |
ドリームキャスト | ワープ | ワープ | GD-ROM2枚組 | T-30001M(初回限定版) T-30002M |
- | ぷるぷるぱっく対応 |
開発
- 脚本
- 本作の企画は同社の作品『Dの食卓』(1995年)の制作後に始まり、『エネミー・ゼロ』(1996年)の制作前には、「絵のないゲーム」としての構想があったという[4]。「絵のないゲーム」であるためセリフが重要になると思った飯野賢治は、テレビドラマの脚本家に依頼する事を検討する[4]。また、当時『Dの食卓』をプレイしていた脚本家の坂元裕二はゲーム制作者へのアプローチを模索しており、飯野へのインタビューが実現する[4]。インタビュー中に飯野が本作の構想を話したところ、坂元は脚本の担当を受諾する事となった[4]。
- 音楽
- 音楽の担当は当初より飯野は鈴木慶一に依頼する事を検討しており、アイデアに興味を抱いた鈴木は制作を受諾するものの、飯野側から具体的な指示がないため、また映像がなく台本のみのため音楽制作に苦労したという[4]。飯野と鈴木は出来上がった曲をどこに入れるかを二人で決めており、通常のテレビドラマではツボにはまる位置に挿入するべき曲を、あえてツボを外した形で曲の挿入箇所を決めていった[4]。また、出演者の音声のみでは1時間に満たない長さだったが、音楽を入れる事によって、トータルで3時間半の長さまで拡大した[4]。
- 声優
- 野々村を演じた俳優の柏原崇は、飯野から声優の演技とは異なる日常の会話を演じてほしいと要求されたが、非常に困難であったと語っている[4]。また、台本の量が通常の映画の3倍程度多いものだったとも語っている[4]。
- 録音
- 録音に関しては、エンジニアである大川正義は「非常に面白くかつ大変な作業」であったと語り、睡眠時間が2~3時間の日々が何日も続いたという[3]。レコーディングには4つの録音ブースを用意し、体育館のシーンでは広い部屋、タクシーの中のシーンでは狭い部屋など使い分けて録音していた[3]。また、作中の効果音はすべて直撮りの生収録のものを使用しており、トンネルなどの音のないシーンでも実際にトンネルで録音した音を挿入しているという[3]。効果音の録音には「アーヘナコプフ」という人間の頭の形をしたマイクロフォンを使用し、「Q Sound」という音響システムを使用して立体音響になっている[3]。
音楽
主題歌
挿入歌
スタッフ
- 制作・著作:株式会社ワープ
- 監督・企画・プロデュース:飯野賢治
- 脚本:坂元裕二
- 音楽:鈴木慶一
- 企画:渡辺修
- プログラム:佐藤直哉
- 制作協力:江口勝敏
- キャスティング協力:八木桂子、泉澤麗子
- 収録スタジオ
- サウンドバレー四谷
- エンジニア:市川高信、大川正義
- アシスタントエンジニア:松永健司、山下景子
- サウンドバレー四谷
- ナレーション収録:ファーストサウンズ
- 音楽制作
- プロデュース:鈴木慶一
- 作曲:鈴木慶一、飯野賢治
- 編曲:鈴木慶一、デヴィッド・ベッドフォード、デイヴ・グレゴリー (XTC)、飯野賢治
- 歌唱:鈴木慶一、菊池由美、森本精人
- コーラス:インターナショナル・フーリガンズ
- コーディネーション協力:野田美佐子、掛川陽介、OR.UK
- 収録スタジオ
- フリースタジオ渋谷
- エンジニア:寺田仁
- マニピュレーター:土岐幸男
- アシスタントエンジニア:狩野佑次
- アビーロードスタジオロンドン
- エンジニア:グレン・トミー
- アシスタントエンジニア:アンドリュー・ホットミッツ
- フリースタジオ渋谷
- ミックスダウンスタジオ
- スタジオジャイヴ
- エンジニア:寺田仁
- アシスタントエンジニア:柳沢真史
- スタジオジャイヴ
- ミュージシャンズ:鈴木慶一、デイヴ・グレゴリー、デヴィッド・ベッドフォード・オーケストラ、コヴェント・ガーデン・クォーテット、Minako Kubota、矢口博康、駒沢裕城、松田幸一、武川雅寛、星川薫、佐藤まこと、佐藤純郎、石井完治
- 効果音制作:(株)イメージファクトリィ
- ファイナルミックススタジオ
- スタジオジード
- ワンダーステーション代々木
- エンジニア:大川正義、市川高信
- アシスタントエンジニア:和田幸保、井上麻弥
- データコンバート:竹花直樹
- サンキュウ:メリーゴーランド、タニプロモーション、アンクルF、コムスシフト、バグポイント、劇団日本児童、OR、スパークス、ハリオン、ニューフレンズ、ファーストスマイル・エンタテンメント
評価
評価 | ||||||||
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- セガサターン版
ゲーム誌『ファミ通』の「クロスレビュー」では8・6・5・8の合計27点(満40点)[5]、「SATURN FAN」の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通りとなっており、24.2点(満30点)となっている[7]。
項目 | キャラクタ | 音楽 | お買得度 | 操作性 | 熱中度 | オリジナリティ | 総合 |
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得点 | 3.5 | 4.5 | 3.8 | 3.8 | 3.9 | 4.7 | 24.2 |
- ドリームキャスト版
ゲーム誌『ファミ通』の「クロスレビュー」では7・6・6・6の合計25点(満40点)になっており[8][6]、レビュアーからの肯定的な意見としては、「音だけによる想像力のほうが、プレーヤーそれぞれに風景を生み出す。ラジオドラマ的」、「ドラマ好きな俺としては、ストーリーはわりと気に入った」、「音楽シーンで間延びすることしばしばだがストーリーは◎」などと評されている。
否定的な意見としては、「今回は映像はあるが、ゲームの本筋には関係ないBGVの位置づけ」、「屋外シーンなのに、室内で会話しているかのような反響音が聞こえるのはどうか」、「個人的にはあまりハマれませんでした」、「肝心の音質も悪くはないが、演技力で気になる点は多々あるし、ビジュアルモードは表示しないほうが効果的かと」などと評されている[8]。
続編
第2作として、恐怖を目指した作品『霧のオルゴール』の制作が発表され、本作が恋愛ドラマであったのに対し、ホラー作品として企画が進められた[1]。これに関し飯野は「音だけのドラマとしては、恋愛より恐怖をテーマにしたもののほうがやりやすい」ため、あえて困難な恋愛ドラマを先に発売したと述べている[1]。
内容は1プレイが30分から1時間程度になる物を想定しており、グラフィックを表示する事も検討していた[1]。雑誌広告なども打っており、当初は1998年6月の発売を予定していたが発売には至っていない(「ナイトワープ Eno@Home」内で音声圧縮技術の委託先が開発に失敗した為発売延期になったと発言している)。また、この為に飯野賢治が構想していたストーリーは『Dの食卓2』(1999年)で使用されることとなった[1]。
その後、飯野自身がゲーム開発から撤退する事を検討しており、最後の作品として『Dの食卓2』が選択されたため、リアルサウンドの続編はお蔵入りとなる事が決定、第3作として、お笑いをテーマにした作品『スパイランチ』も企画されていたが、同様に発売には至っていない[1]。
関連作品
ラジオドラマ版
- 本作は1997年9月にTOKYO FM(全国ネット)でラジオ版が放送された。ゲーム内のドラマをラジオ向けに編集した特別版であった。
脚注
- ^ a b c d e f 天野譲二「FILE 28 風雲児がサウンドだけで挑んだ意欲作は如何にして消えたか」『幻の未発売ゲームを追え! 今明かされる発売中止の謎』徳間書店、2017年3月31日、148 - 150頁。ISBN 9784198643805。
- ^ a b c d e f g h 「I イントロダクション」『リアルサウンド「風のリグレット」公式ガイドブック』アスペクト、1997年8月1日、6 - 14頁。ISBN 9784893667779。
- ^ a b c d e f 「III イントゥ・ザ・ゲーム」『リアルサウンド「風のリグレット」公式ガイドブック』アスペクト、1997年8月1日、79 - 96頁。ISBN 9784893667779。
- ^ a b c d e f g h i 「IV インタビュー」『リアルサウンド「風のリグレット」公式ガイドブック』アスペクト、1997年8月1日、97 - 105頁。ISBN 9784893667779。
- ^ a b “リアルサウンド 〜風のリグレット〜 まとめ [セガサターン]” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2016年1月17日閲覧。
- ^ a b “リアルサウンド 〜風のリグレット〜 まとめ [ドリームキャスト]” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2016年1月17日閲覧。
- ^ a b 「超絶 大技林 '98年春版」『Play Station Magazine』増刊4月15日号、徳間書店/インターメディア・カンパニー、1998年4月15日、811頁、雑誌26556-4/15。
- ^ a b 「新作ゲームクロスレビュー」『ファミ通』第14巻第12号、アスキー、1999年3月19日、31頁、雑誌26253-3/19。
外部リンク
- リアルサウンド 〜風のリグレット〜 公式サイト - ウェイバックマシン(1998年5月30日アーカイブ分)
- リアルサウンド 〜風のリグレット〜 製品情報(DC版、セガ) - ウェイバックマシン(2014年8月4日アーカイブ分)
- eno blog: そろそろゲームのことを語ろうか。第2回『リアルサウンド 〜風のリグレット〜』
- Real Sound: Kaze no Regret(英語) - MobyGames