ラリー・スウェーデン

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ラリー・スウェーデン(Rally Sweden)は、スウェーデンで開催される世界ラリー選手権 (WRC) のイベント。スウェディッシュ・ラリー (Swedish Rally) とも呼ばれる。現在ではWRC唯一の本格的ウィンターラリー。

歴史

1950年にインターナショナル・スウェーデン・ラリーとしてスタート。最初は真夏のミッドナイト・サン(白夜)ラリーとして行なわれたが、1965年より真冬のイベントとして行なわれてきた[1]。WRCでは開幕戦モンテカルロの後に続く冬季の連戦として定着している。2010年はラリー・ノルウェーが財政難で中止されたためノルウェーとの共催で開催された[2]

ラリー・フィンランド以上に北欧勢が強いラリーとして知られ[3]、2014年までの60年以上の歴史の中で北欧勢以外の優勝は2004年のセバスチャン・ローブ(フランス)と2013年のセバスチャン・オジェ(フランス)のみである。

特徴

ヴェーネルン湖の北岸カールスタードを拠点に行なわれる。針葉樹の森の中を行くグラベルコースだが、コースの大半が雪や氷で覆われているため、スノーラリーと呼ばれている。例年氷点下20度の極寒のコンディションで行なわれてきたが、近年は地球温暖化の影響か気温が上がり、積雪量が少ないこともある[4]。低温によって油圧系統の機能が落ちたり、逆にインテークに雪が詰まるとエンジンがオーバーヒートする恐れもある[1]

コースは比較的フラットで高速コーナーが連続し、雪上イベントでも平均速度はグラベルのラリー・フィンランドに次いで高い[5]。コーナーへの侵入では、コースサイドの雪壁にマシンの鼻先を当てて向きを変える特殊なテクニックが使われる[6]

コリンズ・クレスト

このイベント用に幅20cm弱のナロートレッドに突き出し量6.5mmのスタッドを380本以上打ち込んだ特製スパイクタイヤが投入される[7]。通常よりもタイヤが細いのは、接地面の面圧を上げてスタッドをしっかり食い込ませるため。SSのループ走行ではグラベルが露出してスタッドが脱落してしまうことがあるので、タイヤの温存にも配慮しなければならない[7]

ヴォルゴーセン (Vargasen) のSSにはかつてコリン・マクレーが豪快な大ジャンプを見せた「コリンズ・クレスト (Colin's Crest) 」と呼ばれる名物ポイントがあり、2008年より毎年一番の飛距離を記録した選手へ「コリンズ・クレスト賞」が贈られる。過去の最長ジャンプは2014年にセバスチャン・オジェ(フォルクスワーゲン)が記録した41m[8]

歴代優勝者(1973年以降)

優勝者 車輌
ドライバー コ・ドライバー
1973年 スウェーデンの旗 スティグ・ブロンクビスト スウェーデンの旗 アーネ・ヘルツ サーブ・96V4
1975年 スウェーデンの旗 ビョルン・ワルデガルド スウェーデンの旗 ハンス・ソルセリウス ランチア・ストラトス
1976年 スウェーデンの旗 パー・エクルンド スウェーデンの旗 ビョルン・セダーベルグ サーブ・96V4
1977年 スウェーデンの旗 スティグ・ブロンクビスト スウェーデンの旗 ハンス・シルヴァン サーブ・99EMS
1978年 スウェーデンの旗 ビョルン・ワルデガルド スウェーデンの旗 ハンス・ソルセリウス フォード・エスコートRS1800
1979年 スウェーデンの旗 スティグ・ブロンクビスト スウェーデンの旗 ビョルン・セダーベルグ サーブ・99ターボ
1980年 スウェーデンの旗 アンデルス・クラング スウェーデンの旗 ブルーノ・ベルグルンド オペル・アスコナ400
1981年 フィンランドの旗 ハンヌ・ミッコラ スウェーデンの旗 アーネ・ヘルツ アウディ・クワトロ
1982年 スウェーデンの旗 スティグ・ブロンクビスト スウェーデンの旗 ビョルン・セダーベルグ アウディ・クワトロ
1983年 フィンランドの旗 ハンヌ・ミッコラ スウェーデンの旗 アーネ・ヘルツ アウディ・クワトロA1
1984年 スウェーデンの旗 スティグ・ブロンクビスト スウェーデンの旗 ビョルン・セダーベルグ アウディ・クワトロA2
1985年 フィンランドの旗 アリ・バタネン イギリスの旗 テリー・ハリーマン プジョー・205T16
1986年 フィンランドの旗 ユハ・カンクネン フィンランドの旗 ユハ・ピロネン プジョー・205T16E2
1987年 フィンランドの旗 ティモ・サロネン フィンランドの旗 セッポ・ハルヤンヌ マツダ・323 4WD
1988年 フィンランドの旗 マルク・アレン フィンランドの旗 イルッカ・キビマキ ランチア・デルタHF 4WD
1989年 スウェーデンの旗 イングバー・カールソン スウェーデンの旗 パー・カールソン マツダ・323 4WD
1991年 スウェーデンの旗 ケネス・エリクソン スウェーデンの旗 スタファン・パルマンダー 三菱・ギャランVR-4
1992年 スウェーデンの旗 マッツ・ジョンソン スウェーデンの旗 ラース・バックマン トヨタ・セリカGT-Four
1993年 スウェーデンの旗 マッツ・ジョンソン スウェーデンの旗 ラース・バックマン トヨタ・セリカターボ4WD
1994年 スウェーデンの旗 トマス・ラドストローム スウェーデンの旗 ラース・バックマン トヨタ・セリカターボ4WD
1995年†† スウェーデンの旗 ケネス・エリクソン スウェーデンの旗 スタファン・パルマンダー 三菱・ランサーエボリューションII
1996年 フィンランドの旗 トミ・マキネン フィンランドの旗 セッポ・ハルヤンヌ 三菱・ランサーエボリューションIII
1997年 スウェーデンの旗 ケネス・エリクソン スウェーデンの旗 スタファン・パルマンダー スバル・インプレッサWRC
1998年 フィンランドの旗 トミ・マキネン フィンランドの旗 リスト・マニセンマキ 三菱・ランサーエボリューションIV
1999年 フィンランドの旗 トミ・マキネン フィンランドの旗 リスト・マニセンマキ 三菱・ランサーエボリューションVI
2000年 フィンランドの旗 マーカス・グロンホルム フィンランドの旗 ティモ・ラウティアイネン プジョー・206WRC
2001年 フィンランドの旗 ハリ・ロバンペラ フィンランドの旗 リスト・ピエティライネン プジョー・206WRC
2002年 フィンランドの旗 マーカス・グロンホルム フィンランドの旗 ティモ・ラウティアイネン プジョー・206WRC
2003年 フィンランドの旗 マーカス・グロンホルム フィンランドの旗 ティモ・ラウティアイネン プジョー・206WRC
2004年 フランスの旗 セバスチャン・ローブ モナコの旗 ダニエル・エレナ シトロエン・クサラWRC
2005年 ノルウェーの旗 ペター・ソルベルグ イギリスの旗 フィル・ミルズ スバル・インプレッサWRC
2006年 フィンランドの旗 マーカス・グロンホルム フィンランドの旗 ティモ・ラウティアイネン フォード・フォーカスWRC
2007年 フィンランドの旗 マーカス・グロンホルム フィンランドの旗 ティモ・ラウティアイネン フォード・フォーカスWRC
2008年 フィンランドの旗 ヤリ=マティ・ラトバラ フィンランドの旗 ミイカ・アンティラ フォード・フォーカスWRC
2010年 フィンランドの旗 ミッコ・ヒルボネン フィンランドの旗 ヤルモ・レーティネン フォード
2011年 フィンランドの旗 ミッコ・ヒルボネン フィンランドの旗 ヤルモ・レーティネン フォード・フィエスタWRC
2012年 フィンランドの旗 ヤリ=マティ・ラトバラ フィンランドの旗 ミイカ・アンティラ フォード・フィエスタWRC
2013年 フランスの旗 セバスチャン・オジェ フランスの旗 ジュリアン・イングラシア フォルクスワーゲン・ポロ R WRC
2014年 フィンランドの旗 ヤリ=マティ・ラトバラ フィンランドの旗 ミイカ・アンティラ フォルクスワーゲン・ポロR WRC
2015年 フランスの旗 セバスチャン・オジェ フランスの旗 ジュリアン・イングラシア フォルクスワーゲン・ポロR WRC
  • † 1994年は2リッターワールドカップ (W2L) として開催。
  • †† 1995年はWRCとW2Lの併催。

脚注

  1. ^ a b 福井敏雄 "2014年WRC第2戦スウェーデン". J SPORTS.(2014年1月27日)2014年2月10日閲覧。
  2. ^ SVT Sport 27 april 2010 - VM-rally i Sverige även 2011
  3. ^ しかも、1981年にフィンランド人のハンヌ・ミッコラが勝つまでは地元スウェーデン勢の独壇場であった。この2ヶ国以外の北欧勢でさえ2005年にノルウェー人のペター・ソルベルグが優勝したのみである。
  4. ^ "PWRC RD.02 スウェディッシュ・ラリー". ENDRESS OFFICIAL WEBPAGE.(2008年)2013年12月2日閲覧。
  5. ^ "プレビュー". SUBARUモータースポーツ.(2004年)2013年12月2日閲覧。
  6. ^ "EVENT GUIDE RD.2". SUBARU MOTORSPORT MAGZINE.(2008年)2013年12月2日閲覧。
  7. ^ a b "384本のスタッドが鋭く雪面を捉える! シーズン唯一のフルスノーラリーにスタッドタイヤ「ミシュラン・Xアイス・ノース2」を投入". 日本ミシュランタイヤ.(2014年2月3日)2014年2月10日閲覧。
  8. ^ ただし、1回目の走行での記録が賞の対象になるため、2回目の走行で41mを記録したオジェではなく、1回目に36mを飛んだユホ・ハンニネンが2014年の受賞者となった。[1]

外部リンク