イープル・ラリー

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2019年

イープル・ラリー (Ypres Rally ) は、ベルギーイープルを中心に開催されるラリーイベント。ヨーロッパラリー選手権 (ERC)の他 、インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ (IRC) などの一戦として開催されてきた。2021年に初めて世界ラリー選手権 (WRC) のカレンダーに加わった。

概要[編集]

初開催は1965年1974年よりERCのイベントに加わり、ヨーロッパ屈指の難ラリーとして知られる。また、2006年から2012年までIRCと併催された。

2017年にERCとの関係を終え、ツアー・ヨーロッパ・ラリーシリーズ (TER、スペイン語版オランダ語版) 、イギリスラリー選手権 (BRC) との併催に切り替えた。

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大(コロナ禍)により予定されていたWRCイベントが相次いで開催中止となる中、イープルがラリージャパンの代替候補となった[1]。第7戦として11月に開催する予定だったが、ベルギー国内で感染が再拡大したため3週間前にキャンセルとなった[2]

2021年はリザーブ登録だったが、ラリーGBが開催を断念したため、イープル・ラリー・ベルギー (Ypres Rally Belgium) としてWRCカレンダーに加わった[3]。最終日はベルギー国内を東へ300km近く横断し、F1ベルギーグランプリスパ24時間で知られるスパ・フランコルシャンサーキットを使用するステージが組まれた[4]

2022年は正式にカレンダー入りし、従来通りイープル周辺のコンパクトなステージで行われた[5]

特徴[編集]

ベルギー北西部、フランデレン地域の商業都市イープルの周辺に広がる農地をステージにしたターマックラリー。市内の伝統的な市場グローテ・マルクトにサービスパークが置かれる。例年6月に開催されてきたが、WRCカレンダーでは8月に開催されている[6]

ステージの大部分となる農道は道幅が狭く、かつアベレージスピードは高く、道の脇にディッチ(排水溝)や電柱が並んでいるため、わずかなミスがリタイアにつながる危険がある。また、交差点でのクイックターンが多く、インカットする車が多いため路肩の土が掻き出され、路面が滑りやすくなる。

2021年のイベント最終日は、スパ・フランコルシャン近隣の村から一般道を走り、サーキット敷地内の連絡道を通って本コースの一部を走行するルートが設定された。SS17/SS19「スタブロー」はコース最高地点からの下り区間(レ・コームからスタブローまで)を使用。SS18/SS20「フランコルシャン」はコース前半部分(ホームストレートからレ・コーム、オー・ルージュ)を通過し、ラディオンの登り坂で左にUターンし、世界ラリークロス選手権で使用するダートコースに入ってフィニッシュする[7]

歴代勝者[編集]

シリーズ 優勝者 車輌
ドライバー コ・ドライバー
2006年 ERC
IRC
イタリアの旗 ジャンドメニコ・バッソ イタリアの旗 Mitia Dotta フィアット・アバルト・グランデプントS2000
2007年 イタリアの旗 ルカ・ロセッティ イタリアの旗 Matteo Chiarcossi プジョー・207 S2000
2008年 ベルギーの旗 フレディ・ロイクス ベルギーの旗 Robin Buysmans
2009年 イギリスの旗 クリス・ミーク アイルランドの旗 ポール・ネイグル
2010年 ベルギーの旗 フレディ・ロイクス ベルギーの旗 Frédéric Miclotte シュコダ・ファビア S2000
2011年
2012年 フィンランドの旗 ユホ・ハンニネン フィンランドの旗 ミッコ・マルクラ
2013年 ERC ベルギーの旗 フレディ・ロイクス ベルギーの旗 Frédéric Miclotte
2014年 オランダの旗 Johan Gitsels
2015年 シュコダ・ファビア R5
2016年
2017年 オランダの旗 ケビン・アッブリング ベルギーの旗 Pieter Tsjoen プジョー・208 T16
2018年 ベルギーの旗 ティエリー・ヌービル ベルギーの旗 ニコラ・ジルソール ヒュンダイ・i20 R5
2019年 アイルランドの旗 クレイグ・ブリーン アイルランドの旗 ポール・ネイグル フォルクスワーゲン・ポロ GTI R5
2020年 中止
2021年 WRC ベルギーの旗 ティエリー・ヌービル ベルギーの旗 マルティン・ウィダグ ヒュンダイ・i20クーペWRC
2022年 エストニアの旗 オィット・タナック エストニアの旗 マルティン・ヤルヴェオヤ ヒョンデ・i20 N ラリー1

脚注[編集]

  1. ^ “WRCプロモーターがラリージャパンの代替としてイプルーのWRC入りを発表”. Rally+.net. (2020年8月19日). https://www.rallyplus.net/72020 2022年9月12日閲覧。 
  2. ^ “【WRC】11月ベルギー戦はキャンセル…コロナの影響、再び深刻に”. レスポンス. (2020年10月31日). https://response.jp/article/2020/10/31/339908.html 2021年9月12日閲覧。 
  3. ^ “WRC:ラリーGB開催断念。ベルギー・イープルの2021年カレンダー追加が決定”. autosport web. (2021年1月9日). https://www.as-web.jp/rally/660596?all 2022年9月12日閲覧。 
  4. ^ “WRCベルギー事前情報:シリーズ初開催。歴史あるターマックラリー”. Rally+.net. (2021年8月21日). https://www.rallyplus.net/80163 2022年9月12日閲覧。 
  5. ^ “WRCベルギー事前情報:路面変化の激しい難関ターマックラリー”. Rally+.net. (2022年8月17日). https://www.rallyplus.net/89268 2021年9月12日閲覧。 
  6. ^ “WRCイープルは8月中旬開催、スパ・フランコルシャンも使用へ調整”. Rally+.net. (2021年1月9日). https://www.rallyplus.net/75307 2022年9月12日閲覧。 
  7. ^ “ヌーヴィルが母国ベルギー優勝、ヒュンダイが1-2”. ラリーXモバイル. (2021年8月16日). http://rallyx.net/news/%E3%83%8C%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%81%8C%E6%AF%8D%E5%9B%BD%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E5%84%AA%E5%8B%9D%E3%80%81%E3%83%92%E3%83%A5%E3%83%B3%E3%83%80%E3%82%A4%E3%81%8C1-2-20461/ 2022年9月12日閲覧。 

外部リンク[編集]