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ベンガルヤマネコ

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ベンガルヤマネコ
ベンガルヤマネコ Prionailurus bengalensis
保全状況評価[a 1][a 2]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ネコ目 Carnivora
: ネコ科 Felidae
: ベンガルヤマネコ属 Prionailurus
: ベンガルヤマネコ
P. bengalensis
学名
Prionailurus bengalensis
(Kerr, 1792)
シノニム

Felis euptailura Elliot, 1871 Mayailurus iriomotensis
Imaizumi, 1967

和名
ベンガルヤマネコ
英名
Leopard cat

ベンガルヤマネコPrionailurus bengalensis)は、哺乳綱ネコ目(食肉目)ネコ科ベンガルヤマネコ属に分類される食肉類。

分布

  • P. b. euptailurus アムールヤマネコ

大韓民国中華人民共和国北東部、朝鮮民主主義人民共和国日本対馬)、ロシア南東部[1][2][a 3]

  • P. b. iriomotensis イリオモテヤマネコ

日本(西表島固有亜種[1][2][3]

形態

額から肩にかけて4-5本の暗色の縞模様が入る[1]。耳介の後方は黒い体毛で被われ、白い斑点が入る(虎耳状斑)[1]

  • P. b. euptilurus アムールヤマネコ

体長60-83センチメートル[1]。尾長25-44センチメートル[1]。体重3-6.8キログラム[1]。全身は長い体毛で密に被われる[1]。毛衣は灰褐色で、不明瞭な暗褐色の斑紋が入る[1]。額から頭頂部にかけて4本の暗色の縞模様と、2本の白い縞模様が入る[1]。尾に暗褐色の輪状斑が入る[1]

  • P. b. iriomotensis イリオモテヤマネコ

尾背面には不規則に暗褐色の斑点が入るが、尾腹面に斑紋が入らない[1]

分類

亜種アムールヤマネコや亜種イリオモテヤマネコを独立種とする説もある[3]。しかし亜種アムールヤマネコと本種の南アジア個体群とのアイソザイム多型、亜種イリオモテヤマネコおよび亜種アムールヤマネコの対馬個体群(以下ツシマヤマネコ)と本種の東南アジア個体群とのミトコンドリアDNA内の12S リボソームRNA、チトクロムb分子系統学的解析が前者は遺伝的距離が小さいこと、後者は一致あるいはほぼ一致することから亜種とする説が有力[3]。チトクロムbの塩基置換速度および多様度から亜種イリオモテヤマネコと他亜種は200,000年前に分化したと推定されている[3]

生態

食性は動物食で、哺乳類、鳥類爬虫類両生類魚類昆虫などを食べる[1]

繁殖形態は胎生。1-3頭の幼獣を産む[1]

人間との関係

日本ではツシマヤマネコが1971年に国指定の天然記念物1994年種の保存法により国内希少野生動植物種に指定(亜種イリオモテヤマネコも)されている[2]。また亜種イリオモテヤマネコが1972年に国指定の天然記念物、1977年に特別天然記念物に指定されている[2]

  • P. b. bengalensis

ワシントン条約附属書I[脚注 1]

日本国内では1970年東山動植物園が初めて本種の飼育下繁殖に成功した[1]

概要

平均してイエネコと同程度の体長であるが地域差がみられる。インドネシア棲息の種は平均して頭胴長45cm・尾の長さ20cmであるのに対して、アムール棲息の種は平均して頭胴長60cm・尾の長さ40cmとやや大きい。肩高およそ40cm、体重およそ3-7kg。

毛皮は変化に富み、南方の種は黄色であるが、北方の種は銀白色をしている。胸部ならびに頭部下側は白色。全身に黒斑があり、亜種によっては黒点であったり、バラに似た形状の模様であったりする。

繁殖期以外では単独行動をする。妊娠期間は65-70日、1回の出産で2-4頭を産む。

ベンガルヤマネコの棲息地は森林熱帯雨林の広がる低地ないし山地であり、乾燥した地域に通常は棲息しない。流水の近くを好み、3000m級の高地で目撃されることがある。木登りが得意。水を泳ぐこともあるが滅多にはしない。

脚注

  1. ^ インド、タイ、バングラデシュの個体群に限る

参考文献

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 今泉吉典監修 『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』、東京動物園協会、1991年、151、157-158頁。
  2. ^ a b c d 加藤陸奥雄、沼田眞、渡辺景隆、畑正憲監修 『日本の天然記念物』、講談社1995年、716-720頁。
  3. ^ a b c d 増田隆一 「シリーズ 日本の哺乳類 種名検討編、日本産食肉目の種名検討」『哺乳類科学』 Vol.37 No.1、1997年、88-89頁。

関連項目

外部リンク

  1. ^ CITES homepage
  2. ^ The IUCN Red List of Threatened Species
    • Sanderson, J., Sunarto, S., Wilting, A., Driscoll, C., Lorica, R., Ross, J., Hearn, A., Mujkherjee, S., Khan, J.A., Habib, B. & Grassman, L. 2008. Prionailurus bengalensis. In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4.
  3. ^ 環境省 自然環境局 生物多様性センター