ブリッツガンダム

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ブリッツガンダム(BLITZ GUNDAM)は、テレビアニメ機動戦士ガンダムSEED』に登場する、モビルスーツ(MS)に分類される架空の有人式人型ロボット兵器の一つ。「ブリッツ」はドイツ語で「電撃」を意味し、更に「ガンダム」にはバクロニムが設定されており「BLITZ General Unilateral Neuro-Link Dispersive Autonomic Maneuver Synthesis System」とも表記される[1]

メカニックデザイン大河原邦男

本項では、関連作品に登場する派生機についても解説する。

機体解説

人型機動兵器「モビルスーツ」(MS)のひとつ。「地球連合軍」が開発した5機の試作機の1機だが、敵対国家である「プラント」の軍隊「ザフト」に強奪され、ザフトパイロットの一人「ニコル・アマルフィ」の搭乗機となる。黒を基調としたカラーリングが特徴で、機体を透明化する特殊なステルスシステムを搭載している。

諸元
ブリッツ
Blitz
型式番号 GAT-X207
分類 X200系[2]
電撃侵攻用試作MS[3]
全高 18.63m
重量 73.50t
装甲材質 フェイズシフト装甲
武装
  • 攻盾システム「トリケロス」
    • 50mmレーザーライフル
    • ビームサーベル
    • 3連装超高速運動体貫徹弾「ランサーダート」
  • ピアサーロック「グレイプニール」
特殊装備 ミラージュコロイドシステム
搭乗者

地球連合加盟国の1つ大西洋連邦が、オーブ連合首長国公営企業モルゲンレーテ社の技術協力を受け、オーブ管轄の資源コロニーヘリオポリス」で極秘開発した5機の試作型MS(G兵器 / 前期GAT-Xシリーズ)の1機。

本機は「ブリッツ(ドイツ語で電撃)」のコードネームのとおり、敵陣深くへの電撃侵攻を目的として開発された。右腕の攻盾システム「トリケロス」を初め、他の系列機には無い特殊兵装を試験的に装備している。「フェイズシフト装甲(PS装甲)」の採用による高い防御力に加え、X100系のノーマルフレームに特殊機能を加味したX200番台の特殊改装フレームを採用し、新機軸の光学迷彩光学ステルス)システム「ミラージュコロイド」を搭載する。但し連続使用には85分の限界時間があり、更に展開中はフェイズシフト装甲の併用が不可能となる為、著しく防御力が低下する。本作の設定では熱源探知による機体位置の特定が可能なため、ミラージュコロイド展開時は慣性移動以外は出来ない事になる。加えて、後述するように武装が右腕に集中している(他機が搭載しているイーゲルシュテルンすら装備していない)事の弊害もある。

開発元の地球連合軍では制式量産化は見送られたが、ミラージュコロイドによる隠密性は十分実証されており、後にNジャマーキャンセラーを入手したことで核エネルギーを追加してエネルギー問題を解決し、移動の問題も部分的にクリアしたNダガーN(ただし、開発元は105ダガーベース)や発展機が登場、非公式部隊での運用のため少数生産が行われている。他、外部組織によりコピー機が20機前後生産されている。

武装

攻盾システム「トリケロス」
右腕に装備された複合武装。実験的な兵装を多数装備するために考案されたもので、対ビームコーティング処理が施されたシールドの裏面にビームサーベル、50mmレーザーライフル、3連装超高速運動体貫徹弾「ランサーダート」を搭載する。イーゲルシュテルンを搭載していない本機は右腕のこの武器に殆どの武装が集中している為、右腕を破壊されると武装は後述のグレイプニールしかなくなり、戦闘力は事実上ゼロに等しくなる(事実、右腕を切り落とされたブリッツはランサーダートの一本を抱えてストライクに突撃し、返り討ちにあっている[4])。また、武装も大き過ぎて使い回しが悪い欠点が残っている。
50mmレーザーライフル
中距離用の射撃武装。なお、ビームライフルであるとする資料も存在する[5]。エネルギー供給の関係から、他のGAT-Xナンバーに採用されているビームライフルの採用は見送られ、やや威力は(他の機に装備されているものより)劣るが電力消費の少ないこのライフルが主兵装として搭載された。
ビームサーベル
レーザー砲直下に装備されたビームサーベル。他のGAT-X機のサーベルと同型の装備。固定装備のため、盾ごと振り回す形で使用する。
プラモデルキット「MGブリッツガンダム」やアクションフィギュア「MIAブリッツガンダム」等では取り外し、通常の手持ちサーベルとしても使用できるギミックが追加されている。
3連装超高速運動体貫徹弾「ランサーダート」
杭状のロケット推進弾。敵装甲を貫徹後炸裂し、内部から打撃を与える。実戦では手持ちの槍として使用された例もある。
ピアサーロック「グレイプニール」
左腕に装備された有線式ロケットアンカー。クロー後部に内蔵されたブースターにより射出後の軌道変更を可能とする。クローは開閉させる事で単純な打撃から、敵の捕獲や自機の固定など、幅広い用途を持つ。
ミラージュコロイド
可視光線を歪め、レーダー波を吸収するガス状物質。これを磁気で機体周囲に纏うことにより、視覚的及び電波的にも自機の存在を隠匿することが可能。ただし、展開中はPS装甲の併用が不可能・スラスターなどを使用すると熱源探知が可能になる・および水中ではコロイド粒子が流出してしまうため使用不可能という欠点がある。
更にコロイド粒子を機体の周囲に電磁気で定着させているため、PS装甲同様に電力消費が著しく、当機の場合連続85分間(小説では80分)という使用時間の制限がある(ただし、これは実戦レベルにおいては十分すぎる時間であり、劇中において時間制限が問題となる描写はなかった)。

劇中での活躍

オーブ管轄の中立コロニー、ヘリオポリスで製造されたが、イージスバスターデュエルと共にザフトクルーゼ隊によって奪取された。以降は同隊のニコル・アマルフィが専任パイロットとなり、アークエンジェル追撃任務に従事する。唯一連合側に残されたストライクと幾度も戦闘を繰り広げるが、オーブ近海での戦闘でアスランを庇って、ソードストライクに撃破された。

SEED ASTRAY』では、撃破される前に切断されていたブリッツの右腕がオーブ軍に回収され、ゴールドフレーム天に使用されている。

『機動戦士ガンダムSEED Re:』では大気圏内用の専用装備が登場。デュエルと同じくディンの主翼などを流用したユニットだが、こちらはビーム砲の代わりに、補助翼としても使える特殊装備を持つ。これはゴールドフレーム天が持つマガノイクタチのような形状をした2対の鉤爪で、背部からアームで展開し、4つの爪で掴むように相手を拘束する事ができる。単に形状が似ているだけでなく、捕捉した相手のバッテリーをコロイド技術を用いて、強制放電させる(エネルギー吸収やVSアストレイで実装された非接触での強制放電は不可能)など、マガノイクタチの前段階ともいえる機能を持つ。ほか、熱探知対策の為に背部のスラスターカバーが延長されている。

コピー機

SEED DESTINY ASTRAY B』に登場するリリー・ザヴァリーの一人の機体。基本はオリジナルと同一だが、技術発展の分進んだ技術が投入されており、一例に装甲がVPS装甲に改装、複雑な文様を浮かび上がらせることが出来る(設定画では白をベースに紫とアクセントの黄でカラーリングしている)。

ネロブリッツ

諸元
ネロブリッツ
Nero Blitz
型式番号 GAT-X207SR
装甲材質 フェイズシフト装甲
武装
  • 攻盾システム「トリケロス」
    • 3連装超高速運動体貫徹弾「ランサーダート」
  • 6連ランチャー&クロー
    • ダミーバルーン×6
  • 可変アームユニット×2
特殊装備
搭乗者 ダナ・スニップ

地球連合軍第81独立機動群「ファントムペイン」が、アクタイオン・インダストリー社を中心とした複数企業の技術協力を受け推進したエースパイロット用カスタマイズMS開発計画―通称「アクタイオン・プロジェクト」に基づき、再製造されたブリッツを改修した機体。パイロットはダナ・スニップ中尉。

ブリッツの実質的な量産型であるGAT-SO2R NダガーNの技術が使用され、ユニウス条約に違反して核エンジンが搭載されている。ミラージュコロイドによる隠密行動という戦術は共通しているが、本機では更なる近接格闘能力の向上を目的とした改修が加えられている。

型式番号のSRは、「ステルス・リーインフォースメント:Stealth Reinforcement(隠密性強化)」の略であり、機体名の「ネロ」はイタリア語で「黒」を意味する。

武装(ネロ)

攻盾システム「トリケロス」
左腕に装備された複合武装。改修前に装備されていたビームサーベルとレーザーライフルは撤廃されている。
3連装超高速運動体貫徹弾「ランサーダート」
ベース機のものと同様の装備。「トリケロス」に設けられた発射口から射出する。
6連ランチャー&クロー
右腕に装備されたクロー付き6連装ランチャー。通常弾の他、ダミーバルーンなども射出可能となっている。また、クローは格闘戦や敵の捕獲に使用される。
可変アームユニット
ベース機との最大の相違点である背面に装備された大型可変アームユニット兼対ビーム戦兵器。大型のクロー1つと小型の3つのクロー、パイルバンカーで構成されており、単純な物理兵器でありながら、試験データ上ではPS装甲をも握砕する破壊力を誇る(なお、同様の機能を持つ武装として、ザフト軍のグフクラッシャーが装備するインパクトバイスが存在する。ただし、インパクトバイスが炸薬による連撃によって破壊するのに対して、本武装はクローによる握砕である点が異なる)。
また、この装備は内部の屈折率を自由に変化させることで、アームで受けたビームを任意の方向へ送り返すことができるクリスタル化という技術が使われている。クリスタル化時は不可視状態となるので、見えないアームとして使用することも可能である。しかし、使用する度に内部に充填された液化金属が劣化するので、使用回数には制限がある。
ミラージュコロイド
大戦末期の技術革新により、C.E.71当時に比べ、粒子の定着時間が延長されている。加えて本機は核エンジンを搭載しているため、実質上使用時間に制限は無い。

劇中での活躍(ネロ)

同僚のエミリオ・ブロデリック中尉が搭乗するロッソイージスと共に、アグニス・ブラーエ達マーシャンの殲滅任務を受け、彼等の母艦アキダリアを追撃した。その能力を生かし、マーシャン達を追い詰めるが、ジェスの介入やエミリオの撃破など、立て続けに不利な状況に陥り、ミラージュコロイドを使って撤退しようとした直後にジェスの援護を受けたディアゴのマーズジャケットの攻撃を受け、大破した。その後、機体はジャンク屋組合によって改修され、技術検証と並行して修復が行われた。

ネブラブリッツ

諸元
ネブラブリッツ
Nebula Blitz
型式番号 LN-GAT-X207
全高 18.77m
重量 76.11t
装甲材質 ヴァリアブルフェイズシフト装甲
武装
  • 攻盾システム「トリケロス」
    • 50mmレーザーライフル
    • ビームサーベル
    • 3連装超高速運動体貫徹弾「ランサーダート」
  • ピアサーロック「グレイプニール」
  • ツムハノタチ
  • マガノイクタチストライカー
    • マガノイクタチ
    • マガノシラホコ×2
特殊装備 ミラージュコロイドシステム
搭乗者 リリー・ザヴァリー

ライブラリアン」がブリッツを独自改修・再設計した機体で、後述の説明にあるようにライブラリアンの機体では唯一の量産機で20機存在する。型式番号冒頭の「LN」は「ライブラリアン・ネブラ」の略で、「ネブラ」はラテン語で「霧」を意味する。機体カラーの赤は、グゥド・ヴェイアのパーソナルカラーだったのを、リリーが希望したことによる。

ブリッツとゴールドフレーム天ミナの融合が図られており、元からある装備に追加して、背中にはマガノイクタチとマガノシラホコを装備したマガノイクタチストライカーを、さらにランサーダートの予備弾を右腕又は右腰に、ツムハノタチを左腕又は左腰にそれぞれ装備することが可能である。

頭部は通信機と廃熱性が強化されマスク部の廃熱スリットが追加され、ミラージュコロイドシステムを強化したミラージュコロイドテレポートシステムを装備。名前の通りに機体が瞬間移動していると思われていたが、実際は戦闘エリアに複数存在するネブラブリッツの1機がミラージュコロイドを展開して姿を消し、別の場所で姿を消している別のネブラブリッツが姿を現す事で瞬間移動しているように誤認させているのである。ただ搭乗者のリリー同士の「量子通信」能力があって、はじめて瞬間移動しているかように見える。マガノイクタチも強化されており、コロイド制御技術の向上により触れずとも強制的に放電できるようになっている

ライブラリアンの強化型Gは全機がストライカーシステムに対応しており[6]ストライカーパック用背部プラグが追加されている(ブリッツで特徴的だったスラスターカバーは、ストライカー接続のためか小型化されている)ため、機種間での装備の交換、混在が容易な設計となっている。

脚注

  1. ^ MGブリッツガンダム』付属のデカールを参照。
  2. ^ 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSエンサイクロペディア』を参照。
  3. ^ 『データコレクション17 機動戦士ガンダムSEED 上巻』30頁。
  4. ^ ガンダムSEED 第29話
  5. ^ 「MGブリッツガンダム」の説明書にはビームライフルとの記述がある。
  6. ^ アストレイ ミラージュフレームは対応していない。

関連項目