ノルウェーの森

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ノルウェーの森
ビートルズ楽曲
収録アルバムラバー・ソウル
リリース1965年12月3日
録音アビー・ロード・スタジオ
1965年10月12日10月21日
ジャンルロック
時間2分06秒
レーベルパーロフォン
作詞者レノン=マッカートニー
プロデュースジョージ・マーティン
ラバー・ソウル 収録曲
A面
  1. ドライヴ・マイ・カー
  2. ノルウェーの森
  3. ユー・ウォント・シー・ミー
  4. ひとりぼっちのあいつ
  5. 嘘つき女
  6. 愛のことば
  7. ミッシェル
B面
  1. 消えた恋
  2. ガール
  3. 君はいずこへ
  4. イン・マイ・ライフ
  5. ウェイト
  6. 恋をするなら
  7. 浮気娘

ノルウェーの森』(ノルウェーのもり、Norwegian Wood (This Bird Has Flown))は、ビートルズの楽曲である。

解説

本作は、1965年イギリス盤公式オリジナル・アルバムラバー・ソウル』に収録された楽曲である。レノン=マッカートニー作。ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500では83位にランクされている。

リードヴォーカルおよびアコースティック・ギターはジョン・レノン、バッキングヴォーカルはポール・マッカートニーが担当し、ジョンの発案によりインド民族楽器であるシタールジョージ・ハリスンによって演奏されている。レコード化されたポピュラーミュージックにシタールが使用されたのはこれが始めての事であると言われている。アルバム『ザ・ビートルズ・アンソロジー2』には別バージョン(お蔵入りになっていた第1テイク)が収録されている。

歌詞内容についてレノン自身は、ローリング・ストーン誌やプレイボーイ誌のインタビューで「当時の妻シンシアに気付かれないように、他の女性との浮気を書いたもの」と説明している。一見ふられたような歌詞にも受け取れるが、「it's time for bed(もう寝るね)」は「ベッドへ行きましょう」という意味にも取れ、後の間奏の間に情事があり、その後の歌詞は情事の後の会話として受け取ることもできる。最後の火をつけるラインはポールによるもので、ポールの解説によれば風呂で寝ることになってしまった復讐をするために、その場所を燃やしてしまうことにしたというもの[1]

音楽的には、シタールの使用や、メインメロディ部分のEミクソリディアンモード(移動ドで、ドレミファソラ♭シの旋法)と、ポールのバッキングヴォーカルが重なってくる部分のEドリアンモード(移動ラで、ラシドレミ#ファソの旋法)のモードチェンジが特徴である。

タイトルに関する諸説

原題の“Norwegian Wood”が何を意味するか歌詞中に明確に描かれていないため、邦訳には、『ノルウェーの森』や『ノルウェー製の家具』などがある。

ポール・マッカートニーは次のように解説している。

「Peter Asher had just done his room out in wood, and a lot of people were decorating their places in wood. Norwegian wood. It was pine , really, just cheap pine. But it's not as good a title, is it, "Cheap Pine"? - ピーター・アッシャーフォークデュオピーター&ゴードン」のメンバーで当時のポールの恋人ジェーン・アッシャーの兄)は部屋の内装をすっかり木造にしていたよ。多くの人が木材で部屋を飾り付けていたんだ。ノルウェー産の木材、松の木のことだよ。安物の松材さ。でも“安物の松材”じゃタイトルにならないだろ?」[2]

つまり、彼女の部屋に入ってみるとノルウェー産の木材で内装された“ウッド調の部屋だった”ということをあらわしており、woodは木材を指している。また、英国では"Norwegian wood"はしばしば労働階級の人が住むアパートの内装に使われる安物の木材を指すことがあり、そうした部屋に住んでいる彼女は、大して裕福ではない娘を表しているともいわれている(さらに部屋には椅子も置いていないと歌われている)。

大津栄一郎によれば、woodという単語は、the woodと定冠詞がつく場合以外の単数では森を意味しないという[3]。「森」は語学的におかしく、「ノルウェイ材の部屋」のような訳の方が正しいのではないかとしている。ただし一方で、『ノルウェーの森』の方がタイトルとしてははるかに良いということも述べている。

この説はアルバート・ゴールドマンによるジョン・レノンの伝記にも登場する[4]

また、村上春樹は、「ジョージ・ハリソンのマネージメントをしているオフィスに勤めているあるアメリカ人女性から『本人から聞いた話』」として、「Knowing she would」(オレは彼女がそうすると(俗的に言えば「ヤらせてくれる」と)知って(思って)いた)という言葉をの語呂合わせとして、「Norwegian Wood」とした、という説を紹介している[5]

なお、当初『ノルウェーの森』と訳されたことについては、邦題を名づけた高嶋弘之(当時東芝音楽工業でビートルズ担当のディレクター)が「意味をとり間違えた」とコメントしている[6]

参考文献

  • 大津栄一郎「『ノルウェイの森』雑考」『図書』(岩波書店)538号(1994年4月)11 - 15頁。
  • Cross, Craig (2005). The Beatles: Day-by-day, Song-by-song, Record-by-record. Iuniverse. ISBN 0595346634 

脚注

  1. ^ Cross 2005, p.412.
  2. ^ Miles, Barry (1997). Paul McCartney: Many Years From Now. New York: Henry Holt & Company. ISBN 0-8050-5249-6. p. 270–1."
  3. ^ 大津 1994
  4. ^ 村上春樹 雑文集 p. 108
  5. ^ 村上春樹 雑文集 p. 111
  6. ^ SoundTown / THE BEATLES Official Web Site ビートルズ来日時を知る初代ディレクター高島弘之氏に聞きました!