源ノ角ゴシック
様式 | サンセリフ、ゴシック体 |
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デザイナー | Adobe、西塚涼子、Google、イワタ他 |
制作会社 | Adobe |
発表年月日 |
v1.000 2014年7月16日 v1.001 2014年9月12日 v1.002 2015年4月21日 v1.003 2015年6月9日 v1.004 2015年6月15日 |
ライセンス | SIL Open Font License 1.1 |
別名 |
源ノ角ゴシック(日本語) 思源黑体(中国語・簡体字) 思源黑體(中国語・繁体字) 본고딕(韓国語) |
サンプル |
Source Han SansはAdobeがGoogleと共同開発したオープンソースのフォントファミリー[1]。日本語名は源ノ角ゴシック(げんのかくごしっく[2])である。
概要
Source Han SansはAdobeによるオープンソースフォントファミリーの4番目にあたり、日本語と韓国語および中国語で用いる繁体字と簡体字のグリフに可能な限り対応したサンセリフゴシック体。加えて欧文としてSource Sansファミリーのラテン文字、ギリシャ文字、キリル文字も含まれる。フォントファミリーとしてExtraLight(ウェイト 250)、Light(同 300)、Normal(同 350)、Regular(同 400)、Medium(同 500)、Bold(同 700)、Heavy(同 900)の7ウェイトが用意され、合計で約46万グリフとなる大規模フォントファミリーである。CID-keyed OpenType/CFFフォントとして開発され、公開されている。
フォント名は英語のSource Han Sansに加えて対応する各言語ごとにも付けられており、日本語では「源ノ角ゴシック」、中国語では「思源黑体[3]」(簡体字表記)、「思源黑體[3]」(繁体字表記)、韓国語では「본고딕[4]」となっている。
開発はAdobeの西塚涼子を中心に[5]、漢字の日本語部分はアドビ、拡張部分にイワタ、中国語部分にサイノタイプ、韓国語部分にサンドルと各国のフォントメーカーと協力することで各言語への対応を実現している。
このフォントはオープンソースのフリーフォントとしてv1.001以前はApache License 2.0で、v1.002は他のSourceフォントファミリー同様にSIL Open Font License 1.1のもとで公開されており、ライセンスを守ることで自由に再配布や修正、そして派生版の公開を行うことが可能である。
Googleは上記ライセンスのもとでNoto Sans CJKと名付けてリリースしている。Source Han Sansとの違いはフォント名とウェイトの一部の表記のみであり、グリフやテーブルなどはすべて同じである[6]。
Pan-CJK書体
Adobe初のPan-CJK(汎-中日韓)書体ファミリーとして公開[1]され、Unicodeの漢字統合で符号位置が重複している日本語、簡体字、繁体字、韓国語の漢字を別々のグリフとして持っている。
準拠している標準規格は以下の通り。
- 日本語 JIS X 0208、JIS X 0213およびJIS X 0212に対応。
- 簡体字 GB 18030および通用規範漢字表に対応。
- 繁体字 Big5(台湾)およびHKSCS(香港)に対応。
- 韓国語 KS X 1001、KS X 1002に対応。
なお、Adobe-Japan1-6で定義されている漢字グリフを網羅しているが、Adobe-Japan1-6との規格上の互換性はない。
公開されているSource Han Sansは以下の4種類に分かれている。
- 複数言語版(Language-specific[7] OpenType/CFF)
- Source Han Sansのグリフをフルセットで収納しており、Unicodeで符号位置が重複している日簡繁韓の漢字グリフをGSUBのloclで使い分ける手法を採用している。ソフトウェア側がloclでの言語指定機能を実装している必要があり、現在この機能を実装し、かつ正常に動作するのはAdobe InDesignのみである。Source Han Sansはオープンソースとして、多様なソフトウェアの現状に合わせるのではなく、理想の使いやすさを追求しているのが大きな特徴といえる。なお、loclが対応しているのはUnicodeで漢字統合されたグリフのみであり、符号位置が分離している漢字(桟と栈など)には適用されない。そのため言語指定機能ですべての漢字が日簡繁韓に切り替わるわけではないことに注意。
- さらにデフォルトグリフ(CMapで符号位置と結びついてるグリフ)を日・簡・繁・韓の各環境向けに切り替えたものが用意されている。後述する個別言語サブセット版と同様の使い方ができる。
- v1.002よりRegularとBoldの2ウェイトにのみ欧文など(U+0020~U+007E, U+00A0, U+00A5, U+2011, U+20A9)に等幅半角グリフが割り当てられたHW版が用意されている。
- OTC版(OpenType/CFF Collection)
- 複数言語版の「ウェイトが同じ日簡繁韓の4つのフォントファイル」をOpenType Collection[8]として1つのファイルにまとめたもの。CFFテーブルを共有する構造なのでファイルサイズが小さくなっている。今のところOTCをフォントとして認識するのはOS X 10.8以降のみであり、Windowsでは認識されない。
- スーパーOTC版(Super OpenType/CFF Collection)
- OTC版を極限まで追求し、複数言語版の全36ファイル(v1.002)を1つのファイルにまとめたもの。このスーパーOTC版がSource Han Sansの理想型である。[9]
- 個別言語サブセット版(Region-specific Subset OpenType/CFF)
- loclでの言語指定機能を実装していないソフトウェアで使えるように、日・簡・繁・韓の各環境ごとにフォントファイルを分けてシンプルな構造にしたもの。ユーザは言語指定ではなくフォントを指定することで漢字グリフを使い分ける。
- グリフはフルセットではなく、日・簡・繁・韓それぞれのグリフを抜き出したサブセットとなっている。
- HW版は存在しない。
- Adobe Typekitで同期できるのは、この個別言語サブセット版のみである。
複数言語版、OTC版、スーパーOTC版はいずれもフォント名が同じなので、先にインストールされた方のみが認識される。同時に別々に使うことはできない。個別言語サブセット版はフォント名が異なるので別フォントとして同時に使える。
各日本語版はIVSおよびStandardized Variantsの漢字部分に対応している。
なお、Pan-CJKは日中韓に完全対応するフォントの種類を指す場合と、Source Han Sansの日中韓フォント部分そのものとして用いられる場合がある。
Source Han Code JP
Source Han Sansの派生として作られた日本語等幅フォント。日本語環境におけるフォント名は「源ノ角ゴシック Code JP」。個別言語サブセット版の日本語版をベースにして、欧文グリフを「2/3em(3文字で全角2文字分相当)にグリフ幅を変更したSource Code Pro」に置き換えているのが特徴。Adobeのフォント開発チームに所属する服部正貴が個人的に開発を始めた[10]。Adobeのオープンソースフォントのひとつとして公開されている[11]。
関連書体
- Source Sans Pro - 最初のAdobeオープンソースフォントファミリー。ユーザーインターフェイス向けのサンセリフ体フォント
- Source Code Pro - Adobeオープンソースフォントファミリーの2番目。ソースコード表示向けの等幅サンセリフ体フォント
- Source Serif Pro - Adobeオープンソースフォントファミリーの3番目。Source Sans Proに合わせたセリフ体フォント
派生フォント
Source Han Sansのライセンスに基づき、改変と再配布を行っているフォントが複数存在する。下記のフォントについては、派生元のライセンスを継承している。
- 源真ゴシック・源柔ゴシック - Source Han Sansの日本語版サブセットを TrueTypeフォーマットに変換し、縦書きの拡充や行間の調整、M+ OUTLINE FONTS 由来の非日本語グリフの追加などを施したフォント。源柔ゴシックは、同じ仕様のまま丸ゴシック化処理を施したもの。
- 源暎ゴシック - Source Han Sansの日本語版サブセットをもとに、文字形状の改変や従属欧文の大きさ調整などを施したフォント。動画制作におけるテロップ利用を想定して制作された。
- Nasuフォント - 前述の「源真ゴシック」をもとに、半濁点の拡大や、類似した文字の形状変更、行間の調整など、画面表示での視認性向上を意図したフォント。すべてのひらがな・カタカナに合字を用いて濁点や半濁点を付加することもできる。
- Myrica - 前述の「源真ゴシック」のASCII文字のグリフをコーディング用のフォントである Inconsolata のものに置き換え、可読性向上のために、半濁点の拡大や類似した文字の形状変更、ヒンティング情報の付加を行ったフォント。
脚注
- ^ a b “Source Han Sansの紹介:オープンソースのPan-CJK書体”. Adobe (2014年7月16日). 2014年7月17日閲覧。
- ^ “アドビ公式Twitterアカウント(@AdobeCS_jp)によるツイート” (2014年7月16日). 2014年7月19日閲覧。
- ^ a b 読みは"スーユェンヘイティ"。「黑体(黑體)」はゴシック体を意味する。
- ^ 読みは "ボンゴディク"。「고딕」はゴシック体を意味する。
- ^ “The Three Musketeers (三銃士)” (2014年9月24日). 2014年9月24日閲覧。
- ^ Noto Sans CJKの欧文グリフがSource Han Sansと異なるとの誤解が根強いが、両者はまったく同じである。
- ^ v1.000で「Multilingual」と表記されていたが、v1.001で「Language-specific」に変更された。仕様は同一である。
- ^ MS ゴシックやメイリオなどで使われているTrueType Collection (TTC) のOTF版。1つのファイルだがOSやアプリケーションには複数の別フォントとして認識される。
- ^ “Source Han Sans: OTF, OTC, Super OTC, or Subset OTF?” (2014年9月14日). 2014年9月24日閲覧。
- ^ Introducing Source Han Code JP
- ^ adobe-fonts/source-han-code-jp · GitHub
外部リンク
- adobe-fonts/source-han-sans · GitHub
- adobe-fonts/source-han-sans at release · GitHub - フォントファイルのダウンロードはこちらから可能
- Source Han Sans (Mirrored)