GPLフォント例外

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GPL font exception
GPL+FE (GNU GPL with Font Exception).svg
GPL+FEのアイコン(コミュニティによる作成)
作者 David "Novalis" Turner英語版(例外条項の著作者)
公開元 フリーソフトウェア財団
リリース日 2005年4月20日
フリーソフトウェア Yes
GPLとの適合性 Yes
コピーレフト Yes

GPLフォント例外条項(: GPL font exception clause, 短くGPL+FE)とは、GNU General Public License(GNU GPL, 単にGPL)の下頒布されるデジタル・フォントをデジタル・ドキュメントファイル内部に「埋め込む」("embed")[注釈 1]場合、ドキュメント自体の利用許諾条件をGPLとすることなく、それを法的に許可するGPLの追加的条項(optional clause)である。もしくはその例外条項付きGPLのことを指す。この条項が存在しないGPLフォントの場合、デスクトップ・パブリッシング(DTP)に使用される可能性のあるフォントをオープンソース・プロジェクトが頒布する際に法的な矛盾を抱える場合がある[1]

後述の通り、GPLのライセンス発行元であるフリーソフトウェア財団(Free Software Foundation, FSF)はフォントに関してもライブラリのリンク同様(ライブラリ・リンクに関しては当該記事参照)、フォントを埋め込んだドキュメントがフォントの派生物や二次的著作物であると主張している[2]。従ってGPLのコピーレフト要件により、原則GPLフォントを埋め込んだドキュメントはGPLの保護対象となる、すなわちGPLで利用を許諾しなければならない。もしそれが不可能な場合(例えばドキュメントのテキストが独占的条件でのみ利用が許可されている場合)はその結合されたドキュメントは法的には頒布できなくなる。

Free Software Magazineの編集者テリー・ハンコック(Terry Hancock)によると、「他にもいくつかフリーフォント(フリーソフトウェア・フォント)・ライセンスが存在するが、フォント例外条項付きGPLがもっとも単純かつ互換性が高い。」[3]と述べている。

GPL+FEはコピーレフトによるオープンソース・デジタル・フォントの共有のための戦略的手法であり、SIL Open Font License(SIL OFL, OFL)に匹敵するものである。"Libre Graphics Magazine"のデイヴ・クロスランド(Dave Crossland)の説明によると、「コピーレフト・フォントというのは、仮に通常、フォントの利用条件に例外条項が存在しない場合、それを利用するドキュメントに思わぬ影響を与える(出し抜く、overreach)場合がある。そのような例外条項とは即ち、ドキュメントに含まれているテキスト、写真イメージなどの画像図版意匠などが利用の際に要求する許諾条件・ライセンスに影響を与えることなく、フォントの一部とドキュメントを結合する(combine)ことを可能にする追加的許可条項(additional permission)のことである。こんにち、自由な利用を許可するフォント("libre" font)の大半はSIL OFLまたはフォント例外条項付きGNU GPLのようなコピーレフトライセンスで利用が許諾されている(両ライセンスについては、GNUプロジェクトのGPL遵守の為の基準を述べた"GPL FAQ"でも解説されている)。」[4][5]

発端[編集]

フォント例外条項は2005年4月、FSFの「GPLコンプライアンス・エンジニア」("GPL compliance engineer")であるデイヴィッド・「ノヴァリス」・ターナー(David "Novalis" Turner)により策定された。彼の説明によると、「我々が考えている状況とは、フォントが単にドキュメント内で参照されているものではなく、ドキュメント内に埋め込まれているものである。フォント埋め込みとは当該フォントをインストールしていないマシン上でさえもドキュメント作者の意図通りの表示を可能にする。よって、著作物である当該ドキュメントは、当該著作物とは別個の著作物(another work)であるフォント・プログラム[注釈 2]の派生物(derived work)となるであろう。当然だがそのドキュメントのテキストをフォントを組み込まず頒布する場合はなんら制限を受けない。」[6][2]

GPL遵守のため、2007年レッドハットFedoraプロジェクトは、Fedora Linuxと共に頒布するLiberation fonts英語版パッケージ(GPLv2)のライセンスに、フォント利用者側からすれば追加の制限になるにも関わらず、フォント例外条項を追加した[7]。これらのライセンス制限に対する議論はDebianコミュニティにも飛び火し、GPL+FEを懸念するメンバーの間で更なる議論を巻き起こした[8]。Fedora、Debian両コミュニティによる注意喚起によりUbuntuコミュニティもこれに追随し、結果、SIL OFLをベースとしたUbuntu Font Licence英語版を策定した。独自のライセンスを策定したのは、SIL OFLもGPL+FEも共に彼らにとって満足いくものではなかったためである[9]

例外条項の採用[編集]

フォント例外条項をGPLに提示するには、デジタル・フォントの著作者が、頒布するフォントに添付のGPL条文テキストの末端に次の文言を追加する。

As a special exception, if you create a document which uses this font, and embed this font or unaltered portions of this font into the document, this font does not by itself cause the resulting document to be covered by the GNU General Public License. This exception does not however invalidate any other reasons why the document might be covered by the GNU General Public License. If you modify this font, you may extend this exception to your version of the font, but you are not obligated to do so. If you do not wish to do so, delete this exception statement from your version.[10]

以下は試訳である。

特別な例外として、あなた(注: ライセンシー)がこのフォントを利用する文書を作成し、かつこのフォントまたはこのフォントの未改変部分を当該文書に埋め込む場合、このフォントは最終的に生成される文書をGNU 一般公衆利用許諾書の保護下に自発的におく事はない。しかしながら、この例外は、当該文書をGNU 一般公衆利用許諾書の保護下におく可能性があるという他如何なる理由を無効化するものではない。あなたがこのフォントを改変する場合、あなたは、あなたにより改変された当該フォントのバージョン(版)にまでこの例外条項を拡大適用することができるが、あなたはそうする義務はない。あなたがそうすることを望まないならば、あなたの版からこの例外条項を削除せよ。 [10]

これは、フォント例外条項が「例外的に」GPLの保護対象から埋め込み先ドキュメントを外すものであるに過ぎず、「ドキュメントがコピーレフトの影響を決して受けない」という訳ではないということを再確認するものである。またドキュメントをコピーレフトの庇護下におくことを望む場合、フォントのライセンシーがこの例外条項を削除できる。これはフォント例外条項がGPLの追加的許可条項であり、規定によりライセンシーはフォント著作者に無断で任意に追加的許可条項を削除できるためである(GPLv3では第7項に規定されている)。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 例えばPDFではそのようなことは可能である
  2. ^ 後述のメーリングリストでのノヴァリスの発言でも述べられているが、フォント・ファイルというのは、フォントヒンティング・テクノロジーなどのコンピュータ・プログラムを内包している。確かに米国や日本では書体に原則著作性はない。しかしフォント・ファイルはプログラムであるから、著作物として保護される可能性は依然存在する。

出典[編集]

  1. ^ Fedoraプロジェクトによる次の文書"Legal considerations for fonts"(「フォントに関する法的な考察」)とりわけ、"Good font licenses allow embedding"(「フォント埋め込みを許可する良い許諾条件」)を参照せよ。 Good font licenses allow embedding”. fedoraproject.org (2011年3月13日). 2011年10月24日閲覧。
  2. ^ a b Font Licensing”. www.fsf.org (2010年5月17日). 2011年10月24日閲覧。 “[...] Embedding allows a document to be viewed as the author intended it even on machines that don't have that font installed. So, the document (a copyrighted work) would be derived from the font program (another work).[...]”
  3. ^ Terry Hancock (2010年9月26日). “Choosing and Using Free Licenses for Software, Hardware, and Aesthetic works”. www.freesoftwaremagazine.com. 2011年10月24日閲覧。
  4. ^ Dave Crossland (2011年). “Copyleft Business(コピーレフト・ビジネス) (PDF)”. Libre Graphics Magazine, volume 1 issue 2, 2011. libregraphicsmag.com. pp. 12-13. 2011年10月24日閲覧。
  5. ^ Dave Crossland (2011年7月17日). “Copyleft Business”. understandingfonts.com. 2011年10月24日閲覧。
  6. ^ 次のメールは、GPLフォントのライセンス遵守に関しての質問に対するノヴァリスの回答が引用されている(Scribusメーリングリストにて)。 Desjardins, Louis (2005年4月20日). “[Scribus] Response from the FSF about GPL fonts”. scribus mailing list.. http://lists.scribus.info/pipermail/scribus/2005-April/018877.html 
  7. ^ Licensing:LiberationFontLicense”. fedoraproject.org (2006年12月21日). 2011年10月24日閲覧。
  8. ^ Baghumian, Alan (2007年5月12日). “License question: GPL+Exception”. debian-legal mailing list.. http://lists.debian.org/debian-legal/2007/05/msg00039.html 
  9. ^ The Ubuntu font and a fresh look at open font licensing”. LWN.net英語版 (2010年10月13日). 2011年10月24日閲覧。
  10. ^ a b How does the GPL apply to fonts?”. www.gnu.org (2011年10月14日). 2011年10月24日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]