OVA

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OVAオーブイエー)は、アニメオリジナルビデオのこと。記録媒体(VHSLDDVDBDなど)での発売またはレンタルを主たる販路として作られる商業アニメ作品。オリジナル・ビデオ・アニメーション[注釈 1]の略称である。

概要

黎明期は「オリジナル・ビデオ・アニメーション」の略称とされたが、後に「オリジナル・ヴィジュアル・アニメーション」[注釈 2]の略称ともされるようになった。

人気が出れば後にテレビ放送や劇場公開されたり、テレビアニメの続編がOVAで制作される場合もある。また、深夜アニメの定着に伴い、衛星放送独立局などで先行放送される場合も増えている。黎明期には「OAV」(オリジナル・アニメーション・ビデオの略称)という呼称もよく用いられたが、「AV」が「アダルトビデオ」や「オーディオ・ビジュアル」の略称と間違われやすいため、徐々に用いられなくなっていった。2014年時点では、学習研究社の『アニメディア』やエイ・ワン・シーアダルトアニメで用いられる程度であり、かつてほどではない。また、黎明期にOVAという表記を初めて用いたのは角川書店の『月刊ニュータイプ』のみであり、他誌ではOAVという表記であった。なお、同誌は誌内の1コーナーにおいてOVAを「オヴァ」と読むことを推奨していたが、当時はOAVの方が一般的であった。

LDのみでリリースされる作品の場合、「OLA」(オリジナル・レーザー・アニメーション)と称されたこともある(詳細は炎の転校生#OVA版を参照)。

2010年前後の時点で、すでにDVDやBDなどのディスクメディアがVHSなどのテープメディアに取って代わる存在となっていたことに起因し、「OAD[注釈 3]という名称が用いられる場合がある。これは、主に同時期の講談社が自社の単行本の初回限定版の付録とした場合に用いられる名称であったが、それ以降は出版社を問わず単行本付録のアニメDVD/BDの名称として一般化しつつある[1][2]

ネット配信業者(Netflixなど)は、OVAやオリジナルビデオ、ビデオスルーを区別せずに、すべてオリジナルビデオとしている。

歴史

1983年に第1号となる『ダロス』が発売され、元々テレビアニメの却下作品をビデオ向けにストーリーを再構築した上で製作されたものである[注釈 4]

販売代金だけで製作費の回収が可能であることが判明すると、多くの発売・販売元から続々と多数のOVAが発売され始めた。その後、OVAのオリジナル作品は1980年代中盤から1990年代後半までにおけるハイターゲット向けアニメの発表の場として重要な位置を占めるようになり、基本的にVHSLDといった映像媒体でのリリースを主とし、OVA全盛期以降に展開したハイターゲット向けアニメの劇場向け作品も、作品の配給収入よりもビデオグラム版の売上の方が上となる作品の方が殆どとなった。2000年代以降、完全新作のOVAは昔から展開されているものの続刊のシリーズ作品が殆どとなった替わりに[注釈 5]深夜アニメを主としたテレビアニメ[注釈 6]に軸足を移したため、深夜アニメの続編やサブストーリーをOVAで展開しているケースの方が多く診られる。

子供向けのOVAは、基本的に名作童話をアニメ化したものや、児童・少年向け雑誌の応募者全員サービスなどでよく診られ、LDでの発売はほとんどなく、2002年ごろまではVHSのみでの展開でかつハイターゲット向けよりも低価格での販売が主体であった。前者のものは1988年に『ビデオ絵本シリーズ』の5,000円台を切る低価格展開が幸を奏したのを境に、乗り物映像を集めただけの映像集と共に子供向けOVの主軸を担うようになった。後者のものは小学館が積極的に製作されており、収録作品に関連したコマーシャルを開始前に挟むことで、テレビアニメ版の映画化作品よりも低価格で提供されていた。また、メジャーな作品を題材としたものが主体である。オリジナル作品が主体だが、稀にテレビアニメのパイロット版をOVAに転用した例も存在する[注釈 7]。2000年代中盤以降、幼児・児童向け雑誌の付録DVDにOVAを収録させる事例も診られるようになった。

一方、原作となる漫画ライトノベル単行本の限定版付録としてOVAの収録されたDVD/BDを収録するケースも多く、単行本単体よりも高価格で提供されている。この場合、販売側には発売前に予約を受注するために生産数を把握しやすい利点があるが、初回限定生産の事例が多いため、発売時に買い逃すと入手困難になることも多い。

脚注

注釈

  1. ^ : original video animation
  2. ^ : original visual animation
  3. ^ : original animation disk
  4. ^ 当該作はお蔵入りではないため、ビデオスルーではなく、オリジナルビデオに分類される。
  5. ^ ただ、この頃を境にシリーズ展開を打ち切る作品が年を追うごとに増えていったため、完全新作かつ単独作品のOVAは少なくなったものの、『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』のようにコンピューターゲーム専門店にも流通したことで一定の売り上げを確保した作品も存在する。
  6. ^ 基本的に地上波での展開は主要都市圏に限られることから、地上波での視聴はあまり重視されておらず、UHFアニメは深夜アニメとしての放送が圧倒的に多い。DVDやBDの売り上げ収入に加え、2010年代以降はBS放送dアニメストアを柱とした定額制動画配信サービスでの視聴を主としている。聖地巡礼を意識した作風のご当地アニメは舞台となった地域を対象とした地上波局でも放送され、2010年代終盤以降の一部作品や人気の高い深夜アニメは全国放送されることもある。
  7. ^ テレビアニメ版の開始前年に製作された『とっとこハム太郎 アニメでちゅ!』(1999年)など

出典

  1. ^ “「藤田和日郎魂」付録にOAD「からくりの君」決定”. コミックナタリー (ナターシャ). (2009年7月1日). https://natalie.mu/comic/news/18232 2020年8月7日閲覧。 
  2. ^ “アニメ化決定の『今日、恋をはじめます』よりキャストインタビュー!”. アニメイトTV. (2010年5月11日). オリジナルの2010年5月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100514025612/http://www.animate.tv/news/details.php?id=1273560070 2020年8月7日閲覧。 

関連項目