MTUフリードリヒスハーフェン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。HTTH (会話 | 投稿記録) による 2015年12月14日 (月) 16:41個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

MTUフリードリヒスハーフェン(MTU Friedrichshafen)とは、ディーゼルエンジン製造を中心とするドイツの企業である。

概要

MTUとはドイツ語のMotoren- und Turbinen-Union、すなわち「エンジン及びタービン連合」の頭文字を表す。

製造するエンジンは鉄道車両用、船舶用、軍用車両用、農業機械用、鉱業用、建設機械用、産業用などであり、発電機と組み合わせた発電セットや溶融炭酸塩形燃料電池などの製造も行っている。

歴史

設立

ツェッペリン飛行船の開発者として知られるフェルディナント・フォン・ツェッペリンが、自身のための近代的な自動車を設計したヴィルヘルム・マイバッハの提案を受け入れて設立したLuftfahrzeug-Motorenbau(ルフトファールツォイク・モトーレンバウ、直訳すれば「航空機エンジン製造」)がルーツである。起業の目的は航空機エンジンの製造であるが、その技術をベースに自動車や船舶のためのエンジン開発も視野に入れていた。設立は1909年3月23日、ドイツのビーティッヒハイム=ビッシンゲンにおいてであった。初めて製造されたエンジンはマイバッハの息子、カール・マイバッハが設計したものであった。

1912年フリードリヒスハーフェンに移転し、第一次世界大戦後の1918年マイバッハ・モトーレンバウ・フリードリヒスハーフェンと改称し、マイバッハの名の下に 自動車用エンジンの製造を開始した。同時に、アルファベットのMを重ねて三角形にした新たな企業ロゴを採用した。このロゴは意匠を変えて現在も使用されている。

ダイムラー・ベンツ傘下に

1960年ダイムラー・ベンツにより買収された。1963年、ダイムラー・ベンツはメルセデス・ベンツ・モトーレンバウ・フリードリヒスハーフェンを設立し、大型エンジン製造の機能をポルシェ・ディーゼルから引き継いだフリードリヒスハーフェンの別の工場に移転した。

1966年、マイバッハ・モトーレンバウとメルセデス・ベンツ・モトーレンバウはダイムラー・ベンツの大型エンジン部門として組織を統合し、マイバッハ・メルセデス・ベンツ・モトーレンバウとなった。

1969年7月11日、ダイムラー・ベンツとMANはフリードリヒスハーフェンとミュンヘンにMTUを設立。マイバッハ・メルセデス・ベンツ・モトーレンバウなどの事業は整理され、MTUフリードリヒスハーフェンが1000馬力から1万馬力の高速ディーゼルエンジンを、MTUミュンヘン(現MTUエアロ・エンジンズがより高度なエンジンの製造と開発を行うこととした。

1994年9月、MTUフリードリヒスハーフェンはデトロイト・ディーゼルDetroit Diesel)との協業を開始した。デトロイト・ディーゼルはゼネラルモーターズのディーゼルエンジン製造部門が分社化されていた企業である。

ダイムラー・クライスラー傘下からトグナム傘下へ

1998年、ダイムラー・ベンツがクライスラーを買収してダイムラー・クライスラーとなり、2000年にはダイムラー・クライスラーがデトロイト・ディーゼルを買収。傘下にエンジン製造部門を2社抱えることとなった。

2006年、ダイムラー・クライスラーは経営を自動車製造に集中するために、MTUフリードリヒスハーフェンとデトロイト・ディーゼルが製造するエンジンのうち、オフ・ハイウェイ部門(自動車用途以外、すなわち建機などの部門)をプライベート・エクイティ(未公開株を取得し、株式公開や売却で利益を得るファンド)であるEQTパートナーズEQT Partners)に売却した。EQTは両社をグループ化し、トグナムTognum)を設立した。

2011年3月9日ダイムラー及びロールス・ロイスはトグナムに対し、共同で33億ユーロでの買収を提案した。

日本におけるMTU製品

1998年より富永物産が販売・サービスの代理店契約を結び、日本国内での事業展開を開始。2001年にはMTU Japanが設立され、 海上保安庁や建機メーカーなどに製品を納入してきた。また、それらの動きとは別に、総合商社の丸紅防衛省にそれぞれMTU製品の購入を働きかけてきたが、2008年11月17日にMTUと丸紅が合弁事業を開始することに合意。2009年1月、MTU JapanをMTU-Marubeniに改称し、総代理店となった[1]

1962年三菱重工業DD91形ディーゼル機関車を試作し、日本国有鉄道がそれを試用した。その結果を踏まえて1966年から量産されたのがDD54形である。この形式にはライセンス生産のMD870形V型16気筒エンジン(国鉄形式はDMP86)が1基搭載された。

JR貨物は、DF200形ディーゼル機関車のうち初期(1992年以降)に製造した車両にMTU製12V396TE14型エンジンを2基搭載している。この396シリーズエンジンはMTUのベストセラーモデルで、1万基を超える数が製造されている。

脚注

  1. ^ ニュースリリース

関連項目

外部リンク