M2 107mm迫撃砲

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朝鮮戦争で使用されるM2 107mm迫撃砲。1952年撮影

M2 107mm迫撃砲(エム2 107ミリはくげきほう、M2 4.2"(107mm)Mortar)は、アメリカ軍第二次世界大戦頃より使用していた重迫撃砲である。

陸上自衛隊でも107mm迫撃砲(初期には4.2インチ迫撃砲とも)として採用しており、普通科連隊の重迫撃砲中隊が運用していた。

概要[編集]

アメリカ軍1928年に採用したM1 107mm迫撃砲に射程を大幅に延伸する改良を行ったものである。砲身内部には迫撃砲としては珍しくライフリングがあるため、砲弾も後部に安定翼が無く榴弾砲用の砲弾と変わらない形状をしている。移動にはM1A1という専用の荷車が用意されており、人力で運搬する事ができた[1][2]

アメリカ軍[編集]

アメリカ軍では陸軍の各師団の隷下にある化学迫撃砲大隊に配備された。本来は化学兵器の投射を目的として編成された部隊であったためマスタードガスを充填した毒ガス弾も用意されていたが、同大隊が実戦で毒ガス弾を発射することは無く、専ら歩兵連隊連隊戦闘団)へ榴弾による火力支援を提供する重迫撃砲大隊として運用された。

1943年ハスキー作戦シチリア上陸作戦)が初の実戦投入となり、歩兵連隊の砲中隊に配備されていたM3 105mm榴弾砲と比較すると射程に劣るが榴弾火力で上回ったため高く評価された。朝鮮戦争中の1951年に後継のM30 107mm迫撃砲が制式採用されたが、朝鮮戦争が終わるまでは使用が続けられた。退役後は西側諸国に供与され、現在でも多くの国で現役である。

陸上自衛隊[編集]

陸上自衛隊において本砲は、普通科連隊重迫撃砲中隊に配備されて、連隊における主たる直掩火力として運用された。普通科連隊が保有する最大火砲であり、通常は、73式中型トラックに積載されて移動し、射撃時は卸下したのちに陣地に設置して使用された。また、陸自でも専用カートをM1A1運搬車として装備しており、迫撃砲本体155キロと砲弾や装備などを積載して、300キログラムにもなる荷物を人力で運搬した。しかしながら、その重量などから移動・展開が困難であったため、運用中の制限があった。

このことから、平成4年(1992年)度より、120mm迫撃砲 RTに更新されて退役を開始した。120mm迫撃砲 RTは、砲架に車輪が装着されていることから牽引が可能となり、機動性が向上したほか、射程や榴弾威力などの性能も全般に向上している。2010年度、第9師団第11旅団および第1混成団の即応近代化師団/旅団への改編に伴って、隷下の普通科部隊が保有していた砲の更新を完了し、運用を終了した。

諸元・性能[編集]

諸元

性能

  • 俯仰角: 45-60度
  • 旋回角: 左右7度
  • 最大射程: 500-4,000m
  • 発射速度: 20発/分(最大), 5発/分(持続)

砲弾・装薬

  • 弾薬: 重量:11.3kg


弾種
種類 型番 重量(kg) 内容物 初速(m/s) 射程(m)
榴弾 HE M3 Shell 11.11 TNT, 3.64 kg 256 4,023
発煙弾 WP M2 Shell 11.57 白リン弾(WP) 250 3,932
化学兵器 H M2 Shell HD, 2.7kg, or
HT, 2.6kg

関連項目[編集]

外部リンク[編集]