D1ライツ
D1ストリートリーガル(でぃーわんストリートリーガル、D1 STREET LEGAL)は、主にドリフト走行によって競われるモータースポーツの一カテゴリー。2005年に全日本プロドリフト選手権(D1グランプリ)の下位カテゴリーとして新設された。略称はD1SL。
自動車メーカーのワークス参戦を禁止し、参加車両には車検の取得を義務付ける[1]など(D1グランプリでは車検の取得は義務付けられてはいない)、実際に公道を走っている改造車両による大会として明確に位置づけられている。
初年度の2005年は試験的な実施のため「過去にD1グランプリ出場権利を保有していたことがある選手」にエントリー資格を絞っていたが、2006年からはストリートリーガル単独開催のみエントリー資格の制限を外し誰でも参加可能とし、よりD1グランプリのステップアップカテゴリーとしての色彩を鮮明にした。ただ参加者のさらなる増加の結果、2010年現在は「D1GPもしくはD1SLライセンス保持者」に参戦資格を限っている(詳細は全日本プロドリフト選手権#出場条件を参照)。
D1 DIVISIONAL SERIES(地方戦)、D1レディースリーグ等の下位カテゴリーについても本記事で扱う。
カテゴリー構成
2011年現在は以下のような構成となっている。
D1SL インターシリーズ
D1GPの直下に位置するシリーズ。出場にはD1SL-A以上のライセンスが必要。2011年は全6戦で争われる。シリーズ上位30名は、11月に開催される「SL統一全国大会」への出場が可能。
D1SL 東日本・西日本
D1SL インターシリーズの下位に位置するシリーズで、2010年より発足。出場にはD1SL-B以上のライセンスが必要。2011年は東西とも各4戦ずつで争われる。各シリーズ上位10名は「SL統一全国大会」への出場が可能。
D1 DIVISIONAL SERIES
いわゆる「地方戦」。D1全体のピラミッドの中で最も下に位置するシリーズで、ルーキー講習会を受講してD1Eライセンスを取得すれば出場可能(逆にD1GPライセンス保持者の出場は不可)。2010年は6シリーズが開催された。2010年より、各シリーズのポイントランキング10位以内の選手には「地方戦全国大会(MSF SHOOTOUT)」の出場権が与えられ、地方戦全国大会で3位以内に入ると一気にD1GPライセンスが取得できる。
なおDIVISIONによっては、地方戦クラスの下にさらに「ビギナークラス」を設けているケースもある。ビギナークラスについてはDIVISIONによって必要な参戦資格が異なることがあるので(「運転免許所持者なら誰でも参戦可」としているところもある)、参加の際は事前に各DIVISIONの主催者に確認することが推奨される。
D1レディースリーグ
読んで字のごとく、ドライバーを女性に限定したシリーズ。2010年より発足。出場資格はD1E以上のライセンスとなっており、地方戦同様ルーキー講習会を受講するだけで参戦できる。2011年は全7戦で行われる(ただし最終戦はチャンピオン決定戦として、ポイント上位8名のみ出場可能)。
D1GPとの車両レギュレーションの違い
ボディモノコックの大幅改造以外が認められているD1GPに比べると、大幅に改造内容が制限されている。
- エンジンスワップの制限
- 基本的に形式ラインナップ内のエンジンまでに制限される。具体的にはS15型シルビアSpec-S改Spec-R仕様(SR20DE→SR20DET)は許可されるが、他形式、他メーカー、異なる気筒数のエンジンを搭載するのは許可されていない(4A-G→SR20、RB20→SR20など)。ただし、同形式の排気量アップ(RB20→RB25・RB26、1JZ→2JZなど)、特例としてCA18→SR20、3A-FE→4A-Gの変更は認められている(改造公認車検の所得が条件である)。
- 2006年シーズンまでは同形式の排気量アップも認められておらず、HCR32型スカイラインGTS-tにRB26DETTを積むのは許されていなかった(そのため2005エキシビジョンでは、Bee☆RがあえてHCR32でなく、BNR32改2WD仕様を使っていた)。
- ボルトオンターボやスーパーチャージャー、ナイトラス・オキサイド・システム(NOS)の装着は認められている。実際に300ps申告をしているハチロク(ボルトオンターボ)や、1000ps申告をしているアリスト(ツインターボに、さらにNOSを使用)が存在している。これらのものを装着した場合はマシンスペック申告用紙に各種過給装置の詳細を記載しなければならない。
- メーカー車の標準装備(トヨタ自動車のMR-S等)以外のシーケンシャルミッションの使用禁止、安全タンクの使用禁止
- 両者ともに改造価格が非常に高額になってしまう事と、ストリート仕様とかけ離れるため。
- 内装、ドアのフルオリジナル化、オーディオ取り付けの義務化、6点式ロールケージ+サイドバーの取り付け義務、ロールケージパッドの取り付け義務
- これもストリート仕様遵守のため。ただしドアとロールケージのサイドバーが干渉する場合には、その部分の内装除去が認められている。ロールケージはD1GP同様にTボーンクラッシュや横転の危険があるため、それに対する予防。ロールケージパッド装着義務については、安全対策の他にも、パッドが無い場合は車検に通らないためである。また、ロールケージによって後部座席の空間が確保出来ない場合には、2人乗車で改造車検を取る必要がある。
関連記事
- 2006年度、セキアヒルズDECサーキットにおいてD1グランプリ、D1ストリートリーガル共に開催史上初となるFF車・ホンダ・シビック(EG6)が吉村琢也選手によって本戦出場を果たしている(出場カテゴリーはD1ストリートリーガル)。
- 2006年度第7戦、セキアヒルズDECサーキットにおいて、相田幸夫選手が開催史上初となる軽自動車、スバル・レックス(KH3)によって本戦出場を果たしている[2]。
- 最高齢出場者はDaiの59歳。そして最高齢優勝者は岡村和義選手の47歳。
- 最年少出場者は16歳の現役高校生・金岡真矢選手。特例で出場を認められた[3]。
過去の総合優勝者
- 第1回大会(2006年)・・・萩迫貴史 - 車両:日産・シルビア (PS13)
- 第2回大会(2007年)・・・松川和也 - 車両:日産・180SX(RPS13)
- 第3回大会 (2008年 ・・・末永直登 - 車両:日産・シルビア(PS13)
- 第4回大会(2009年)・・・中村直樹 - 車両:日産・シルビア(S15)
- 第5回大会(2010年)・・・中村直樹 - 車両:日産・シルビア(PS13)
- 第6回大会(2011年)・・・田中省巳 - 車両:日産・シルビア (PS13)
スケジュール・優勝者
2005年
2006年
- Round1(2月4・5日) セキアヒルズDECサーキット・・・末永正雄 - マツダ・RX-7(FD3S)
- Round2(4月15・16日) エビスサーキット・・・末永正雄 - マツダ・RX-7(FD3S)
- Round3(4月29・30日) スポーツランドSUGO・・・猪瀬徹 - 日産・シルビア(S15)
- Round4(5月13・14日) 富士スピードウェイ・・・福山博行 - 日産・シルビア(PS13)
- Round5(7月29・30日) オートポリス・・・岡村和義 - 日産・シルビア(S15)/萩迫貴史 - 日産・シルビア(PS13)[4]
- Round6(8月26・27日) エビスサーキット・・・古口美範 - トヨタ・チェイサー(JZX100)
- Round7(11月11・12日) セキアヒルズDECサーキット・・・日比野哲也 - 日産・シルビア(S14)
2007年
- Round1(2月3日・4日) セキアヒルズDECサーキット・・・松川和也 - 日産・180SX(RPS13)
- Round2(5月25日・26日) 鈴鹿サーキット・・・駒形行春 - スバル・インプレッサ(GDB)
- Round3(6月8日・9日) スポーツランドSUGO・・・堀野仁 - 日産・シルビア(S14)
- Round4(8月24日・25日) エビスサーキット・・・松井有紀夫 - 日産・180SX(RPS13)
- Round5(11月10日・11日) セキアヒルズDECサーキット・・・萩迫貴史 - 日産・シルビア(PS13)
2008年
- Round1(4月13・14日) エビスサーキット南コース・・・末永直登-日産・シルビア(PS13)
- Round2(5月24日) 鈴鹿サーキット・・・末永直登-日産・シルビア(PS13)
- Round3(6月28日) 岡山国際サーキット・・・中村直樹-日産・シルビア(S15)
- Round4(8月30日) エビスサーキット南コース・・・末永直登-日産・シルビア(PS13)
- Round5(9月20・21日) 日本海間瀬サーキット・・・軸屋清文-日産・シルビア(S15)
- Round6(10月15・16日) DECセキアヒルズサーキット・・・末永直登-日産・シルビア(PS13)
- ROUND7(12月14日) 筑波サーキット・コース2000・・・末永直登-日産・シルビア(PS13)
脚注
- ^ 当然ながら大会当日に車検の期間が無ければならない。
- ^ 本来は単走の進入速度が時速100キロを超えないと追走はできないのだが、特例で追走が認められた。走りは審査員いわく「もしウェットコンディションだったら間違いなく表彰台まで登りつめてくる」といわしめたほどのテクニックを出していた。
- ^ フォーミュラの経験、D1SL地方戦で上位に入ったため。
- ^ 決勝戦でのダブルクラッシュで両者走行不可能となったため、同時優勝というケースが取られた。