ロールケージ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

ロールケージ英語:roll cage)とは、事故による横転( roll over )などから乗員スペースを保護するため、自動車農機具に組み込まれるアルミ等のパイプで作られたフレームである。また、ロールオーバーバーroll over bar 、しばしば単に「ロールバー」)、ロールフープroll hoop)もこの定義に当てはまるが、ロールケージは特に"かご"(cage)のように乗員スペースを囲うような構造のものを指す。

なお、日本ではロールケージをロールゲージと表記する例が散見されるが[1]ケージ = cageは「檻やかご」、ゲージ = gaugeは「規格、基準、計量器」などの意味であり誤りである。またその見た目から、俗にジャングルジムと呼ばれることもある。

使用する自動車[編集]

ロールフープの例
ヘッドレスト後部の逆U字形の部品
ダイハツ・コペン

多くのカテゴリの競技車両に装着され、主要なカテゴリでは、規定に合致したロールケージの装着を、技術規則(レギュレーション)で義務づけることで、クラッシュ時のドライバーの安全性を確保している。

また、オープンカーは横転時に容易に乗員が死亡する恐れがあるため、ほとんどのサーキットではオープンカーの走行時には最低限、座席の後方にとりつけて横転時に乗員の生存空間を確保するための「ロールバー」の装着を義務づけている。また、近年では同様に安全性の向上を目的として、ロールバーが装着された農業用トラクターも存在する(後述)。これは状の「ロールケージ」よりも簡素なものであるが、実際に横転した場合には生死を分けることとなる。こうした事情から、一部のオープンカーは市販時にロールバーをつけている(あるいはオプション装備としている)ものもある。

車体剛性の向上[編集]

本来の目的である安全性の向上以外に、ドアや窓など大きな開口部のある部分にフレームを組み込むことになるため、車体に密着させたり、ボルト溶接で固定し、車体剛性の強化による走行性能の向上を副次的な目的とすることも多い。なお、車体にプレートを挟んでボルト接合してあるものや、内装を残したままその内側に取り付けるようなものは車体剛性の向上にはあまり寄与せず(全くないわけではないが)、もっぱら乗員保護が目的であると考えたほうが良い。なお、日本自動車連盟(JAF)の定めるN1規定では、ロールケージは全てプレートを挟んだボルト接合とされており、不必要な剛性向上を避けるようになっている(ラリーカーにおいてはロールケージの変形によって失格となるため、ボディとロールケージには大きな隙間があいていることが多い)。

ロールケージ自体をサスペンション取り付け部など車体主要部分に固定したり、ベース車両のフレームを置き換えるパイプフレームを固定するなどして車体構造での大きな役割を持たせる場合もある。

法的な取り扱い[編集]

特に断り書きなき限り、日本国内での取り扱いについて記述する。

ロールケージは公道でも使用することができるが、以下のような制限がある。

  • 乗員保護のため、ロールケージには緩衝材(パッド)を巻かなければならない。最低でも乗員の頭が接触しそうな箇所についてはパッドを巻く必要がある。これがないと車検に合格しない。
  • 乗員の正常な着座姿勢を妨害するようなものであってはならない。運転手の搭乗に問題のあるロールケージは無いと考えて良いが、後部座席を考慮していない場合もあるので注意が必要である。そのような理由で(あるいはリアシートの取り外しが必須な場合などで)乗車定員に変更をきたす場合は、乗車定員変更の申請を行う必要がある。

欠点[編集]

  • ロールケージの装着で必然的に車両重量が増加する。
  • フロント側のルーフを這わせるタイプのものは、純正のサンバイザーが干渉し、これを使用できなくなる。
  • 車内にパイプを這わせるため、搭乗口および車内空間が狭まり、乗降性および快適性が損なわれる。
  • 車体に何らかの加工を施すことが多く[2]、後に取り外したとしても、中古車として売却する際、査定に影響することが多い。

農業用機械におけるロールバー[編集]

農機でのロールバーの例
ヤンマー・AF220s

農機はかつて、いわばオープンカーのような状態のモノが多かった。そのため、横転時に乗っていたトラクターなどに潰されることによる死傷事故が発生していた。その対策として、安全上の理由からこのロールバーに近い安全フレーム(ROPS・ロプスとも呼ばれる)を備えているものが増えてきている。 安全キャブ・フレームをトラクターに付けよう!

脚注[編集]

  1. ^ レーサー土屋圭市もDVDなどで『ゲージ』と発言している。
  2. ^ ダッシュボードに穴を開け、そこを貫通させる形式のものもある。