コンテンツにスキップ

D1-VTR

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。RedBot (会話 | 投稿記録) による 2011年9月22日 (木) 12:40個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (r2.5.2) (ロボットによる 変更: it:D1 (standard di videoregistrazione))であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

D1-VTRとはITU-R BT601フォーマット(4:2:2コンポーネント方式)で符号化されたデジタルビデオ信号を、3/4インチカセットテープに非圧縮で記録するビデオテープレコーダ(VTR)である。サンプリング(標本化)周波数は輝度信号Yが13.5MHz、色差信号R-Y,B-Yが各々6.75MHzである。D1-VTRの入出力インターフェースを「D1」と呼ぶこともある。

1982年に日米欧で共通のデジタルビデオ記録・伝送フォーマットを策定する目的で標準化が行われた。この結果決まった4:2:2コンポーネント符号化規格がCCIR R601規格、現在のITU-R BT601である。続いてこの方式によるVTRの規格化が行われ1986年にCCIR R657として規格制定後アンペックスソニーBTS(フィリップスとの合弁放送機器メーカー、その後フランスのThomsonに買収され現在はThomson Grass Valleyが継承)が対応するVTRを発売した。

SDTV用としては最高画質でありテレビコマーシャル編集コンピュータグラフィックスの出力など高画質を要求される分野で用いられるが放送局では機器が高価なこと(VTRだけでなく編集設備もコンポーネント信号に対応させる必要がある、コンポジット映像信号用機器も残るので変換機器が必要など)、ビデオテープのランニングコストが高いことなどからD2-VTRの方が普及した。

D1-VTRの入出力インターフェースは当初ECLレベルのパラレル式(ITU-R BT.656)であったがソニーが同軸ケーブルを用いたシリアル伝送方式を開発・普及させた(SMPTE 259Mとして規格化。SDIあるいはSD-SDIともいう)ため、のちの圧縮技術を用いたデジタルVTRの多くがインターフェース規格として採用した。また、プロダクションスイッチャ等のビデオ編集・制作機器も「D1」信号に対応した製品が普及している。

D1 フォーマット概要

※525/59.94/2:1インターレース方式の場合を"525”、625/50/2:1インターレース方式の場合を"625”と付記。

  • 記録方式:ヘリカルスキャン方式
  • ヘッドドラム回転数:150Hz/1.001(525)/150Hz(625)(9,000rpm)
  • 記録ヘッド数:4
  • 総トラック数/sec:600track/sec(10track/Field:525/12track/Field:625)
  • ヘッドドラム径:75mm
  • 巻き付け角:約270°
  • ヘッド相対速度:約35.6m/s
  • 記録トラック幅:35μm
  • トラックピッチ:45μm(内、ガードバンド10μm)
  • アジマス角:0°
  • カセットテープサイズ: 254×150×33mm(M)、他にLとSがあり
  • テープ磁性体:酸化鉄塗布型(保磁力:850 Oe)
  • テープ幅:19mm(約3/4インチ)
  • テープ厚:16μmまたは13μm
  • テープ送り速度:約286.6mm/s
  • 記録時間:94分(13μmテープ、Lカセット)
  • 信号記録方式:デジタル記録
    • 情報源符号化方式
      • 映像:4:2:2コンポーネントデジタル * 8bit量子化 * 8-8変換(非圧縮)
        • 映像帯域幅(±0.1dB) - Y:5.75MHz、B-Y/R-Y:2.75MHz
        • 標本化周波数 - Y:13.5MHz、B-Y/R-Y:6.75MHz
        • 総サンプル数/line - 858(525)/ 864(625)
        • 有効サンプル数/line - 720(525/625)
        • 総記録ライン数/Frame- 500(525)/ 600(625)
      • 音声:非圧縮 48kHz/20ビット直線量子化×4ch *2重書き
    • チャネル記録速度:約80Mbps/ヘッド(正味、約176Mbps)
    • 記録(チャネル)符号化方式:スクランブルドNRZ*RS積符号(Inner[60,64]/Outer[30,32])

規格名称

  • CCIR Recommendation 657:Digital Television Tape Recording
  • SMPTE 224M:SMPTEによる記録方式規格
  • SMPTE 225M:磁気テープ規格
  • SMPTE 226M:テープカセット規格(D1/D2共通)
  • SMPTE 227M:テープへの記録フォーマット(映像データ)
  • SMPTE 228M:同上(タイムコード、制御、キューデータ)
  • SMPTE 125M:パラレルインターフェース規格
  • SMPTE 259Mシリアルデジタルインターフェイス規格

関連項目