AR-18
AR-18 | |
AR-18 | |
---|---|
種類 | アサルトライフル |
製造国 |
アメリカ合衆国 日本 イギリス |
設計・製造 |
アーマライト 豊和工業 スターリング・アーマメント |
年代 | 1963年-現代 |
仕様 | |
種別 | アサルトライフル |
口径 | 5.56mm |
銃身長 | 463mm |
ライフリング | 6条右転 |
使用弾薬 | 5.56x45mm |
装弾数 | 20発/30発/40発(箱形弾倉) |
作動方式 |
ガス圧作動・ショートストロークピストン方式 ロータリーボルト/マイクロロッキングラグ閉鎖 |
全長 |
733mm(折り畳み時) 970mm |
重量 | 3,170g |
発射速度 | 800発/分 |
銃口初速 | 1,000m/秒 |
有効射程 | 460m |
歴史 | |
設計年 | 1963年 |
配備先 | イギリス警察 |
関連戦争・紛争 | 北アイルランド紛争 |
バリエーション |
AR180 AR-180B AR18S AR180S |
AR-18は、1963年にアーマライト社で開発された、アーサー・ミラー設計によるアサルトライフルである。国家に制式採用される事はなかったものの、後のアサルトライフル開発に大きな影響を与え、多くの派生した製品が生まれた。
概要
高度な設備を持たない工場でも生産可能なAK(AK-47)をコンセプトに1956年に設計されたアーマライト AR-16をベースに、アルミ合金のレシーバーを採用したAR-15から、スチールプレスを多用した製造法に変更されている。
ボルトの閉鎖にはAR-15と同じマイクロロッキングラグを備えた回転ボルトを用いているが、リュングマン式ではなく、M1 カービンや SKS カービンと同系のショートストロークピストン方式となっている。
ストックは、サイドスイング式の収納を可能にし、空挺部隊や車輌部隊にも配慮されていたが、蝶番部分とロック部が脆弱なため、すぐにガタが来る点で不評を買った。
ボルトキャリアのコッキングハンドル部は、M1 ガーランドやM14、AK-47と同じくボルトと連動しているため、不完全閉鎖などのトラブルが発生した際には、掌などで強制的に前進させて閉鎖する事が可能であり、この点ではボルトを直接動かすことのできないM16より優れている。
派生した製品
AR-18は、安価なアサルトライフルであり、"西側寄り発展途上国のための AK"を目指した製品だったが、AR-15を発展させたM16が大量生産されて一挺あたりの単価も安くなり、これが輸出されることでAR-18をわざわざライセンス生産する意義が失われ、軍の主要装備として採用する国は現れなかった。
しかし、M16のリュングマン式と、そのデザインに由来する作動不良を忌避した多くの諸国では、AR-18を参考としたショートストロークピストン方式とマイクロロッキングラグを備え、形状もAR-18に類似したデザインのアサルトライフルを開発した。
AR-18および180のライセンス生産は、日本の豊和工業、イギリスのスターリング・エンジニアリング社、中華民国国軍で行われたが、後にシンガポールのCIS社に製造権が売却・譲渡され、改良型のSAR-80(en)やSR-88(en)が製造されている。
AR-18を参考としたアサルトライフルは、ベレッタ AR70/90やH&K G36など多数に上り、その影響はM16よりも大きなものとなった。かつてライセンス生産していたメーカーも独自の銃を開発している。例えば、スターリング・エンジニアリング社はスターリング SAR-87(en) 、豊和工業は89式5.56mm小銃、中華民国国軍は65式歩槍、91式歩槍である。
日本とAR-18
豊和工業では、AR-18のセミオートマチック専用型である AR-180がライセンス生産され、タイ警察軍やブラジル警察軍などやアメリカの民間向けに海外輸出されていた。しかし、アメリカに輸出されたものがIRAのシンパにより北アイルランドに送られてテロ活動に使用されていた事が発覚し、日本の国会でも問題となったため、豊和工業での製造は打ち切られた。
後に小口径アサルトライフルの試作が豊和工業で開始された際には、AR-18のデザインとプレス加工による製造法が参考にされており、完成した89式5.56mm小銃は、AR-18に似た構造となったため、中国やロシアなどは89式小銃をAR-18の亜種と認識している。内部構造的には89式小銃のガスシステムにはロングストロークのガスピストンが採用され、トリガーメカや、ボルトキャリアとリコイルスプリングの配置などAR-18と異なる点も多い。
IRA と AR-18
北アイルランドで発見されたAR-180は、製造メーカー名や番号などの刻印が削られて出所を隠されたうえ、各国軍のアサルトライフルと同様にフルオート射撃が可能なように改造された(セミオート専用型をフルオートに逆改造することは内部部品の一部を削る程度で容易に行えた)ものだった。しかし、英国警察のX線撮影による鑑定作業で刻印が復元され、原産国が特定された。
当時のIRAは、多数の改造AR-180を入手したことによって、英国正規軍に対する軍事的劣勢を一挙に挽回する機会を得た。この銃によってIRAは、「アーマライトと投票箱戦術」(en)と呼ばれた、テロを通した武力闘争と議会における合法的な政治運動の両分野において活発な活動を始めることが可能になり、リトル・アーマライトという歌まで作られた。
英国側は、AR-180による攻撃で大きな被害を受けたため、Widow Maker(ウィドウ・メーカー、直訳で「未亡人製造機」。つまり自軍将兵にとって脅威となる「殺人兵器」の意味だが、致命事故の多発する軍用機など自陣営が製作したにも関わらず味方を殺傷するものに対するスラングとしても用いられる)と呼んだ。
登場する作品
映画
- 『ターミネーター』
- アーノルド・シュワルツェネッガー扮するターミネーター(T-800)がアラモ銃砲店でAR-18を調達しているが、本銃のみ店主への注文シーンが省かれている(そのため、銃器のスペシャリストである T-800らしい注文の言葉もない)。ウェストハイランド警察署での銃撃戦で使用(もとより強襲を予定していたためか、40連弾倉を二本、テープで連結したものを装填していた)し、後半では標的のサラ・コナーとそれを守るカイル・リースが潜むモーテルを銃撃。その直後、2人が乗る車とのチェイスシーンでも本銃を発砲するが、弾切れになり道路に捨てた。なお、劇中では本銃でフルオート射撃を行っているが、銃社会であるアメリカであっても、クラス3ディーラー以外の一般の銃砲店でフルオート銃器を売買するのは禁じられている。そのためか、ノベライズ版ではターミネーター自らが調達したAR-180をフルオートに改造した設定になっている。
- 劇中でT-800が最初に手にした銃である。また、上記の警察署での銃撃戦では右手に本銃を、左手にSPAS12を所持していた(ちなみに左手に持っていた SPAS12が、劇中でT-800が最初に発砲した銃である)。AR-18もSPAS12もストックを外して使用している。
- 『野性の証明』
- 1980年代の自衛隊がAR-18を使用している設定となっていたが、自衛隊で制式採用はなされておらず、豊和工業より試験品が15丁納入されたのみである。