罠ガール
| 罠ガール | |
|---|---|
| ジャンル | 狩猟[1] |
| 漫画 | |
| 作者 | 緑山のぶひろ |
| 出版社 | KADOKAWA |
| 掲載誌 | 電撃マオウ |
| レーベル | 電撃コミックスNEXT |
| 発表号 | 2017年7月号 - 2024年6月号 |
| 発表期間 | 2017年5月28日[1] - 2024年4月26日[2] |
| 巻数 | 既刊8巻（2023年4月27日現在） |
| テンプレート - ノート | |
| プロジェクト | 漫画 |
| ポータル | 漫画 |
『罠ガール』（わなガール）は、緑山のぶひろによる日本の漫画作品。『電撃マオウ』（KADOKAWA）にて、2017年7月号から2024年6月号まで連載[1][2]。
わな猟免許を持つ女子高生が獣害に挑む本格わな猟漫画。話数カウントは〇捕獲目。緑山にとって初めての連載作品[3]。2021年3月時点で、シリーズ累計発行部数は38万部を突破している[4]。
執筆までの経緯[編集]
「家が農家で、罠でイノシシを捕まえているマンガ家がいる」という話を聞いた編集者が、その本人である緑山に連載の話を持ち掛けて企画を立ち上げた[5]。
もともと緑山は農家出身であり、自身もわな猟免許を持つ兼業農家で[3]、当初編集者は「わな猟と女の子」をキーワードにしたドタバタコメディを想定していたが、緑山の「山間地の鳥獣被害や有害鳥獣捕獲の現状を知ってもらいたい」という思いから、コメディ路線から「現実をありのままに描く」方針に転換して連載をスタートした[5]。
評価[編集]
日本全国の鳥獣被害は年間150～200億円[6]と深刻化している中、実際に行われているわな猟での鳥獣害対策をリアルにわかりやすく描いた本作は、若年者のわな猟免許取得者増加につながっているとの声もある[7][8]。これまで農家でも罠猟などは自発的に行われていたが、高齢化により害獣対策にまで手が回らなくなっており、害獣の繁殖ペースのほうが上回ってしまう地域もあるなど危惧されており、若手のわな猟免許取得者の育成が急務となっている[要出典]。
コミック業界だけでなく農業・狩猟関係者の話題も呼んでおり、日本農業新聞[9]や全国農業新聞[10]、全国農業協同組合中央会が発行する「月刊JA」[11]、全国の農業系高校に通う農業クラブ員の機関誌「リーダーシップ」[12]などの農業メディアでも紹介されたほか、大日本猟友会は公式HPにコミックスの発売告知を掲載したり[13]、主催している「自然と農山村を守る狩猟のつどい」で作品を紹介したりしている[14]。
また、農林水産省、環境省による「令和2年度 鳥獣被害防止に向けた 集中捕獲キャンペーン」[15]、中央畜産会の「豚熱ウィルス拡散防止」[16]では啓発ポスターに書き下ろしのイラストが採用された。
あらすじ[編集]
とある田舎町で暮らす朝比奈千代丸は、畑を荒らす野生動物を捕獲するため「わな猟免許」を持っている、少し変わった女子高生である。若いながらも、いのししを一人で駆除できるほどの知識と技術を買われ、近所の農家や知人友人からも依頼されていた。
祖母の農地を守りたい幼馴染の昼間レモンや、ジビエ料理に詳しい生徒会長の夜空つむじらと共に、くくり罠や箱罠を駆使して害獣を捕獲したり、捕獲したシカの解体を猟師に教えてもらい、ジビエ料理を作って食したりしながら、少しずつ成長していく日々を送っている。
登場人物[編集]
主要人物[編集]
- 朝比奈 千代丸（あさひな ちよまる）
- 実家は農家の女子高生で3年生。わな猟免許を取得しており、害獣対策に生かしている。趣味は農具集め。
- 昼間 レモン（ひるま レモン）
- 千代丸の幼馴染で同級生。千代丸の影響もあり祖母の農地を守るためにわな猟免許を取得した。
- 夜空 つむじ（よぞら つむじ）
- 千代丸の同級生で生徒会長。千代丸たちに学校での害獣対策を依頼した。狩猟の経験はないが祖父が猟師のためジビエ料理に詳しい。
学校の生徒・教師[編集]
- 五島 優（ごとう ゆう）
- 千代丸たちの通う学校の教師。銃と罠の狩猟免許を取得しており、学校での害獣対策を任されている。夏芽の友人。
- 花巻 薫（はなまき かおる）
- 園芸部の部長。部活で野菜などを育てている畑がシカに荒らされたため千代丸に対策を依頼した。
- 比嘉 涼子（ひが りょうこ）
- 園芸部の副部長。勝気な性格だが捕獲した小鹿に同情したりレモンが初めてシカにとどめを刺した際には感動して号泣する面もみせた。
その他[編集]
- 清水 夏芽（きよみず なつめ）
- 本職の若手猟師。銃と罠の狩猟免許を取得している。兄の安智も猟師で毛皮の加工をおこなっている。つむじの祖父は師匠。極度の人見知り。
- 山吹 桜子（やまぶき さくらこ）
- 天橋立近くで農業と旅館をやっている家の娘。集落はニホンザルの被害をうけており、サルを追い払う訓練を受けたモンキードッグのチャッピーを飼っている。千代丸の影響でわな猟免許を取得した。つむじとは母親同士が姉妹の従姉妹。
登場した動物[編集]
- イノシシ[17]
- 自作のくくり罠で捕獲（1巻）、役所から借りた箱罠で捕獲（4巻）、くくり罠と保定具で捕獲（6巻）
- タヌキ
- 園芸部の倉庫で放置されていた箱罠で捕獲（1巻）
- シカ
- 踏板にワイヤーガイドを取り付けた改良型くくり罠で捕獲（1巻）、罠メーカーから借りた囲い罠で群れごと捕獲（6巻）
- ヒヨドリ
- カラス対策に置いた箱罠で誤って捕獲（錯誤捕獲）したため放す（2巻）
- カラス[18]
- 自作の箱罠で捕獲（2巻）
- アナグマ
- ホームセンターで購入した箱罠で捕獲（2巻）
- アライグマ
- ホームセンターで購入した箱罠で捕獲（2巻）
- ニホンザル[19]
- モンキードッグと共に追い払う（3巻）
- ネズミ
- 捕獲機と粘着シートで駆除（5巻）
- キョン
- 跳ね上げ式のくくり罠で捕獲（7巻）
登場した獣害対策[編集]
作品で描かれている獣害対策は、基本的に農家として実際に駆除を行っている「作者の実体験」を交えながら書かれている[5]。
そのほか取材先の事例として、篠山市と市内のNPO法人里地里山問題研究所が行っている電気柵、サル監視員、ICT大型捕獲檻、サル追い犬などのニホンザル対策[20][21]や、学校に群れで現れたシカ対策に使用した株式会社アイエスイーの「ICT捕獲システムを実装した囲い罠」[22][注釈 1]などが登場している。
書誌情報[編集]
- 緑山のぶひろ『罠ガール』 KADOKAWA〈電撃コミックスNEXT〉、既刊8巻（2023年4月27日現在）
- 2017年12月26日発売[23]、ISBN 978-4-04-893484-8
- 2018年7月27日発売[24]、ISBN 978-4-04-893987-4
- 2019年1月25日発売[25]、ISBN 978-4-04-912358-6
- 2019年8月24日発売[26][27]、ISBN 978-4-04-912714-0
- 2020年7月27日発売[28][29]、ISBN 978-4-04-913296-0
- 2021年3月27日発売[30][31]、ISBN 978-4-04-913740-8
- 2022年1月27日発売[32][33]、ISBN 978-4-04-914123-8
- 2023年4月27日発売[34][35]、ISBN 978-4-04-915051-3
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 作品内では架空名の企業として登場する。
出典[編集]
- ^ a b c “女子高生vs野生動物！「罠ガール」がマオウで始動、Webで1話試し読みも”. コミックナタリー (ナターシャ). (2017年5月28日) 2021年12月3日閲覧。
- ^ a b “「隣の家の女装男子」のなぎと、陶酔のぬかるみに堕ちる虐待少女たち描く新連載”. コミックナタリー (ナターシャ). (2024年4月26日) 2024年4月26日閲覧。
- ^ a b 女子高生が罠猟と真剣に向き合う異色漫画『罠ガール』の人気に迫る！BE-PAL - 2020年8月26日
- ^ “『罠ガール』第6巻が3月27日発売！ 女子高生がチームで挑む獣害対策の最前線を描く”. Comic Walker. KADOKAWA. 2021年12月3日閲覧。
- ^ a b c 「罠ガール」作者の緑山のぶひろさんに聞く 女子高生×罠猟の異色マンガから考える鳥獣被害マイナビ農業 - 2018年5月8日
- ^ 農作物被害状況農林水産省
- ^ 狩猟解禁～求むハンターNHK - 2020年11月17日
- ^ シカと私の物語【１】命をいただく神戸新聞NEXT - 2021年9月11日
- ^ “コミック不況なのに… 農業系なぜか人気 鳥獣害と闘う女子高生描く「狩猟の現実」訴え 『罠ガール』作者は農家出身”. 日本農業新聞. (2017年12月27日). オリジナルの2018年2月1日時点におけるアーカイブ。 2021年5月4日閲覧。
- ^ @dengeki_maoh (2018年8月30日). "8月24日の全国農業新聞さんで『罠ガール』2巻を紹介いただいたのでチラリ。…". X（旧Twitter）より2021年12月3日閲覧。
- ^ @dengeki_maoh (2019年4月4日). "全国農業協同組合中央会さんが発行している『月刊ＪＡ』で『罠ガール』を紹介いただきましたー。". X（旧Twitter）より2021年12月4日閲覧。
- ^ @dengeki_maoh (2019年7月18日). "全国の農業系高校に通う農業クラブ員のための機関誌「リーダーシップ 夏号」に『罠ガール』の緑山のぶひろ先生のインタビューが掲載されましたー。". X（旧Twitter）より2021年12月4日閲覧。
- ^ コミック『罠ガール』第６巻が発売されます大日本猟友会 - 2021年3月19日
- ^ 第4回「自然と農山村を守る狩猟のつどい」を開催しました。大日本猟友会 - 2020年2月17日
- ^ 鳥獣対策に向けコラボ！ 累計30万部の人気罠猟コミック『罠ガール』が農林水産省、環境省のキャンペーンに登場！PRTIMES - 2020年10月14日
- ^ @dengeki_maoh (2022年3月3日). "中央畜産会さんの豚熱ウィルス拡散防止ポスターに『罠ガール』が起用されてますー。". X（旧Twitter）より2023年1月12日閲覧。
- ^ “JKが害獣を捕獲！わな猟免許を持つ作者が描くリアル罠猟ライフ「罠ガール」1巻”. コミックナタリー (ナターシャ). (2017年12月27日) 2021年12月3日閲覧。
- ^ “わな猟免許持ちのJKが野生動物を捕獲「罠ガール」2巻ではカラスとの空中戦勃発”. コミックナタリー (ナターシャ). (2018年7月27日) 2021年12月3日閲覧。
- ^ “野生動物を女子高生が罠で捕獲「罠ガール」3巻ではサル、イノシシと対決”. コミックナタリー (ナターシャ). (2019年1月22日) 2021年12月3日閲覧。
- ^ 「罠ガール」に紹介されました！NPO法人里地里山問題研究所
- ^ 篠山のサル対策、漫画に登場 月刊誌連載「罠ガール」 ／兵庫県公益財団法人森林文化協会 - 2019年1月19日
- ^ 罠ガール第6巻にホカクンが登場しています株式会社アイエスイーブログ - 2021年3月26日
- ^ “「罠ガール（1）」緑山 のぶひろ 電撃コミックスNEXT”. KADOKAWA. 2021年12月3日閲覧。
- ^ “「罠ガール（2）」緑山 のぶひろ 電撃コミックスNEXT”. KADOKAWA. 2021年12月3日閲覧。
- ^ “「罠ガール（3）」緑山 のぶひろ 電撃コミックスNEXT”. KADOKAWA. 2021年12月3日閲覧。
- ^ “罠猟コメディ「罠ガール」4巻、JKが成獣イノシシを捕獲！解体して食べる”. コミックナタリー (ナターシャ). (2019年8月23日) 2021年12月3日閲覧。
- ^ “「罠ガール（4）」緑山 のぶひろ 電撃コミックスNEXT”. KADOKAWA. 2021年12月3日閲覧。
- ^ “罠猟コメディ「罠ガール」園芸部の畑を荒らすシカ捕獲に挑む5巻、書店特典も”. コミックナタリー (ナターシャ). (2020年7月27日) 2021年12月3日閲覧。
- ^ “「罠ガール（5）」緑山 のぶひろ 電撃コミックスNEXT”. KADOKAWA. 2021年12月3日閲覧。
- ^ “「罠ガール」6巻はシカ捕獲作戦の完結編、捕まえたあとの止め刺しのやり方も”. コミックナタリー (ナターシャ). (2021年3月27日) 2021年12月3日閲覧。
- ^ “「罠ガール（6）」緑山 のぶひろ 電撃コミックスNEXT”. KADOKAWA. 2021年12月3日閲覧。
- ^ “「罠ガール」7巻、罠猟は捕って終わりじゃない！JKたちがシカの毛皮なめし体験”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年1月27日) 2022年1月27日閲覧。
- ^ “「罠ガール（7）」緑山 のぶひろ 電撃コミックスNEXT”. KADOKAWA. 2022年1月27日閲覧。
- ^ “「罠ガール」8巻はジビエに注目、特製レザーキーホルダーが当たるTwitter企画も”. コミックナタリー (ナターシャ). (2023年4月27日) 2023年4月27日閲覧。
- ^ “「罠ガール（8）」緑山 のぶひろ 電撃コミックスNEXT”. KADOKAWA. 2023年4月27日閲覧。
外部リンク[編集]
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