「10ギガビット・イーサネット」の版間の差分

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'''10ギガビット・イーサネット''' (10 gigabit Ethernet, 10GE, 10GbE, 10 GigE) は、[[イーサネット]]のうち、10ギガ[[ビット毎秒]]の通信速度を持つ[[コンピューターネットワーク|ネットワーク]]規格の総称。[[Local Area Network|LAN]]、[[Wide Area Network|WAN]]、[[Metropolitan Area Network|MAN]]に用いられる。
[[ファイル:Netiron xmr 16000.JPG|thumb|300px|10ギガビット・イーサネットのインタフェースを持つルータ]]
'''10ギガビット・イーサネット''' (10 gigabit Ethernet、10GE、10GbE、10 GigE) は[[コンピュータネットワーク ]]を構築する通信規格の1つ。[[イーサネット]]の中で[[Local Area Network|LAN]]、[[Wide Area Network|WAN]]、[[Metropolitan Area Network|MAN]]によく用いられる[[通信プロトコル]]の1つである。


== 概要 ==
== 概要 ==
10[[ビット毎秒|ギガビット]]・[[イーサネット]][[Local Area Network]](LAN)で主流となったイーサネット技術を継承しつつ[[ギガビット・イーサネット]]の10倍の速度を提供する技術。[[2002年]][[6月]]にIEEE802.3ae標準化が完了した。イーサネットで初めて[[Wide Area Network]](WAN)での利用を前提とした技術まれる<ref>[http://www.atmarkit.co.jp/fnetwork/tokusyuu/1310gbe/10gbe01.html WANのート]</ref>。[[ファイバーチャネル・オーバー・イーサネット]](FCoE)は当技術の利用を前提としており<ref>[http://www.netapp.com/jp/communities/tech-ontap/tot-fcoe-iscsi-0908-ja.aspx FCoE]</ref>、LANに留まらず[[ストレージエリアネットワーク]]のような高速・高信頼性なネットワークの基礎としても期待される。
最初の10GbE規格は[[2002年]][[6月]]にIEEE802.3aeとして標準化された。[[Local Area Network|LAN]]の主流であるイーサネットで初めて[[Wide Area Network|WAN]]での利用を前提とした技術<ref>{{cite web |url=http://www.atmarkit.co.jp/fnetwork/tokusyuu/1310gbe/10gbe01.html|title=特集:10ギガビット・イーネット大解剖 - Part.1|publisher=@IT|author=近藤卓司([[ノテルネッワークス]])|date=2002-7-17|access-date=2021-11-11}}</ref>。[[ファイバーチャネル・オーバー・イーサネット]](FCoE)は当技術の利用を前提としており<ref>[http://www.netapp.com/jp/communities/tech-ontap/tot-fcoe-iscsi-0908-ja.aspx FCoE]{{リンク切れ|date=2021-11}}</ref>、LANに留まらず[[ストレージエリアネットワーク]]のような高速・高信頼性なネットワークの基礎としても運用されている。
通信には既にギガビット・イーサネットで普及している[[全二重]]を使い、[[半二重]]、リピーター機構、そしてそれに伴う[[CSMA/CD]]はサポートしない(これはデータの送信が終了する前に衝突を検出できないためである)。[[媒体アクセス制御|MAC]]における[[イーサネットフレーム]]処理は従来規格と共通している<ref name="日経NETWORK 2007/10"/>。


[[物理層]]の規格には複数ある。ネットワーク機器のポートは、異なる物理層規格をサポートする[[SFP+]]などのモジュールによって実装されることが多い。
規格には[[IEEE 802.3]]-2005がある。ここでは[[光ファイバー]]と[[InfiniBand]]のような銅線の2種類がある。IEEE 802.3anは[[ツイストペアケーブル]]を使った規格である。最初の頃には転送速度が非常に高いのでツイストペアでは必要な[[周波数特性]]を確保できないと考えられていたため、まずは光ファイバーによる実装が普及した。ツイストペアケーブルによる規格は更新され続けている<ref name="10gbe-on-tpcable">http://www.bicsi-japan.org/event/2008/pdf/kaneda.pdf</ref>。通信には既にギガビット・イーサネットで普及している[[全二重]]を使い、[[半二重]]、リピーター機構、そしてそれに伴う[[CSMA/CD]]はサポートしない(これはデータの送信が終了する前に衝突を検出できないためである)。[[物理層]]の規格には複数ある。<!--デバイスのそれぞれの物理ポートは異なるLANやWANの物理層規格をサポートする多くのモジュールをサポートできる。<-意味不明瞭 -->
媒体には、[[光ファイバー]]、[[同軸ケーブル]]、[[ツイストペアケーブル]]、基板上配線の4種類がある。初期にはツイストペアでは必要な[[周波数特性]]を確保できないと考えられていたため、まずは光ファイバーによる7種の方式が規定された。2004年〜2008年にかけて同軸ケーブル・ツイストペアケーブルなど銅線媒体による規格が後発している。


==規格の分類==
== 規格の分類 ==
符号化の方式により、大きく以下の4つに分類される。
'''大分類'''

* 10GBASE-W
* 10GBASE-R: LAN/MAN用途の規格。64b/66b符号化。回線速度は 10.3125 GBaud (ギガ[[ボー]])。
:[[Wide Area Network|WAN]]を考慮しSONET/[[Synchronous Digital Hierarchy|SDH]]との接続が容易となるようにした規格 (9.95Gbps)
* 10GBASE-W: WAN接続用途の規格。64b/66bに加え、[[SONET/SDH]]の形式に信号変換するもの。回線速度は 9.95328 GBaud。
* 10GBASE-R
* 10GBASE-X: 低速伝送を多重化した規格。[[8b/10b]]符号化。回線速度は 3.125 GBaud。
:LAN/[[Metropolitan Area Network|MAN]]用規格 (10.3Gbps)
* 10GBASE-T: [[ツイストペアケーブル]]規格。固有の符号化。回線速度は 0.8 GBaud (=400 MHz)。
* 10GBASE-X

:低速伝送を多重化した規格
{| class="wikitable" style="text-align:left;"
|-
! colspan="2" | 名称 !! 規格 !! ケーブル !! 距離長 !! 用途
|-
| rowspan="7" | 10GBASE-R
| 10GBASE-SR || 802.3ae-2002 || [[光ファイバー#マルチモード・光ファイバー|MMF]] || 300m || 光ファイバ短距離
|-
| 10GBASE-LR || 802.3ae-2002 || [[光ファイバー#シングルモード・光ファイバー|SMF]] || 10km || 光ファイバ中距離
|-
| 10GBASE-ER || 802.3ae-2002 || SMF || 40km || 光ファイバ長距離
|-
| 10GBASE-LRM || 802.3aq-2006 || MMF || 220m || 古い光ファイバ
|-
| 10GBASE-KR || 802.3ap-2007 || 基板上配線 || 1m || 高周波回路・省配線
|-
| 10GBASE-PR || 802.3av-2009 || SMF (PON) || 20km || [[受動光ネットワーク|10G-EPON]]
|-
| 10GPASS-XR || 802.3bn-2016 || 同軸 (PON) || 20km || 10G-EPON延伸
|-
| rowspan="3" | 10GBASE-W
| 10GBASE-SW || 802.3ae-2002 || MMF || 300m || 光ファイバWAN短距離
|-
| 10GBASE-LW || 802.3ae-2002 || SMF || 10km || 光ファイバWAN中距離
|-
| 10GBASE-EW || 802.3ae-2002 || SMF || 40km || 光ファイバWAN長距離
|-
| rowspan=3 | 10GBASE-X
| 10GBASE-LX4 || 802.3ae-2002 || SMF || 10km || 光ファイバ中距離(低周波)
|-
| 10GBASE-CX4 || 802.3ak-2004 || 4対2芯同軸 || 15m || データセンター内LAN短距離
|-
| 10GBASE-KX4 || 802.3ap-2007 || 基板上配線 || 1m || 低周波回路・多配線
|-
| rowspan=3 | 10GBASE-T
| 10GBASE-T || 802.3an-2008 || [[カテゴリー6ケーブル|Cat.6A]] || 100m || ツイストペア
|-
| 10GBASE-T1 || 802.3ch-2020 || [[ツイストペアケーブル|撚線1対]] || 15m || 車載用ツイストペア
|}
<!--【以下は整理のうえ[[#光ファイバーケーブル]]にて記述しました】


'''伝送距離による分類'''
'''伝送距離による分類'''
53行目: 93行目:
* LAN PHY
* LAN PHY
:イーサネットフレームに64B/66Bエンコードのみを行い信号を送り出すPHY。
:イーサネットフレームに64B/66Bエンコードのみを行い信号を送り出すPHY。
-->


== ケーブル ==
== ツイストペアケーブル ==
[[ファイル:10GBase-T_SW_SummitX650-24t.JPG|thumb|300px|10GBASE-Tインタフェースを持つスイッチ]]
[[ファイル:10GBase-T_SW_SummitX650-24t.JPG|thumb|300px|10GBASE-Tインタフェースを持つスイッチ]]


=== 10GBASE-T ===
=== 10GBASE-T ===
2006年に802.3anで標準化。[[ツイストペアケーブル]]により最大100mの10Gbps接続をサポートする{{efn-la|「正確には9.42Gbps」と記しているウェブサイトがあるが誤り。}}<ref>IEEE 802.3, Clause 55.1</ref>。[[1000BASE-T]]と兼用可能な[[8P8C|RJ-45]]のケーブルで接続可能であり、[[オートネゴシエーション]]がサポートされることで10GBASE-Tへのスムーズな移行が可能となっているが、ケーブル・コネクタ性能を改善したものに置き換える必要がある。より安価な選択肢として、従来性能のものが使えるように通信速度を落とした[[マルチギガビット・イーサネット|2.5GBASE-T・5GBASE-T]]も策定されている。
IEEE 802.3an-2006で定められたアンシールデッド(UTP)またはシールデッド(STP)の[[ツイストペアケーブル]]により最大100mを10ギガビットで接続する<ref>サイトにより「正確には9.42Gbps」と記しているところもあるが、10GBASE-Tは正確に10Gbpsであり、9.42Gbpsという記載は誤り。</ref>。[[オートネゴシエーション]]がサポートされることで、10GBASE-Tと1000BASE-Tのスムーズな移行が可能となる。2008年より半導体が出荷されており<ref>[http://www.broadcom.com/products/Enterprise-Networking/10-Gigabit-Ethernet-Transceivers/BCM8481 Broadcom 10GBASE-T PHY]</ref><ref>[http://www.teranetics.com/tn1010.html Teranetics 10GBASE-T PHY]</ref><ref>[http://www.solarflare.com/products/10xpress.php Solar Flare 10GBASE-T PHY]</ref><ref>[http://www.aquantia.com/pdf/AquantiaAQ1002_11172008.pdf Aquantia 10GBASE-T PHY]</ref>、これらを用いた[[スイッチングハブ]]、[[レイヤ3スイッチ]]、サーバ向け[[ネットワークカード|ネットワークカード(NIC)]]も出荷されている<ref>[http://www.intel.com/Products/Server/Adapters/10GbE_AT/10GbE_AT-overview.htm Intel 10Gigabit AT2 Server Adapter]</ref>。利点のひとつは1000BASE-Tと兼用可能な[[8P8C|RJ-45]]のツイストペアケーブルで接続可能な事である。光ファイバのような[[XENPAK]]、[[XFPトランシーバ|XFP]]、[[SFP+]]など[[トランシーバー|光トランシーバ]]が必要無く比較的安価に導入が可能となる。


[[ファイル:10GBase-T SFP+ Transceiver.jpg|thumb|150px|alt=10GBASE-T SFP+ Transceiver|10GBASE-T SFP+]]
====ケーブル====
2008年より半導体が出荷されており<ref>[http://www.broadcom.com/products/Enterprise-Networking/10-Gigabit-Ethernet-Transceivers/BCM8481 Broadcom 10GBASE-T PHY]{{リンク切れ|date=2021-11}}</ref><ref>[http://www.teranetics.com/tn1010.html Teranetics 10GBASE-T PHY]{{リンク切れ|date=2021-11}}</ref><ref>[http://www.solarflare.com/products/10xpress.php Solar Flare 10GBASE-T PHY]{{リンク切れ|date=2021-11}}</ref><ref>[http://www.aquantia.com/pdf/AquantiaAQ1002_11172008.pdf Aquantia 10GBASE-T PHY]{{リンク切れ|date=2021-11}}</ref>、これらを用いた[[スイッチングハブ]]、[[レイヤ3スイッチ]]、サーバ向け[[ネットワークカード|ネットワークカード(NIC)]]も出荷されている<ref>[http://www.intel.com/Products/Server/Adapters/10GbE_AT/10GbE_AT-overview.htm Intel 10Gigabit AT2 Server Adapter]{{リンク切れ|date=2021-11}}</ref>。[[SFP+]]として着脱可能なモジュール製品も登場している<ref name="fscomblog"/>。
[[ファイル:10GBASE-T 3cables.PNG|thumb|300px|左からF/UTP、U/FTP、F/FTPの順にノイズに強くなる。白い部分がシールドである。]]
シールドされてない[[ツイストペアケーブル]](UTP)とシールドされたツイストペアケーブル(STP)がある。STPでもシールド方式により下表の分類がある。STPは正しくアースを接続しないと静電気などにより逆にノイズ発生源となる。将来の10Gイーサネットに備えてケーブルだけを[[カテゴリー7ケーブル|カテゴリ7]]にして、シールドに配慮していない[[カテゴリー5ケーブル|カテゴリ5]]や[[カテゴリー6ケーブル|6]]時代のネットワーク機器を接続すると、十分な性能が発揮できないことも考えられる。ケーブルを'''撚る'''ことでノイズの侵入を最小限にしているが、ケーブル両端のコネクタ接続部は撚りが解かれてしまう。ある日本のケーブル・メーカー{{誰|date=2015-05}}によるとカテゴリ5の当該長さは12mm、カテゴリ7では3mmまで短くしているという<ref name = "日経NETWORK 2007/4">日経NETWORK 2007年4月号 「10ギガイーサLANケーブル」 p84</ref>。


==== ケーブル ====
TIA/EIA TSB-155ではカテゴリ6・UTPケーブル (周波数特性:250MHz) で最大37mまでの接続が可能とされている。37~55mでは[[漏話|エイリアンクロストーク]]の状況により条件付きで利用可能<ref>ANEXTの実測が必要と言う事である</ref>、55~100mはAnnex.Cの条件を満たす限り利用可能としている<ref name="10gbe-on-tpcable"></ref>。[[電子情報技術産業協会|JEITA]]やBICSIによると、カテゴリ6・UTPケーブルはエイリアンクロストークやノイズに対する耐性が不十分で性能が発揮できない可能性があった<ref name="10gbe-on-tpcable"></ref>。TIA/EIA-568-B.2 Addendum 10で新しいカテゴリ6A・UTPケーブル (周波数特性:500MHz) が定義された。これは100mの接続を可能とするものである。ケーブル同士をボンディングした際に生じるエイリアンクロストークを減少させるように設計されており外周がやや太めになっている<ref name="10gbe-on-tpcable"></ref>。カテゴリ6A・UTPはISO/IEC 25N1173で更新された。それでもなおカテゴリ6A・UTPケーブルとアンシールデッドの[[8P8C]] (通称RJ45) コネクタには以下の問題が指摘されている。
[[ツイストペアケーブル]]は主に以下のものが規定され<ref name="cl55-17">IEEE 802.3, Table 55-17</ref>、1000BASE-Tよりもノイズ耐性や周波数特性の高いケーブルが要求される。多くは[[カテゴリー6ケーブル|カテゴリー6A]]のUTPケーブルが用いられる<ref name="dcdopinion">{{cite web |url=https://www.datacenterdynamics.com/en/opinions/category-7-and-7a-see-their-sunset/ |title=Category 7 and 7A see their sunset |publisher=Data Centre Dynamics, Ltd.|date=2018-10-2|access-date=2021-12-10}}</ref>。{{clear}}
* ケーブルがノイズに弱く必要な周波数マージンが不足する場合がある<ref name="10gbe-on-tpcable"></ref>。
* 異種メーカー品もしくは複数カテゴリのケーブルを混在させた場合、ケーブル間のエイリアンクロストークが無視できず規格を満たさない可能性がある<ref name="10gbe-on-tpcable"></ref>。
* コネクタ(パッチパネル) 間のエイリアンクロストークにより、コネクタ間隔をある程度広くしなければならない可能性がある<ref name="10gbe-on-tpcable"></ref>。
これらに対してTIAはTSB-190によるガイダンスで上記は運用上問題ないとする見解を出している。ISO/IEC 25N1173ではカテゴリ6A/7A STPケーブルが策定されており、これらは上記問題を解決すると指摘している<ref name="10gbe-on-tpcable"></ref>。


{|class="wikitable"
{|class="wikitable" style="white-space:nowrap;"
! ケーブル種類 || 周波数特性 !! 距離長 !! 備考
|+シールド方式の比較
|-
| [[カテゴリー6ケーブル|Cat.6]] UTP || 250MHz || 55m
|style="white-space:normal;" | TIA/EIA TSB-155-A で定義され、37mまで接続可能、37~55mの範囲では[[漏話|エイリアンクロストーク]]の状況により条件付きで利用可能{{efn-la|ANEXT (Alien Near-End Crosstalk)の実測が必要。}}、55~100mはAnnex.Cの条件を満たす限り利用可能としている<ref name="10gbe-on-tpcable">[http://www.bicsi-japan.org/event/2008/pdf/kaneda.pdf BICSI技術セミナ]{{リンク切れ|date=2021-12}}</ref>。[[電子情報技術産業協会|JEITA]]やBICSIによると、エイリアンクロストークやノイズに対する耐性が不十分で性能が発揮できない可能性があった<ref name="10gbe-on-tpcable"/>。
|-
| [[カテゴリー6ケーブル|Cat.6A]] UTP || 500MHz || 100m
|style="white-space:normal;" | TIA/EIA 568-B.2 Addendum 10で定義され、[[ISO/IEC 11801]]の改訂1・2 (2002年・2010年)、ANSI/TIA-568.2-D (2018年)で更新されている。ケーブル同士をボンディングした際に生じるエイリアンクロストークを減少させるため外周がやや太い<ref name="10gbe-on-tpcable"/>。2008年時点ではノイズ耐性にいくつかの疑義{{efn-la|Cat.6A UTPでは以下の問題が指摘されていた。
* ケーブルがノイズに弱く必要な周波数マージンが不足する場合がある。
* 異種メーカー品もしくは複数カテゴリのケーブルを混在させた場合、ケーブル間のエイリアンクロストークが無視できない。
* コネクタ間のエイリアンクロストークにより、コネクタ間隔をある程度広くしなければならない可能性がある。
}}がありSTPが推奨された<ref name="10gbe-on-tpcable"/>が、2011年にTIAはTSB-190によるガイダンスにおいて運用上問題ないとする見解を出している。
|-
| [[カテゴリー6ケーブル|Cat.6A]] STP || 600MHz || 100m
|style="white-space:normal;" rowspan=3 | カテゴリー7が ISO/IEC TR 24750でクラスFとして、カテゴリー6A・7Aが ISO/IEC 11801:2002 改訂1 でクラスE<sub>A</sub>・F<sub>A</sub>としてそれぞれ定義されている。従来のRJ-45に代わり[[GG45]]や[[TERA]]コネクタなどが採用された。
|-
| [[カテゴリー7ケーブル|Cat.7]] STP || 600MHz || 100m
|-
| [[カテゴリー7ケーブル|Cat.7A]] STP || 1000MHz || 100m
|}

10GBASE-Tで用いるツイストペアケーブルでは、いくつかの電気的特性が重視される。

[[ファイル:10GBASE-T 3cables.PNG|thumb|300px|左からF/UTP、U/FTP、F/FTPの順にノイズに強くなる。白い部分がシールドである。]]
; ノイズシールド
: ノイズシールドの有無でUTP・STPの2種のツイストペアケーブルがある。ノイズ耐性の高いSTPでは、機器側コネクタも異なる形状となり、機器の[[接地|アース]]接続も必要となる。特に[[カテゴリー7ケーブル]]にはSTPしかないため、これを[[カテゴリー5ケーブル|カテゴリ5]]や[[カテゴリー6ケーブル|6]]対応の既存機器に接続するとノイズ源となりえる。なお、STPはシールド方式によって以下のように分類される。
: {|class="wikitable"
|+ ツイストペアケーブルの主要なシールド方式
|-
|-
! 業界用語
! 業界用語
! [[ISO/IEC 11801]]{{Refnest|group="表注"|命名ルールは「/」の前後で以下の通り。
! [[ISO/IEC 11801]]
* ケーブル全体を覆うシールド: 非シールド(U), 箔シールド(F), 網組シールド(S)
* ツイストペア線を覆うシールド: 非シールド(UTP), 箔シールド(FTP)
}}
! ケーブルシールド
! ケーブルシールド
! ペア線シールド
! ペア線シールド
|-
|-
| UTP || U/UTP || なし || なし
| UTP || U/UTP || なし(U) || なし(UTP)
|-
|-
| FTP, STP, ScTP || F/UTP || 箔 || なし
| FTP, STP, ScTP || F/UTP || 箔(F) || なし(UTP)
|-
|-
| STP, ScTP || S/UTP || 編組|| なし
| STP, ScTP || S/UTP || 編組(S) || なし(UTP)
|-
|-
| S-FTP, SFTP, STP || SF/UTP || 編組, 箔 || なし
| S-FTP, SFTP, STP || SF/UTP || 編組, 箔(SF) || なし(UTP)
|-
|-
| STP, ScTP, PiMF || U/FTP || なし || 箔
| STP, ScTP, PiMF || U/FTP || なし(U) || 箔(FTP)
|-
|-
| FFTP || F/FTP || 箔 || 箔
| FFTP || F/FTP || 箔(F) || 箔(FTP)
|-
|-
| SSTP, SFTP, STP PiMF|| S/FTP || 編組 || 箔
| SSTP, SFTP, STP PiMF|| S/FTP || 編組(S) || 箔(FTP)
|}{{Reflist|group="表注"}}
|}


* ケーブルシールド (ケーブル全体を覆う)
; ケーブル端のノイズ軽減
: ケーブル両端のコネクタ接続部は配線が撚られていない範囲がありノイズ源となりえる。ある日本のケーブル・メーカー{{誰|date=2015-05}}では、カテゴリ5で12mm、カテゴリ7で3mmまでこの範囲を短くしてノイズ源を防いでいる<ref name="日経NETWORK 2007/4">日経NETWORK 2007年4月号 「10ギガイーサLANケーブル」 p84</ref>。
*; U: 非シールド
; 周波数特性
*; F: ホイル・シールド
: 主にワイヤ径の違いで決まる。次のようにカテゴリ7以上の特性を持つケーブルも販売{{誰|date=2021-12}}されている。
*; S: 網組シールド
:* 0.55mm: 650 MHz
* ペア線シールド (内部の対ごと覆う)
:* 0.58mm: 900 MHz
*; UTP: 非シールデッド・ツイスト・ペア
:* 0.64mm: 1200 MHz
*; FTP: ホイル・シールデッド・ツイスト・ペア
; ACR (Attenuation to Crosstalk Radio, 減衰対クロストーク比)

: ケーブルの[[エイリアンクロストーク]]耐性を示す[[SN比]]。NEXT (Near-End Crosstalk, 近端漏話)およびFEXT (Far-End Crosstalk, 遠端漏話)と[[伝送損失]]との割合を[[デシベル|dB]]単位で表す。ISO/IEC 11801で規定され、10GBASE-Tではこれを参照して伝送路の要求性能を定義している<ref>IEEE 802.3, Clause 55.7.3</ref>。<!--【「記載の必要性見直し」とありましたが、10GBASE-T規格内でも言及されているので追記しました】-->
主にワイヤ径の違いで周波数特性が決まる。次のようにカテゴリ7 (周波数特性:600MHz) 以上の1,200MHzのケーブルも販売されている。
* 0.55mm : 650MHz
* 0.58mm : 900MHz
* 0.64mm : 1,200MHz
<!--; ACR
: 減衰対クロストーク比 (ACR) とは情報工学でのS/N比に相当し、ケーブルの性能を表す。NEXTと呼ばれる近端漏話と減衰で構成される。-dBで表す。記載の必要性見直し-->


==== コネクタ ====
==== コネクタ ====
UTPでは従来規格のイーサネットで広く普及した650MHz対応のIEC 60603-7コネクタ [[8P8C]] (通称RJ45) を使用する。STPでは[[TERA]]、[[GG45]]、[[ARJ45]]も規程されている<ref name="10gbe-on-tpcable"></ref>。
UTPとSTPとでは接続されるコネクタが異なっている。多くは[[8P8C|RJ-45]]使用される<ref name="dcdopinion"/>。

<!--10GBASE-Tでは、従来規格のイーサネットで広く普及した650MHz対応のIEC 60603-7コネクタ [[RJ-45]]を使用するが、銅ケーブルと同様にコネクタにもシールドが施されている。-->
{|class="wikitable" style="white-space:nowrap;"
! コネクタ || {{nowrap|ケーブル}} || {{nowrap|周波数特性}} !! 概要
|-
| {{nowrap|RJ-45 ([[8P8C]])}} || UTP || 250 MHz
|style="white-space:normal;" | 8ピンコネクタ。従来イーサネットのツイストペアケーブル規格で広く普及しているもの。IEC 60603-7で規定され、10GBASE-TではコネクタシールドのないPart 7-4、コネクタシールドのあるPart 7-5の2種が規定されている<ref>IEEE 802.3, Clause 55.8.1</ref>。
|-
| [[GG45]] || STP || 600 MHz
|style="white-space:normal;" | 12ピンコネクタ。ツイストペアが隣接するように対面外側に重複の3〜6ピンを追加したもの。RJ-45と互換性がありUTP接続可能。IEC 60603-7-7で規定。
|-
| ARJ45 || STP || 3 GHz
|style="white-space:normal;" | GG45から従来の3〜6ピンを取り除いたもの。RJ-45と互換性がなくUTP接続不可。IEC 61076-3-110で規定。
|-
| [[TERA]] || STP || 2 GHz
|style="white-space:normal;" | 新しい形状を採用したもの。RJ-45と互換性がない。IEC61076-3-104で規定。
|}


==== 変調技術 ====
==== 変調技術 ====
10GBASE-Tでは、ツイストペアケーブル1組あたり2.5Gbpsの伝送速度を実現するため、以下の技術を利用している。
IEEE 802.3anでは、ツイストペアケーブル1組あたり2.5Gbpsの伝送速度を実現するため、情報の符号化にDSQ128と16値[[パルス振幅変調|PAM]] (pulse-amplitude modulation、PAM)を、誤り訂正符号に(DSQ128の枠組みの中で)[[低密度パリティ検査符号]](LDPC)を、電力均一化にトムリンソン-原島プリコーディング(Tomlinson-Harashima Precoding、THP)を利用している。800メガシンボル/秒で3.125情報ビットの伝送すると最もSNRがよくなることがわかっていたため、PAM16とPAM12が検討されたが、最終的にDSQ128を併用したPAM16が採用された<ref>ethernet alliance10GBASE-T: 10 Gigabit Ethernet over Twisted-pair Copper Version 1.0 August 2007 p15</ref>。

* データ符号化: DSQ128と16値[[パルス振幅変調]](PAM-16)
* [[誤り訂正]]: (DSQ128の枠組みの中で)[[低密度パリティ検査符号]](LDPC)
* 電力均一化: トムリンソン-[[原島博|原島]]プリコーディング(Tomlinson-Harashima Precoding, THP)

全体として、以下の符号化手順でデータを送出する<ref>IEEE 802.3 Clause 55.3.2</ref>。

# 64ビットごとに情報ビットを付加し、65ビットのブロックとする(64B/65B)
# 50ブロックをまとめて、3250ビットのフレームとする。
# さらに[[巡回冗長検査|CRC8]]と補助ビット(Auxiliary bit)を付与し3259ビットのフレームとする。
# 3259ビットを1536ビットと1723ビットのブロックに分割する。
# 1723ビットのブロックに[[低密度パリティ検査符号|LDPC]](2048, 1723)を適用し、エラー訂正符号325ビットを付与する。
# 1536ビット(=512×3)のブロックから3ビット、2048ビット(=512×4)のブロックから4ビット取り出し、7ビットずつDSQ128を適用して512シンボルを生成する。
# DSQ128の512シンボルを[[パルス振幅変調|PAM16]]の256シンボルとして4レーンに送出する。
# (THPで電力均一化する。)

同様の方式は[[マルチギガビット・イーサネット|2.5GBASE-Tおよび5GBASE-T]]で流用されている。


この方式の開発においては、800メガシンボル/秒で3.125情報ビットの伝送すると最も[[SN比|SNR]]がよくなることがわかっていたため、PAM16とPAM12が検討された。最終的にDSQ128を併用したPAM16が採用された<ref name="ea">{{cite web |url=http://www.ethernetalliance.org/wp-content/uploads/2011/10/static_page_files_127_10GBASE_T2.pdf|title=10GBASE-T: 10 Gigabit Ethernet over Twisted-pair Copper|publisher=Ethernet Alliance|date=2007-8-12|access-date=2021-12-10}} p.15, p.16</ref>。
==== DSQ128 ====
DSQ128はIEEE 802.3an作業部会で[[ブロードコム]](当時)が提案(開発)した符号化方式。Double SQuareの略とされている。7ビットを3ビットと4ビットに分割し、いずれもPAM16で符号化して連続して送出する方式で、256状態→128状態とすることで符号間の距離を<math>{\sqrt{2}}</math>倍にしSNRを3dBを稼げる。この符号間距離を説明するために、市松模様(checkerboard pattern)がよく使われるが、これがDouble SQuare(2つの正方形)の由来でもある<ref>ethernet alliance10GBASE-T: 10 Gigabit Ethernet over Twisted-pair Copper Version 1.0 August 2007 p16</ref>。


DSQ128は、802.3anタスクフォース(標準化作業部会)で[[ブロードコム]](当時)が開発提案した。7ビットを3ビットと4ビットに分割し、いずれもPAM16で符号化して連続して送出する方式で、256状態→128状態とすることで符号間の距離を<math>{\sqrt{2}}</math>倍にしSNRを3dBを稼げる。この符号間距離を説明するために、[[市松模様]](checkerboard pattern)がよく使われるが、これがDouble SQuare (2つの正方形)を略した符号化名称となった由来である<ref name="ea"/>。
==== 符号化手順 ====
全体としては以下の流れでデータを送出する<ref>IEEE 802.3 Clause 55.3.2</ref>。
* 1. 64ビットごとにData ビットを付加し、65ビットのブロックとする(64B/65B)
* 2. 50ブロックをまとめて、3250ビットのフレームとする(3200情報ビット)。
* 3. さらにCRC8とAuxiliary channel ビットを付与し3259ビットのフレームとする。
* 4. 3259ビットを1536ビットと1723ビットのブロックに分割する。
* 5. 1723ビットのブロックにLDPC(2048, 1723)を適用し、エラー訂正符号325ビットを付与する。
* 6. 1536ビットのブロックから3ビット、2048ビットのブロックから4ビット取り出しDSQ128を適用する(合計3584ビット)。
* 7. DSQ128の2つのPAM16を送出する。
* (8. THPで電力均一化する。)


==== 転送能力 ====
==== 転送能力 ====
136行目: 219行目:


==== レイテンシ ====
==== レイテンシ ====
3200情報ビット * 4をまとめて符号化する必要があることから、レイテンシ(ラウンドトリップタイム)は規格上2.6マイクロ秒である<ref>https://www.missioncriticalmagazine.com/ext/resources/MC/Home/Files/PDFs/WP_Blade_Ethernet_Cabling.pdf p3</ref>。これは音声、高可用性クラスタの相互接続、[[高性能計算|HPC]]等で問題になることがある<ref>https://www.missioncriticalmagazine.com/ext/resources/MC/Home/Files/PDFs/WP_Blade_Ethernet_Cabling.pdf p4</ref>が、1000BASE-Tを引き続き用いることで回避している。広い帯域を期待する[[ストレージエリアネットワーク|SAN]]は、これがボトルネックとなることがあり、光ファイバや[[ファイバーチャネル|Fibre Channel]]を採用することがある。
3200情報ビット * 4をまとめて符号化する必要があることから、レイテンシ(ラウンドトリップタイム)は規格上2.6マイクロ秒である<ref name="10be_cabling">{{cite web|url=https://www.missioncriticalmagazine.com/ext/resources/MC/Home/Files/PDFs/WP_Blade_Ethernet_Cabling.pdf|title=10Gb Ethernet Cabling Options|publisher=BLADE Network Technologies|date=2009-10-16|access-date=2021-12-11}} - page.3, 4</ref>。これは音声、高可用性クラスタの相互接続、[[高性能計算|HPC]]等で問題になることがある<ref name="10be_cabling"/>が、1000BASE-Tを引き続き用いることで回避している。広い帯域を期待する[[ストレージエリアネットワーク|SAN]]は、これがボトルネックとなることがあり、光ファイバや[[ファイバーチャネル]]を採用することがある。


==== 消費電力 ====
==== 消費電力 ====
消費電力も問題となっている。登場当時は1ポート当たり20W前後が示唆されており実用レベルではなかった。半導体プロセスの進化による消費電力が低下した現在(2017年)でも3.5~5W程度が必要である。これはSFP+が期待する1W程度に比べはるかに大きく相応の電力供給能力と放熱能力が要求されることを意味する。
消費電力も問題となっている。登場当時は1ポート当たり20W前後が示唆されており実用レベルではなかった。半導体プロセスの進化による消費電力が低下した現在(2017年)でも3.5~5W程度が必要である。これはSFP+が期待する1W程度に比べはるかに大きく相応の電力供給能力と放熱能力が要求されることを意味する。


=== 10GBASE-T1 ===
2020年に802.3chで標準化<ref>{{Cite web|url=https://standards.ieee.org/standard/802_3ch-2020.html|title=IEEE 802.3ch-2020 - IEEE Standard for Ethernet Amendment 8:Physical Layer Specifications and Management Parameters for 2.5 Gb/s, 5 Gb/s, and 10 Gb/s Automotive Electrical Ethernet|publisher=IEEE Standards Association|date=2020-6-4|accessdate=2021-12-3}}</ref>。車載組み込み機器用途で、1対のツイストペア(シングルペア)で最大15m接続する。[[マルチギガビット・イーサネット|2.5GBASE-T1, 5GBASE-T1]]とともに MultiGBASE-T1 の総称で規定されている。

符号化においては10GBASE-Tの方式と一部共通し、64b/65b変換した符号50ブロックからなる3250ビットフレームの生成までは同様の手順をとる。これに10ビットの管理情報を加えて[[リード・ソロモン符号|RS]]/[[前方誤り訂正|FEC]](360,326)符号を加えることで3600ビットフレームとし、スクランブル処理などを経て最終的に1800シンボルの[[パルス振幅変調|PAM-4]]として送出する。回線速度5.625 GBaudによりシングルペアでの10Gbpsを実現している<ref>IEEE 802.3ch, Clause 149.3.2, Figure 149-6.</ref>。

== 同軸ケーブル ==
[[file:SFF 8470.jpg|thumb|SFF-8470コネクタ]]
=== 10GBASE-CX4 ===
=== 10GBASE-CX4 ===
2004年に802.3akで標準化。最長15mの短距離用途。10Gbpsのデータを4分割し、[[8b/10b]]変換して4つの伝送路に送るため、伝送路1つあたり3.125 G[[ボー|Baud]]の通信容量を持つ。4つの伝送路は、双方向でそれぞれ差動信号を使用するため、計16本の導線で構成される。媒体は2芯同軸ケーブル(twinaxケーブル)を意図して規定されているが、同様の電気仕様を充たすもので代替しても良い<ref>IEEE 802.3, Clause 54.6</ref>。
比較的短距離向けの規格である。IEEE 802.3akで規格が定められInfinibandによく似た技術を使用している。片方向で4本、両方向で8本の伝送路を持ちそれぞれ2本の銅ケーブルを使用するため、計16本の銅ケーブルとなる。最長15m (49フィート) しか伸ばせないが、10Gビット・イーサネットとしては最もポート単価が安い。通信半導体デバイスは[[マルチソースアグリーメント]] (MSA) に従いデバイスから外部コネクタまで接続する。XENPAK、X2、XPAKのコネクタは標準のMSAピン配列である。CX4モジュールは少なくともXENPAKとX2には揃えられてありおそらくXPAKにもある。各伝送路は3.125ギガ[[ボー]] (Gbaud) の通信容量を持つ。 802.3ae 48節のプロトコルが4本のデータ転送を管理し同期をとる。これはPCS (Physical Coding Sublayer) で処理される。<!--49節でのプロトコルを使用する10GBASE-Rと比べると48節で使う8-10ビット変換ではより信号に余裕がある。一方、49節では64-66ビットの変換のため、48節に比べて余裕が無くより狭くなっている。意味が不明瞭。信号の余裕とは何か-->


一般には[[InfiniBand]]のコネクタ(SFF-8470)で接続し、XENPAK, X2, XFPなどの挿抜モジュールとして実装される。初期の10GbEとしては最もポート単価が安く、主にスイッチのスタック用途で実装されていた。
=== SFP+ Direct Attach ===
10GBASE-CX4をSFP+サイズに縮小するためにSFP+ Direct Attachケーブルが販売されている。SFP+のインターフェイスを銅線(通常は同軸ケーブル)でクロス直結したものである。必要であれば変調もする。スイッチメーカー独自規格となり相互接続性は保証されずケーブル長も最大5m程度であるが、10Gbase-Tよりもポート単価、消費電力、敷設に優れ、光ケーブルと同等の低レイテンシを実現できる。近距離接続の代替やスイッチのスタックに普及している。


=== 10GSFP+Cu ===
== 光ファイバー・ケーブル ==
2006年に[[マルチソースアグリーメント|ベンタ間合意規格]]SFF-8431で規定<ref>SFF-8431, Appendix E: SFP+ Direct Attach Cable Specifications "10GSFP+Cu" (Optional)</ref>。一般には'''ダイレクトアタッチケーブル'''(DAC)と呼ばれる。メーカ独自の名称として '''10GBASE-CR''' や '''10GBASE-CX1''' などとも呼ばれている<ref>{{cite web |url=https://community.fs.com/blog/10g-sfp-plus-direct-attach-copper-media-system-10gsfp-pluscu.html |title=FS community Blog: 10G SFP+ DAC Cable - 10GSFP+Cu |publisher=FS Community|date=2015-1-7 |access-date=2021-12-11}}</ref>。
信号に光を使うだけで伝送する[[MAC]]フレームは銅ケーブルのイーサネットと変わらない<ref name = "日経NETWORK 2007/10"/>。光ファイバーには以下の2種類ある。主に距離や速度で使い分けられている。光トランシーバーはホスト同士を4チャンネル・パラレライズド・ブリッジ(IEEE 802.3規格の48節)、又は49節のブリッジで結ぶ。XENPAK、X2、XPAKは48節改を、XFPは48節そのものを使う。光ファイバーの種類はレイヤー1の[[物理層]]で規定されている。回線速度は10.3125Gbit/sで符号化方式は64B/66Bが使われる。ただし10GBASE-SW、10GBASE-LW、10GBASE-EWはSDH/SONETの符号化方式を使う<ref name = "日経NETWORK 2007/10"/>。
2芯同軸ケーブル(twinaxケーブル)などを伝送路とし、両端を[[SFP+]]の外装で終端させたケーブルを用いる。CX4と用途は同じであるが、電気仕様や符号化方式は異なる。


電源の要不要によってアクティブ・パッシブの2種がある。距離長は、パッシブDACでは最長5〜7 m程度、アクティブDACでは10〜15 m程度。10GBASE-Tよりもポート単価、消費電力、敷設に優れ、光ケーブルと同等の低レイテンシを実現できる。近距離接続の代替やスイッチのスタック用途として普及している。
; SMF (シングル・モード・ファイバー) : 伝送距離が長いが高価である。
<!-- 必要であれば変調もする。ベンダ間の相互接続性は保証されない。-->
; MMF (マルチ・モード・ファイバー) : 伝送距離が短いが安価である。


== 光ファイバーケーブル ==
=== 規格 ===
; 10GBASE-SR (Short Reach)
: [[光ファイバー#マルチモード・光ファイバー|マルチモード光ファイバー]]を使って短距離をサポートする。最大伝送距離はケーブルにより66mから82mである。300mが可能な新しい50μm 2,000MHz·km、850nmのマルチモード光ファイバーがある。
; 10GBASE-LRM
: 2006年に承認された802.3aqで標準化された<ref>[http://standards.ieee.org/cgi-bin/status?802.3aq IEEE Standards Status Report for 802.3aq]</ref>。これはFDDIと100BASE-FXネットワーク用に1990年代初頭にインストールされた62.5µm マルチモード光ファイバーであり最長220mをサポートする。
; 10GBASE-LR (Long Reach)
: 波長1,310nmの光源で最大10kmの[[光ファイバー#シングルモード・光ファイバー|シングルモード光ファイバー]]をサポートする。IEEE 802.3 49節の64B-66B フィジカル・コーディング・サブレイヤー (Physical Coding Sublayer、PCS) を使用し[[シリアル通信|シリアル]]伝送を行う。
; 10GBASE-ER (Extended Reach)
: 波長1,550nmを使ったシングルモード光ファイバーで最大40kmまでサポートする。
; 10GBASE-ZR
: 波長1,550nmを使ったシングルモード光ファイバーで最大80kmまでサポートする<ref>[http://www.optcore.net/optcore/html_products/10GBASE-ZR-SFP+-Transceiver-Module-80km-Reach-176.html Optcore 10GBASE-ZR SFP+]</ref>。


光ファイバーケーブル規格の一覧を示す<ref name = "日経NETWORK 2007/10">日経NETWORK 2007年10月号 「"今どき"のイーサネット プロバイダとIX」 p34-p35</ref><ref>IEEE 802.3, Clause 48, 49, 50, 52, 53, 55, 68, 75</ref>。
{| class="wikitable" border="1" cellpadding="2" cellspacing="0"

|+ '''10Gビット・イーサネットの主要な規格 (光ファイバー)'''<ref name = "日経NETWORK 2007/10">日経NETWORK 2007年10月号 「"今どき"のイーサネット プロバイダとIX」 p34-p35</ref>
{| class="wikitable sortable" style="white-space:nowrap;"
|+ 10GbEの光ファイバ規格
! 名称
! 規格(項番)
! ファイバ・距離長
! 波長
! ラインレート<br/>[G[[ボー|Baud]]]
! 符号化
|-
| [[#10GBASE-SR|10GBASE-SR]] || 802.3ae-2002<br/>{{small|(Clause49/52)}} || OM1: 33m<br> OM2: 82m<br> OM3: 300m<br> OM4: 400m || 850 nm || 10.3125 || 64b/66b
|-
<!--
| [[#10GBASE-SR|10GBASE-SRL]] || (IEEE規格外) || OM1: 11m<br>OM2: 27m<br> OM3: 100m<br> OM4: 150m || 850 nm
-->
| [[#10GBASE-LR|10GBASE-LR]] || 802.3ae-2002<br/>{{small|(Clause49/52)}} || OS2: 10km || 1310 nm || 10.3125 || 64b/66b
|-
| [[#10GBASE-ER|10GBASE-ER]]<br>([[#10GBASE-ZR|10GBASE-ZR]]) || 802.3ae-2002<br/>{{small|(Clause49/52)}} || OS2: 40km<br>(80km) || 1550 nm || 10.3125 || 64b/66b
|-
| [[#10GBASE-LRM|10GBASE-LRM]] || 802.3aq-2006<br/>{{small|(Clause49/68)}} || OM2: 220m<br> OM3: 220m || 1310 nm || 10.3125 || 64b/66b
|-
| [[#10GBASE-LX4|10GBASE-LX4]] || 802.3ae-2002<br/>{{small|(Clause48/53)}} || OM2: 300m<br/>OS2: 10km || style="white-space:normal;" data-sort-value="1312.45" | 4波長[[波長分割多重|WDM]]:<br>1275.7, 1300.2, 1324.7, 1349.2<br>(± 6.7) nm || 3.125 || [[8b/10b]]
|-
| [[#10GBASE-W|10GBASE-SW]] || 802.3ae-2002<br/>{{small|(Clause50/52)}} ||OM1: 33m<br> OM2: 82m<br> OM3: 300m<br> OM4: 400m || 850 nm || 9.95328 ||style="white-space:normal;" | 64b/66b × [[SONET]] STS-192c
|-
| [[#10GBASE-W|10GBASE-LW]] || 802.3ae-2002<br/>{{small|(Clause50/52)}} || OS2: 10km || 1310 nm || 9.95328 ||style="white-space:normal;" | 64b/66b × [[SONET]] STS-192c
|-
| [[#10GBASE-W|10GBASE-EW]]<br>([[#10GBASE-ZR|10GBASE-ZW]]) || 802.3ae-2002<br/>{{small|(Clause50/52)}} || OS2: 40km<br/>(80km) || 1550 nm || 9.95328 || style="white-space:normal;" | 64b/66b × [[SONET]] STS-192c
|-
| [[#10GBASE-PR|10GBASE-PR]] || 802.3av-2009<br/>{{small|(Clause75-77)}} || OS2: 20km || style="white-space:normal;" data-sort-value="1577" | [[受動光ネットワーク|PON]]:<br/>上り 1270 nm, 下り 1577 nm || 10.3125 || style="white-space:normal;" | 64b/66b × [[リード・ソロモン符号|RS]]/[[前方誤り訂正|FEC]](255,239)
|}

[[ファイル:Netiron xmr 16000.JPG|thumb|300px|10ギガビット・イーサネットのインタフェースを持つルータ]]
光ファイバー規格に共通する仕様・実装について、以下にまとめる。

; ファイバー種別
: ファイバーは以下の2種類を用いる。
:* SMF (シングル・モード・ファイバー): 長距離用。[[ISO/IEC 11801]]では、OS1, OS2の種類がある。
:* MMF (マルチ・モード・ファイバー): 短距離用。[[ISO/IEC 11801]]では、OM1, OM2, OM3, OM4などの種類がある。

; 64b/66b符号化
: 10GbE光ファイバ規格の多くで採用される符号化方式<ref>IEEE 802.3 Clause 49</ref>。
: 送信側のPCSは、[[媒体アクセス制御|MAC]]から[[XGMII]]で受け取った送信データを64ビットずつ取り出し、スクランブル処理を行うことで0/1が連続しない形式のデータに変換する。これに先頭2ビット「01」「10」いずれかの同期ヘッダを加えて66ビットにする<ref>IEEE 802.3 Clause 49.2.4</ref>。PMAはこれをシリアル伝送([[Non-return-to-zero|NRZ]])する。
: 受信側のPCSは受信データの妥当性の検証のため、66ビットおきに同期ヘッダを見て「00」「11」のパターンであればエラーを通知する。異常がなければ、64ビット分のデータをスクランブル復号してMACに引き渡す。
: スクランブル処理では多項式 <math>1 + x^{39} + x^{58}</math> を用いて[[排他的論理和]]を算出している。
: なお、物理層規格の中には、この方式に追加処理を持つ[[#10GBASE-W|10GBASE-W]]・[[#10GBASE-PR|10GBASE-PR]]や、この方式を採らない[[#10GBASE-LX4|10GBASE-LX4]]がある。

[[ファイル:10_Gbit_XFP_and_SFP_transceivers.jpg|thumb|300px|right|XFP(上)とSFP+(下)]]
; 光トランシーバー
: 各ファイバ規格の物理層の一部は、一般に挿抜可能なモジュールによって実装される。代表的なモジュールを以下に挙げる。10GbEでは、主に[[SFP+]]が用いられる<ref>{{cite web |url=http://www.fiber-optic-transceiver-module.com/types-of-10g-fiber-optic-transceivers.html |title=Common 10G Fiber Transceiver: 10G XENPAK, 10G X2, 10G XFP, 10G SFP+ |publisher=Blog of Fiber Transceivers |date=2013-06-18 |access-date=2018-08-26}}</ref>。これらには公的な標準化はないが、[[マルチソースアグリーメント]](MSA)に準拠している。
: {| class="wikitable sortable" style="white-space:nowrap;"
|+ 10GbEの主な光トランシーバ
! 名称 !! [[マルチソースアグリーメント|MSA]] !! 電気インタフェイス !! サイズ[mm]
|-
| XENPAC || INF-8474 || [[XAUI]], 70ピンコネクタ || 121 × 38 × 17.4
|-
| X2 || INF-8476 || [[XAUI]], 70ピンコネクタ || 91 × 36 × 12.00 〜 28.86
|-
| XPAK || INF-8475 || [[XAUI]], 70ピンコネクタ || 75.69 × 39.62 × 11.84 〜 24.28
|-
| XFP || INF-8077 || XFI (10Gbpsシリアル), 30ピンコネクタ || 71.1 × 18.35 × 8.5
|-
| SFP+ || SFF-8431 || SFI (10Gbpsシリアル), 20ピンコネクタ || 56.5 × 13.7 × 8.5
|}
<!-- {{要検証}} 【4チャンネル・パラレライズド・ブリッジはXAUIのこと?】
光トランシーバーはホスト同士を4チャンネル・パラレライズド・ブリッジ(IEEE 802.3規格の48節)、または49節のブリッジで結ぶ。XFPは48節そのものを使い、それ以外は48節改を使う。
-->

=== 10GBASE-SR ===
{| class="wikitable sortable" style="float:right; white-space:nowrap; margin:5px;"
|+ 10GBASE-SR/SW 通信におけるMMF仕様と距離長
! コア径 || モード帯域幅<br>(850nm波長) || 名称など || 距離長
|-
| 62.5μm || 160 MHz·km || FDDIグレード || 26 m
|-
| 62.5μm || 200 MHz·km || OM1 || 33m
|-
| 50μm || 400 MHz·km || - || 66 m
|-
| 50μm || 500 MHz·km || OM2 || 82 m
|-
| 50μm || 2000 MHz·km || OM3 (1500MHz・km) 相当 || 300 m
|-
| 50μm || 4700 MHz·km || OM4 (3500MHz・km) 相当 || 400 m
|}
2002年に802.3aeで標準化。[[光ファイバー#マルチモード・光ファイバー|MMF]]を使った850(±10)nm波長の短距離通信(Short Reach)を行う。距離長はコア径・モード帯域幅などファイバ特性によって変わる<ref>IEEE 802.3, Clause 52.5</ref>。[[ギガビット・イーサネット#1000BASE-SX|1000BASE-SX]]ではOM1やOM2が広く使われていたが、10GBASE-SR/SWではOM3相当のものが要求される。

トランシーバによっては距離長を1/3程度に抑えた省電力・低価格のものがあり、メーカ独自の名称として '''10GBASE-SRL''' (SR lite) と呼ばれている<ref name="fscomblog">{{cite web |url=https://community.fs.com/blog/optical-module-guide-10g-sfp-types-classification.html |title=FS community Blog: How to Classify 10G SFP+ Transceiver Modules? |publisher=FS Community|date=2020-3-4 |access-date=2021-12-11}}</ref>。

=== 10GBASE-LR ===
2002年に802.3aeで標準化。
[[光ファイバー#シングルモード・光ファイバー|SMF]]を使った1310(±45)nm波長の中距離通信(Long Reach)を行う。最長10kmをサポートする。

=== 10GBASE-ER ===
2002年に802.3aeで標準化。SMFを使った波長1550(±15)nm波長の長距離通信(Extended Reach)を行う。最長40kmをサポートする。

トランシーバによっては最大80kmまでサポートするものがあり、メーカ独自の名称として広く '''10GBASE-ZR''' と呼ばれている<ref>[http://www.optcore.net/optcore/html_products/10GBASE-ZR-SFP+-Transceiver-Module-80km-Reach-176.html Optcore 10GBASE-ZR SFP+]{{リンク切れ|date=2021-12}}</ref><ref name="fscomblog"/>。

=== 10GBASE-LRM ===
2006年に802.3aqで標準化<ref>[https://www.ieee802.org/3/aq/ IEEE P802.3aq 10GBASE-LRM Task Force]</ref>。
1990年代初頭に[[FDDI]]や[[100メガビット・イーサネット#100BASE-FX|100BASE-FX]]用に敷設されたMMFでの接続を目的としたもので、1310(±45)nm波長で最長220mをサポートする。
受信側[[イコライザ (通信技術)|イコライザ]]に分散補償(EDC)を用いており、これにより62.5μmコアのモード帯域幅が160/500MHz・kmしかないMMFでも通信が可能になった。

=== 10GBASE-LX4 ===
2002年に802.3aeで標準化。10Gbpsのデータを4分割し、[[8b/10b]]変換して[[波長分割多重|WDM]]で4信号を同時に送受する<ref name="NWTD">{{cite web |url=http://www.ieee802.org/3/hssg/public/nov07/diminico_01_1107.pdf |title=Network Topologies and Distances |publisher=MC Communications |date=2007-11-14 |access-date=2018-08-25}}</ref>。MMF/SMFの両方で使える。

[[ギガビット・イーサネット|1000BASE-X]]で採用している8b/10b変換をそのまま拡張したもので、1信号の伝送速度が2.5Gbps、回線速度は 3.125 GBaudとなる。広帯域幅のMMFや半導体素子など10Gbps回線動作環境が安価になり、WDMのほうが割高となったため廃れた<ref>{{cite web |url=https://www.optcore.net/10-gigabit-ethernet-10gbe-standards/ |title=10 Gigabit Ethernet (10GbE) Standards |publisher=Optcore|date=2017-05-05 |access-date=2021-12-10}}</ref>。

=== 10GBASE-W ===
<div style="font-size:85%; float:right; border:solid #ccc 1px; margin:5px;">
{| class="wikitable" style="margin:5px; text-align:center;"
|+ 10GBASE-WのOC-192/STM-64フレーム構造
! rowspan=2 | || オーバヘッド部 || colspan=3 | ペイロード部 (16704列)
|-
! 576列 !! 1列 || 63列 || 16640列
|-
! 3行
| SOH || rowspan=2 | POH || rowspan=2 | 定型要素<br/>(全ゼロ) || rowspan=2 | ペイロード<br>(64b/66b符号)
|-
! 6行
| LOH
|-
|}
* SOH: セクション(Section)オーバヘッド
* LOH: ライン(Line)オーバヘッド
* POH: パス(Path)オーバヘッド
</div>
2002年に802.3aeで標準化。距離長によって10GBASE-SW/LW/EWの3種(および規格外の距離長をサポートする10GBASE-ZW)があり、ファイバの伝送特性・距離長などは10GBASE-Rのものと共通する。

符号化処理は、既存のWAN標準である[[SONET/SDH]]への接続を意図した仕様になっており、[[イーサネットフレーム]]のデータをSONET/SDHフレームの一部として割り付ける。この処理を行うPCS-PMA間の処理ブロックをWIS (WAN Interface Sublayer)と呼び<ref>IEEE 802.3, Clause 50.1</ref>、これを含む物理層デバイス([[PHY (チップ)|PHY]])を'''WAN PHY'''と呼ぶ<ref name="日経NETWORK 2007/10"/>。

回線速度は 9.95328 Gbps、 伝送速度は 9.58464 Gbps となり、いずれも他の10GbEよりやや小さい。この回線速度をサポートするOC-192/STM-64 (STS-192c)では、フレームが17280列 × 9行のオクテット配列で構成される。10GBASE-WのWISでは、このうち16640列のサイズを持つペイロードの領域に64b/66b符号を配置し、これを125マイクロ秒おきに送信する<ref>IEEE 802.3, Clause 50.3.1</ref>。回線速度と伝送速度の比率は、このフレーム全体とペイロードのサイズ比に相当する。さらにデータ転送速度はこの64/66にあたる9.294 Gbps程度となる<ref>{{Cite |和書| author = 瀬戸康一郎 | title = 10ギガビット・イーサネットの教科書 | date = 2005-3-30 | publisher = インプレス
| pages=12 }}</ref>。

10GBASE-W対応機器をSONET/SDHと接続するには、10GBASE-Wポートを持ったSONET/SDH用の光クロスコネクト(OXC)装置などに収容する必要がある。

=== 10GBASE-PR ===
2009年に802.3avで標準化、2013年に802.3bkで一部拡張。[[受動光ネットワーク|10G-EPON]]として、[[インターネットサービスプロバイダ|プロバイダ]]設備からの[[ポイント・ツー・マルチポイント通信]]を意図した仕様になっている。[[光ファイバー#シングルモード・光ファイバー|SMF]]1本で下りに1577 nm、上りに1270 nmの波長を使う。

1G-EPON (802.3ah)との下位互換性が考慮されており、上り下りの両方で10G動作する対称モード(10GBASE-PR)と、下り10G・上り1Gの非対称モード(10GBASE-PRX)がある<ref>IEEE 802.3, Clause 75.1</ref>。さらに、同一拠点で1Gと10GのEPON設備を同時に共存させることも可能である。下りでは、 1Gで1490 nm、 10Gで1577 nmを使い波長分割する。上りでは波長分散の小さい波長帯をともに使うため1Gで1260〜1360 nm、 10Gで1270 nmと重なっており[[時分割多元接続|TDMA]]で時分割する<ref>IEEE 802.3, Clause 75.6</ref>。

符号化には、64b/66bに加え、[[リード・ソロモン符号|RS]]-[[前方誤り訂正|FEC]](255,223)を追加している。10G・10G対称モードでは両方向に、10G・1G非対称モードでは下りのみFEC付加が必須となる<ref>IEEE 802.3, Clause 76.3.2.4</ref>。なお、非対称の上り1Gは、別途1G-EPONのオプションとしてRS-FEC(255,239)が用意されている<ref>IEEE 802.3, Clause 65.2.3</ref>。

パワーバジェットは4クラス規定されており、10GBASE-PR10, 10GBASE-PR20, 10GBASE-PR30, 10GBASE-PR40 の名称でそれぞれ 20・24・29・33 dB の[[伝送損失]]をサポートする<ref>IEEE 802.3, Table 75-1</ref>。
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{| class="wikitable"
|+ '''10Gビット・イーサネットの主要な規格 (光ファイバー)'''
|-
|-
! 規格 !! colspan=3 | 10GBASE-SR !! 10GBASE-LR !! 10GBASE-ER
! 規格 !! colspan=3 | 10GBASE-SR !! 10GBASE-LR !! 10GBASE-ER
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! 光ファイバ
! 光ファイバ
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! 波長
! 波長
| 840 - 860nm || 840 - 860nm || 840 - 860nm || 1,260 - 1,355nm || 1,530 - 1,565nm
| 840 - 860nm || 840 - 860nm || 840 - 860nm || 1,260 - 1,355nm || 1,530 - 1,565nm
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|-
! 符号化方式
! 符号化方式
| 64B/66B || 64B/66B || 64B/66B || 64B/66B || 64B/66B
| 64B/66B || 64B/66B || 64B/66B || 64B/66B || 64B/66B
|}
|}
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== その他 ==
== 普及 ==
=== 日本での使用例 ===
=== 日本での使用例 ===
ギガビット・イーサネットまでは順調に普及した一方、10ギガビット・イーサネットは策定から20年ほどたった2020年代になっても、ギガビット・イーサネットより価格が極めて高い、放熱ファンの騒音が大きい、消費電力が大きい等の理由から主に業務用としてしか普及しておらず、一般家庭への浸透は長らく足踏みしている。
ギガビット・イーサネットまでは順調に普及した一方、10ギガビット・イーサネットは策定から20年ほどたった2020年代になっても、ギガビット・イーサネットより価格が極めて高い、放熱ファンの騒音が大きい、消費電力が大きい等の理由から主に業務用としてしか普及しておらず、一般家庭への浸透は長らく足踏みしている。
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:[[2015年]][[6月1日]]より[[So-net]]から個人宅向け下り10Gbpsの[[FTTH]]サービス:NURO 光 10Gが提供されている<ref>[http://www.nuro.jp/10g/ 世界最速光回線インターネット接続サービスNURO 光 10G]</ref>。[[光回線終端装置]]から10GBASE-TでPCへ接続する。
:[[2015年]][[6月1日]]より[[So-net]]から個人宅向け下り10Gbpsの[[FTTH]]サービス:NURO 光 10Gが提供されている<ref>[http://www.nuro.jp/10g/ 世界最速光回線インターネット接続サービスNURO 光 10G]</ref>。[[光回線終端装置]]から10GBASE-TでPCへ接続する。


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== 次期規格 ==
== 次期規格 ==
「[[100ギガビット・イーサネット#40.E3.82.AE.E3.82.AC.E3.83.93.E3.83.83.E3.83.88.E3.83.BB.E3.82.A4.E3.83.BC.E3.82.B5.E3.83.8D.E3.83.83.E3.83.88|40ギガビット・イーサネット]]」「[[100ギガビット・イーサネット]]」がIEEE内の''High Speed Study Group''で規格が策定され、[[2010年]]6月に正式承認された。規格名は「[[:en:IEEE 802.3ba|IEEE 802.3ba]]」。[[2011年]]6月には世界初の実証実験が行われた<ref>[http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20110601_449901.html 100GbEのIX実証実験に世界で初めて成功、インターネットマルチフィードなど]、Internet Watch、2011年6月1日付</ref>。
「[[100ギガビット・イーサネット#40.E3.82.AE.E3.82.AC.E3.83.93.E3.83.83.E3.83.88.E3.83.BB.E3.82.A4.E3.83.BC.E3.82.B5.E3.83.8D.E3.83.83.E3.83.88|40ギガビット・イーサネット]]」「[[100ギガビット・イーサネット]]」がIEEE内の''High Speed Study Group''で規格が策定され、[[2010年]]6月に正式承認された。規格名は「[[:en:IEEE 802.3ba|IEEE 802.3ba]]」。[[2011年]]6月には世界初の実証実験が行われた<ref>[http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20110601_449901.html 100GbEのIX実証実験に世界で初めて成功、インターネットマルチフィードなど]、Internet Watch、2011年6月1日付</ref>。
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[RJ-45]]
* [[RJ-45]]
* [[IEEE 802]]
* [[IEEE 802.3]]
* [[ギガビット・イーサネット]]
* [[ギガビット・イーサネット]]
* [[マルチギガビット・イーサネット]]([[:en:2.5GBASE-T_and_5GBASE-T]])
* [[マルチギガビット・イーサネット]]


== 出典と注記 ==
== 出典と注記 ==
<references/>
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [http://standards.ieee.org/getieee802/802.3.html Get IEEE 802.3]{{リンク切れ|date=2020年6月}} {{en icon}}
* [http://www.ieee802.org/3/ IEEE 802.3] {{en icon}}
* [http://www.ieee802.org/3/ IEEE 802.3] {{en icon}}
* [http://grouper.ieee.org/groups/802/3/ae/ IEEE P802.3ae 10Gb/s Ethernet Task Force] {{en icon}}
* [http://grouper.ieee.org/groups/802/3/ae/ IEEE P802.3ae 10Gb/s Ethernet Task Force] {{en icon}}

2021年12月16日 (木) 11:39時点における版

10ギガビット・イーサネット (10 gigabit Ethernet, 10GE, 10GbE, 10 GigE) は、イーサネットのうち、10ギガビット毎秒の通信速度を持つネットワーク規格の総称。LANWANMANに用いられる。

概要

最初の10GbE規格は2002年6月にIEEE802.3aeとして標準化された。LANの主流であるイーサネットで初めてWANでの利用を前提とした技術を含む[1]ファイバーチャネル・オーバー・イーサネット(FCoE)は当技術の利用を前提としており[2]、LANに留まらずストレージエリアネットワークのような高速・高信頼性なネットワークの基礎としても運用されている。 通信には既にギガビット・イーサネットで普及している全二重を使い、半二重、リピーター機構、そしてそれに伴うCSMA/CDはサポートしない(これはデータの送信が終了する前に衝突を検出できないためである)。MACにおけるイーサネットフレーム処理は従来規格と共通している[3]

物理層の規格には複数ある。ネットワーク機器のポートは、異なる物理層規格をサポートするSFP+などのモジュールによって実装されることが多い。 媒体には、光ファイバー同軸ケーブルツイストペアケーブル、基板上配線の4種類がある。初期にはツイストペアでは必要な周波数特性を確保できないと考えられていたため、まずは光ファイバーによる7種の方式が規定された。2004年〜2008年にかけて同軸ケーブル・ツイストペアケーブルなど銅線媒体による規格が後発している。

規格の分類

符号化の方式により、大きく以下の4つに分類される。

  • 10GBASE-R: LAN/MAN用途の規格。64b/66b符号化。回線速度は 10.3125 GBaud (ギガボー)。
  • 10GBASE-W: WAN接続用途の規格。64b/66bに加え、SONET/SDHの形式に信号変換するもの。回線速度は 9.95328 GBaud。
  • 10GBASE-X: 低速伝送を多重化した規格。8b/10b符号化。回線速度は 3.125 GBaud。
  • 10GBASE-T: ツイストペアケーブル規格。固有の符号化。回線速度は 0.8 GBaud (=400 MHz)。
名称 規格 ケーブル 距離長 用途
10GBASE-R 10GBASE-SR 802.3ae-2002 MMF 300m 光ファイバ短距離
10GBASE-LR 802.3ae-2002 SMF 10km 光ファイバ中距離
10GBASE-ER 802.3ae-2002 SMF 40km 光ファイバ長距離
10GBASE-LRM 802.3aq-2006 MMF 220m 古い光ファイバ
10GBASE-KR 802.3ap-2007 基板上配線 1m 高周波回路・省配線
10GBASE-PR 802.3av-2009 SMF (PON) 20km 10G-EPON
10GPASS-XR 802.3bn-2016 同軸 (PON) 20km 10G-EPON延伸
10GBASE-W 10GBASE-SW 802.3ae-2002 MMF 300m 光ファイバWAN短距離
10GBASE-LW 802.3ae-2002 SMF 10km 光ファイバWAN中距離
10GBASE-EW 802.3ae-2002 SMF 40km 光ファイバWAN長距離
10GBASE-X 10GBASE-LX4 802.3ae-2002 SMF 10km 光ファイバ中距離(低周波)
10GBASE-CX4 802.3ak-2004 4対2芯同軸 15m データセンター内LAN短距離
10GBASE-KX4 802.3ap-2007 基板上配線 1m 低周波回路・多配線
10GBASE-T 10GBASE-T 802.3an-2008 Cat.6A 100m ツイストペア
10GBASE-T1 802.3ch-2020 撚線1対 15m 車載用ツイストペア

ツイストペアケーブル

10GBASE-Tインタフェースを持つスイッチ

10GBASE-T

2006年に802.3anで標準化。ツイストペアケーブルにより最大100mの10Gbps接続をサポートする[a][4]1000BASE-Tと兼用可能なRJ-45のケーブルで接続可能であり、オートネゴシエーションがサポートされることで10GBASE-Tへのスムーズな移行が可能となっているが、ケーブル・コネクタ性能を改善したものに置き換える必要がある。より安価な選択肢として、従来性能のものが使えるように通信速度を落とした2.5GBASE-T・5GBASE-Tも策定されている。

10GBASE-T SFP+ Transceiver
10GBASE-T SFP+

2008年より半導体が出荷されており[5][6][7][8]、これらを用いたスイッチングハブレイヤ3スイッチ、サーバ向けネットワークカード(NIC)も出荷されている[9]SFP+として着脱可能なモジュール製品も登場している[10]

ケーブル

ツイストペアケーブルは主に以下のものが規定され[11]、1000BASE-Tよりもノイズ耐性や周波数特性の高いケーブルが要求される。多くはカテゴリー6AのUTPケーブルが用いられる[12]

ケーブル種類 周波数特性 距離長 備考
Cat.6 UTP 250MHz 55m TIA/EIA TSB-155-A で定義され、37mまで接続可能、37~55mの範囲ではエイリアンクロストークの状況により条件付きで利用可能[b]、55~100mはAnnex.Cの条件を満たす限り利用可能としている[13]JEITAやBICSIによると、エイリアンクロストークやノイズに対する耐性が不十分で性能が発揮できない可能性があった[13]
Cat.6A UTP 500MHz 100m TIA/EIA 568-B.2 Addendum 10で定義され、ISO/IEC 11801の改訂1・2 (2002年・2010年)、ANSI/TIA-568.2-D (2018年)で更新されている。ケーブル同士をボンディングした際に生じるエイリアンクロストークを減少させるため外周がやや太い[13]。2008年時点ではノイズ耐性にいくつかの疑義[c]がありSTPが推奨された[13]が、2011年にTIAはTSB-190によるガイダンスにおいて運用上問題ないとする見解を出している。
Cat.6A STP 600MHz 100m カテゴリー7が ISO/IEC TR 24750でクラスFとして、カテゴリー6A・7Aが ISO/IEC 11801:2002 改訂1 でクラスEA・FAとしてそれぞれ定義されている。従来のRJ-45に代わりGG45TERAコネクタなどが採用された。
Cat.7 STP 600MHz 100m
Cat.7A STP 1000MHz 100m

10GBASE-Tで用いるツイストペアケーブルでは、いくつかの電気的特性が重視される。

左からF/UTP、U/FTP、F/FTPの順にノイズに強くなる。白い部分がシールドである。
ノイズシールド
ノイズシールドの有無でUTP・STPの2種のツイストペアケーブルがある。ノイズ耐性の高いSTPでは、機器側コネクタも異なる形状となり、機器のアース接続も必要となる。特にカテゴリー7ケーブルにはSTPしかないため、これをカテゴリ56対応の既存機器に接続するとノイズ源となりえる。なお、STPはシールド方式によって以下のように分類される。
ツイストペアケーブルの主要なシールド方式
業界用語 ISO/IEC 11801[表注 1] ケーブルシールド ペア線シールド
UTP U/UTP なし(U) なし(UTP)
FTP, STP, ScTP F/UTP 箔(F) なし(UTP)
STP, ScTP S/UTP 編組(S) なし(UTP)
S-FTP, SFTP, STP SF/UTP 編組, 箔(SF) なし(UTP)
STP, ScTP, PiMF U/FTP なし(U) 箔(FTP)
FFTP F/FTP 箔(F) 箔(FTP)
SSTP, SFTP, STP PiMF S/FTP 編組(S) 箔(FTP)
  1. ^ 命名ルールは「/」の前後で以下の通り。
    • ケーブル全体を覆うシールド: 非シールド(U), 箔シールド(F), 網組シールド(S)
    • ツイストペア線を覆うシールド: 非シールド(UTP), 箔シールド(FTP)
ケーブル端のノイズ軽減
ケーブル両端のコネクタ接続部は配線が撚られていない範囲がありノイズ源となりえる。ある日本のケーブル・メーカー[誰?]では、カテゴリ5で12mm、カテゴリ7で3mmまでこの範囲を短くしてノイズ源を防いでいる[14]
周波数特性
主にワイヤ径の違いで決まる。次のようにカテゴリ7以上の特性を持つケーブルも販売[誰?]されている。
  • 0.55mm: 650 MHz
  • 0.58mm: 900 MHz
  • 0.64mm: 1200 MHz
ACR (Attenuation to Crosstalk Radio, 減衰対クロストーク比)
ケーブルのエイリアンクロストーク耐性を示すSN比。NEXT (Near-End Crosstalk, 近端漏話)およびFEXT (Far-End Crosstalk, 遠端漏話)と伝送損失との割合をdB単位で表す。ISO/IEC 11801で規定され、10GBASE-Tではこれを参照して伝送路の要求性能を定義している[15]

コネクタ

UTPとSTPとでは接続されるコネクタが異なっている。多くはRJ-45が使用される[12]

コネクタ ケーブル 周波数特性 概要
RJ-45 (8P8C) UTP 250 MHz 8ピンコネクタ。従来イーサネットのツイストペアケーブル規格で広く普及しているもの。IEC 60603-7で規定され、10GBASE-TではコネクタシールドのないPart 7-4、コネクタシールドのあるPart 7-5の2種が規定されている[16]
GG45 STP 600 MHz 12ピンコネクタ。ツイストペアが隣接するように対面外側に重複の3〜6ピンを追加したもの。RJ-45と互換性がありUTP接続可能。IEC 60603-7-7で規定。
ARJ45 STP 3 GHz GG45から従来の3〜6ピンを取り除いたもの。RJ-45と互換性がなくUTP接続不可。IEC 61076-3-110で規定。
TERA STP 2 GHz 新しい形状を採用したもの。RJ-45と互換性がない。IEC61076-3-104で規定。

変調技術

10GBASE-Tでは、ツイストペアケーブル1組あたり2.5Gbpsの伝送速度を実現するため、以下の技術を利用している。

全体として、以下の符号化手順でデータを送出する[17]

  1. 64ビットごとに情報ビットを付加し、65ビットのブロックとする(64B/65B)
  2. 50ブロックをまとめて、3250ビットのフレームとする。
  3. さらにCRC8と補助ビット(Auxiliary bit)を付与し3259ビットのフレームとする。
  4. 3259ビットを1536ビットと1723ビットのブロックに分割する。
  5. 1723ビットのブロックにLDPC(2048, 1723)を適用し、エラー訂正符号325ビットを付与する。
  6. 1536ビット(=512×3)のブロックから3ビット、2048ビット(=512×4)のブロックから4ビット取り出し、7ビットずつDSQ128を適用して512シンボルを生成する。
  7. DSQ128の512シンボルをPAM16の256シンボルとして4レーンに送出する。
  8. (THPで電力均一化する。)

同様の方式は2.5GBASE-Tおよび5GBASE-Tで流用されている。

この方式の開発においては、800メガシンボル/秒で3.125情報ビットの伝送すると最もSNRがよくなることがわかっていたため、PAM16とPAM12が検討された。最終的にDSQ128を併用したPAM16が採用された[18]

DSQ128は、802.3anタスクフォース(標準化作業部会)でブロードコム(当時)が開発提案した。7ビットを3ビットと4ビットに分割し、いずれもPAM16で符号化して連続して送出する方式で、256状態→128状態とすることで符号間の距離を倍にしSNRを3dBを稼げる。この符号間距離を説明するために、市松模様(checkerboard pattern)がよく使われるが、これがDouble SQuare (2つの正方形)を略した符号化名称となった由来である[18]

転送能力

1ポートあたり片方向10Gbps(双方向20Gbps)の転送能力がある。 この10Gbpsは、符号化前の情報ビット(実際に転送したいデータ)に対するレートであり、DSQ128符号を基準に見た場合、ツイストペア1対あたり800Mシンボル/s * 3.5bit/シンボル=2.8Gbps (4対で11.2Gbps)の転送能力がある。 情報ビットを基準に見た場合、符号化効率は約89.3%(3200/3584)のため、2.8Gbps * 3200 / 3584 = 2.5Gbps (4対で10Gbps)の転送能力となる。 なお、情報ビットにはイーサネットフレームのヘッダなどのオーバーヘッドも含むが、これは1000BASE-T以前の規格でも同様である。

レイテンシ

3200情報ビット * 4をまとめて符号化する必要があることから、レイテンシ(ラウンドトリップタイム)は規格上2.6マイクロ秒である[19]。これは音声、高可用性クラスタの相互接続、HPC等で問題になることがある[19]が、1000BASE-Tを引き続き用いることで回避している。広い帯域を期待するSANは、これがボトルネックとなることがあり、光ファイバやファイバーチャネルを採用することがある。

消費電力

消費電力も問題となっている。登場当時は1ポート当たり20W前後が示唆されており実用レベルではなかった。半導体プロセスの進化による消費電力が低下した現在(2017年)でも3.5~5W程度が必要である。これはSFP+が期待する1W程度に比べはるかに大きく相応の電力供給能力と放熱能力が要求されることを意味する。

10GBASE-T1

2020年に802.3chで標準化[20]。車載組み込み機器用途で、1対のツイストペア(シングルペア)で最大15m接続する。2.5GBASE-T1, 5GBASE-T1とともに MultiGBASE-T1 の総称で規定されている。

符号化においては10GBASE-Tの方式と一部共通し、64b/65b変換した符号50ブロックからなる3250ビットフレームの生成までは同様の手順をとる。これに10ビットの管理情報を加えてRS/FEC(360,326)符号を加えることで3600ビットフレームとし、スクランブル処理などを経て最終的に1800シンボルのPAM-4として送出する。回線速度5.625 GBaudによりシングルペアでの10Gbpsを実現している[21]

同軸ケーブル

SFF-8470コネクタ

10GBASE-CX4

2004年に802.3akで標準化。最長15mの短距離用途。10Gbpsのデータを4分割し、8b/10b変換して4つの伝送路に送るため、伝送路1つあたり3.125 GBaudの通信容量を持つ。4つの伝送路は、双方向でそれぞれ差動信号を使用するため、計16本の導線で構成される。媒体は2芯同軸ケーブル(twinaxケーブル)を意図して規定されているが、同様の電気仕様を充たすもので代替しても良い[22]

一般にはInfiniBandのコネクタ(SFF-8470)で接続し、XENPAK, X2, XFPなどの挿抜モジュールとして実装される。初期の10GbEとしては最もポート単価が安く、主にスイッチのスタック用途で実装されていた。

10GSFP+Cu

2006年にベンタ間合意規格SFF-8431で規定[23]。一般にはダイレクトアタッチケーブル(DAC)と呼ばれる。メーカ独自の名称として 10GBASE-CR10GBASE-CX1 などとも呼ばれている[24]。 2芯同軸ケーブル(twinaxケーブル)などを伝送路とし、両端をSFP+の外装で終端させたケーブルを用いる。CX4と用途は同じであるが、電気仕様や符号化方式は異なる。

電源の要不要によってアクティブ・パッシブの2種がある。距離長は、パッシブDACでは最長5〜7 m程度、アクティブDACでは10〜15 m程度。10GBASE-Tよりもポート単価、消費電力、敷設に優れ、光ケーブルと同等の低レイテンシを実現できる。近距離接続の代替やスイッチのスタック用途として普及している。

光ファイバーケーブル

光ファイバーケーブル規格の一覧を示す[3][25]

10GbEの光ファイバ規格
名称 規格(項番) ファイバ・距離長 波長 ラインレート
[GBaud]
符号化
10GBASE-SR 802.3ae-2002
(Clause49/52)
OM1: 33m
OM2: 82m
OM3: 300m
OM4: 400m
850 nm 10.3125 64b/66b
10GBASE-LR 802.3ae-2002
(Clause49/52)
OS2: 10km 1310 nm 10.3125 64b/66b
10GBASE-ER
(10GBASE-ZR)
802.3ae-2002
(Clause49/52)
OS2: 40km
(80km)
1550 nm 10.3125 64b/66b
10GBASE-LRM 802.3aq-2006
(Clause49/68)
OM2: 220m
OM3: 220m
1310 nm 10.3125 64b/66b
10GBASE-LX4 802.3ae-2002
(Clause48/53)
OM2: 300m
OS2: 10km
4波長WDM:
1275.7, 1300.2, 1324.7, 1349.2
(± 6.7) nm
3.125 8b/10b
10GBASE-SW 802.3ae-2002
(Clause50/52)
OM1: 33m
OM2: 82m
OM3: 300m
OM4: 400m
850 nm 9.95328 64b/66b × SONET STS-192c
10GBASE-LW 802.3ae-2002
(Clause50/52)
OS2: 10km 1310 nm 9.95328 64b/66b × SONET STS-192c
10GBASE-EW
(10GBASE-ZW)
802.3ae-2002
(Clause50/52)
OS2: 40km
(80km)
1550 nm 9.95328 64b/66b × SONET STS-192c
10GBASE-PR 802.3av-2009
(Clause75-77)
OS2: 20km PON:
上り 1270 nm, 下り 1577 nm
10.3125 64b/66b × RS/FEC(255,239)
10ギガビット・イーサネットのインタフェースを持つルータ

光ファイバー規格に共通する仕様・実装について、以下にまとめる。

ファイバー種別
ファイバーは以下の2種類を用いる。
  • SMF (シングル・モード・ファイバー): 長距離用。ISO/IEC 11801では、OS1, OS2の種類がある。
  • MMF (マルチ・モード・ファイバー): 短距離用。ISO/IEC 11801では、OM1, OM2, OM3, OM4などの種類がある。
64b/66b符号化
10GbE光ファイバ規格の多くで採用される符号化方式[26]
送信側のPCSは、MACからXGMIIで受け取った送信データを64ビットずつ取り出し、スクランブル処理を行うことで0/1が連続しない形式のデータに変換する。これに先頭2ビット「01」「10」いずれかの同期ヘッダを加えて66ビットにする[27]。PMAはこれをシリアル伝送(NRZ)する。
受信側のPCSは受信データの妥当性の検証のため、66ビットおきに同期ヘッダを見て「00」「11」のパターンであればエラーを通知する。異常がなければ、64ビット分のデータをスクランブル復号してMACに引き渡す。
スクランブル処理では多項式 を用いて排他的論理和を算出している。
なお、物理層規格の中には、この方式に追加処理を持つ10GBASE-W10GBASE-PRや、この方式を採らない10GBASE-LX4がある。
XFP(上)とSFP+(下)
光トランシーバー
各ファイバ規格の物理層の一部は、一般に挿抜可能なモジュールによって実装される。代表的なモジュールを以下に挙げる。10GbEでは、主にSFP+が用いられる[28]。これらには公的な標準化はないが、マルチソースアグリーメント(MSA)に準拠している。
10GbEの主な光トランシーバ
名称 MSA 電気インタフェイス サイズ[mm]
XENPAC INF-8474 XAUI, 70ピンコネクタ 121 × 38 × 17.4
X2 INF-8476 XAUI, 70ピンコネクタ 91 × 36 × 12.00 〜 28.86
XPAK INF-8475 XAUI, 70ピンコネクタ 75.69 × 39.62 × 11.84 〜 24.28
XFP INF-8077 XFI (10Gbpsシリアル), 30ピンコネクタ 71.1 × 18.35 × 8.5
SFP+ SFF-8431 SFI (10Gbpsシリアル), 20ピンコネクタ 56.5 × 13.7 × 8.5

10GBASE-SR

10GBASE-SR/SW 通信におけるMMF仕様と距離長
コア径 モード帯域幅
(850nm波長)
名称など 距離長
62.5μm 160 MHz·km FDDIグレード 26 m
62.5μm 200 MHz·km OM1 33m
50μm 400 MHz·km - 66 m
50μm 500 MHz·km OM2 82 m
50μm 2000 MHz·km OM3 (1500MHz・km) 相当 300 m
50μm 4700 MHz·km OM4 (3500MHz・km) 相当 400 m

2002年に802.3aeで標準化。MMFを使った850(±10)nm波長の短距離通信(Short Reach)を行う。距離長はコア径・モード帯域幅などファイバ特性によって変わる[29]1000BASE-SXではOM1やOM2が広く使われていたが、10GBASE-SR/SWではOM3相当のものが要求される。

トランシーバによっては距離長を1/3程度に抑えた省電力・低価格のものがあり、メーカ独自の名称として 10GBASE-SRL (SR lite) と呼ばれている[10]

10GBASE-LR

2002年に802.3aeで標準化。 SMFを使った1310(±45)nm波長の中距離通信(Long Reach)を行う。最長10kmをサポートする。

10GBASE-ER

2002年に802.3aeで標準化。SMFを使った波長1550(±15)nm波長の長距離通信(Extended Reach)を行う。最長40kmをサポートする。

トランシーバによっては最大80kmまでサポートするものがあり、メーカ独自の名称として広く 10GBASE-ZR と呼ばれている[30][10]

10GBASE-LRM

2006年に802.3aqで標準化[31]。 1990年代初頭にFDDI100BASE-FX用に敷設されたMMFでの接続を目的としたもので、1310(±45)nm波長で最長220mをサポートする。 受信側イコライザに分散補償(EDC)を用いており、これにより62.5μmコアのモード帯域幅が160/500MHz・kmしかないMMFでも通信が可能になった。

10GBASE-LX4

2002年に802.3aeで標準化。10Gbpsのデータを4分割し、8b/10b変換してWDMで4信号を同時に送受する[32]。MMF/SMFの両方で使える。

1000BASE-Xで採用している8b/10b変換をそのまま拡張したもので、1信号の伝送速度が2.5Gbps、回線速度は 3.125 GBaudとなる。広帯域幅のMMFや半導体素子など10Gbps回線動作環境が安価になり、WDMのほうが割高となったため廃れた[33]

10GBASE-W

10GBASE-WのOC-192/STM-64フレーム構造
オーバヘッド部 ペイロード部 (16704列)
576列 1列 63列 16640列
3行 SOH POH 定型要素
(全ゼロ)
ペイロード
(64b/66b符号)
6行 LOH
  • SOH: セクション(Section)オーバヘッド
  • LOH: ライン(Line)オーバヘッド
  • POH: パス(Path)オーバヘッド

2002年に802.3aeで標準化。距離長によって10GBASE-SW/LW/EWの3種(および規格外の距離長をサポートする10GBASE-ZW)があり、ファイバの伝送特性・距離長などは10GBASE-Rのものと共通する。

符号化処理は、既存のWAN標準であるSONET/SDHへの接続を意図した仕様になっており、イーサネットフレームのデータをSONET/SDHフレームの一部として割り付ける。この処理を行うPCS-PMA間の処理ブロックをWIS (WAN Interface Sublayer)と呼び[34]、これを含む物理層デバイス(PHY)をWAN PHYと呼ぶ[3]

回線速度は 9.95328 Gbps、 伝送速度は 9.58464 Gbps となり、いずれも他の10GbEよりやや小さい。この回線速度をサポートするOC-192/STM-64 (STS-192c)では、フレームが17280列 × 9行のオクテット配列で構成される。10GBASE-WのWISでは、このうち16640列のサイズを持つペイロードの領域に64b/66b符号を配置し、これを125マイクロ秒おきに送信する[35]。回線速度と伝送速度の比率は、このフレーム全体とペイロードのサイズ比に相当する。さらにデータ転送速度はこの64/66にあたる9.294 Gbps程度となる[36]

10GBASE-W対応機器をSONET/SDHと接続するには、10GBASE-Wポートを持ったSONET/SDH用の光クロスコネクト(OXC)装置などに収容する必要がある。

10GBASE-PR

2009年に802.3avで標準化、2013年に802.3bkで一部拡張。10G-EPONとして、プロバイダ設備からのポイント・ツー・マルチポイント通信を意図した仕様になっている。SMF1本で下りに1577 nm、上りに1270 nmの波長を使う。

1G-EPON (802.3ah)との下位互換性が考慮されており、上り下りの両方で10G動作する対称モード(10GBASE-PR)と、下り10G・上り1Gの非対称モード(10GBASE-PRX)がある[37]。さらに、同一拠点で1Gと10GのEPON設備を同時に共存させることも可能である。下りでは、 1Gで1490 nm、 10Gで1577 nmを使い波長分割する。上りでは波長分散の小さい波長帯をともに使うため1Gで1260〜1360 nm、 10Gで1270 nmと重なっておりTDMAで時分割する[38]

符号化には、64b/66bに加え、RS-FEC(255,223)を追加している。10G・10G対称モードでは両方向に、10G・1G非対称モードでは下りのみFEC付加が必須となる[39]。なお、非対称の上り1Gは、別途1G-EPONのオプションとしてRS-FEC(255,239)が用意されている[40]

パワーバジェットは4クラス規定されており、10GBASE-PR10, 10GBASE-PR20, 10GBASE-PR30, 10GBASE-PR40 の名称でそれぞれ 20・24・29・33 dB の伝送損失をサポートする[41]

普及

日本での使用例

ギガビット・イーサネットまでは順調に普及した一方、10ギガビット・イーサネットは策定から20年ほどたった2020年代になっても、ギガビット・イーサネットより価格が極めて高い、放熱ファンの騒音が大きい、消費電力が大きい等の理由から主に業務用としてしか普及しておらず、一般家庭への浸透は長らく足踏みしている。

日本インターネットエクスチェンジの例
都内5か所の拠点間が40km以内であるため、それぞれのスイッチ間を10GBASE-ERで直接繋いでいる。10km以内のところは10GBASE-LRで繋いでいる。最大4リンクのリンク・アグリゲーションも使っている。
BIGLOBEの例
東京近郊のデータセンター間で利用している。40km以上になる区間には光信号を中継延長する光伝送装置を置いている[3]
映像制作会社の例
2007年初頭、都内の映像(コンピュータグラフィックス等の)制作会社で社内LANでの採用が始まった。コンポジット作業PCなど高速ディスクアクセス要求が高い場面があった。10GBASE-CX4のネットワークカードWindows XPに装着し、10ギガビット対応のNAS等と10GBASE-CX4対応の安価なスイッチで運用されている。従来はファイバーチャネル接続のストレージエリアネットワークの守備範囲であったが、安価な点が魅力となっている。ファイバーチャネルに劣る部分もあるものの、共同作業者間でTB単位の大容量データの共有、集約、保護が簡単に行え、業務効率化を安価に実現できる等広まりつつある。そうして制作された映画第一号に「よなよなペンギン」がある。
NURO 光 10G
2015年6月1日よりSo-netから個人宅向け下り10GbpsのFTTHサービス:NURO 光 10Gが提供されている[42]光回線終端装置から10GBASE-TでPCへ接続する。

関連項目

出典と注記

  1. ^ 近藤卓司(ノーテルネットワークス) (2002年7月17日). “特集:10ギガビット・イーサネット大解剖 - Part.1”. @IT. 2021年11月11日閲覧。
  2. ^ FCoE[リンク切れ]
  3. ^ a b c d 日経NETWORK 2007年10月号 「"今どき"のイーサネット プロバイダとIX」 p34-p35
  4. ^ IEEE 802.3, Clause 55.1
  5. ^ Broadcom 10GBASE-T PHY[リンク切れ]
  6. ^ Teranetics 10GBASE-T PHY[リンク切れ]
  7. ^ Solar Flare 10GBASE-T PHY[リンク切れ]
  8. ^ Aquantia 10GBASE-T PHY[リンク切れ]
  9. ^ Intel 10Gigabit AT2 Server Adapter[リンク切れ]
  10. ^ a b c FS community Blog: How to Classify 10G SFP+ Transceiver Modules?”. FS Community (2020年3月4日). 2021年12月11日閲覧。
  11. ^ IEEE 802.3, Table 55-17
  12. ^ a b Category 7 and 7A see their sunset”. Data Centre Dynamics, Ltd. (2018年10月2日). 2021年12月10日閲覧。
  13. ^ a b c d BICSI技術セミナ[リンク切れ]
  14. ^ 日経NETWORK 2007年4月号 「10ギガイーサLANケーブル」 p84
  15. ^ IEEE 802.3, Clause 55.7.3
  16. ^ IEEE 802.3, Clause 55.8.1
  17. ^ IEEE 802.3 Clause 55.3.2
  18. ^ a b 10GBASE-T: 10 Gigabit Ethernet over Twisted-pair Copper”. Ethernet Alliance (2007年8月12日). 2021年12月10日閲覧。 p.15, p.16
  19. ^ a b 10Gb Ethernet Cabling Options”. BLADE Network Technologies (2009年10月16日). 2021年12月11日閲覧。 - page.3, 4
  20. ^ IEEE 802.3ch-2020 - IEEE Standard for Ethernet Amendment 8:Physical Layer Specifications and Management Parameters for 2.5 Gb/s, 5 Gb/s, and 10 Gb/s Automotive Electrical Ethernet”. IEEE Standards Association (2020年6月4日). 2021年12月3日閲覧。
  21. ^ IEEE 802.3ch, Clause 149.3.2, Figure 149-6.
  22. ^ IEEE 802.3, Clause 54.6
  23. ^ SFF-8431, Appendix E: SFP+ Direct Attach Cable Specifications "10GSFP+Cu" (Optional)
  24. ^ FS community Blog: 10G SFP+ DAC Cable - 10GSFP+Cu”. FS Community (2015年1月7日). 2021年12月11日閲覧。
  25. ^ IEEE 802.3, Clause 48, 49, 50, 52, 53, 55, 68, 75
  26. ^ IEEE 802.3 Clause 49
  27. ^ IEEE 802.3 Clause 49.2.4
  28. ^ Common 10G Fiber Transceiver: 10G XENPAK, 10G X2, 10G XFP, 10G SFP+”. Blog of Fiber Transceivers (2013年6月18日). 2018年8月26日閲覧。
  29. ^ IEEE 802.3, Clause 52.5
  30. ^ Optcore 10GBASE-ZR SFP+[リンク切れ]
  31. ^ IEEE P802.3aq 10GBASE-LRM Task Force
  32. ^ Network Topologies and Distances”. MC Communications (2007年11月14日). 2018年8月25日閲覧。
  33. ^ 10 Gigabit Ethernet (10GbE) Standards”. Optcore (2017年5月5日). 2021年12月10日閲覧。
  34. ^ IEEE 802.3, Clause 50.1
  35. ^ IEEE 802.3, Clause 50.3.1
  36. ^ 瀬戸康一郎『10ギガビット・イーサネットの教科書』インプレス、2005年3月30日、12頁。 
  37. ^ IEEE 802.3, Clause 75.1
  38. ^ IEEE 802.3, Clause 75.6
  39. ^ IEEE 802.3, Clause 76.3.2.4
  40. ^ IEEE 802.3, Clause 65.2.3
  41. ^ IEEE 802.3, Table 75-1
  42. ^ 世界最速光回線インターネット接続サービスNURO 光 10G
  1. ^ 「正確には9.42Gbps」と記しているウェブサイトがあるが誤り。
  2. ^ ANEXT (Alien Near-End Crosstalk)の実測が必要。
  3. ^ Cat.6A UTPでは以下の問題が指摘されていた。
    • ケーブルがノイズに弱く必要な周波数マージンが不足する場合がある。
    • 異種メーカー品もしくは複数カテゴリのケーブルを混在させた場合、ケーブル間のエイリアンクロストークが無視できない。
    • コネクタ間のエイリアンクロストークにより、コネクタ間隔をある程度広くしなければならない可能性がある。

外部リンク