ストレージエリアネットワーク

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ストレージエリアネットワーク(Storage Area Network,SAN, 「サン」と発音)は、ハードディスク装置や磁気テープ装置などのストレージと、サーバなどのコンピュータを、ファイバチャネルなどのシリアルSCSIプロトコルを用いてネットワーク化したシステムである。膨大な量のデータファイルを保存・活用・一括管理するために使用される。

コンピュータネットワークとしては、TCP/IPを用いたインターネットLANが身近であるが、SANは、これらTCP/IPネットワークとは独立に構築される。

SANの歴史[編集]

ストレージとサーバの間でネットワークを構築する構想は、1995年頃、ファイバーチャネルの実用化にめどが立った頃から現れ始め、ストレージエリアネットワーク(SAN)の呼び名が定着したのは1998年頃である。この名称は、ローカルエリアネットワーク(LAN)を意識して名付けられた。SANが実用化したのは、対応する製品が出始めた1999年以降のことである。なお、SANを意識して名付けられたストレージ製品としてNASがある。

SANで使われるストレージ[編集]

SANで用いられるストレージは、主にハードディスク装置と磁気テープ装置である。

ハードディスク装置は、通常、複数のディスクを集めてRAID構成にして使用する。RAIDにすることで、耐障害性を高めることができ、また読み書きを速くすることができる。RAIDには0から6までの種類があり、通常はRAID1やRAID5が用いられることが多いが、RAID0やRAID6が用いられることもある。また、2つのRAID形態が組み合わされることもあり、RAID4+1やRAID10(RAID1+0)などと表現される。一般にFC接続可能なHDDは高価であることから、SASSATAなどの安価なHDDを使用しRAID装置間のみをFCで接続する形態をとることによってコストダウンを図った機器も発売されている。

磁気テープ装置は、DDSLTOといった磁気テープを使用してデータの読み書きを行う機器である。テープを1本だけ投入でき交換は人手を介して行うものをテープドライブと言う。これに対しあらかじめセットされた中から自動的に適切なテープを選択しデータを読み書きする機器があり、そのうち小型のものをテープチェンジャと、大型のものをテープライブラリと呼ぶ。テープ装置はバックアップ(後述)に用いられる。

SANにおけるバックアップ[編集]

バックアップ(backup)とは、一次ストレージ(例えばハードディスク装置)が万一故障した場合に備えて、二次ストレージ(例えばテープ装置)にデータの複製を取っておくことを言う。バックアップの取り方の種類には、フルバックアップ、差分バックアップ、増分バックアップがある。

フルバックアップ(full backup)とは、バックアップの対象となるデータファイルを全て二次ストレージにバックアップする方法である。フルバックアップすると、バックアップ対象となる全てのファイルのアーカイブビット(前回のバックアップからファイルが更新されたことを表す属性)はクリアされる。

差分バックアップ(differential backup)とは、バックアップの対象となるデータファイルのうちアーカイブビットがセットされたファイルだけをバックアップし、バックアップ後アーカイブビットをクリアしない方法である。すなわち、フルバックアップ後に更新されたファイルだけをバックアップする。これにより、バックアップにかかる時間を減らすことができる。リストア(バックアップからデータを戻すこと)をするときは、フルバックアップと差分バックアップをリストアする。

増分バックアップ(incremental backup)は、バックアップの対象となるデータファイルのうちアーカイブビットがセットされたファイルだけをバックアップし、バックアップ後アーカイブビットをクリアする方法である。すなわち、前回の増分バックアップから(初回はフルバックアップから)更新されたファイルだけをバックアップする。バックアップに掛かる時間は、差分バックアップより短い。しかしリストアする場合は、フルバックアップをリストアした後、増分バックアップをすべてリストアしなければならないので、差分バックアップより時間が掛かる。

IP-SAN[編集]

SANのネットワーク部分はファイバチャネルを用いることが多いが、iSCSIを用いることもできる。iSCSIはIPネットワークの上に載るため、iSCSIを用いたSANはIP-SANと呼ばれることもある。iSCSI記憶装置のシェアトップはEqualLogic社を買収したデルである。(IDC:Dell moves to top of growing iSCSI SAN market) 2位は、ネットアップであり、同社はNASでもシェアトップであり[要出典]最近、非常に成長している会社としても有名である。

また、IPベースでSANを結ぶ新しいプロトコルとして、ファイバチャネルをIP上に載せるためのプロトコルFCIPiFCPがあり、ブロケード(含む McDATA、CNT、Nishan)、シスコシステムズなどから提供されている。

SANにおけるデータ共有[編集]

SANは基本的にデバイスをサーバ間で共有するものであり、ボリュームの共有はサポートされない。SANに接続された複数のサーバ間で、あるボリューム内のデータ(ファイル)を共有したい場合は、単一ファイルサーバを通してLAN上でやり取りを行うか、SANファイルシステムを導入し共有を行うサーバ間で排他制御を行う必要がある。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]