植松靖夫

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植松 靖夫(うえまつ やすお)は、日本英文学者・辞書編纂者・翻訳家

人物[編集]

上智大学大学院博士後期課程修了。東北学院大学文学部教授東北大学弘前大学仙台白百合女子大学名古屋外国語大学大学院でも教鞭を執る。

学生時代より翻訳を手がけ、1980年代国書刊行会初のベストセラーとなる翻訳書『法の書』など次々にオカルト関係の翻訳を出版。菊地秀行夢枕獏朝松健ら怪奇系作家に直接間接の影響を与え、真正オカルト思想の紹介者の一人と目される一方、1990年代のいわゆる「イギリスブーム」の火つけ役の一人としても知られる。

国語国字問題に造詣が深く、フランス文学者で国語審議会委員も務めた市原豊太の薫陶を受け、第43回菊池寛賞を受賞した中村粲からは「学力もズバ抜けて居り、また正漢字・歴史的仮名遣の使用は完璧で、私の方が不明な点を植松君に尋ねる程だつた」と評されている。[1] また、市原豊太を介して1970年代に小林秀雄の知遇を得る。1980年代に神田の古書店で、植草甚一の蔵書の相当数を引き取ったことでも知られる井光書店の店主・石井正則に可愛がられ、同書店を介して丸谷才一篠田一士西川正身らと親しくする。

著作[編集]

単著[編集]

  • 「超常現象と近代的学知」 『星幽界通信』1984年春季号 国書刊行会 1984年
  • 「B.L.セント・アーマンド教授とラヴクラフト研究」『ユリイカ』青土社 1984年
  • 「H.P.ラヴクラフトと脱近代」 『定本ラヴクラフト全集』 第10巻 「月報」 国書刊行会 1985年
  • 「“蠅”のデモノロジー」 『ユリイカ』 青土社 1987年
  • 「クロウリー効果----神秘主義のテクノロジー」 『imago』 青土社 1990年
  • 「『新英和中辞典』(第6版)の使い方」研究社 1995年
  • 「『ニュースクール英和辞典』の使い方」 研究社 2002年
  • 「LordとSirの訳語をめぐって」 『英語青年』研究社 2003年
  • 『The Book of the Homeの世界——その時代背景と特色』 アティーナ・プレス 2004年
  • 『An Encyclopedia of Domestic Economy 解題』 アティーナ・プレス 2005年
  • 「翻訳ほりだし物」『東京新聞』2008年

共著[編集]

  • 刈田元司・共著『最期のことば 聖書から死刑囚まで』社会思想社現代教養文庫 1989年
  • 『世界・日本キリスト教文学事典』 教文館 1994年
  • 『新和英中辞典』(第4版)研究社 1995年
  • 『新カトリック大事典』第1巻 研究社 1996年
  • 『ニュースクール英和辞典』 研究社 1998年
  • 『新和英中辞典』(第5版) 研究社 2002年
  • 『新和英大辞典』(第5版) 研究社 2003年
  • 『ニュースクール英和辞典』(第2版) 研究社 2009年

解説[編集]

  • オルダス・ハクスリ『すばらしい新世界』 黒原敏行・訳 光文社 2013年

翻訳[編集]

  • ケネス・グラント『魔術の復活』(世界魔法大全)国書刊行会 1983年
  • ダイアン・フォーチュン 『心霊的自己防衛』 (『世界魔法大全』第四巻 共訳:大島有子) 国書刊行会 1983年
  • アレイスター・クロウリー『魔術 理論と実践』(下)(世界魔法大全 第二巻)島弘之,江口之隆共訳 国書刊行会 1983年
  • アレイスター・クロウリー『法の書』島弘之共訳 国書刊行会 1983年
  • ジョン・A.キール『モスマンの黙示』国書刊行会 超科学シリーズ 1984年
  • B. L. セント・アーマンド 「ニュー・インドランドのデカダン派----」H. P. ラヴクラフト論」『ユリイカ』 青土社 1984年
  • ナンドー・フォドー『心霊の次元』栩木伸明手塚裕子共訳 国書刊行会 超科学シリーズ 1985年
  • H. P. ラヴクラフト「文学と超自然的恐怖」『定本ラヴクラフト全集 7-1 (評論篇)』佐藤嗣二 並木二郎 福岡洋一 岩井孝共訳 国書刊行会 1985年
  • B. L. セント・アーマンド「ラヴクラフトとボルヘス」『定本ラヴクラフト全集 7-1 (評論篇)』佐藤嗣二 並木二郎 福岡洋一 岩井孝共訳 国書刊行会 1985年
  • 『アレイスター・クロウリー著作集 3 麻薬常用者の日記』国書刊行会 1987年
  • ケネス・グラント『アレイスター・クロウリーと甦る秘神』アレイスター・クロウリー著作集 別巻 3 国書刊行会 1987年
  • A.ジョンソン『イギリス小説入門 ディケンズからコンラッドまで』高科書店 1988年
  • ケロウ・チェズニー『ヴィクトリア朝の下層社会』中坪千夏子共訳 高科書店 1991年
  • ヘンリー・メイヒュー著 ジョン・キャニング編『ロンドン路地裏の生活誌 ヴィクトリア時代』原書房 1992年
  • ガヴィン・ウェイトマン『図説テムズ河物語』東洋書林 1996年
  • アレイスター・クロウリー『魔術 理論と実践』新装版 島弘之,江口之隆 共訳 国書刊行会 1997年
  • クリストファー・ヒバート『図説イギリス物語』小池滋監訳 東洋書林 1998年
  • クリスティン・ヒューズ『十九世紀イギリスの日常生活』松柏社 1999年
  • リチャード・マンキェヴィチ『図説世界の数学の歴史』秋山仁監修 東洋書林 2002年
  • ウンベルト・エーコ編著『美の歴史』監訳 川野美也子訳 東洋書林 2005年
  • マイケル・ファーバー『文学シンボル事典』東洋書林 2005年
  • コリン・ウィルソン『人狩り 連続殺人犯を追いつめろ!』悠書館 2008年
  • アルジャナン・ブラックウッド『心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿』創元推理文庫 2009年
  • ロバート・ハクスリー編著『西洋博物学者列伝 アリストテレスからダーウィンまで』悠書館 2009年
  • ヘンリ・メイヒュー『新装版 ヴィクトリア時代ロンドン路地裏の生活誌』(原書房)2011年
  • ロビン・ハンベリ-テニソン編著『世界探検家列伝 海・河川・砂漠・極地、そして宇宙へ』悠書館 2011年
  • 東雅夫編 『世界幻想文学大全1 幻想文学入門』筑摩書房 2012年
  • ヘンリー・メイヒュー『ロンドン貧乏物語 ヴィクトリア時代呼売商人の生活誌』悠書館 2013年

脚注[編集]

  1. ^ 中村粲「市原豐太先生のこと」市原豐太先生追悼文集刊行会編『市原豐太先生を偲んで』(芸立出版)p. 102, 1993.8.14

外部リンク[編集]