山中康裕

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山中 康裕(やまなか やすひろ、1941年 - )は精神科医臨床心理士カウンセラー医学博士京都大学名誉教授。愛知県生まれ。専攻は、臨床心理学精神医学ユング心理学。

目次

[編集] 経歴

名古屋市立大学医学研究科時代から臨床医として多くの経験を積む。そこで、山中は他の医局員とともに次に医局に迎える教授を探し出し、当時、ハイデルベルク大学精神科の客員講師で、ドイツ精神医学のNervenarzt誌の編集参与をしていた、木村敏を招聘した。その後、東京大学医学部附属病院分院の講師であり、土居健郎ゼミに所属していた中井久夫を招聘した。これを契機に名古屋は精神病理精神療法において重要な役割を果たす地となる。名古屋市立大学大学院時代にバウムテストに関する授業を受けたのが芸術療法に興味を持つきっかけとなり、芸術療法に関する著作がほとんどない当時において病院で積極的に活用した。

その後、南山大学文学部助教授、1980年より京都大学教育学部、1992年より同大学教育学研究科の教授、研究科長・学部長等を歴任した。現在はヘルメス研究所所長。後進の心理療法家の育成や、臨床活動を行っている。

[編集] 略歴

  • 愛知学芸大学付属名古屋中学校
  • 1960年に愛知県立旭丘高等学校卒業。
  • 1966年に名古屋市立大学医学部医学科卒業。
  • 1971年に名古屋市立大学大学院医学研究科博士課程修了。
    • その後、名古屋市立大学助手、同講師を務めた。
  • 1977年に南山大学文学部助教授。
  • 1980年に京都大学教育学部助教授。
  • 1992年、京都大学大学院教育学研究科教授。
  • 2001年に同教育学研究科長・学部長
  • 2005年に退職し、京都大学名誉教授
  • 2005年~現在 京都ヘルメス研究所所長。

[編集] 業績

 山中は遊戯療法に関する研究・実践も数多く行っているのが特徴的で、神経症から、(自閉症アスペルガー症候群)まで多岐にわたる。 山中が児童精神科医として勤め始めて10年が経過した頃に、山中の自閉症についての試論(笠原嘉編『分裂病の精神病理 5』所収、東京大学出版会、1976)が中央公論社の編集者の目に留まる。編集者によると、山中の自閉症に関する論文を読んだ際、山中が治療者としての力量があると判断し、山中に「少年期について何か書かないか」と持ちかけた。山中は当初、これを断ったが、後に自身が児童精神科で出会った子どもたちとの遊戯療法play therapy)を記した「少年期の心 -精神療法を通してみた影-」(中公新書,1978)を執筆した。

本書は児童期・思春期の精神・心理療法における古典的名著とされ、ほぼ毎年、版を重ねて読み継がれている(2007年で第23版)。「少年期の心」では、子どもの事例を7つ述べ、箱庭や写真、手紙などのさまざまな表現を用いて、子どもたちが治癒していく過程が記されている。山中は、台湾で正式な翻訳書が出る前に中国語の海賊版が出回っていることを現地で知り、驚いたという。

現在は日本遊戯療法学会の会長を務める。これ以外に、最近では米国のプレイセラピストとして高い評価を受けているゲリー・ランドレスの「プレイセラピー」の監訳を担当する等、精力的に遊戯療法の発展に多方面から取り組んでいる。

山中の業績には日本における描画等の芸術療法箱庭療法など表現療法で先駆的なものが多い。箱庭療法に関しては、D.カルフの主著(Sandspiel- Seine Therapeutische Wirkung auf die Psyche) の翻訳を行い「カルフ箱庭療法」として出版されている。また、国内の箱庭療法の発展・普及に尽力し、箱庭の国際学会の設立にも携わり、現在はドイツのSANDSPIEL-THERAPIE誌の編集顧問も務める。

山中は風景構成法を考案した精神科医の中井久夫から風景構成法を学び、それを臨床心理学の分野に従事する研究者・学生に伝える役割を果たした。そこから日本の臨床場面において風景構成法が多用される契機となり、風景構成法を専門に心理療法を行う実践・研究者にも影響を与えた。

また、山中は日本に箱庭療法やユング心理学を導入した河合隼雄とも研究をともにし、箱庭療法の使用・普及に尽力した。このように風景構成法と箱庭療法が日本に定着するために尽力し、心理臨床学の深化と心理臨床と精神医学との橋渡しをしてきた。山中は芸術療法という言葉が、否が応でもうまい下手などの評価が付きまとってしまい、クライエントにとり負担になる可能性があるとして、患者が自分の内的なことを「表現」するほうが適しているとして、「芸術・表現療法」と並列している。

山中独自の研究には、英国の児童医及び精神分析学者であるドナルド・ウィニコット (D.W.Winnicott) のスクイグル法を、さらに独自に発展させたMSSM(Mutural Scribble Story Making、交互ぐるぐる描き投影・物語統合法)がある。またMSSM法をクライエントに施行する中で生まれたMSSMにコラージュを付けるというMSSM+Cという療法もある。MSSM法やコラージュ療法は山中が精神科医として病院に勤務したり、治療を行なう中で、クライエントとの関りの中で創案したことで知られ、理論のみでなく臨床に重点を置いた中から出てきたことが窺える。

また山中は思春期における不登校状態を、単に病理としてではなく、「心の窓」(思春期内閉症候群)と捉え、理論・実践両面で発展した。彼の「心の窓」理論は独創性が高く、現在も多くの臨床家に影響を与えている。

[編集] 人物

また、日本語・ドイツ語・英語・ロシア語・フランス語等の言語を操ることでも知られる。

心理臨床の世界において、髪型の印象的なことでは、「矢幡洋」と双璧である。

[編集] カウンセラー

[編集] 学会関係

[編集] 受賞歴

  • 1995 米国表現病理学会賞 エルンスト・クリス賞
  • 1997 フランス表現病理・芸術療法学会バスク賞
  • 2000 カナダ箱庭療法学会ファーザー・ラーベン賞
  • 2002 WPA(世界精神医学会)世界精神医学会金賞、生涯功績賞 マス・メディア精神保健部門
  • 日本心理臨床学会賞

[編集] 著作

  • 山中康裕,1978 少年期の心 精神療法を通してみた影 中公新書
  • 中井久夫, 山中康裕編集 1978 思春期の精神病理と治療 岩崎学術出版社
  • 野沢栄司, 山中康裕編 1980 初回面接 (児童精神科臨床 1) 星和書店
  • 山中康裕 森省二編集 1982 境界例の精神病理 現代のエスプリ ; 175 至文堂
  • 小川捷之,山中康裕編 1983 教育現場におけるカウンセリングのすすめ方 ライフ・サイエンス・センター
  • 山中康裕編 1984 H・NAKAI風景構成法 岩崎学術出版社(中井久夫著作集 : 精神医学の経験 ; 別巻[1])
  • 山中康裕 1985 親子関係と子どものつまづき 岩波書店
  • 山中康裕 1986 絵本と童話のユング心理学 大阪書籍
  • 河合隼雄、山中康裕、小川捷之総監修 1998 境界例・重症例の心理臨床 金子書房 
  • 山中康裕 1991 老いのソウロロギー(魂学) 有斐閣
  • 氏原寛,山中康裕編 1991 症例研究・寂しい女 人文書院
  • 山中康裕 臨床ユング心理学入門 PHP新書
  • 山中康裕 1999 心理臨床と表現療法 金剛出版
  • 河合隼雄, 空井健三, 山中康裕編集  2000 心的外傷の臨床 金子書房, .8. (臨床心理学大系 / 河合隼雄 [ほか] 企画委員 ; 第17巻).
  • 山中康裕 2001 魂と心の知の探求 創元社
  • 山中康裕 2001 知の教科書ユング 講談社選書メチエ
  • 山中康裕 2002 ハリーと千尋世代の子どもたち 朝日出版社
  • 山中康裕  山中康裕著作集全6巻  岩崎学術出版社
  • 山中康裕 2003 たましいの形 山中康裕著作集5巻 岩崎学術出版社
  • 山中康裕著、岸本寛史編 2004 たましいの顕現 山中康裕著作集6巻 岩崎学術出版社
  • 山中康裕 2005 表現療法(心理療法を学ぶ、心理療法がわかる、心理療法入門) ミネルヴァ書房
  • 山中康裕 2005 こころ精神のはざまで 金剛出版
  • 山中康裕, 河合俊雄編 2005 心理療法と医学の接点 創元社
  • 山中康裕 2006 子どもの心と自然 東方出版,(いのちの科学を語る1).
  • 山中康裕 2006 子どものシグナル -心を護り育てるカウンセリング- バジリコ株式会社
    • (『飛ぶ教室』(光村図書、揄出版)に1985年~1995年まで連載された「子どものシグナル」がベースになっている本)

[編集] 訳書

  • ドラ・M.カルフ著、大原貢, 山中康裕共訳 カルフ箱庭療法 1972
  • ドラ・M.カルフ著、 大原貢, 山下美樹訳、山中康裕監訳 カルフ箱庭療法 1999 
  • J. レイヤード著、 山中康裕監訳、齋藤眞、仁里文美、三宅裕子訳. ケルトの探求 1994
  • グッゲンビュール著、山中康裕監訳、李敏子・奥田智香子・久保田美法訳 2007 老愚者考―現代の神話についての考察 新曜社
  • ゲリー・ランドレス著、山中康裕監訳、プレイセラピー―関係性の営み、日本評論社、2007

[編集] 外部リンク

[編集] 関連項目