女性化乳房

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男性の女性化乳房

女性化乳房(じょせいかにゅうぼう、: Gynecomastia)は、男性胸部女性乳房のように隆起する症状。 それに伴い乳首乳輪女性化し、まれに母乳のような乳汁分泌物があふれる場合もあるが個人差が出る。

女性化乳房自体は生命維持に影響しないが、乳癌のおそれや、後述の通り、精巣腫瘍や肝機能低下の症状である可能性もある。

最も多いのは特に理由のない「特発性女性化乳房」と言われるタイプのものであり、健康上の問題はないことから、乳房が極端に大きくならないかぎり放置されることも多い。

女性化乳房減量手術は美容整形の範疇で健康保険が使えないとの書き込みも見るが、全ての病院で断られるわけではなく、大学病院などの形成外科では患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を考えて健康保険が使え、乳腺と脂肪の吸引手術が行われる場合もある。健康保険が適用になれば生命保険の手術給付金の対象となり、入院すればそれも給付される(加入している生命保険の給付条件による)。健康保険が適用されると4日ほどの入院で約11万円前後と言われている。自由診療報酬での手術(美容整形外科)では自己負担が70万円以上となる場合がある。

概要[編集]

女性化乳房は女性の胸の成長と同じように乳腺の発達で起こる。乳首の中にしこりができたようになり痛みもあるため乳癌と間違うこともある。男性が「乳首にしこりができた」と病院で診察を受けると女性化乳房であることがある。

思春期初期の男子にも見られ、女子の乳房の成長のTannerで第3段階(第一乳房期・第二乳房期)並になることも珍しくない。これは思春期初期に男性ホルモンに比べて女性ホルモンの分泌が相対的に多くなるためで、後に男性ホルモンの分泌が増えてくると1-2年で消失する[1]

中には、乳首が目立って服がこすれるなどの痛みを伴ったり、運動時などに乳房が大きく揺れる為にブラジャーなどが必要なほどになる例もある。思春期初期の男子を除いて女性のブラジャーを着用時、アンダーバストが足りない為、メンズブラを着用する場合がある。その他にアンダーバストの制限が無い胸部分が2重になっているタンクトップハーフトップキャミソールなどを着る場合やニプレスなどを貼り付ける場合もある。

原因[編集]

ホルモンバランスの乱れによるもの[編集]

肝機能の低下
男性にも女性ホルモンがあるが、肝臓で分解・処理される。肝機能が低下すると、女性ホルモンが増える。
女性ホルモンに似た働きをする薬物の摂取
一部の薬には女性ホルモンに似た作用がある。例として前立腺疾患治療薬、男性型禿髪症治療薬などが挙げられる。
思春期や更年期のホルモンバランスの乱れ
思春期・更年期にはホルモンバランスが乱れることがある。
男性ホルモンの過剰投与
いわゆるドーピングにおいて男性ホルモンを過剰投与した場合、男性ホルモンが女性ホルモンに代謝されること(芳香化)があり、このため男性の乳房が女性化する。
女性ホルモンの過剰投与
こちらもドーピングにおいて女性ホルモンを過剰投与した場合、乳腺が刺激され胸が発達(ホルモン胸)する。

その他の理由[編集]

遺伝的要因
クラインフェルター症候群アロマターゼ過剰症など。
原因不明(特発性女性化乳房)
顕著なホルモンバランスの崩れがみられないにもかかわらず、男性の乳房が肥大することがある。成人の女性化乳房の症例ではこの特発性が最も多い。
精巣腫瘍

治療方法[編集]

消失しない場合の根治療は外科手術となる。手術は乳輪の下半分を切り、そこから乳腺と脂肪を吸引する。大学病院の場合は全身麻酔で、4日~7日間の入院が必要となる場合もある。自由診療の美容整形外科病院の場合は部分麻酔で日帰り手術が主体のようである。術後3日間はドレン(術後の血が出てくるのを貯める袋を付ける)を付けている場合が多いので、入院のほうが安心であると言える。

術後は約1ヶ月程度は腫れるが、時間が経つにつれ腫れも徐々に引き、乳輪が出た状態は消える。腫れを抑えるには圧迫することが重要と言われている。

美容整形[編集]

美容整形外科によっては肥満で乳部が脂肪により肥大化することを「偽性女性化乳房」と呼び、本来の女性化乳房を「真性女性化乳房」と呼ぶ。この症状に乳腺の発達は見られない。一般的に見受けられるものは、大半がこちらであると言われている[誰によって?]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 思春期の発現・大山健司