変分原理
変分原理(へんぶんげんり、英語:variational principle)は、変分法を用いた物理学の原理。 特に、
古典力学の場合 [編集]
作用積分Iを、

とする。Lはラグランジアン、qは一般化座標(時間tの関数でもある)で、
である。ここで、時刻t1、t2において、q(t1)、q(t2)は固定されているとする。この作用積分Iに対する変分原理は、作用積分に対する停留値問題を考えることであり、

ということに相当する(→最小作用の原理)。変分は汎関数微分(Functional derivative、補足参照)とも言い、一般化座標qとその時間の微分
を、


とδqだけ微小変化させることに相当する。変分におけるこの微小変化は、仮想的な変位を与えることであり、これは時間tとともに物体が運動する過程の上での微小変位dq(またはΔqと書いてもよい。
は時間tについての微分となる)とは異なった概念である。従って、変分δと時間微分(d/dt)は交換可能である。よって、



![= \left. {\partial L \over {\partial {\dot{q}} } }\delta {q} \right|_{t_1}^{t_2} + \int_{t_1}^{t_2} \left[ {\partial L \over {\partial q} } - {d \over {dt}} \left( {\partial L \over {\partial \dot{q}} } \right) \right] \delta q dt](http://upload.wikimedia.org/math/7/8/8/7883e2259a0f1ed751a1416b2c9bb14e.png)
となる。最後の式は部分積分により求まる。δq(t1)=δq(t2)=0から第一項は0となる。δq(t)(q(t)の微小な変化)に対して、δI = 0であるために、

を得る。これがラグランジュの方程式。同様にして変分原理を幾何光学における、光の反射、屈折の問題(停留値問題)で考えれば、フェルマーの原理が出てくる。
(補足)汎関数微分をより厳密に言えば、関数q(t)の変分δqと、ラグランジアンI(q)(他の変数は省略)の変分、δI[q]の比、δI/δqの極限のことである。
量子力学の場合 [編集]
本来の意味の変分原理を記す。
『適当な境界条件を持ち、規格化条件

を満たす任意の波動関数
に対するハミルトニアン
の期待値
は、基底状態のエネルギー
よりも常に大きい。
![E[\Psi]=\left\langle \Psi|H| \Psi \right\rangle=\int \Psi^* \hat{H} \Psi d \mathbf{r} \geq E_0](http://upload.wikimedia.org/math/b/5/4/b54a8390e130aa7d51e4cbf267c0334c.png)
等号は、その波動関数が基底状態の波動関数
と等しい場合に成り立つ。』
この原理によって、もしも波動関数
を様々に変化させたとき、それらに対するハミルトニアンの期待値
の最小値が基底状態のエネルギー
である事が保証され、そのときの
が基底状態であると言える。そのため、もしも基底状態とそのときのエネルギー値を求めたいのであれば、変分法によってハミルトニアン期待値
の停留値を求めればよい事になる。変分原理を利用したこの手法を指して「変分原理」と言われる事も多い。
系は定常状態にあるとし、規格化条件

から、
の停留値問題は、

となる。Ψは系の固有関数(=波動関数)、Hはハミルトニアン、Eはエネルギー固有値(場合により全エネルギーと考えても良い)である。この固有関数Ψを微小変化(δΨ)させて、Eの極値(停留値)を求める。
変分原理は、以上のように積分の形として扱うので、座標系の取り方に依存しない。従って拡張性に優れ、いろいろな分野に応用、利用される。