合唱幻想曲

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合唱幻想曲 ハ短調(がっしょうげんそうきょく、Fantasie für Klavier, Chor und Orchester c-Moll作品80は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン1808年に作曲した、独奏ピアノ管弦楽を含む合唱曲バイエルン国王マクシミリアン1世に献呈されている。他のベートーヴェンの楽曲に比べて演奏される機会は非常に少ない。

概要[編集]

本作は交響曲第5番と同時期の作品だが、この曲には既に交響曲第9番歓喜の合唱の原型が現れている。管弦楽合唱を組み合わせるという試みや、その旋律は、後の『第九』へと至る主要な源流のひとつと考えられている。

楽器構成としては標準的な二管編成の管弦楽に独奏ピアノ、独唱者6名(ソプラノ2、アルトテノール2、バス)、さらに四部合唱を加えるという非常に大規模なものになっている。

これら多くの要素を一つの曲に盛り込んだため、曲の全体像がつかみづらく、交響曲第9番に比べると声楽や管弦楽の扱いが単純で、合唱の入る部分ではピアノは役割が少なくなる、また他のベートーヴェンの作品に比べて構成の綿密さは見られないなどの欠点は指摘されるが、ベートーヴェンは作曲の完成度よりは管弦楽と合唱の高度な融合を目指す実験を試みたのではないかと考えられる。

作曲・初演[編集]

1808年12月22日の、アン・デア・ウィーン劇場における交響曲第5番第6番の初演コンサートで演奏する最後の曲として、同年の12月の後半の半月ほどで作曲された。この作曲期間はベートーヴェンにとっては非常に短いものである。歌詞は詩人クリストフ・クフナードイツ語版のものとされているが、クフナーの詩集にこのような詩が存在しないことなどからこれを疑問視する声もある。[誰?]

初演は、この演奏会で行われた。演奏会の詳細は交響曲第5番の記事にも記されているとおり、リハーサル時間の不足などから初演は大失敗に終わったことがアントン・シントラーの記録に記されている。この際、冒頭のピアノ独奏部は即興演奏され、その後1811年の出版に際して新たに書き下ろされた。

編成[編集]

フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ弦五部、独奏ピアノ、独唱者6名(ソプラノ2、アルト、テナー2、バス)、四部合唱。

曲の構成[編集]

7つの部分からなる。演奏時間は約20分。

  1. Adagio :26小節のピアノ独奏部。
  2. Allegro :主題が提示され、以下でピアノ協奏曲的な変奏曲となる。
  3. Meno allegro
  4. Adagio ma non troppo
  5. Marcia, assai vivace
  6. Allegretto, ma non troppo, (quasi Andante con moto) :ハ長調に転じ、変奏曲の主題が四重唱、そして合唱で歌われる。
  7. Presto. :コーダ

歌詞[編集]

芸術を賛美する内容となっており、「歓喜に寄せて」と共通点が見られる。

                                
Schmeichelnd hold und lieblich klingen         快く優しく愛らしく、かき鳴らす、
unsers Lebens Harmonien,                  私たちの命のハーモニーを
und dem Schönheitssinn entschwingen            そして、美に対する感性を膨らませる。
Blumen sich, die ewig blüh'n.                花が永遠に咲きつづけるように。
Fried und Freude gleiten freundlich           平和と喜びが親しく流れよる、
wie der Wellen Wechselspiel;                波が寄せ合うように;
was sich drängte rauh und feindlich,            波は荒れ狂い、ぶっつかりあい、流れながら、
ordnet sich zu Hochgefühl.                 和合していく、高まった気持ちへと。

Wenn der Töne Zauber walten                その時、魔法のような音が鳴りひびき
und des Wortes Weihe spricht,                荘厳な言葉が語られる、
muss sich Herrliches gestalten,               素晴らしいことが、これから起こる、   
Nacht und Stürme werden Licht,                夜と嵐が 光となる、

äuß're Ruhe, inn're Wonne,                   外側は静寂、内側は幸せが
herrschen für den Glücklichen,                  幸運へと導いていく。
Doch der Künste Frühlingssonne               なんと、春の太陽の技(わざ)が
lässt aus beiden Licht entsteh'n.                ふたつを光とする。

Großes, das ins Herz gedrungen,               偉大なこと、それが心の中に染み透り、
blüht dann neu und schön empor,               咲きのぼる、次々に新しく美しく、
hat ein Geist sich aufgeschwungen,             精神ははずみ躍動し、 
hallt ihm stets ein Geisterchor.               精神の合唱はそれに響き続ける。

Nehmt denn hin, ihr schönen Seelen,              受けとめよう、汝ら美しい魂、
froh die Gaben schöner Kunst.                  喜びをもたらす贈り物、美しき芸術を。
Wenn sich Lieb und Kraft vermählen,              愛と力が結びつくとき、
lohnt dem Menschen Göttergunst.                人は神の恩寵を授かる。
                             

類似作品[編集]

形態の類似する作品に

などがある。

外部リンク[編集]