ピアノ協奏曲第4番 (ベートーヴェン)

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ピアノ協奏曲第4番(ピアノきょうそうきょくだい4ばん)ト長調作品58は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン1806年に作曲したピアノ協奏曲。ベートーヴェンのピアノ協奏曲といえば第5番『皇帝』が最も有名であるが、この第4番においても様々な革新的な手法が盛り込まれており、注目に値する。

第1楽章の主題は同時期の交響曲第5番「運命」と同様、同音連打のメロディが優雅である。

また、ピアノ協奏曲(Klavierkonzert)として、独奏楽器のみで開始される冒頭は、それまでに非常に数少なかった形式である。この曲以前の、独奏楽器のみで開始される曲の例としてモーツァルトピアノ協奏曲第9番「ジュノーム」が挙げられる。

初演[編集]

初演は1807年3月に非公開の形で、1808年12月22日アン・デア・ウィーン劇場で公開の形で行なわれた。公開初演の際は、交響曲第5番「運命」と、交響曲第6番「田園」も初演されたが、いずれも失敗に終わり、最初に成功を収めたのは1836年フェリックス・メンデルスゾーンが取り上げてからだと言われている。

幻の初演改訂版[編集]

一般には1806年完成時の楽譜が出版されている。1808年の初演時にはさらに手を加えて演奏したとされていたが、その楽譜は長らく公にされていなかった。しかし、写譜屋が作成していた写譜の中の作曲者による注釈を元にして、音楽学者のバリー・クーパーが「改訂版」として復元に成功した[1]ロナルド・ブラウティガム独奏、アンドルー・パロット指揮のノールショピング交響楽団演奏によるCDが2009年BISから発売されている。

楽器編成[編集]

独奏ピアノ、フルート1、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部

曲の構成[編集]

  • 第1楽章 Allegro moderato ト長調 4/4拍子
協奏的ソナタ形式。前述のように「運命の動機」を含む穏やかな主題がピアノ独奏でいきなり奏されると、オーケストラはロ長調によりそれに応え、新鮮な印象を受ける。
カデンツァはベートーヴェン自身により2種類が書かれている。一つは100小節あり、多くのピアニストはこちらを演奏している。もう一つは50小節あり、マウリツィオ・ポリーニアルフレート・ブレンデルパウル・バドゥラ=スコダ等が演奏した録音により確認することが出来る。この他、ブラームスクララ・シューマンゴドフスキーブゾーニメトネルフェインベルクなどの名だたるピアニスト・コンポーザーたちがカデンツァを書いている。
  • 第2楽章 Andante con moto ホ短調 2/2拍子
自由な形式。オーケストラが弦のユニゾンになり、ピアノが即興的で瞑想的な音楽を歌う中、淡々と語られていく。
  • 第3楽章 Rondo Vivace ト長調 2/4拍子
ロンド形式。ト長調であるが、主題はハ長調に始められる。
カデンツァはベートーヴェン自身により1種類書かれ、35小節ある。ヴィルヘルム・バックハウス作によるドラマティックで技巧的なカデンツァも有名。

外部リンク[編集]