マンデルフレミングモデル

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マンデルフレミングモデル英語:Mundell-Fleming model)は、マクロ経済学におけるIS-LM分析の枠組みを海外部門に導入した、開放マクロ経済学のモデルである。「マンデルフレミングモデル」は、ロバート・マンデル1932年10月24日 - )とジョン・マーカス・フレミング1911年 - 1976年2月3日)の2人の経済学者の名前をとっている。以下に解説するいくつかの仮定のもとで、固定相場制や変動相場制における金融政策や財政政策の国民所得に与える影響について、理論的なモデルを提示した。

目次

[編集] 基本的なモデル

マンデルフレミングモデルは、IS-LMモデルに海外部門を入れて拡張したものであるので、価格調整が不完全な短期モデルである。また、モデルのインプリケーションを際立たせるため以下の基本的なモデルでは、資本移動が完全に自由であること、自国の金利変化が世界の金利に影響を与えない小国であることを仮定する。 マンデルフレミングモデルは、次の3つの方程式から構成される。

  1. Y = C(Y,A / P) + I(r) + G + T(e,Y) ≪IS曲線≫
  2. M = L(r,PY) ≪LM曲線≫
  3. r=r^*+\frac{E(e^+)-e}{e} ≪利子裁定式≫

但し、Y:生産量,A/P:実質資産,I(r):利子率に対応する投資量,G:政府支出,T(e,Y):経常収支 M:貨幣供給量,L:貨幣需要量,PY:名目所得,r^*:将来の利子率,e:現在の為替レート,e^+:将来の為替レート

≪IS曲線≫では、生産物市場における均衡に加えて、経常収支が勘案される。また、自国の経済規模が相対的に小さいので、経済活動が外国の経済活動に大きな影響を与えることはないという小国の仮定を用いている。

[編集] 固定相場制下でのモデルの運用

固定相場制では外国為替の需給にかかわりなく、為替レートを一定に保持する必要があり、財政政策金融政策のどちらかを割り当てなければならない。財政政策を割り当てればGが、金融政策を割り当てればMが内生変数である。しかし、理論上ではGを調整して固定相場制度を維持することはできないので、Mを内生変数として考える。このため、貨幣供給は固定相場制の維持に用いられ、この意味で金融政策は無効である。IS-LM図(IS-LM分析)では、マネーサプライの増加はLM曲線を左シフトさせ国内の利子率を低下させるので、資本の流出が発生し、その結果、貨幣市場への資本の超過供給は打ち消され、当初の産出・金利の水準となるまでLM曲線が右にシフトして均衡するからだ。拡張的財政政策では、IS曲線が単純に右シフトし、利子裁定(先物取引における均衡利子率の性質)による均衡利子率の回復力によってLM曲線もまた右シフトする。そのため、財政政策の産出拡大効果は閉鎖経済の場合より大きくなる。

[編集] 変動相場制下でのモデルの運用

変動相場制の下では、経常収支の黒字は資本収支の赤字を意味する。換言すると、経常収支の黒字が継続する限り、対外純資産の増加が続く。外国債券民間部門が保有する資産の一部を構成する。さらに、ここでは暗黙のうちに、外国債券と国内債券と完全に代替的である。このため、対外純資産の増加は、債券市場に超過供給を、貨幣市場に超過需要をもたらし、LM曲線を左下方にシフトさせるであろう。LM曲線のシフトは、経常収支が均衡するまで続く。こうして、長期均衡は、IS曲線とLM曲線の交点において経常収支が均衡するときに達成される。

財政政策は、金利上昇に伴う消費や投資の落ち込みというクラウディングアウトではなく、通貨高による純輸出の減少という形によって無効となる。財政拡大は金利を上昇させる圧力を発生させるが、これは開放経済においては他国からの資金の流入を呼ぶこととなる。この資金流入によって金利は一定に保たれる一方で、変動相場制では自国通貨が増価することになる。自国通貨高は輸出減と輸入増をもたらすため外需が減少し、財政拡大によって増えた内需を相殺することになる。逆に金融政策は、為替レートの変更に伴う外需増減を通じてIS曲線も移動させるため、変動相場制下では効果が高まる。なお、上記の財政政策が無効となるプロセスにおいては、金利上昇を打ち消すように海外からの資金流入が起こるため、金利上昇自体は観察されないことに注意が必要である(観察されるのは通貨高である)。すなわち、金利上昇が見られないことを以てして、財政政策は無効でなかった、あるいはマンデルフレミングモデルは成立していない、と言うことは出来ない。

[編集] モデルへの批判

京都大学大学院工学研究科教授の藤井聡は、マンデルフレミングモデルはインフレであることが前提となっており、デフレにおいては全く通用しないとの批判を述べ、デフレ下の日本では財政政策は無効にならないと主張している[1](ただし、インフレが前提であるということの根拠は示されていない。また、上述のようにマンデルフレミングモデルはIS-LMの枠組みであることから、インフレやデフレとはそもそも無関係に成立する。)。また、同研究科助教の中野剛志も、資金需要が不足しているデフレ下では金利の大幅な上昇はありえず、自国通貨高にはならないと主張している[2](現実の実効為替レートも参照のこと)。もっとも、現実の実質実効為替レートのデータを見てみると、橋本小泉政権の時期に円安が、小渕政権の時期に円高が進行していたことが読み取れる[3][4]

[編集] 脚注

[編集] 関連項目

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