シュモクザメ

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シュモクザメ
Sphyrna lewini school2.jpg
 群泳するシュモクザメ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
: 軟骨魚綱 Chondrichthyes
: メジロザメ目 Carcharhiniformes
: シュモクザメ科 Sphyrnidae
英名
Hammerhead shark
Sphyrnidae distribution map.svg
シュモクザメの生息域

シュモクザメ撞木鮫、英名:Hammerhead sharkハンマーヘッド・シャーク)はメジロザメ目シュモクザメ科 Sphyrnidae に属するサメの総称。

特徴[編集]

真上から見たシュモクザメ

頭部が左右に張り出してその先端に目と鼻孔があり、や鉦(和楽器)を打ち鳴らす丁字形の撞木(しゅもく)のような頭の形をしていることから「撞木鮫」、英語では頭を金槌に見立てて「Hammerhead shark」(金槌頭のサメ)と呼ばれている。この横に張り出た部分にはロレンチーニ器官と呼ばれる微弱な電気を感知する器官があり、シュモクザメは他種のサメに比べて非常に発達したロレンチーニ器官を持っている。

アカシュモクザメなどの特に頭部が左右に長い種では、30-50°に及ぶ広い立体視角を持つ(通常のサメは10°程度)。その代償として頭部正面に広い死角ができるが、頭部を左右に振ることでこれを補っていると考えられる[1]

特になお、極端に張り出した頭部の形状から遊泳時の水の抵抗が大きそうで不便にも見えるが、頭部が飛行機の前翼(カナード)と同様の役割を果たしており、力学的な理に適った形状となっている。[要出典]

サメとしてはめずらしく群れを成して行動する。その数は時には数百匹の単位に及ぶことがある。

シュモクザメ, ガラパゴス諸島.
シュモクザメ, ガラパゴス諸島.

単性生殖[編集]

単性生殖で出産したシュモクザメがいる事が確認された(2007年5月23日付「Biology Letters」電子版による)。

  • アメリカネブラスカ州の動物園「Henry Doorly Zoo」の中にある水族館において、メスだけで飼われていた3匹のシュモクザメのうちの1匹が2001年12月に出産(3年間、オスと接触していない)。
    • なお、サメのメスは、オスの精子を6カ月以上体内に保存している事が可能である。
  • 生まれた子どもは別の魚に殺されてしまったが、残された細胞のDNAを分析したところ、父親のDNAの形跡は全く存在せず、母親のDNAだけ引継いでいた。
  • 以上は、フロリダ州のNova Southwestern Universityと、北アイルランドのQueen’s University Belfastの研究者らの共同研究によるもの。
  • 共同研究者の一人で、フロリダ州Nova Southwestern UniversityのGuy Harvey Research InstituteのMahmood Shivji所長は、「これまでにも、オスのいない環境でサメが出産した事例が何件か報告されていた」と述べている。

人との関わり[編集]

人を襲った記録はそれほど多くないが、日本では死亡事故が報告されている。日本でも、少し沖に行けばシュモクザメなどの鮫は珍しい存在ではない。21世紀に入り、報道される機会が増加している。

2001年夏に、鳥取県福岡県などの海水浴場近くにシュモクザメが出没したため、海水浴場を閉鎖して漁船水産高校の実習船などを出動させ駆除を行った。その後、海水浴場はサメ除けネットを張って再開したが、客足は戻らず海の家など観光関係者が大打撃を受けた。

2007年8月1日に福岡県古賀市の海岸で沖合いにシュモクザメやエイが数百匹出没したため、県職員がパトロールする事態になった。同月4日、5日には静岡県伊東市の宇佐美海水浴場に出現。同市は遊泳禁止の措置を執り、5日に地元の漁船11隻がサメを捕獲した(伊東市はサメよけネットを張り海水浴場の一部を開放するとした)。

2010年7月16日に長崎県長崎市の海水浴場の沖合にシュモクザメが確認された。定置網に10匹ほどシュモクザメがかかっていた。同市は遊泳禁止の措置を執った[2]

食材としては美味とされている。ダイビングではウォッチングの対象として人気があり、与那国島神子元島ココアイランドラヤンラヤンなどが有名ポイント。

分類[編集]

2属10種が属する[3]。内部の系統関係についてはインドシュモクザメの位置を含めてはっきりした結果が得られていないが、ウチワシュモクザメ・ナミシュモクザメ・Sphyrna mediaSphyrna corona の4種は、小型であること、幅の狭い頭部を持つこと、類似した分布域を持つことなどの共通点があり、分子系統解析の結果からも単系統群となると考えられている[4][5]

脚注[編集]

  1. ^ McComb, D. M., T. C. Tricas, and S. M. Kajiura. (2009). “Enhanced visual fields in hammerhead sharks”. The Journal of experimental biology 212 (24): 4010-4018. doi:10.1242/​jeb.032615. 
  2. ^ http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20100717/03.shtml [リンク切れ]
  3. ^ Sphynidae in Fishbase”. 2014年11月30日閲覧。
  4. ^ Lim, Douglas D., et al. (2010). “Phylogeny of hammerhead sharks (Family Sphyrnidae) inferred from mitochondrial and nuclear genes”. Molecular phylogenetics and evolution 55 (2): 572-579. 
  5. ^ Naylor, G.J.; Caira, J.N.; Jensen, K.; Rosana, K.A.; Straube, N.; Lakner, C. (2012). “Elasmobranch phylogeny: A mitochondrial estimate based on 595 species”. In Carrier, J.C.; Musick, J.A.; Heithaus, M.R., eds. The Biology of Sharks and Their Relatives (second ed.). CRC Press. pp. 31–57. ISBN 1-4398-3924-7. http://prosper.cofc.edu/~sharkevolution/pdfs/Naylor_et_al_Carrier%20Chapter%202.pdf. 
  6. ^ Quattro, Joseph M., et al. (2013). “Sphyrna gilberti sp. nov., a new hammerhead shark (Carcharhiniformes, Sphyrnidae) from the western Atlantic Ocean”. Zootaxa 3702 (2): 159-178. 
  7. ^ McEachran, J. D., and B. Seret. (1987). Allocation of the name Sphyrna tudes (Valenciennes, 1822) and status of the nominal species Sphyrna couardi Cadenat, 1951 (Chondrichthyes, Sphyrnidae). http://afrilib.odinafrica.org/handle/0/18362. 

関連項目[編集]