てしお (巡視船・初代)

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てしお
基本情報
建造所 浦賀船渠
運用者  海上保安庁
船種 350トン型PS→PM
級名 改350トン型
前級 とかち型
次級 やはぎ型
母港 釧路→小樽
船歴
計画 昭和29年
起工 1954年9月15日
進水 1955年1月12日
就役 1955年3月19日
退役 1980年9月2日
要目
常備排水量 318 t
総トン数 421 t
全長 50.3 m
最大幅 7.0 m
深さ 4.2 m
吃水 2.5 m
主機 ディーゼルエンジン×2基
推進 スクリュープロペラ×2軸
出力 1,400馬力
速力 15.7ノット
航続距離 2,600海里
乗員 41名 (最大搭載人員)
兵装 60口径40mm単装機関砲×1基
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てしお」(JCG Teshio, PS-53)は、海上保安庁巡視船。分類上はPS型(1968年にPMに種別変更)、公称船型は改350トン型[1][2]

概要[編集]

昭和28年度より、海上保安庁は独自の設計による巡視船の整備に着手しており、小型巡視船(PS)としてはとかち型2隻が建造された。一方このころ、海保創設直後に整備されたPSである270トン型について、特に荒天時の動揺のために乗員の疲労が激しく、問題となっていた[1]

このことから、350トン型と同程度の大きさで、動揺性能の向上を図って新規設計されたのが本船である[2]。日本近海では6~7秒の波周期が多いが、船の横揺れ周期がこれと近いと、船の揺れと波の揺れが同調して増幅されやすいことから、横メタセンタ高さ(GM値)を0.58メートルとして、横揺れ周期を7.4秒に延長した[1]。船型は、とかち型で採用されたレイズド・デッキを廃し、ブルワークだけを備えたシンプルな平甲板型とされた。また居住性向上のため、朝鮮戦争の影響を受けた450トン型以来の極端な火災対策を廃し、居住区の結露対策として上甲板の一部に木甲板を張るなど、艤装面での配慮がなされている[1][2]

しかし本船の運用成績を評価した結果、揺れが同調することはなくなったものの、少しの風波でも船体が傾きやすくなってしまい、動揺軽減については期待したほどの効果が挙げられないことが明らかとなった。このため同型船の建造は行われず、別のアプローチで動揺軽減を図ったやはぎ型に移行することになった[1][2]

なお本船は、新造時から兵装を搭載した初の巡視船として知られている[2]

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d e 徳永陽一郎、大塚至毅『海上保安庁 船艇と航空 (交通ブックス205)』成山堂書店、1995年、24-74頁。ISBN 4-425-77041-2 
  2. ^ a b c d e 「海上保安庁全船艇史」『世界の艦船』第613号、海人社、2003年7月、74頁、NAID 40005855317