はてるま型巡視船

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はてるま型巡視船
Plhakata.jpg
PL62 はかた
艦級概観
種別 1,000トン型巡視船(拠点機能強化)
艦名
建造者
運用者  海上保安庁
建造期間
就役期間 2008年4月 - 現在
同型艦
前級 あそ型
次級 くにがみ型
主要諸元
排水量 1,300総トン
全長 89.0メートル (292.0 ft)
全幅 11.0メートル (36.1 ft)
吃水 {{{吃水}}}
深さ 5.0メートル (16.4 ft)
機関 ディーゼルエンジン×4基
ウォータージェット推進機×4基
機関出力 {{{機関出力}}}
電力 {{{電力}}}
速力 30ノット以上(公称では27ノット以上)
燃料 {{{燃料}}}
航続距離
潜航深度 {{{潜航深度}}}
乗員 30人
搭載量 {{{搭載量}}}
装甲 {{{装甲}}}
兵装 30mm機関砲×1門[1]
搭載機 飛行甲板および給油設備
搭載総数 {{{総艦載機数}}}
搭載艇 7m型高速複合警備艇×2隻
4.8m型高速複合警備艇×2隻
C4ISTAR FCS 光学式射撃指揮装置(30mm砲用)
赤外線捜索監視装置
遠隔監視採証装置
船上画像伝送システム
レーダー
ソナー {{{ソナー}}}
電子戦
対抗手段
{{{電子戦}}}
特殊装備 {{{特殊装備}}}
その他 遠隔放水銃×1門
停船命令表示装置

はてるま型巡視船(はてるまがたじゅんしせん、JCG PL-61 HATERUMA class)とは、海上保安庁巡視船の一種である。分類上はPL型巡視船で、公称船型は1,000トン型巡視船(拠点機能強化)[2]

概要[編集]

本型は、尖閣諸島の警備において、現場付近に展開したヘリコプター巡視艇に対して補給や乗員の休息などの支援を提供するための拠点機能強化型巡視船として開発された[1]。また、光学式のFCS 光学式射撃指揮装置と連接させた遠隔操作式のMk 44 ブッシュマスター II 30mm機関砲と、30ノット以上とされる高速力による、優れた警備能力を備えている。

本型の設計は、2,000トン級のヘリコプター甲板付き高速高機能大型巡視船であるひだ型巡視船に準じたものとなっている。高速型の半滑走型・角型船型を採用しているほか、船首にはブルワークが設けられ、優れた凌波性を実現した。角型船型は横揺れを小さくできることから、洋上での巡視艇への補給作業にも益することとなった。船体は軽合金で軽量化し、船内の内装などに市販の民生品を採用して建造費用を節約しつつ、船橋周辺に防弾を施しており、武装した不審船からの銃撃を受けても操舵室を防護できるよう設計されている。主機関として4基の高速ディーゼル機関が搭載されているほか、主電源としてディーゼル発電機、予備電源としてシール型蓄電池を搭載している。

本型は、高速高機能大型巡視船に準じた警備能力を要求されたことから、これと同等の光学式FCS 光学式射撃指揮装置を装備している。ただし、これと連接される機関砲は、拠点機能と両立させる必要上、高速高機能大型巡視船が装備しているようなボフォースMk.3 40mm単装機関砲ではなく、より小口径で軽量のMk 44 ブッシュマスター II 30mm機関砲に変更されている。なお、高速高機能大型巡視船も、当初は30mm機関砲を搭載する計画であったが、九州南西海域工作船事件において、不審船の搭載武装が予想以上に強力であったことから、40mm口径に強化されたという経緯がある。その他、特筆すべき点として船首に遠隔操作型の放水砲が搭載されているが、これはひりゅう型消防船 が船橋上に装備しているものと同等で、数10メートル先に毎分2万リットルを送り込む放水能力を有する。放水砲は暴徒の鎮圧に効果的な装備でもある。

本型は、PC(Patrol Craft)クラスの巡視艇であれば3隻、CL(Claft Large)クラスの巡視艇であれば4隻を同時に支援できる能力を有する[1]。補給作業は船を平行に接触させ、固定した上で、自動車がガソリンスタンドで給油するのと同じ要領で実施される。したがって、海上が荒天に見舞われた場合は補給作業ができなくなることがある。後部甲板をヘリコプター甲板としており、ヘリコプターへの給油設備も有している。さらに、ヘリコプターが撮影した画像を受信し、地上基地、さらには東京の海上保安庁に転送できるよう、衛星通信を使用した船上画像伝送システムも搭載された。ただし、PLH型巡視船とは異なりハンガーは有しない。なお本型は、当初は拠点機能を強化した結果として3,000トン級で計画されていたが、予算上の制約によって1,000トン級に縮小されたという経緯がある。本型の船価は49億円である。

そのほか、夜間でも船舶を識別できる遠隔監視採証装置(LADAR(レーザー・レーダー)装置)を船橋上に搭載しているほか、船橋後部の舷側には夜間でも使用可能な停船命令等表示装置(電光掲示板)を装備できる。

ネームシップである一番船「はてるま」(PL-61)が2007年8月10日三井造船玉野事業所で進水し、2008年3月31日引渡しを受け 第十一管区石垣海上保安部に配属された。二番船以降は仕様が多少変更されたことから、汎用型の大型巡視船として、かつて28隻建造されたしれとこ型を代替し続けていくかに見えた。しかし、警備任務を重視して野心的な造船思想を導入したことが裏目に出てしまい、舷側排気による運用性や低速航行時の安定性に問題を生じ、救難任務における使い勝手が悪かったことから、計9隻の建造で終了した。汎用型として使い勝手が良いように本型を基に大規模な改設計を行なったくにがみ型巡視船の一番船が2012年に就役した。

「よなくに」(PL-63)および「はてるま」(PL-61)は尖閣諸島中国漁船衝突事件にも従事している。

同型船[編集]

番号 船名 建造 竣工・転属 所属 退役・転属
PL61 はてるま 三井造船玉野事業所 2008年(平成20年)3月31日 石垣第11管区
PL62 はかた 2009年(平成21年)2月2日 福岡第7管区 (配属替えに伴い「いしがき」に改名)
いしがき 2011年(平成23年)10月11日 石垣第11管区
PL63 よなくに 2009年(平成21年)2月2日 石垣第11管区
PL64 もとぶ 2009年(平成21年)3月3日 那覇第11管区 (配属替えに伴い「しもきた」に改名)
しもきた 2012年(平成24年)3月26日 八戸第2管区
PL65 くにがみ 2009年(平成21年)3月12日 中城第11管区 (配属替えに伴い「しれとこ」に改名)
しれとこ 2012年(平成24年)3月26日 小樽第1管区
PL66 しきね 三菱重工業下関造船所 2009年(平成21年)10月7日 横浜第3管区
PL67 あまぎ 三井造船玉野事業所 2010年(平成22年)3月11日 下田第3管区 (配属替えするも改名せず)
2013年(平成25年)12月20日 奄美第10管区
PL68 すずか 2010年(平成22年)3月11日 尾鷲第4管区
PL69 こしき 三菱重工業下関造船所 2010年(平成22年)3月9日 鹿児島第10管区

※巡視船は配属変更に伴って名称を変更することがあるため、上記の名称・所属先は執筆時点のものである。

PL61 はてるま 
PL62 はかた 
PL66 しきね 
PL69 こしき 
PL61 はてるま/PL63 よなくに 
PL66 しきね/PL63 よなくに 

脚注[編集]

  1. ^ a b c 『海上保安庁のすべて』 世界の艦船 編集部、海人社、2009年11月、17頁。ISBN 4910056041192。
  2. ^ 1, 000トン型巡視船(拠点機能強化) 「はてるま」の引渡式について 第六管区海上保安本部 平成20年3月27日

参考文献[編集]

  • 海上保安庁装備技術部船舶課/編集部「新型巡視船と航空機」、『世界の艦船』第660集、海人社、2006年7月、 154-157頁。
  • 坂本茂宏「創設50年から60年 そして70年にむけて」、『世界の艦船』第692集、海人社、2008年7月、 132-137頁。
  • 真山良文「技術面から見た海上保安庁船艇の変遷」、『世界の艦船』第692集、海人社、2008年7月、 138-143頁。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]