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'''ディロング''' ('''帝龍'''、''Dilong'') は、基盤的な[[ティラノサウルス上科]]の属の1つ<ref name=JP14>{{Cite journal|author1=Juan D. Porfiri |author2=Fernando E. Novas |author3=Jorge O. Calvo |author4=Federico L. Agnolín |author5=Martín D. Ezcurra |author6=Ignacio A. Cerda |year=2014 |title=Juvenile specimen of ''Megaraptor'' (Dinosauria, Theropoda) sheds light about tyrannosauroid radiation |journal=Cretaceous Research |volume=51 |pages=35–55 |doi=10.1016/j.cretres.2014.04.007 }}</ref>。発見されている種はディロング・パラドクサス1種のみ。約1億2600万年前に当たる[[白亜紀]]前期[[バレミアン]]の[[中華人民共和国]][[遼寧省]]西部[[北票市]]陸家屯の近くの[[熱河層群]]から出土している<ref name="dating">{{cite journal | last1 = Chang | first1 = S.-C. | last2 = Gao | first2 = K.-Q. | last3 = Zhou | first3 = Z.-F. | last4 = Jourdan | first4 = F. | date = 2017 | title = New chronostratigraphic constraints on the Yixian Formation with implications for the Jehol Biota | journal = Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology | doi = 10.1016/j.palaeo.2017.09.026 | url = http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0031018217304832 | volume = 487 | pages = 399–406}}</ref>。
'''ディロング''' ('''帝龍'''、''Dilong'') は[[中生代]][[白亜紀]]前期(約1億3,000万年前)の[[満洲]]に生息した、[[羽毛恐竜]]の一つ。ティラノサウルス上科に分類され、知られている中で最も祖先的な形態を持つ。出土地は[[遼寧省]][[熱河層群]]。


== 発見 ==
[[学名|属名]] {{snamei|Dilong}} は[[中国語]]における呼び名「{{lang|zh|'''帝龍'''}}」([[ピンイン]]: {{unicode|dìlóng}}; ティーロン)に由来する。
ディロングは[[2004年]]に[[徐星]]により記載された<ref name="xuetal2004">{{cite journal |author1=Xu, X. |author2=Norell, M. A. |author3=Kuang, X. |author4=Wang, X. |author5=Zhao, Q. |author6=Jia, C. | year = 2004 | title = Basal tyrannosauroids from China and evidence for protofeathers in tyrannosauroids | journal = Nature| volume = 431 | pages = 680–684 | doi = 10.1038/nature02855 | pmid = 15470426 | issue = 7009 | url=http://www.geo.arizona.edu/geo3xx/geo308/FoldersOnServer/2004/nature02855.pdf}}</ref>。[[学名|属名]] {{snamei|Dilong}} は[[中国語]]における呼び名「{{lang|zh|'''帝龍'''}}」([[ピンイン]]: {{unicode|dìlóng}}; ティーロン)に由来しており、「帝」はティラノサウルス科の王である[[ティラノサウルス]]との関係を反映し、「龍」は西洋の[[ラテン語]]の ''-saur(us)'' と同様に用いられている。模式種の種小名 {{snamei|paradoxus}} は[[古代ギリシャ語]]由来の[[ラテン語]]で、「常識に反する」の意。
模式種の種小名 {{snamei|paradoxus}} は([[ギリシャ語]]由来の)[[ラテン語]]で、「常識を超えた、驚くべき」の意。


==形態==
== 形態 ==
[[File:Dilong paradoxus size 01.jpg|thumb|left|ディロングとヒトの大きさ比較]]
体長は、ある程度完全に近い骨格化石によって1.6メートル程である事が判明している。また化石に残されていた痕跡から、全身が羽毛に覆われていたと推定される。模式種の種小名は、ティラノサウルスが羽毛を持ち小さな体をしていることが逆説的であったということに由来する。羽毛は顎と尾の皮膚の[[印象化石]]で見つかった。それらは中心の軸がなく、現在の鳥の羽程発達しておらず、飛ぶのではなく保温のためのものだった。
[[北京]]の中国科学院古脊椎動物古人類学研究所が所蔵する模式標本 IVPP 14243 は、半ば繋がった完全に近い骨格である。ほぼ完全な頭骨および[[仙椎]]より前方の[[椎骨]]を含む IVPP 1242、天津自然史博物館が所蔵する部分的な頭骨 TNP01109、もう1つの頭骨 IVPP V11579 もディロングあるいは近縁種のものである。ディロングの模式標本は1.6メートルほどであるが、これは若い個体と考えられており、完全に成長すると2メートルを超えた可能性がある。


=== 羽毛 ===
なお、[[カナダ]][[アルバータ州]]で成体の[[ティラノサウルス]]や[[モンゴル]]で成体の[[タルボサウルス]]は他の恐竜と同じく滑らかでごつごつした[[鱗]]に覆われた印象化石がみられる。そこで身体が小さいために体温が下がりやすいティラノサウルスの幼体は羽毛を持ち、成長と共に抜け落ちたという仮説が提出されている。
ディロングの体は単純な[[羽毛]]あるいは[[プロトフェザー]]に覆われており、尾と顎の付近の皮膚の印象化石に羽毛が確認されている。これは現生鳥類の羽毛と同一のものではなく、中心の軸を欠いていた。飛翔することはできず、保温のために用いられていた。なお、[[カナダ]][[アルバータ州]]で成体の[[ティラノサウルス]]や[[モンゴル]]で成体の[[タルボサウルス]]は他の獣脚類に典型的な滑らかで凹凸のある[[鱗]]に覆われた印象化石がみられる。徐星らの2004年の論文では、ティラノサウルス上科は体の部位によって肌の様子が異なり、羽毛と鱗が混在していた可能性もあると推測されている。また、羽毛は体格と負の相関を持つと推測され、身体が小さいために体温が下がりやすいティラノサウルスの幼体は羽毛を持ち、成長とともに保温が不要となって抜け落ちたという仮説が提出されている。


== 関連項目 ==
== 分類 ==
[[File:Dilong TJV 50.JPG|thumb|復元図]]
*[[ティラノサウルス]]
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*[[ティサウルス科]]
ディロングが最初に記載されたとき、ティラノサウルス・レックスといった後の巨大な[[ティラノサウルス科]]を含む分類群である[[ティラノサウルス上科]]の最も初期かつ最も原始的な属と考えられた。後に[[2007年]]のターナーらの研究により、ディロングを含むコエルロサウルス類の恐竜が再分析され、ディロングは系統学においてティラノサウルス上科よりも2段階上の進化した位置に置かれた。ティラノサウルス上科から除外され、[[コエルルス]]より派生的で[[コンプソグナトゥス科]]より原始的とされたのである<ref name=Turneretal07supp>Turner, A.H., Pol, D., Clarke, J.A., Erickson, G.M., and Norell, M. (2007). "Supporting online material for: A basal dromaeosaurid and size evolution preceding avian flight". ''Science'', 317: 1378-1381. {{doi|10.1126/science.1144066}} ([http://www.sciencemag.org/cgi/data/317/5843/1378/DC1/1?ck=nck supplement])</ref>。しかしながら他の研究ではディロングはティラノサウルス上科として扱われ続け、[[2010年]]のカールとウィリアムソンによる研究などにより、ディロングは派生的なコエルロサウルス類ではなく再びティラノサウルス上科に分類された<ref name=carrWilliamson2010>{{cite journal |author1=Carr T.D. |author2=Williamson T.E. | year = 2010 | title = ''Bistahieversor sealeyi'', gen. et sp. nov., a new tyrannosauroid from New Mexico and the origin of deep snouts in Tyrannosauroidea | url = | journal = Journal of Vertebrate Paleontology | volume = 30 | issue = 1| pages = 1–16 | doi = 10.1080/02724630903413032 }}</ref>。
*[[恐竜]]
*[[羽毛恐竜]]
*[[恐竜の一覧]]
*[[絶滅した動物一覧]]


以下のクラドグラムは Loewen らの[[2013年]]の研究に基づき、大半のティラノサウルス上科の系統を示す<ref name=Loewen13>{{Cite journal | last1 = Loewen | first1 = M.A. | authorlink = Mark Loewen| last2 = Irmis | first2 = R.B. | authorlink2 = Randall B. Irmis| last3 = Sertich | first3 = J.J.W. | authorlink3 = Joseph Sertich| last4 = Currie | first4 = P. J. | authorlink4 = Philip J. Currie| last5 = Sampson | first5 = S. D. | authorlink5 = Scott D. Sampson| year = 2013| title = Tyrant Dinosaur Evolution Tracks the Rise and Fall of Late Cretaceous Oceans | url = http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0079420| editor-last = Evans | editor-first = David C| editor-link = David C. Evans| journal = [[PLoS ONE]] | volume = 8 | issue = 11 | pages = e79420 | doi = 10.1371/journal.pone.0079420 | pmid = 24223179| pmc = 3819173| ref = {{sfnRef|Loewen ''et al.''|2013}}}}</ref>。
== 参考文献 ==
{{clade| style=font-size:90%; line-height:80%
* Xu, X., Norell, M. A., Kuang, X., Wang, X., Zhao, Q., Jia, C. (2004). " [http://www.nature.com/nature/journal/v431/n7009/full/nature02855_fs.html Basal tyrannosauroids from China and evidence for protofeathers in tyrannosauroids]". Nature '''431''': 680-684
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== 外部リンク ==
* [http://www.newscientist.com/news/news.jsp?id=ns99996500 New Scientist news article]
* [http://www.nature.com/news/2004/041004/full/041004-11.html Nature news article]
*[http://www.geo.arizona.edu/geo3xx/geo308/FoldersOnServer/2004/nature02855.pdf Original ''Nature'' article as a PDF]
*[http://www.paleoadventures.com/imagelib/sitebuilder/misc/show_image.html?linkedwidth=actual&linkpath=http://www.paleoadventures.com/sitebuildercontent/sitebuilderpictures/dilong.jpg&target=tlx_new Mounted ''Dilong'' skeleton]
* [http://msnbc.msn.com/id/6191512/ MSNBC article with a picture]


== 古生物学 ==
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== 出典 ==
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2019年2月12日 (火) 15:46時点における版

ディロング
生息年代: 白亜紀前期バレミアン, 126 Ma
復元骨格
地質時代
白亜紀前期バレミアン
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
亜目 : 獣脚亜目 Theropoda
下目 : テタヌラ下目 Tetanurae
階級なし : コエルロサウルス類 Coelurosauria
上科 : ティラノサウルス上科 Tyrannosauroidea
: ディロング属 Dilong
学名
Dilong
xu et al., 2004

ディロング (帝龍Dilong) は、基盤的なティラノサウルス上科の属の1つ[1]。発見されている種はディロング・パラドクサス1種のみ。約1億2600万年前に当たる白亜紀前期バレミアン中華人民共和国遼寧省西部北票市陸家屯の近くの熱河層群から出土している[2]

発見

ディロングは2004年徐星により記載された[3]属名 Dilong中国語における呼び名「帝龍」(ピンイン: dìlóng; ティーロン)に由来しており、「帝」はティラノサウルス科の王であるティラノサウルスとの関係を反映し、「龍」は西洋のラテン語-saur(us) と同様に用いられている。模式種の種小名 paradoxus古代ギリシャ語由来のラテン語で、「常識に反する」の意。

形態

ディロングとヒトの大きさ比較

北京の中国科学院古脊椎動物古人類学研究所が所蔵する模式標本 IVPP 14243 は、半ば繋がった完全に近い骨格である。ほぼ完全な頭骨および仙椎より前方の椎骨を含む IVPP 1242、天津自然史博物館が所蔵する部分的な頭骨 TNP01109、もう1つの頭骨 IVPP V11579 もディロングあるいは近縁種のものである。ディロングの模式標本は1.6メートルほどであるが、これは若い個体と考えられており、完全に成長すると2メートルを超えた可能性がある。

羽毛

ディロングの体は単純な羽毛あるいはプロトフェザーに覆われており、尾と顎の付近の皮膚の印象化石に羽毛が確認されている。これは現生鳥類の羽毛と同一のものではなく、中心の軸を欠いていた。飛翔することはできず、保温のために用いられていた。なお、カナダアルバータ州で成体のティラノサウルスモンゴルで成体のタルボサウルスは他の獣脚類に典型的な滑らかで凹凸のあるに覆われた印象化石がみられる。徐星らの2004年の論文では、ティラノサウルス上科は体の部位によって肌の様子が異なり、羽毛と鱗が混在していた可能性もあると推測されている。また、羽毛は体格と負の相関を持つと推測され、身体が小さいために体温が下がりやすいティラノサウルスの幼体は羽毛を持ち、成長とともに保温が不要となって抜け落ちたという仮説が提出されている。

分類

復元図
模式標本

ディロングが最初に記載されたとき、ティラノサウルス・レックスといった後の巨大なティラノサウルス科を含む分類群であるティラノサウルス上科の最も初期かつ最も原始的な属と考えられた。後に2007年のターナーらの研究により、ディロングを含むコエルロサウルス類の恐竜が再分析され、ディロングは系統学においてティラノサウルス上科よりも2段階上の進化した位置に置かれた。ティラノサウルス上科から除外され、コエルルスより派生的でコンプソグナトゥス科より原始的とされたのである[4]。しかしながら他の研究ではディロングはティラノサウルス上科として扱われ続け、2010年のカールとウィリアムソンによる研究などにより、ディロングは派生的なコエルロサウルス類ではなく再びティラノサウルス上科に分類された[5]

以下のクラドグラムは Loewen らの2013年の研究に基づき、大半のティラノサウルス上科の系統を示す[6]

ティラノサウルス上科
プロケラトサウルス科

プロケラトサウルス

キレスクス

グアンロン

シノティラヌス

ジュラティラント

ストケソサウルス

ディロング

エオティラヌス

バガラアタン

ラプトレックス

ドリプトサウルス

アレクトロサウルス

シオングアンロン

アパラチオサウルス

アリオラムス・アルタイ

アリオラムス・レモトゥス

ティラノサウルス科

2014年の研究でディロングはプロケラトサウルス科に分類された。しかし、最大節約法ベイズ推定を用いたブルサッテらによる2016年の系統解析でディロングはプロケラトサウルス科から除外され、よりわずかに派生したティラノサウルス上科に位置付けられた[7]

古生物学

頭蓋の解析から、ディロングは薄い髄膜に保護されたS字型の脳を持つことが示唆され、厚い髄膜で保護された線状の脳を持つティラノサウルスとは異なる。これはワニと同様に体格に関連した傾向とされている。ディロングの巨大な片葉はディロングが俊敏で平衡感覚に長けていたことを示唆している。一方で嗅索は小さく、ティラノサウルスや後のティラノサウルス科ほどディロングの嗅覚が洗練されていなかったことが示されている[8]

出典

  1. ^ Juan D. Porfiri; Fernando E. Novas; Jorge O. Calvo; Federico L. Agnolín; Martín D. Ezcurra; Ignacio A. Cerda (2014). “Juvenile specimen of Megaraptor (Dinosauria, Theropoda) sheds light about tyrannosauroid radiation”. Cretaceous Research 51: 35–55. doi:10.1016/j.cretres.2014.04.007. 
  2. ^ Chang, S.-C.; Gao, K.-Q.; Zhou, Z.-F.; Jourdan, F. (2017). “New chronostratigraphic constraints on the Yixian Formation with implications for the Jehol Biota”. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology 487: 399–406. doi:10.1016/j.palaeo.2017.09.026. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0031018217304832. 
  3. ^ Xu, X.; Norell, M. A.; Kuang, X.; Wang, X.; Zhao, Q.; Jia, C. (2004). “Basal tyrannosauroids from China and evidence for protofeathers in tyrannosauroids”. Nature 431 (7009): 680–684. doi:10.1038/nature02855. PMID 15470426. http://www.geo.arizona.edu/geo3xx/geo308/FoldersOnServer/2004/nature02855.pdf. 
  4. ^ Turner, A.H., Pol, D., Clarke, J.A., Erickson, G.M., and Norell, M. (2007). "Supporting online material for: A basal dromaeosaurid and size evolution preceding avian flight". Science, 317: 1378-1381. doi:10.1126/science.1144066 (supplement)
  5. ^ Carr T.D.; Williamson T.E. (2010). “Bistahieversor sealeyi, gen. et sp. nov., a new tyrannosauroid from New Mexico and the origin of deep snouts in Tyrannosauroidea”. Journal of Vertebrate Paleontology 30 (1): 1–16. doi:10.1080/02724630903413032. 
  6. ^ Loewen, M.A.; Irmis, R.B.; Sertich, J.J.W.; Currie, P. J.; Sampson, S. D. (2013). Evans, David C. ed. “Tyrant Dinosaur Evolution Tracks the Rise and Fall of Late Cretaceous Oceans”. PLoS ONE 8 (11): e79420. doi:10.1371/journal.pone.0079420. PMC 3819173. PMID 24223179. http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0079420. 
  7. ^ Brusatte, Stephen L.; Carr, Thomas D. (2016-02-02). “The phylogeny and evolutionary history of tyrannosauroid dinosaurs” (英語). Scientific Reports 6 (1). doi:10.1038/srep20252. ISSN 2045-2322. https://www.nature.com/articles/srep20252. 
  8. ^ Kundrát, Martin; Xu, Xing; Hančová, Martina; Gajdoš, Andrej; Guo, Yu; Chen, Defeng. “Evolutionary disparity in the endoneurocranial configuration between small and gigantic tyrannosauroids”. Historical Biology. doi:10.1080/08912963.2018.1518442.