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藤島敏男

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『山に忘れたパイプ』の書名は野反湖が舞台

藤島 敏男(ふじしま としお、1896年明治29年)7月12日 - 1976年昭和51年)9月9日[1])は、日本登山家、銀行家。鉄道会館監査役[2]。日本銀行監事[3]。作家の藤島泰輔は実子。ジャニーズ事務所代表取締役の藤島ジュリー景子は孫。

来歴

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神奈川県横浜市に生まれる[1]三重県人・藤島範平の長男[4][5]。小学生の時に、三重県菰野町御在所岳山麓にある祖父母の許に寄寓[6]

第一高等学校在学中に旅行部に所属して登山に親しむ。1915年(大正4年)、旅行部の依頼で講演を行った木暮理太郎の話に感銘を受けて、本格的な登山を始め、岩登りやスキー登山など様々な形の登山を行うようになる[7]1919年(大正8年)日本山岳会に入会。日本山岳会早期の会員で、開拓的山行を重ねた。当時、指導者であった木暮理太郎とは1919年(大正8年)皇海山[8]1920年(大正9年)利根川源流大水上山平ヶ岳至仏山・湯ノ小屋[8]に同行している。この年、利根水源の登山の直前には、登山者としては初の仙ノ倉山茂倉岳谷川岳縦走をこなしている[9](記録に残る最古の谷川岳登頂[10])。その他にも数多くの山行を活発におこなった[11]

1921年(大正10年)東京帝国大学法学部政治科を卒業し、日本銀行に入行[4][5][11]熊本京都各支店長、文書局局長、監事を歴任した[1]

川原五郎の長女と結婚、1933年(昭和8年)に長男の泰輔が誕生。

1959年深田久弥望月達夫と一緒に登った御座山

1935年(昭和10年)から3年間は日本銀行パリ駐在時にマッターホルンなどのスイスフランスアルプスの山々に登った[6]

第二次世界大戦後は、混雑する山を嫌い、避衆登山と称して人気のない山を訪ね歩いた[11]。晩年、深田久弥とはウマが合ったようで山行を共にすることが多かった[11]。その深田が1971年(昭和46年)茅ヶ岳において、脳卒中で急逝した際も同行していた[12]。その際に藤島は「僕達は眠った深田君の傍で、刻々色調の変ってゆく富士を眺めながら、黙然として、暗然として、悄然として佇んでいた。」と回想している。[13] 

晩年、日本山岳会名誉会員となる[1]深田久弥小林義正望月達夫らの勧めもあり、1970年(昭和45年)には50余年の文章を集めた『山に忘れたパイプ』(茗溪堂)を出版。これが唯一の著書となった。

人物

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趣味は登山、スキー[3]。三重県阿山郡柘植町在籍で、住所は東京都港区麻布北日ヶ窪[2]、新宿区諏訪町[3]

家族・親族

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藤島家
親戚

脚注

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  1. ^ a b c d 藤島 敏男とはコトバンク。2019年7月10日閲覧。
  2. ^ a b 『全日本紳士録 昭和34年版』ふ20頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2023年12月18日閲覧。
  3. ^ a b c d 『人事興信録 第15版 下』フ16頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2019年7月10日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g 『人事興信録 第14版 下』フ58頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2019年7月10日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g 『人事興信録 第13版 下』フ61頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2019年7月10日閲覧。
  6. ^ a b 藤島敏男『山に忘れたパイプ』[要ページ番号]
  7. ^ 山崎安治「藤島敏男」徳久球雄 編『岳人事典』東京新聞出版、1983年 ISBN 978-4-808-30148-4 P.163
  8. ^ a b 『山岳』[要文献特定詳細情報]及び『山の憶ひ出』[要文献特定詳細情報]
  9. ^ 『山岳』奥上州号[要文献特定詳細情報]
  10. ^ 羽根田治『山岳遭難の傷痕』山と渓谷社、2020年 P164.
  11. ^ a b c d 深田久弥『わが愛する山々』[要ページ番号]
  12. ^ 『百名山の人 深田久弥伝』[要文献特定詳細情報]、12頁
  13. ^ 日本山岳会会報『山』311号[要ページ番号]
  14. ^ a b c 『人事興信録 第8版』フ58頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2019年7月10日閲覧。
  15. ^ 『昭和人名辞典II 第1巻 東京編』、870頁。

参考文献

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  • 人事興信所編『人事興信録 第8版』人事興信所、1928年。
  • 人事興信所編『人事興信録 第13版 下』人事興信所、1941年。
  • 人事興信所編『人事興信録 第14版 下』人事興信所、1943年。
  • 人事興信所編『人事興信録 第15版 下』人事興信所、1948年。
  • 人事興信所編『全日本紳士録 昭和34年版』人事興信所、1959年。
  • 深田久弥『わが愛する山々』山と渓谷社〈ヤマケイ文庫〉、2011年。