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2013年1月27日 (日) 00:25時点における版
ネクベト(Nekhbet)はエジプト神話に登場する女神。古代エジプトにおいて崇拝されていた。
上エジプトの守護女神であり、下エジプトを守護するウアジェト女神とともにファラオの守護者とされた。女性の姿、あるいは上エジプトの白い王冠を被ったハゲワシの姿で描かれる[1]。ファラオの守護者として描かれる場合は、翼をファラオの上に広げ、ファラオの環または髪を掴んだ姿でも表現される。
ネクベト崇拝の中心都市はネケブ(現在のエル=カブ)であった[2]。ネケブはホルスの崇拝の中心であったネケンとナイル川を挟んで対岸にあり、エジプト先史時代において2つの都市は上エジプトの首都として機能していた。ネクベトの重要性はホルスの隆盛とともに高まることとなった[2]。
太陽神話においては、ネクベトはラーの右眼あるいはラーの娘と呼ばれた。また、ネクベトはアビドスの腹ばいの犬[3]もしくは狼[4]の姿をした神ケンティ・アメンティウの妻ともみなされた[5]。古代エジプトにおいて、貧しい人々の死体は砂漠に投げ入れられハゲワシの餌となっていたことが、ネクベトを葬祭の神であるケンティ・アメンティウに結びつけたと考えられる[5]。ケンティ・アメンティウはオシリスと習合され、ネクベトはオシリスにも結びつくこととなった。オシリス信仰においては、ネクベトはオシリス信仰の豊穣の面と結び付けられ、ナイル川の神ハピの妻とみなされた。このことからネクベトは母なる女神、出産の神と考えられ、ハトホルとも同一視された[1]。テーベのハゲワシ姿の女神であるムトと混同されることもあった[6]。
脚注
参考文献
- アーサー・コッテル『世界神話辞典』左近司祥子他訳、柏書房、1993年。ISBN 4-7601-0922-6。
- ヴェロニカ・イオンズ『エジプト神話(新装版)』酒井傳六訳、青土社、1991年。ISBN 4-7917-5145-0。