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この国家公務員法は[[2007年]][[6月]]に成立した改正国家公務員法で、退職後2年間は原則として職務に関わる営利企業への再就職を禁じた現行の規制を廃止する代わりに、再就職後に出身省庁に対して口利きをすることに対し刑事罰を設けた。
この国家公務員法は[[2007年]][[6月]]に成立した改正国家公務員法で、退職後2年間は原則として職務に関わる営利企業への再就職を禁じた現行の規制を廃止する代わりに、再就職後に出身省庁に対して口利きをすることに対し刑事罰を設けた。



=== 旧大蔵省関係等からの[[日本たばこ産業株式会社]]への天下り ===
- 日本専売公社は日本たばこ産業株式会社として民営化されたものの、未だ政府はその株式の50.02%を所有しており、以下の旧大蔵官僚等が天下っていることから準国営企業であるとの批判がある<ref>[http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-02-06/2008020614_02_0.html]・[[しんぶん赤旗]]・[[2008年]][[2月6日]]</ref><ref>[http://www.jti.co.jp/JTI/outline/yakuin4.html]・退職公務員等の状況</ref>。
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- *旧大蔵省
- **[[涌井洋治]](現JT取締役会長)…元大蔵省官房長。贈賄容疑で逮捕された石油商[[泉井純一]]氏から絵画を受け取っていたことが発覚し、処分を受け退官。
- **[[武田宗高]](現代表取締役副会長)…元大蔵省官房審議官。
- **[[立石久雄]](現常勤監査役)…元国税庁関東信越国税局長。
- *旧大蔵省以外からの天下り
- **[[村山弘義]](現監査役)・・・元東京高等検察庁検事長。


=== 道路公団関係 ===
=== 道路公団関係 ===

2009年8月12日 (水) 06:12時点における版

天下り(あまくだり)とは、もとは神道の用語で、が天界から地上に下ることをいい(天孫降臨など)、「天降る」といった。

現在では退職した高級官僚が、出身官庁が所管する外郭団体、関連する民間企業独立行政法人国立大学法人特殊法人・公社・公団・団体などの高い職に就く(迎えられる)事を指して批判的に用いられる。民間企業の上位幹部が子会社の要職に就く際にも使われる場合がある。

概要

官僚の天下りの範囲については、中央省庁の斡旋・仲介がある場合のみを含めるとする意見と、斡旋・仲介などの手法に関係なく、特定企業・団体に一定の地位で迎えられる場合全てを含むとする意見がある。

地方公共団体においても、幹部クラスの職員が、退職後に関連団体や出資法人の高い職に就くことがあり、これも「天下り」と言われる。

フランスでは「Pantoufle」(元の意味は「スリッパ」。「居心地がいい」という意味合いもある)と呼ばれる。

天下りの問題

単に退職者が所管団体や関連企業等に再就職する点に問題はない。以下のようなことが問題として指摘されている。

  • 官民の癒着、利権の温床化
  • 人材の仲介・斡旋について、中央省庁の権限の恣意的な使用
  • 公社・公団の退職・再就職者に対する退職金の重複支払い
  • 幹部になりづらくなることによる生抜き職員のモチベーションの低下
  • 年間に数日しか出勤せず、また出勤しても業務らしいこともしていないのに、極めて高額の給与が支給される(ポストだけの確保)。

天下りが起こる原因の一つとして主に指摘されているのが、キャリア官僚早期勧奨退職慣行である。これは官僚制の歴史の中で形成された慣習で、江戸時代にまでその起源を遡ることができるが、事実上、法定の制度に組み入れられている。

国家I種試験を経て幹部候補生として採用されたキャリア官僚は、程度の差こそあれ、同期入省者はほぼ横並びに昇進していく。その過程でポストに就くことができなかった者は職が与えられないため、いやもおうもなく退職する以外に選択肢は無くなってしまう。一般に事務方のトップである事務次官は1名であるから、同期入省者または後年入省者から事務次官(または次官級ポスト)が出ると、その他の同期入省者は総てが60歳の定年を待たずに退職せざるをえなくなってしまう。この慣例の元では、その後の職業及び収入を用意するために必要とされる。

一方で民間企業の側からも、官庁への人脈作りや情報収集、退職した官僚の持つ技術や見識など、人材を迎え入れるニーズがあることも指摘されている[1]

後述するように天下りには数々の問題点が指摘され、国民の側からの批判も非常に強いものがあるが、キャリア官僚をはじめとした公務員の給与は同等の学歴を有する大企業の役員等と比較すると著しく低いのが実情であり、有能な人材を採用して官僚の質を維持し続けるため、高額な給与や退職金を担保する天下りは必要悪であるとの指摘もある。

天下りの実態と対応

2004年8月31日の閣議決定によれば、中央省庁の斡旋や仲介で民間企業に再就職した国家公務員は2003年までの5年間で3,027人にのぼっている。省庁別では、国土交通省の911人をトップに法務省629人、総務省313人、文部科学省261人、財務省251人、農林水産省245人、警察庁127人、防衛庁85人、会計検査院64人、経済産業省46人、人事院29人、公正取引委員会23人、厚生労働省19人、宮内庁17人、内閣府3人、外務省2人、内閣官房金融庁0人であった。

2004年12月27日、政府は、2003年8月から一年間に退職した中央省庁の課長・企画官以上の国家公務員1268人のうち552人が独立法人・特殊法人・認可法人・公益法人へ再就職したと発表した。天下りの温床と批判されることの多いこれらの団体への再就職比率は43.5%にのぼっていることになる。

天下り構造の解消は国の財政再建や公正な行政への要になるとして、国民の関心も高い。天下りを根絶するのに最も単純な方法の一つは、公務員の再就職を一律に禁止することであるが、単純に再就職を禁止することは個人の就業の自由および職業選択の自由を不当に制限し、憲法に違反するもので問題があるという点と、民間企業・特殊法人等からも「官庁を退職した優秀な人材を雇用したい」「官庁に対する必要な情報を得たり、人脈を作りたい」などのニーズがあることから実施は困難である。そのため、特殊法人改革や再就職禁止規定の厳格化、ひいては公務員制度全般の改革など各種政策が検討・実施されているが、名目を変えながら実質的に天下りは存続しているとも指摘されており、また、独立行政法人から民間企業へ役員ポストを渡した上で、民間企業へ省庁退職者を受け入れさせるという「天下り隠し」の存在も指摘されている[2]

再就職の制限

国家公務員法では、退職者が、退職以前5年間の地位に関係する民間会社へ再就職することを退職後2年間禁止している。この再就職制限は公務員として知りえた機密情報漏洩を防止するための規定である。そのため、人事院により退職者の再就職が機密漏洩につながらないと判断された場合は、退職後2年経過していなくても、再就職をすることが可能である。また承認が得られなくても、退職後2年経過したら当時知りえた情報に価値がなくなるとみなされるため、民間企業への再就職が可能となる。

この国家公務員法は2007年6月に成立した改正国家公務員法で、退職後2年間は原則として職務に関わる営利企業への再就職を禁じた現行の規制を廃止する代わりに、再就職後に出身省庁に対して口利きをすることに対し刑事罰を設けた。


旧大蔵省関係等からの日本たばこ産業株式会社への天下り

- 日本専売公社は日本たばこ産業株式会社として民営化されたものの、未だ政府はその株式の50.02%を所有しており、以下の旧大蔵官僚等が天下っていることから準国営企業であるとの批判がある[3][4]。 - - *旧大蔵省 - **涌井洋治(現JT取締役会長)…元大蔵省官房長。贈賄容疑で逮捕された石油商泉井純一氏から絵画を受け取っていたことが発覚し、処分を受け退官。 - **武田宗高(現代表取締役副会長)…元大蔵省官房審議官。 - **立石久雄(現常勤監査役)…元国税庁関東信越国税局長。 - *旧大蔵省以外からの天下り - **村山弘義(現監査役)・・・元東京高等検察庁検事長。

道路公団関係

高速道路整備計画で、1998~2002年度の5年間に契約された10億円以上の工事361件のうち、予定価格に対する実際の契約金額の割合を落札率とすると、落札率99%は25件、98%は227件、97%は75件、94%以下は4件で、ほとんど95%以上である。この異常に高率な落札率の背景には、落札企業に公団幹部の天下りがあると言われている。工事を受注する企業には、発注する側の公団から天下りした者が多い。受注企業のおよそ200社に約300人が天下りしていると推定されている。

建設企業が国土交通省や道路公団のOPを受け入れて工事を受注し利益を上げる、工事の予定や予算を知るために政治献金をする、献金を受け取った政治家が国交省や道路公団に圧力をかける。このような役所・公団から企業へ、企業から政治家へ、政治家から役所・公団へという関係は「政」「官」「財」の「鉄のトライアングル」と呼ばれ、汚職・談合・贈収賄の温床となりやすい。

道路関係四公団を民営化するための「高速道路株式会社法案」などの概要が決まり、旧公団は六つの新会社に分割され、国の出資率が三分の一以上となるが、一部には天下り先が増えるだけという批判もある2008年3月8日 (土) 19:16 (UTC)[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。

高速道路料金上限1000円制度ETC使用の乗用車のみで二年間限定であり、 これを機にETCを国民に購入させ二年間が終わるとETCの料金的メリットはなくなる予定。[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。) 幹部には元道路交通局天下り職人、カード会社の幹部が名を連ねている。


郵政関係

郵政関係の天下りは調達関係を通じて行われる場合などが多かった。しかしながら、郵政事業庁の廃止に伴い、日本郵政公社となり、企業会計および連結会計の導入が行われたことから、調達コストの削減、連結対象会社の効率化、職員福祉団体の統合(郵政弘済会、郵政互助会が合併し郵政福祉を設立)などが進み、現在では天下り先は急激に減少しているとされる。また、郵政民営化により、民営化によって発足する日本郵政グループの子会社になる企業が選別され、郵政事業全体の合理化が進んでいる[5]

文教施設関係

文部科学省文教施設企画部のナンバー2である技術参事官は、庁舎内の参事官室で業者と文部科学省OBの双方から希望を聞き、天下り先を調整する慣習があったという。[6]

地方公共団体における「天下り」

中央省庁と同様に、地方公務員にも天下りがある。主に幹部クラスの職員の一部が、関連団体や出資法人等をあっせんされ、「理事」や「取締役」等の役員として再就職する。退職勧奨によって早期退職してから再就職するケースと、定年退職後に再就職するケースがある。

関連団体側にとっては「幹部経験者のノウハウの再利用」や「役所との太いパイプ作り」などのメリットが認められるが、やはり「利権化」や「退職金の重複払い」「生え抜き職員との格差」など、中央省庁と同じ問題点を抱えている。

民間企業における「天下り」

民間企業に対しては普通、天下りという言葉を使用しないが、次のような雇用調整を揶揄して「天下り」と呼ぶ場合がある。

親子関係にあるグループ企業において、親会社の従業員が子会社出向し、子会社は管理職として迎える。かつては、対象者に子会社で管理職の経験を積ませて、将来親会社に呼び戻すことが行われてきたが、最近ではリストラの一環として行われる場合が多くなっている。この場合、管理職としての資質を持たない人が子会社の要職に配置されることが多くなる。子会社にとっては迷惑極まりない事であるが、会社の資本関係から親会社の意向に従わざるを得ず、事業への影響を避けるため「部下を持たない管理職」として受け入れざるを得ないなど、業務効率の悪化や無駄な人件費の増大など経営への影響が懸念されている2008年3月8日 (土) 19:18 (UTC)[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。

また、場合によっては親会社の意向で「部下を持つ管理職」に就いてしまう場合もある。部下の適切な管理や人心掌握といった管理職にある者として基本的なスキルすら持たぬ者がそのような管理職に就いた場合、パワーハラスメント等の問題を起こしやすく、職場の士気を下げたり、長年勤続した生え抜きの社員との確執から業務の妨げになる等の問題が出る恐れがある。部下の手柄を横取りしたり、不祥事に対して「私はこの会社のことは全く知らない」などと言って、自分だけは責任を逃れたりするケースも多々ある。

余談だが、このようなリストラは俗に「片道切符」と呼ばれる。企業によっては、定年退職するときに親会社に籍を戻し、親会社の従業員としての退職を認める所もある2008年3月8日 (土) 19:18 (UTC)[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。

関連項目

脚注

  1. ^ 解りやすい例が防衛産業である。武器輸出が事実上禁止されているため、防衛産業の顧客は自衛隊以外に事実上存在せず、その'商品'の善し悪しが解るのも自衛官だけである。また官僚でなくても元々自衛官は慣習上の「定年」が若く、その人材を防衛産業が長年受け入れてきた実情がある。
  2. ^ 天下り隠し:省庁→独法 民間とポスト「交換」 毎日新聞 2009年8月9日
  3. ^ [1]しんぶん赤旗2008年2月6日
  4. ^ [2]・退職公務員等の状況
  5. ^ 日本郵政、ファミリー企業105社と人的関係解消]・日本経済新聞2007年6月16日
  6. ^ 文科省汚職:倉重被告、中身見ず現金受領…業者幹部証言  - 毎日jp(毎日新聞)

外部リンク