尾鷲三田火力発電所
尾鷲三田火力発電所 | |
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おわせみたかりょくはつでんしょ | |
天狗倉山から望む尾鷲三田火力発電所 (2015年9月19日) | |
種類 | 火力発電所 |
電気事業者 | 中部電力 |
所在地 |
日本 三重県尾鷲市国市松泉町1番地 |
北緯34度4分1.2秒 東経136度12分21.3秒 / 北緯34.067000度 東経136.205917度座標: 北緯34度4分1.2秒 東経136度12分21.3秒 / 北緯34.067000度 東経136.205917度 | |
1号機 | |
発電方式 | 汽力発電 |
出力 | 37.5万 kW |
燃料 | 重油 |
営業運転開始日 | 1964年7月 |
3号機 | |
発電方式 | 汽力発電 |
出力 | 50万 kW |
燃料 | 原油、重油 |
営業運転開始日 | 1987年6月 |
公式サイト:尾鷲三田火力発電所 |
尾鷲三田火力発電所(おわせみたかりょくはつでんしょ)は、三重県尾鷲市国市松泉町1にあった中部電力の石油火力発電所。発電所名の「三田」は、当発電所の建設を指揮した三田民雄(三田敏雄の父)にちなむ[1]。2018年12月19日に廃止された[2]。2019年4月現在、「尾鷲三田工事所」として解体作業が進められている[3]。
歴史
[編集]松永安左エ門の大型火力発電所構想に呼応する形で中部電力の副社長であった三田民雄の指揮の下で建設された[1]。1964年に1、2号機が運転を開始、1987年に3号機が増設された。高度経済成長期の旺盛な電力需要に応じるとともに、夏季の電力需要上昇時に威力を発揮した[1]。その後、2004年に老朽化に伴い2号機は廃止された[4]。
石油火力発電所であるため原油高の影響を受けやすいほか、旧式設備の発電効率の悪さから2008年に1号機が長期計画停止となり、残る3号機の稼働率は10%となっていた。東日本大震災による電力危機で2011年度には200日弱稼働したものの、以後は年数日程度の稼働にとどまった[1]。2018年1月になり、発電所の廃止に向けて地元と協議に入ったことが報じられ[1]、同年2月16日の尾鷲市議会全員協議会の場で正式に中部電力から申し入れがあったことを尾鷲市が公表した[5]。2018年4月1日に3号機が休止された[6]。12月19日、1号機と3号機が廃止された[2]。
火力発電所に代えて、地元の間伐材を燃料とするバイオマス発電所を跡地に設置し、排熱を魚類養殖に利用する構想がある[5]が、発電規模は1万kWにとどまり、87.5万kWの火力発電所を代替するものではない[1]。バイオマス発電所の運営は中部電力またはJERAが想定されている[5]。また敷地の一部1.6haを尾鷲市を含む東紀州4市町の広域ごみ処理場に転用し[7]、稼働は2023年度を目標とする方針が示された[5]。広域ごみ処理場への転用は中部電力からの提案であり、建設候補地が見つからずに困っていた尾鷲市にとって朗報であった[7]。
廃止された設備
[編集]発電設備
[編集]- 1号機(廃止)
- 定格出力:37.5万kW
- 使用燃料:重油
- 営業運転期間:1964年7月 - 2018年12月19日(2008年4月1日から長期計画停止)
- 2号機(廃止)
- 定格出力:37.5万kW
- 使用燃料:重油
- 営業運転期間:1964年 - 2004年12月31日
- 3号機(廃止)
- 定格出力:50万kW
- 使用燃料:原油、重油
- 営業運転期間:1987年6月 - 2018年12月19日(2018年4月1日から長期計画停止)
煙突
[編集]尾鷲三田火力発電所にあった煙突(高さ230m)は尾鷲市のランドマークとなっていた[8]。大型クレーンによる煙突の撤去工事は2020年12月5日に完了した[8]。残る煙突の一部、タンク、タービン建屋、コンクリート基礎などは2021年6月25日までに撤去されることになっている[8]。
出典
[編集]- ^ a b c d e f g “中電、尾鷲火力発電所を18年度停止 木質バイオ発電新設へ”. 中日新聞 (2018年1月19日). 2018年2月12日閲覧。
- ^ a b 『尾鷲三田火力発電所1・3号機および四日市火力発電所3号機の廃止について』(プレスリリース)中部電力株式会社、2018年12月19日 。2018年12月19日閲覧。
- ^ “来月から発電設備撤去 中電尾鷲三田工事所 三重”. 伊勢新聞 (2019年4月20日). 2019年6月14日閲覧。
- ^ “尾鷲三田火力発電所2号機および新清水火力発電所1号機の廃止について”. 中部電力 (2004年12月27日). 2018年2月12日閲覧。
- ^ a b c d 「尾鷲火力跡地に広域ごみ処理場 市方針 23年度稼働を目標」中日新聞2018年2月17日付朝刊、中部けいざい、10版9ページ
- ^ https://hjks.jepx.or.jp/hjks/outages 発電情報公開システム
- ^ a b 木村汐里「尾鷲火力に広域ごみ処理場 中電、跡地利用に方向性」中日新聞2018年2月17日付朝刊、三重版16ページ
- ^ a b c “「非常に寂しい」 尾鷲三田工事所 煙突の撤去ほぼ完了 三重”. 伊勢新聞. 2020年12月8日閲覧。