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Ψ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ギリシア文字
Αα アルファ Νν ニュー
Ββ ベータ Ξξ クサイ
Γγ ガンマ Οο オミクロン
Δδ デルタ Ππ パイ
Εε エプシロン Ρρ ロー
Ζζ ゼータ Σσς シグマ
Ηη イータ Ττ タウ
Θθ シータ Υυ ウプシロン
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Κκ カッパ Χχ カイ
Λλ ラムダ Ψψ プサイ
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使われなくなった文字

()
ディガンマ サン
ヘータ ショー
ギリシアの数字
スティグマ
()
サンピ

()
コッパ

Ψ, ψ(プサイ、プシ、サイ[1][2]古代ギリシア語: ψεῖ プセーギリシア語: ψι, ψί プスィ英語: psi [ˈsaɪ] サイ)は、ギリシア文字の第23番目の文字。数価[3]は700。音価は/ps/。

キリル文字Ѱ(現在は使われていない)はこの文字を起源とする。

起源

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この文字はフェニキア文字になく、ギリシアで新たに追加された文字のひとつである。

/ps/の音は早期のアルファベットではΠΣの2文字で表された[4]。その後には地方ごとに異なる方式が採用された[5][6]

(なお、東方ギリシア文字では/kʰ/の音はΧで表した)。

地方ごとに差が生じた理由は明らかでないが、松本によると最初はΧとΨはどちらも/kʰ/を表すための字で、後続母音によって使い分けられたものらしく、後にどちらかに統一され、使わなくなった方の字を複合子音の表記に割り当てたものらしいという[7]

後に東方ギリシア文字の一種であるイオニア式アルファベットによって統一され、「Ψ」と書かれるようになった。

西方ギリシア文字から発展したラテン文字には「Ψ」にあたる文字は存在しない。クラウディウス帝の時代に/ps/を表す文字が考案されたことがあったが(クラウディウス文字)、短期間しか使われなかった。

この文字の字形の起源は議論が分かれる。古代の文字名称はプセー(ψεῖ)であり、これはπ(ペー)、φ(ペー)、χ(ケー)のパターンに従ったものである[8]。紀元前4世紀の末に ει/iː/ と発音されるようになり、その影響で文字名称も ψῖ とされることが普通になった。近代西洋諸言語の名はそれにもとづく[8]

記号としての用法

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符号位置

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大文字 Unicode JIS X 0213 文字参照 小文字 Unicode JIS X 0213 文字参照 備考
Ψ U+03A8 1-6-23 Ψ
Ψ
Ψ
ψ U+03C8 1-6-55 ψ
ψ
ψ

脚注

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  1. ^ psi”. Cambridge Dictionary. 2023年10月27日閲覧。
  2. ^ psi”. Oxford Dictionary. 2023年10月27日閲覧。
  3. ^ 文字に当てはめられた数値のこと。ギリシアの数字を参照。
  4. ^ Allen (1987) p.59
  5. ^ Threatte (1996) pp.271-272
  6. ^ Woodard (2004) p.655
  7. ^ 松本(1981) p.94
  8. ^ a b Allen (1987) p.170

参考文献

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  • W. Sidney Allen (1987) [1968]. Vox Graeca (3rd ed.). Cambridge University Press. ISBN 0521335558 
  • Leslie Threatte (1996). “The Greek Alphabet”. In Peter T. Daniels; William Bright. The World's Writing Systems. Oxford University Press. pp. 271-280. ISBN 0195079930 
  • Roger D. Woodard (2004). “Greek Dialects”. The Cambridge Encyclopedia of the World's Ancient Languages. Cambridge University Press. pp. 650-672. ISBN 9780521562560 
  • 松本克己 著「ギリシア・ラテン・アルファベットの発展」、西田龍雄 編『世界の文字』大修館書店、1981年、73-106頁。