T-X

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

T-X(正式名称:TERMINATRIX)は、映画『ターミネーター3』に登場する架空のアンドロイドで、クリスタナ・ローケンが演じた。

設定[編集]

サラ・コナー及びジョン・コナーに対する2度の暗殺作戦の失敗を憂慮したスカイネットにより、2032年に開発された初の対ターミネーター用ターミネーターである。

これまでのT-800やT-1000と違い、容姿は女性を模しており、類まれな美貌とプロポーションを持っており、完璧な美しさを求めて造形された。

ジョン・コナーが最優先ターゲットである事は変わらないものの、鹵獲されてプログラムを人間の味方をするように書き換えられた「裏切り者」のターミネーター(T-800系列)や、「審判の日」以後に抵抗軍に加わる22人の重要人物を全員抹殺する目的でも開発されており、ターミネーターシリーズの中でも最強の性能を誇る。

特徴[編集]

ターミネーター2』に登場したT-1000と同じく、金属骨格の上を流体多結晶合金(液体金属)で覆っているため、触れてデータを読み取った人物に変身できる。しかしT-1000には骨格が存在せず、人間以外の姿(全身を平面化して床に変形する等)に変身できたのに対し、本モデルには骨格が存在するため、変身可能という特徴は引き継いでいるが、顔や容姿を変更するなどの変身はできるものの、骨格の形を逸脱するような形態には変形できない。
従って隠密性はT-1000に遠く及ばないが、元々対ターミネーター用機種であるため、少なくとも人間に擬態する程度に留めており、潜入用としての機能は重視されていない。その反面、骨格内部に高度なコンピュータを有しているため、T-800系列やT-1000よりも知能は高い。なお、T-1000同様、コピーした人物は殺害するようプログラムされているが、その際、変身を第1目的とし殺害はその次としているため、コピーは行ったが殺害されていない人物(特にケイト・ブリュースター)も存在する。

流体多結晶合金(以降、液体金属と表記)は改良が加えられ、T-1000のように衝撃によって変身機能に一時的な混乱を起こすことは無くなったが、劇中では極端な低温や高温の環境にさらされた描写がないため、これらの耐環境性能については未知数である。ただし、T-Xの骨格については高温でも簡単には溶かせない事が、T3の小説版にてT-850がジョンに告げている。

また、T-Xの骨格の材質は可鍛性セラミクスチタニウム装甲であることがT3の小説版にて記述されている。

機能及び、動力源[編集]

武器を現地調達していたT-800系列やT-1000に対し、プラズマ砲や火炎放射器、回転鋸などの強力な武器が内蔵されており、戦闘能力比では「ターミネーターを狩るためのターミネーター」という立場に相応しい。ただし用意するための変形に少々のタイムラグが生じるためか、劇中では(おそらく遭遇した警官を殺害して奪ったと思われる)拳銃を使って標的を抹殺するシーンもある。また、T-Xのプラズマ砲は非常に強力(T-850のパワーセルを破損させている、鉄を瞬時に溶かす程のエネルギーを発射できる)である。劇中ではプラズマ砲や火炎放射器などの重火器は右腕を変形させ、エンジンカッターなどは左腕を変形させて使用している。

右腕のプラズマ砲と火炎放射器については、後者が発する火炎の正体は損傷したプラズマ砲でも発射可能な低出力のプラズマビームであることがT3の小説版にて記述されている。

さらに、指先に装備されているデータ転送用ポイント・ドリルを使用し他のマシンのプログラムを書き換え、それを自在にリモート・コントロールできるナノテクノロジー・トランスジェクターを内蔵している。視界外のコントロール対象物を操作する時は、通信衛星のダウンリンクを経由し超高周波で操作を行う。携帯電話などの通信機器を使用し、離れた位置にあるコンピューターのデータベースにアクセスする事も可能[1]

動力源はT-800系統のパワーセルとは異なりプラズマ原子炉を保有しているため、その他部品が致命的な破損をしない限り、半永久的に行動できる。また、プラズマ原子炉はパワーセルを再充電する能力がある事が、小説版T3にて解説されている。

また、基本ソフトウェアも改良されており、T-800系列の赤色ベースから青色ベースとなっており、色の認識や内蔵するCPUに対するGUI画面でも強調の意味で赤文字を使うことがある。

また、T-800系列やT-1000同様、ロボットであるため基本的に無表情だが、ジョンの血液の着いたガーゼを舐めとって、彼のDNAを検出した際に驚愕の表情を見せたり、カーチェイスのシーンにて、乗っていたトレーラーに取り付けられていたアームにしがみついていたT-850を対向車にぶつけて振り落とした際は、笑みのような表情を見せるなど、ある程度の人間らしい表情はプログラムされている様子。

T-800系列よりも体格は一回り小さく設計されてはいるが、T-800系列やT-1000よりも耐久性が増加しており、相当な威力を持つ重火器でも破壊することは困難であり[2]、RPG-7の直撃を受けてプラズマ砲は破損したが、骨格自体は全くの無傷であった。ただし関節部分の強度は若干低い(ラストシーンで自ら脚を外した、T-850に腕の関節を外された等)。

サイズのスリム化は図られているものの、金属骨格の上に液体金属で覆われているため、金属の塊となってしまった事による重量増加は避けられず、その容姿に似合わない重量(設定では約150Kg)はレクサス・SC430のサスペンションを深く軋ませるという描写が見られる。また耐久性強化を重視したためか、内蔵武器のパーツに鋼鉄を使用している為、磁石(粒子加速器)に張り付き、覆っていた液体金属も溶け出してしまうという問題も抱えている。なお、T-800系列は骨格がチタン合金であるため、その他の部品の影響で引っ張られることはあるが、磁石に張り付く事はまず無い。

血液などのDNA情報を舌で読み取ることが可能であり、特定の人物の抹殺にも威力を発揮する。

歩行スピードは普通の人間の歩く速さから、車に追いつくほどのとてつもないスピードを出すことができる。時速は80キロメートル。

変身形態[編集]

身長は179cm、ほっそりした体型だが無駄な肉が全く付いていないほど引き締まっている。ベースの容姿となった人間は類まれな美貌とプロポーションを持った女性モデルであり、完璧な美しさを求めて造形された。

普段は主に錆色の服装の姿がメインだが、本項では、一時的なものも含め、全て記載する事とする。

触れてデータをコピーした人物であれば誰にでも自在に変身することが可能。ただし、前述のとおり骨格が存在するため、人間の形以外には変身出来ない。

裸体
ビバリーヒルズにて未来から登場した時の姿。セクシーボディーとブロンドの長い髪の毛が印象的。
錆色の服装
劇中で最も多く登場するのがこの姿。通りすがりの女性(キャロリン・ヘネシー)が任務の目的に適切な身長、体形だったため、彼女を殺して錆色の革ジャケットと薄着のシャツとパンツ、その下の下着まで身に着ける[3]。髪もシニヨンに纏め、より女性らしい雰囲気を醸し出している。そして女性の車を奪い、任務を開始する。ヴィクトリアズ・シークレットの看板を見てバストアップを行ったが、これが任務にどう役立ったかは描かれなかった。小説版では警官は彼女の胸に釘付けになっており、違反を見逃している。その後、ブラジャーを外して警官を誘惑し、暗がりに連れ込んでから銃を奪った。
スコット・ピーターソン
ケイトの婚約者であるスコットを殺害し、さらに彼女を殺害しようとして変身した姿。この姿で警察の車に乗り、その中で警官二人を殺害してケイトの元へ向かい、そこで不敵な笑みを浮かべつつ、彼女に近付きながら上記の姿に戻る。それに驚いてその場を動けなかった彼女をプラズマ砲で吹き飛ばそうとしたが、T-850にRPG-7を打ち込まれて逆に自分が吹き飛ばされ、阻止された。この時に、プラズマ砲が破損させられている(その後、これに代わって火炎放射器に換装している)。ちなみに、変身の仕方が、一端液体金属を外して骨格状態になり、その直後にまた液体金属を被せ、上記の姿になった。
CRSの女性職員の制服姿
T-1を起動させるためにCRSに侵入した時の姿。服装を真似て変化させただけなので、顔立ちは錆色の服装の時と変わらない。そのため女性職員は殺していないと思われる。この姿でT-1が保管されている地下室に行き、ナノテクノロジートランスジェクターでコンピューターに命令を下した。なお、この際、T-Xがスカイネットと交信する描写はなく、T-Xの行動がスカイネットに何らかの影響を及ぼしたかは不明である。
ケイト・ブリュースター
T-1を起動させた後、彼女の父のロバートに近付くために変身した。美人だが薄紫のシャツに黒のスキニーパンツ、野暮ったいジャケットとかなり地味な服装。いきなり彼女に変身できたのは、序盤で彼女を車から投げ飛ばし、ブーツの踵で彼女の喉を踏みつけたときにデータをコピーしたため。しかし、本物のケイトはT-850と共にすぐ近くで行動していたため、あっさりとバレた。
骨格姿
表面の液体金属を除いたときがT-Xの本来の姿である。コンパクトで丸みを帯びた女性の人間に近いフォルムの金属ボディーでシルバー色の頭蓋骨に青く光る細い目があるのが特徴。口や頭部、間接部分など一部青色に光る部分が存在する。また、口にある歯は産業用ダイヤモンドより硬い。痩せ気味で口は割と大きめ。スコットから元の姿に戻る際に一旦液体金属を剥がした時、ジョンにCRS内部にある粒子加速器を作動させられて、張り付けにされた後、液体金属が溶け出して骨格が剥き出しになった時の姿。また、クリスタルピークの核シェルターにてヘリで突っ込み、ケイトとジョンを追い詰めようとした直後、T-850の乗る2機目のヘリで押しつぶされて引きずられた影響で、表面の液体金属が剥がれてしまった時にも見られる。この時、瓦礫に足が下敷きになり、自ら(任務続行の為)両足を切り離し失った(漫画版では片手を破損して失っていたが、両足はある状態になっていた)。激しく吠えながらジョンやケイトに襲いかかろうとするが、T-850に食い止められ、(ただし、T3小説版では内蔵の金属カッターを使い攻撃を加え、T-850の機能を一時的に停止させる描写が有り、漫画版では内蔵されたナイフで攻撃を加えている)口に水素電池をはめられ爆発四散した(この時、同時にT-850も爆発により、表面の皮膚は破壊されるが頭蓋装甲の金属骨格部分は残り、二個あるバッテリーをすべて失ったため機能停止した)。ちなみに、直前に液体金属が顔に戻り、以前の顔に戻ろうとしていたが、正常な擬態機能が働かなくなったのか、色が肌色でなく元の銀色となっていた。
ドレス姿
漫画版のみに登場。
ボディーラインにフィットし、足の部分には大きくサイドスリッドの入ったかなり露出度の高いドレスを着用して、ハイヒールを履いた姿。髪型は、映画版と違ってポニーテール。
ジョンやケイト抹殺の任務は映画版と同じ。
プラズマ砲を発射させたりするなどの、映画版同様の武器に加え、腕を巨大な刃物や槍のような形に変形させたり、スカイネットに連絡を取り、任務の是非を伝えたりと、映画版にはなかった要素が登場している。

作中における行動[編集]

『ターミネーター3』[編集]

先の二度に渡るジョン・コナー(以下ジョン)及びその母(サラ・コナー)を殺害し存在そのものを抹消する為送り込んだターミネーター達が、それぞれ任務の失敗に終わったことを受け、(ジョンを最重要ターゲットとしてはいるが)後にジョンと共に抵抗軍の最重要人物となる者たちの殺害を命じられて、2032年から2004年のロサンゼルスに送り込まれる。 そしてジョンと未来の妻にして副司令官の役割を担うことになるケイト・ブリュースター(以下ケイト)を生存させ確実に保護するようにと命じられ送り込まれたT-850と未来の存亡を掛けた一騎討ちを展開していくことになる。

ロサンゼルスのビバリーヒルズの洋服店のショウウィンドウに送り込まれた後、近くに偶然来ていた女性に「この車、気に行った。」と言ったのち車を奪い行動を開始する。 車で走行中、女性の物と思わしき携帯電話を使用しターゲットとする人物のデータリストをピックアップすると、車のスピードを上げて目的遂行へ急ぐが、スピード超過を発見した警察官に停止させられるが、職務質問をしようと近付いてきた警察官の腰の銃を見て「その銃、気に入った。」と言い、その警官から銃を奪い突破する。

その後とあるバーガーショップへ向かい、ターゲットのホゼ・バレッラをその場で射殺、そのままエリザベス・アンダーソンとビル・アンダーソンの自宅へ行き、彼らも殺害と着実に任務を遂行していく。その後、ケイトの勤める動物病院に向かい、ターゲットのケイトだと思ってその場にいた女性を銃撃、瀕死の女性にケイトかどうかを問い質すも答えなかったため、彼女の血液を舐めとりDNAを分析するがケイトではないと判明、その場から更に奥に入りケイトを探していた所、血の付いたガーゼを発見し再度血を舐めとりDNAを調べたところジョンのDNAを検出、驚愕の表情を浮かべていた隙を付かれてケイトに逃げられるが、車のキーを焦りで上手く差し込めずに慌てていたケイトに追い付き、窓を打ち破って車のドアを引き千切りケイトを車の外へと放り出す。ケイトを踏み付けジョンの居場所を問い質そうするが、T-850(以後、ターミネーターと呼称)に車で撥ね飛ばされる。撥ね飛ばされ瓦礫に引き摺られた衝撃で自らの金属骨格を覆っていた液体金属が一時的に剥がれてしまうものの、すぐに液体金属を表面に集束させて再生、任務を再開する。 ターミネーターのショットガンでの攻撃をよそに右腕を変形させ強力なプラズマ砲を発射、ターミネーターを吹き飛ばした。その後騒ぎを聞き付けて次々と集結する警察官達の隙を突いて、警察官達の乗ってきたパトカーの機械部分にナノテクノロジー・トランスジェクター(右人差し指をアイスピックのように尖らせて使用)を使って遠隔コントロールできるよう細工をした後、自らは巨大なトラックに乗り込み、ジョンとケイトの追跡を開始する。遠隔コントロールしている車の操作とプラズマ砲を駆使してジョン達に迫るも、復活し、後を追っていたターミネーターからの妨害の影響で乗っていたトラックが大破させられ横転したため、ジョンとケイトを取り逃がしてしまう。

その後、ケイトの自宅へ向かい、彼女の婚約者であるスコットを惨殺すると、彼の姿に成り代わり訪ねてきた二人の刑事に応対、ケイトの誘拐を聞き出し刑事の乗る車に同乗し、ケイトの居場所判明と同時に二人の刑事を殺害、車をケイト達がいる墓地へと走らせる、警察とターミネーターが交戦していた最中に逃げ出したケイトを発見し、不敵な笑みを見せながら元の姿へ戻りプラズマ砲で吹き飛ばそうとするが、ターミネーターにRPG-7で迎撃され失敗。この際弾頭がプラズマ砲に直撃し破損するもすぐに行動を再開。再度ジョンとケイトを追跡し車の屋根に取り付き襲撃するが、ターミネーターが無理矢理にトラックの下を潜り抜けたため車の屋根ごと叩き落とされ、またも取り逃がす。その後破損したプラズマ砲を火炎放射器へと換装するが、このままジョンやケイトを追跡し続けるのは得策ではないと判断し、人類抵抗軍幹部殺害の任務を再開するためCRSへ向かう。

CRS本部へ到着し、職員の制服をコピーすると、施設内に設置されていたTー1やハンターキラーを起動させ、施設内にいる人間を殺害させると同時に、ケイトの姿に変身しロバートに近づくこうと画策するが、本物のケイトがターミネーターと共に行動していた為変身の成果なくターミネーターの攻撃によって元の姿に戻る、その際ロバートを銃撃し即死では無いものの殺害に成功。直後にターミネーターからショットガンの連発を食らって下層に突き落とされるがすぐにターミネーター達の前に舞い戻り、ターミネーターとの激しい肉弾戦を展開しスペック差通りにターミネーターを撃破、さらにナノテクノロジー・トランスジェクターを駆使しターミネーターにジョンとケイトの殺害を命令し自身もジョンとケイトを追跡し襲撃、火炎放射器を使用し二人を焼き殺そうとするが、ジョンが事前に起動させていた巨大な電磁石となる粒子加速器が起動し、それにより粒子加速器に張り付いてしまい行動不能となってしまう。徐々に身体を覆っていた液体金属も流動して粒子加速器に吸い寄せられ、本体である金属骨格だけとなるが、左腕に内蔵されていたエンジンカッターにより粒子加速器を破壊し復活、ヘリで二人を追い、クリスタルピークの核シェルターに追い詰めるが、ナノテクノロジー・トランスジェクターの命令を強制的に再起動する事で退けたターミネーターが操縦するヘリに押し潰される形でまたしても殺害に失敗、そればかりか液体金属が剥がれ落ちて骨格だけの状態になってしまう、だが任務遂行のため瓦礫に埋まってしまった両足を切り離し満身創痍になりながらも激しく吠えてジョンに襲い掛かるが、ターミネーターに阻止され、最後はターミネーターが自ら取り出した水素電池を口に突き込まれ、その爆発により破壊された。

その他[編集]

ターミネーター4』には登場していない。『T4』の監督を務めたマックGによると、「T-1000との対戦もあり得る」とのことだったが、時代設定(舞台である2018年はT-800が開発されたばかりであり、T-XだけでなくT-1000の開発も不可)のためか実現はしなかった。

脚注[編集]

  1. ^ 小説版に記載
  2. ^ T-850は「破壊は不可能」と言っている。
  3. ^ 小説版に記載